2024.03.22

《2024年調査》 キャラクターの最新人気ランキングとその支持層|マンガキャラクター活用の極意【第二部】

春を目前に控えた3月上旬、長年にわたって日本のマンガ・アニメの発展を担ってきた著名な作者や声優の方たちの訃報が相次ぎ、国内外のファンが悲嘆に暮れています。先輩方の偉業に、心から敬意を表します。これまで本当にありがとうございました。

さて、3月16日の北陸新幹線敦賀延伸を迎えて、今度は福井駅東口前に一段と色鮮やかなトリケラトプスの親と子の実物大ロボットが設置されました。これらのPR施策を契機に、交通の便が良くなった福井に関東や信越の方たちがどれだけ訪れるのか、引き続き見守っていきたいと思います。

R福井駅東口のトリケラトプス実物大ロボット

JR福井駅東口のトリケラトプス実物大ロボット(2024年3月13日:筆者撮影)

前回は、コロナ禍前の2014年まで遡り、2020年のコロナ禍以降の定量調査データと比較する形で、マンガを含めた主要コンテンツおよびキャラクターに関する好意度がどう変化したか、以下の内容を紹介しました。

  • マンガファンは高齢化し、男子キッズ・ティーンで減少傾向
  • テレビアニメとアニメ映画ファンも高齢化、男女キッズで減少傾向
  • キッズのネット配信動画・アニメファンは、マンガファンを上回るまでに増加
  • キャラクターファンは男子ティーンで大幅増加、ミドル・シニアでも増加

今回からは、2024年2月に実施したばかりの「キャラクター定量調査2024」で得られた、幾つかのトピックを紹介していきます。まず、純粋想起による2024年キャラクター好意度ランキングのうち、「キャラクター全般」に関する調査結果を紹介しましょう。

「キャラクター定量調査2024」は、日本国内に居住する男女3~74歳の1,015名を対象として、2024年2月16日(金)~20日(火)に実施しました。調査実施機関は「楽天インサイト」で、園児・保育園児~小学生(+中学生の一部)は、母親が子どもの回答を聞きながら代理記入しています。

図表1. 「キャラクター定量調査2024」調査概要

「キャラクター定量調査2024」調査概要

「ポケモン」「ドラえもん」「スヌーピー」が高い支持を安定して獲得

作品単位で集計した、男女3-74歳全体での純粋想起トップは「ポケットモンスター」でした。2020年9月に3位、2021年11月に1位、2023年2月に2位で、2年半ぶりに首位に返り咲きました。

2位の「ドラえもん」は、2020年9月、2021年11月とも2位、2023年2月に3位。3位の「スヌーピー」は、2020年9月に1位、2021年11月に2位、2023年2月に1位。トップ3の顔触れはここ数年変わりません。

図表2.  男女3-74歳全体:純粋想起による「好きなキャラクター」ランキング
Q. あなたが好きな「キャラクター」は何ですか。好きな順に「3つ」までお書きください。

男女3-74才全体:純粋想起による「好きなキャラクター」ランキング

「ちいかわ」はさらにアップ、アニメ化されたマンガ原作系も上位に

前回の2023年2月調査で突如8位にランクインした「ちいかわ」は、今回4位とトップ3に肉薄しています。「めざましテレビ」番組内アニメ放送や数多くのコラボ展開が続き、勢いを増していることがわかります。

また、「ONE PIECE」(8位)、「名探偵コナン」(9位)、「SPY×FAMILY」(16位)、「ドラゴンボール」「クレヨンしんちゃん」(ともに17位)、「呪術廻戦」(24位)、「マッシュル」(31位)、「ハイキュー!!」「葬送のフリーレン」(ともに43位)など、テレビや劇場版のアニメ化で話題を集めたマンガ原作系作品も、多数上位にランクインしています。

特に「名探偵コナン」は、2020年9月に12位、2021年11月に16位、2023年2月に22位で、今回初めてトップ10入りしました。
なお「ちいかわ」はX(旧Twitter)に掲載された新作マンガが話題になり、講談社からコミックスも出版されていますので、ここではマンガ原作系に分類しています。

一方、前回13位だった「鬼滅の刃」は今回25位と、2023年4月-6月にテレビアニメが放送されるも、さらに順位を落としています。

次に、性・年齢別の純粋想起上位キャラと作品を見てみましょう。

特定年代で人気のマンガ原作系が新たにランクイン

図表3. 性・年齢別:純粋想起による「好きなキャラクター」ランキング

性・年齢別:純粋想起による「好きなキャラクター」ランキング性・年齢別:純粋想起による「好きなキャラクター」ランキング2

「ちいかわ」は、女子ティーンでトップ、他にもキッズから49歳までの女性や男子ティーンでも5位以上にランクインし、幅広い性・年代に支持されています。

「すみっコぐらし」は、女子に限定されますが、圧倒的支持のキッズに加え、ティーンや20-34歳の支持も集めています。

「名探偵コナン」は、ティーンから20-34歳の男女および女性50-74歳に支持され、劇場版映画の興行収入の高さを裏付ける結果となっています。

マンガ原作系に注目すると、「呪術廻戦」は男女ティーン、「SPY×FAMILY」は男女キッズと女性35-49歳、「ドラゴンボール」は男子ティーンから49歳などに強く支持されています。

また、男性35-49歳の「チェンソーマン」「シャングリラ・フロンティア」、女子ティーンの「マッシュル」「ハイキュー!!」「葬送のフリーレン」など、特定年代に刺さっている話題の作品もランクインしています。

人気上位キャラのファンは、男女比や年代の傾向がそれぞれ異なる

最後に、男女3-74歳全体での純粋想起上位10キャラ・作品がそれぞれどの層に支持されているのか、各作品の純粋想起者(コアファン)の性・年代構成を比較してみました。

図表4.  純粋想起による好意度ランキング上位10作品のコアファン性・年代構成

図表4.  純粋想起による好意度ランキング上位10作品のコアファン性・年代構成

ポケットモンスター ⇒ 圧倒的に男子キッズが多く、男性20-34歳も多い
ドラえもん ⇒ キッズから49歳までの男性、特にティーンと35-49歳が多い
スヌーピー ⇒ 女性20歳以上、特に50歳以上とティーンが多い
ちいかわ ⇒ キッズから34歳までの女性、特にキッズが多い
すみっコぐらし ⇒ 圧倒的に女子キッズが多い
ミッキーマウス ⇒ 女性20-34歳男女50歳以上が多い
ハローキティ ⇒ 女性35歳以上と女子キッズが多い
ワンピース ⇒ 圧倒的に男性35-49歳が多く、男性20-34歳も多い
名探偵コナン ⇒ 特に女子ティーンが多く、男性35-49歳女性50歳以上も多い
くまのプーさん ⇒ 女性20歳以上、特に20-34歳が多い

ここまでで紹介したのは、商品化や一般企業の広告・販促活用、コラボキャンペーンなどに盛んに用いられていることが多い、国内で注目されているキャラ・作品ばかりです。

しかしさらに掘り下げて見てみると、特定の性・年代で圧倒的な支持を得ているもの、両方の性別や複数の年代で支持を得ているもの、長年にわたって展開されることでファン年齢が広がりをみせているものなど、支持層が大きく異なることがわかります。

これらファンのプロフィールについては、次回も引き続き掘り下げていく予定です。どうぞお楽しみに。

<第2部 バックナンバー>
第21回:コロナ禍の前後で、キャラクター関連への「好意度」はどう変化したか
第20回:コロナ禍の前後で、キャラクター関連への接触はどう変化したか
第19回:地域によって異なる? キャラクターやマンガへの好意度と関連行動(3)
第18回:地域によって異なる? キャラクターやマンガへの好意度と関連行動(2)
第17回:地域によって異なる? キャラクターやマンガへの好意度と関連行動(1)
第16回:調査で解明する、エンドーサー(宣伝マン)としてのキャラクターの可能性(3)
第15回:調査で解明する、エンドーサー(宣伝マン)としてのキャラクターの可能性(2)

第14回:調査で解明する、エンドーサー(宣伝マン)としてのキャラクターの可能性(1)
第13回:純粋想起による2023年の好意度ランキング(ご当地キャラ&タレント・有名人&Vtuber編)
第12回:純粋想起による2023年の好意度ランキング(キャラクター全般&企業キャラ編)
第11回:さまざまなタイプのキャラクターファンが、どのようなプロフィールを持つのか分析する(3)
第10回:さまざまなタイプのキャラクターファンが、どのようなプロフィールを持つのか分析する(2)
第9回:さまざまなタイプのキャラクターファンが、どのようなプロフィールを持つのか分析する(1)
第8回:2023年トレンド予測・キャラクター活用は5つの流れで進む
第7回:拡がるVtuberの活動領域とその実像を分析する(前編)
第6回:拡がるVtuberの活動領域とその実像を分析する(前編)
第5回:Z世代のマンガ原作コンテンツへの支持傾向と消費行動(後編)
第4回:Z世代のマンガ原作コンテンツへの支持傾向と消費行動(中編)
第3回:Z世代のマンガ原作コンテンツへの支持傾向と消費行動(前編)
第2回:ティーン・ヤング層に人気のマンガは、ターゲットにどんな体験を提供するか
第1回:男子ティーン・ヤング中心に人気のマンガコンテンツ。女子ティーンからコアな支持を集める作品も

<第1部 バックナンバー>
第1部 連載記事一覧

筆者プロフィール
野澤 智行(のざわ ともゆき)

栃木県宇都宮市出身。1987年千葉大学文学部卒業、(株)ビデオリサーチ入社。98年旭通信社(現ADKグループ)入社、研究開発部門、マーケティング部門で広告効果やブランディングの研究、企業のマーケティング・プロモーション支援を、キャラクター総研リーダーとしてアニメコンテンツの戦略支援、キャラクターに関する開発・活用提案を行う。2013年に日本百貨店協会主催「ご当地キャラ総選挙」実行委員として、企画立案およびキャンペーン・イベント総指揮を担当。デジタルハリウッド大学院で客員教授を、駒澤大学や福井工業大学で講師を務め、法政大学経営大学院でMBAを取得して、キャラクターやアニメコンテンツに関する企画提案・分析業務でも活動中。2022年4月からは、福井工業大学の環境情報学部経営情報学科でマーケティングやメディア論の教授として着任。

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