2025.01.27
《2024-25年調査》 キャラクターの最新人気ランキング|マンガキャラクター活用の極意【第二部】
2025年1月になって、筆者の大学のゼミ生の卒業論文指導が大詰めを迎えています。
計8名のテーマの内訳を記すと、「北陸新幹線の延伸が福井に及ぼした影響」が2名。その他は、「阪神タイガースのファン分析」「コスメ会社の価格帯別ビジネス展開」「日本のロックバンドの変遷と支持要因の解明」「サンリオキャラクター大賞について」「企業とキャラクターのコラボの現状と可能性」「ボルテスVやグレンダイザーなど70年代ロボットアニメが海外でヒットし今リバイバル作品が作られている要因についての考察」と、バリエーションに富んでいます。
さて前回は、2025年キャラクター定量調査に向けた予備分析として、時系列でのキャラクターに関する接点のトレンド変化について、以下の内容をご紹介しました。
- 最も多い接点はLINEスタンプ、動画サイトやSNSも上位に
- 接点の主役はテレビアニメからLINEスタンプへ
- 男性若年層ではデジタル関連の接点が顕著に増加
- 女子ティーンではマンガ雑誌・コミックス・単行本への接触がV字回復
さて、今回は最新のキャラクター定量調査速報として、純粋想起によるキャラクター好意度ランキングを紹介します。
「キャラクター定量調査2024-25」は、日本国内に居住する男女3~74歳の1,250名を対象として、2024年12月6日(金)~10日(火)に実施しました。調査実施機関は「楽天インサイト」で、園児・保育園児~小学生(+中学生の一部)は、母親が子どもの回答を聞きながら代理記入しています。
※諸事情により2024年12月上旬に調査を行いましたので、「2025年調査」ではなく「2024-25年調査」と表記します。
図表1. 「キャラクター定量調査2024-25」調査概要
「ポケモン」「スヌーピー」の2強に「ちいかわ」が迫る勢い
図表2は、男女3-74歳全体の純粋想起によるキャラクター好意度ランキングです。好きなキャラクターを各自3つまで記入してもらい、作品単位で集計しました。
図表2. 男女3-74歳全体:純粋想起による「好きなキャラクター」ランキング
Q. あなたが好きな「キャラクター」は何ですか。好きな順に「3つ」までお書きください。
第1位は「ポケットモンスター」です。これまでは2020年9月に3位、2021年11月に1位、2023年2月に2位、2024年2月には1位で、今回も他キャラの追随を許しませんでした。
2位は「スヌーピー」で、2020年9月に1位、2021年11月に2位、2023年2月に1位、2024年2月に3位で、この2キャラはトップ3を長年にわたって維持しています。
数年ぶりに変化があったのは第3位で、「ちいかわ」が2024年2月の4位から、初のトップ3入りを果たしました。
他には、50周年を迎えた「ハローキティ」が2024年2月の7位から5位に、「ONE PIECE」が2024年2月の8位から7位に、それぞれランクアップしています。
マンガ原作系では、アニメ、ドラマ、映画化で話題の「【推しの子】」が2024年2月の67位から40位にアップしています。また、映画での完結編が期待される「鬼滅の刃」が下げ止まる一方、アニメ放送終了から時間が経った「呪術廻戦」や「SPY×FAMILY」はランクダウンしつつあります。「ドラえもん」が2024年2月の3位から4位にダウンしたのも、気になることろです。
新作や周年キャンペーンで話題のキャラクターが一部で強い支持
次に、性・年齢別の純粋想起上位キャラクターを見てみましょう(図表3)。
図表3. 性・年齢別:純粋想起による「好きなキャラクター」ランキング
「ちいかわ」は女子ティーンと女20-34歳でトップ、他にもキッズから49歳までの女性で5位以上にランクインし、女性の幅広い年代に支持されています。
男女3-74歳全体では2024年2月の5位から8位にランクダウンした「すみっコぐらし」は、女子キッズでは2024年2月から変わらずトップ、女35-49歳でもランクインしていますが、女子ティーンや女20-34歳ではトップ10圏外になっています。
男女3-74歳全体で5位にランクアップした「ハローキティ」は、男子キッズや男50-74歳でもトップ10入りしており、50周年キャンペーンが奏功してか、支持層が広がりつつある様子が窺えます。女子ティーンで「【推しの子】」がランクインしている点も興味深いです。
マンガ原作系に注目すると、劇場アニメが好調だった「名探偵コナン」は男子ティーン、新作テレビアニメが始まった「ドラゴンボール」は男35-49歳でトップになるなど、一部の年代で強く支持されていることがわかります。
マンガ原作系キャラクターは、男女ティーンと成人男性が多く想起
続いて、純粋想起されたキャラクター名をタイプ別に分類して、性・年齢別に想起率を比較してみました。
図表4. 性・年齢別:純粋想起キャラクターのタイプ内訳
男女3-74歳全体では「マンガ原作系」が51.5%でトップ。「ファンシー系」(47.8%)、「絵本・ゲーム等原作系」(30.7%)、「オリジナル系」(16.7%)、「ご当地キャラ」(8.1%)、「企業キャラ」(3.8%)と続きます。
「マンガ原作系」が特に多く想起されるのは、男女ティーン、男20-34歳、男35-49歳で、男女ともキッズと50-74歳は相対的に少なくなっています。
「ファンシー系」が特に多く想起されるのは、女子キッズ、女20-34歳。女子ティーン、女35-49歳、女50-74歳でも「マンガ原作系」を上回って想起されています。
「絵本・ゲーム等原作系」は男子キッズでトップになっています。また、各地での集合イベントがコロナ前レベルに復活した「ご当地キャラ」は男女50-74歳で多く想起されています。
ご当地キャラの4強は変わらず
図表5は、男女3-74歳全体でのご当地キャラの純粋想起ランキングです。
図表5. 男女3-74歳全体:純粋想起による「好きなご当地キャラ」ランキング
Q. あなたが好きな「ご当地キャラ」や「ゆるキャラ」は何ですか。好きな順に「3つ」までお書きください。
「くまモン【熊本県】」「ふなっしー【千葉県船橋市】」「ひこにゃん【滋賀県彦根市】」のトップ3は変わらず、2024年2月に4位だった「ぐんまちゃん【群馬県】」もそのままでした。
これらの上位キャラは、地元県で不動のトップ人気である点が共通していますが、他の地域においても地元では長年トップ人気のキャラが多数存在しています。
今回は以上です。次回は、2024-25年キャラクター定量調査の速報第二弾として、マンガ、テレビアニメ、劇場アニメ、ネット動画への好意度を紹介します。どうぞお楽しみに。
<第2部 バックナンバー>
第31回:スマホの普及で生活者とキャラクターとの接点はどう変化したか
第30回:タレント・キャラクター・YouTuber・Vtuberの「Z世代向けエンドーサー(宣伝マン)」としての可能性を分析する(4)
第29回:タレント・キャラクター・YouTuber・Vtuberの「Z世代向けエンドーサー(宣伝マン)」としての可能性を分析する(3)
第28回:タレント・キャラクター・YouTuber・Vtuberの「Z世代向けエンドーサー(宣伝マン)」としての可能性を分析する(2)
第27回:タレント・キャラクター・YouTuber・Vtuberの「Z世代向けエンドーサー(宣伝マン)」としての可能性を分析する
第26回:《2024年調査》キャラクター・YouTuber・Vtuberのエンドーサー(宣伝マン)としての可能性を分析する
第25回:《2024年調査》 YouTuber・VTuberファンの、マンガ・アニメ・キャラクターへの反応を分析する
第24回:《2024年調査》 タレントタイプ別ファンの、マンガ・アニメ・キャラクターへの反応を分析する
第23回:《2024年調査》 各キャラクターの支持層から、どのような反応が期待できるかを分析する
第22回:《2024年調査》 キャラクターの最新人気ランキングとその支持層
第21回:コロナ禍の前後で、キャラクター関連への「好意度」はどう変化したか
第20回:コロナ禍の前後で、キャラクター関連への接触はどう変化したか
第19回:地域によって異なる? キャラクターやマンガへの好意度と関連行動(3)
第18回:地域によって異なる? キャラクターやマンガへの好意度と関連行動(2)
第17回:地域によって異なる? キャラクターやマンガへの好意度と関連行動(1)
第16回:調査で解明する、エンドーサー(宣伝マン)としてのキャラクターの可能性(3)
第15回:調査で解明する、エンドーサー(宣伝マン)としてのキャラクターの可能性(2)
第14回:調査で解明する、エンドーサー(宣伝マン)としてのキャラクターの可能性(1)
第13回:純粋想起による2023年の好意度ランキング(ご当地キャラ&タレント・有名人&Vtuber編)
第12回:純粋想起による2023年の好意度ランキング(キャラクター全般&企業キャラ編)
第11回:さまざまなタイプのキャラクターファンが、どのようなプロフィールを持つのか分析する(3)
第10回:さまざまなタイプのキャラクターファンが、どのようなプロフィールを持つのか分析する(2)
第9回:さまざまなタイプのキャラクターファンが、どのようなプロフィールを持つのか分析する(1)
第8回:2023年トレンド予測・キャラクター活用は5つの流れで進む
第7回:拡がるVtuberの活動領域とその実像を分析する(前編)
第6回:拡がるVtuberの活動領域とその実像を分析する(前編)
第5回:Z世代のマンガ原作コンテンツへの支持傾向と消費行動(後編)
第4回:Z世代のマンガ原作コンテンツへの支持傾向と消費行動(中編)
第3回:Z世代のマンガ原作コンテンツへの支持傾向と消費行動(前編)
第2回:ティーン・ヤング層に人気のマンガは、ターゲットにどんな体験を提供するか
第1回:男子ティーン・ヤング中心に人気のマンガコンテンツ。女子ティーンからコアな支持を集める作品も
<第1部 バックナンバー>
第1部 連載記事一覧
野澤 智行(のざわ ともゆき)
栃木県宇都宮市出身。1987年千葉大学文学部卒業、(株)ビデオリサーチ入社。98年旭通信社(現ADKグループ)入社、研究開発部門、マーケティング部門で広告効果やブランディングの研究、企業のマーケティング・プロモーション支援を、キャラクター総研リーダーとしてアニメコンテンツの戦略支援、キャラクターに関する開発・活用提案を行う。2013年に日本百貨店協会主催「ご当地キャラ総選挙」実行委員として、企画立案およびキャンペーン・イベント総指揮を担当。デジタルハリウッド大学院で客員教授を、駒澤大学や福井工業大学で講師を務め、法政大学経営大学院でMBAを取得して、キャラクターやアニメコンテンツに関する企画提案・分析業務でも活動中。2022年4月からは、福井工業大学の環境情報学部経営情報学科でマーケティングやメディア論の教授として着任。