2025.04.18

《2024-25年調査》タレント、YouTuber、VTuberの最新人気ランキング|マンガキャラクター活用の極意【第二部】

2025年4月12日、大阪府泉佐野市で開催された「ご当地キャラEXPO in りんくう」に行ってきました。
翌日にEXPO 2025 大阪・関西万博の開催を控え、このイベントにも「ミャクミャク」が参加。ゆでたまご先生がデザインした泉佐野市公式キャラ「イヌナキン&ゆるナキン」や熊本県「くまモン」などと一緒に、ステージや会場内を盛り上げていました。ご当地キャラEXPOでは久々のキャラやメンバーたちとも多数再会できましたし、万博にも会期中には訪問したいと思っています。

2025年4月12日 大阪府泉佐野市「ご当地キャラEXPO in りんくう」にて

2025年4月12日 大阪府泉佐野市「ご当地キャラEXPO in りんくう」にて(筆者撮影)

前回は、広告・プロモーションのエンドーサー(宣伝役)としてのキャラクター、タレント・有名人、YouTuber、VTuberそれぞれへの好意度を比較し、以下の内容をご紹介しました。

  • キャラクターへの好意度は女子キッズ・ティーンが特に高い
  • タレント・有名人全般への好意度は女子ティーンが最も高い
  • YouTuber全般への好意度は男子ティーンが突出
  • VTuber全般への好意度は全体的に低く、男女ティーンのみ高め
  • 男性ファンの比率が最も高いのはVTuber、次いでYouTuber
  • キャラクターファンとの重複が最も多いのはYouTuberファン、次いでタレント・有名人ファン

今回は同じく広告・プロモーションのエンドーサー(宣伝役)としてのタレント・有名人、YouTuber、VTuberの純粋想起による好意度ランキングと、タイプ別内訳を紹介します。
この「2024-25年キャラクター定量調査」は筆者が企画・分析を行い、実査部分を「楽天インサイト」に委託して2024年2月16日(金)~20日(火)に実施しました。調査に関するお問い合わせは、SNSへのDMなどで直接筆者までお願いいたします。

アイドルやお笑い勢に交じって「大谷翔平」が上位に


まず、男女3-74歳全体の純粋想起によるタレント・有名人好意度ランキングです。
好きなタレント・有名人を各自3つまで記入してもらい、原則としてグループ単位で集計しました。多くのタレント・有名人が僅差で並び、標本誤差も多いと推察される結果ではありますが、参考までにご覧ください。

図表1.  男女3-74歳全体:純粋想起による「好きなタレント・有名人」ランキング

Q. あなたが好きな「タレント・有名人」は誰ですか。好きな順に「3つ」までお書きください。グループ名でも結構です。

図表1.  男女3-74歳全体:純粋想起による「好きなタレント・有名人」ランキング

第1位は「Snow Man」で、他の男性アイドルに大きな差を付けて支持されています。2位「明石家さんま」、3位「有吉弘行」、4位「サンドウィッチマン」と男性お笑い芸人が続き、4位にはスポーツ選手でトップとなる「大谷翔平」がランクインしました(敬称略)。

現在活動休止中の「ダウンタウン」は6位に後退して「マツコ・デラックス」と並び、8位「乃木坂46」が女性アイドルでトップ、9位「Mrs.GREEN APPLE」が男性ミュージシャンでトップ、10位に「新垣結衣」が女性俳優でトップとなっています。
TOP50に複数ランクインしているK-POP勢は、「BTS」が13位でトップ、YouTuber勢では「HIKAKIN」が15位です。


「Snow Man」は女性全年代でトップ、男性アイドルは女性各層でランクイン


次に、性・年齢別の純粋想起上位タレント・有名人を紹介します。

図表2.  性・年齢別:純粋想起による「好きなタレント・有名人」ランキング

図表2.  性・年齢別:純粋想起による「好きなタレント・有名人」ランキング(1)

図表2.  性・年齢別:純粋想起による「好きなタレント・有名人」ランキング(2)

男女とも園児・小学生は母親の聞き取りによる代理回答のため、子ども本人でなく母親が自分の好きなタレントを記入しているのでは...と感じさせる節もありますが、「Snow Man」は男子園児・小学生と女性の各年代全てでトップです。

「明石家さんま」は男子ティーンと男35歳以上でトップ。女50-74歳でも2位にランクインしています。「乃木坂46」は男20-34歳でトップ、35-49歳で2位、50-74歳で5位と、成人男性に幅広く支持されています。

他には、女性の幅広い年代で多くの男性アイドルや韓流スターが複数上位にランクインしている点や、男子ティーンで複数のYouTuberがランクインしている点が目立ちます。

女子ティーンでは韓流、男子ティーンではYouTuberの想起が目立つ

続いて、純粋想起されたタレント・有名人をタイプ別に分類して、性・年齢別に想起率を比較してみました。

図表3.  性・年齢別:純粋想起タレント・有名人のタイプ内訳

図表3.  性・年齢別:純粋想起タレント・有名人のタイプ内訳(1)

図表3.  性・年齢別:純粋想起タレント・有名人のタイプ内訳(2)

男女3-74歳全体では「女性俳優」が20.0%でトップ。「男性俳優」(19.1%)、「男性お笑い芸人」(18.6%)が僅差で並び、「男性アイドル」(14.7%)と続きます。

「女性俳優」が特に多く想起されるのは男20歳以上(特に35-74歳)と女子ティーンから34歳で、「男性俳優」は女子ティーンから74歳(特に20-34歳と50-74歳)です。
「男性お笑い芸人」が特に多く想起されるのは男子ティーンから74歳(特に35-49歳)で、女性では全般的に低めです。
また「男性アイドル」が特に多く想起されるのは女子キッズから49歳(特にティーンから34歳)で、男性では全般的に低めです。
また、「韓流アイドル・歌手・俳優」が女子ティーンで、「YouTuber」が男子ティーンで突出して高くなっています。


圧倒的に強い「HIKAKIN」、「東海オンエア」「キヨ。」「平成フラミンゴ」なども上位に

図表4は、男女3-74歳全体の純粋想起によるYouTuber好意度ランキングです。好きなYouTuberを各自3つまで記入してもらい、原則としてグループ単位で集計しました。

図表4.  男女3-74歳全体:純粋想起による「好きなYouTuber」ランキング

Q. あなたが好きな「YouTuber」は誰ですか。好きな順に「3つ」までお書きください。グループ名でも結構です。

図表4.  男女3-74歳全体:純粋想起による「好きなYouTuber」ランキング
早くから活動してマスメディア露出が多く、YouTuberに馴染みのない層にも知られている「HIKAKIN」が圧倒的トップで、以下「東海オンエア」「はじめしゃちょー」「QuizKnock」「平成フラミンゴ」が並びました。
2位以降は視力検査のようなスコアで数多くのYouTuberが想起されており、ロングテール型の市場である様子が窺えます。

次に、性・年齢別の純粋想起上位YouTuberを紹介します。ここでは各年代のTOP10位以内で1%以上のスコアを獲得したYouTuberのみを記載しています。

図表5.  性・年齢別:純粋想起による「好きなYouTuber」ランキング

図表5.  性・年齢別:純粋想起による「好きなYouTuber」ランキング

図表5.  性・年齢別:純粋想起による「好きなYouTuber」ランキング(2)

性・年齢別にみると、男女ともティーンと20-34歳で多くのYouTuberが想起される一方、他の年代では「HIKAKIN」以外の想起数が少なくなっています。
男性はティーンと20-34歳でも「HIKAKIN」がトップなのに対し、女性はティーンでゲーム実況系の「キヨ。」、20-34歳で愛知県岡崎市在住6人組の「東海オンエア」がトップになっています。また、「江頭2:50(エガちゃん)」や「Snow Man」などお笑い系やアイドルの芸能人も複数ランクインしています。


「ホロライブ」「にじさんじ」勢が上位を占めるVTuber


図表6は、男女3-74歳全体の純粋想起によるVTuber好意度ランキングです。好きなVTuberを各自3つまで記入してもらい、原則としてグループ単位で集計しました。

図表6.  男女3-74歳全体:純粋想起による「好きなVTuber」ランキング

Q. あなたが好きな「VTuber」は誰ですか。好きな順に「3つ」までお書きください。グループ名でも結構です。

図表6.  男女3-74歳全体:純粋想起による「好きなVTuber」ランキング
上位のほとんどを、VTuberユニットの「ホロライブ」(「宝鐘マリン」「星街すいせい」「兎田ぺこら」「さくらみこ」など)や「にじさんじ」(「壱百満天原サロメ」「剣持刀也」「ルンルン」など)が占めています。
ただし、想起率が全般に低いのはYouTuber以上で、一部の層にしか知られていない存在である状況は変わりません。


ごく一部のVTuberは男女ティーンの支持を得て市場を牽引

次に、性・年齢別の純粋想起上位VTuberを紹介します。
ここでは各年代のTOP10位以内で1%以上のスコアを獲得したVTuberのみを記載しています。そのため、男子園児・小学生、女子園児・小学生、女35-49歳、女50-74歳では1%以上のスコアを獲得したVTuberがいなかったため、結果が非記載となっています。

図表7.  性・年齢別:純粋想起による「好きなVTuber」ランキング

図表7.  性・年齢別:純粋想起による「好きなVTuber」ランキング

男女ティーンでの「宝鐘マリン」、男子ティーンでの「星街すいせい」、女子ティーンでの「剣持刀也」など、特定の年代で高く支持されているVTuberが存在し、これらが現在のブームを牽引する存在である様子が窺えます。
一部のVtuberへのコアファンの熱さや動くお金の額などについては、いろいろ興味深い話が聞こえてきますし、今後の状況を見守っていくべきでしょう。

今回は以上です。次回は、2024-25年キャラクター定量調査から、現在の「推し活」を構成する行動のひとつである、アニメやキャラクターによる聖地巡礼に関する結果を紹介します。どうぞお楽しみに。

<第2部 バックナンバー>

第33回:《2024-25年調査》 キャラクター、タレント・有名人、YouTuber、VTuberの好意度を比較する
第33回:《2024-25年調査》 マンガ・テレビアニメ・劇場アニメ・ネット動画に関するユーザーの意識はどう変わったか

第32回:《2024-25年調査》 キャラクターの最新人気ランキング
第31回:スマホの普及で生活者とキャラクターとの接点はどう変化したか
第30回:タレント・キャラクター・YouTuber・Vtuberの「Z世代向けエンドーサー(宣伝マン)」としての可能性を分析する(4)
第29回:タレント・キャラクター・YouTuber・Vtuberの「Z世代向けエンドーサー(宣伝マン)」としての可能性を分析する(3)
第28回:タレント・キャラクター・YouTuber・Vtuberの「Z世代向けエンドーサー(宣伝マン)」としての可能性を分析する(2)
第27回:タレント・キャラクター・YouTuber・Vtuberの「Z世代向けエンドーサー(宣伝マン)」としての可能性を分析する
第26回:《2024年調査》キャラクター・YouTuber・Vtuberのエンドーサー(宣伝マン)としての可能性を分析する
第25回:《2024年調査》 YouTuber・VTuberファンの、マンガ・アニメ・キャラクターへの反応を分析する
第24回:《2024年調査》 タレントタイプ別ファンの、マンガ・アニメ・キャラクターへの反応を分析する
第23回:《2024年調査》 各キャラクターの支持層から、どのような反応が期待できるかを分析する
第22回:《2024年調査》 キャラクターの最新人気ランキングとその支持層
第21回:コロナ禍の前後で、キャラクター関連への「好意度」はどう変化したか
第20回:コロナ禍の前後で、キャラクター関連への接触はどう変化したか
第19回:地域によって異なる? キャラクターやマンガへの好意度と関連行動(3)
第18回:地域によって異なる? キャラクターやマンガへの好意度と関連行動(2)
第17回:地域によって異なる? キャラクターやマンガへの好意度と関連行動(1)
第16回:調査で解明する、エンドーサー(宣伝マン)としてのキャラクターの可能性(3)
第15回:調査で解明する、エンドーサー(宣伝マン)としてのキャラクターの可能性(2)
第14回:調査で解明する、エンドーサー(宣伝マン)としてのキャラクターの可能性(1)
第13回:純粋想起による2023年の好意度ランキング(ご当地キャラ&タレント・有名人&Vtuber編)
第12回:純粋想起による2023年の好意度ランキング(キャラクター全般&企業キャラ編)
第11回:さまざまなタイプのキャラクターファンが、どのようなプロフィールを持つのか分析する(3)
第10回:さまざまなタイプのキャラクターファンが、どのようなプロフィールを持つのか分析する(2)
第9回:さまざまなタイプのキャラクターファンが、どのようなプロフィールを持つのか分析する(1)
第8回:2023年トレンド予測・キャラクター活用は5つの流れで進む
第7回:拡がるVtuberの活動領域とその実像を分析する(前編)
第6回:拡がるVtuberの活動領域とその実像を分析する(前編)
第5回:Z世代のマンガ原作コンテンツへの支持傾向と消費行動(後編)
第4回:Z世代のマンガ原作コンテンツへの支持傾向と消費行動(中編)
第3回:Z世代のマンガ原作コンテンツへの支持傾向と消費行動(前編)
第2回:ティーン・ヤング層に人気のマンガは、ターゲットにどんな体験を提供するか
第1回:男子ティーン・ヤング中心に人気のマンガコンテンツ。女子ティーンからコアな支持を集める作品も

<第1部 バックナンバー>
第1部 連載記事一覧

筆者プロフィール
野澤 智行(のざわ ともゆき)

栃木県宇都宮市出身。1987年千葉大学文学部卒業、(株)ビデオリサーチ入社。98年旭通信社(現ADKグループ)入社、研究開発部門、マーケティング部門で広告効果やブランディングの研究、企業のマーケティング・プロモーション支援を、キャラクター総研リーダーとしてアニメコンテンツの戦略支援、キャラクターに関する開発・活用提案を行う。2013年に日本百貨店協会主催「ご当地キャラ総選挙」実行委員として、企画立案およびキャンペーン・イベント総指揮を担当。デジタルハリウッド大学院で客員教授を、駒澤大学や福井工業大学で講師を務め、法政大学経営大学院でMBAを取得して、キャラクターやアニメコンテンツに関する企画提案・分析業務でも活動中。2022年4月からは、福井工業大学の環境情報学部経営情報学科でマーケティングやメディア論の教授として着任。

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