2025.02.18
《2024-25年調査》 マンガ・テレビアニメ・劇場アニメ・ネット動画に関するユーザーの意識はどう変わったか|マンガキャラクター活用の極意【第二部】
2025年2月、今シーズン最強の寒波が襲来して北日本や日本海側、そして筆者が住む福井市内も大雪に見舞われ続けています。福井駅前にある恐竜広場の実物大恐竜ロボットのフクイティタン、フクイサウルス、フクイラプトルにも雪が積もって、さながら中世代の氷河期到来を感じさせる幻想的な光景になっています。春が待ち遠しい限りです。
2025年2月5日 福井駅・恐竜広場にて(筆者撮影)
前回は、2024-25年キャラクター定量調査速報として、純粋想起によるキャラクター好意度ランキングについて、以下の内容をご紹介しました。
- 「ポケモン」「スヌーピー」の2強に「ちいかわ」が迫る勢い
- 新作や周年キャンペーンで話題のキャラクターが一部で強い支持
- マンガ原作系キャラクターは、男女ティーンと成人男性が多く想起
- ご当地キャラの4強は変わらず
今回は、2024-25年キャラクター定量調査の速報第二弾として、「マンガ、テレビアニメ、劇場アニメ、ネット動画への好意度」を紹介します。
なおこの調査は筆者が企画・分析を行い、実査部分を「楽天インサイト」に委託して2024年12月16日(金)~20日(火)に実施しました。調査に関するお問い合わせは、SNSへのDMなどで直接筆者までお願いいたします。
マンガ全般への好意度は女子ティーンが最も高い
まず、マンガへの好意度スコアを図にまとめました。
「マンガ(単行本や雑誌など)が好きなほうである」の質問に対し、「かなり当てはまる」+「まあ当てはまる」と答えた人は、男女3-74歳全体の43.4%です(図表1)。
過去10年間で時系列比較すると、マンガへの好意度スコアが最も高かったのは2021年11月の47.8%(図表2)で、2022年以降はほぼ同じスコアで推移しています。
性・年齢別にみると、女子中学生-19歳が61.6%で最も高く、男35-49歳(57.5%)、男子中学生-19歳(55.0%)、男20-34歳(51.6%)、女20-34歳(49.1%)と続きます。2021年11月と比べると、女子中学生-19歳が最も高い点は変わりませんが、男20-34歳や男子園児・小学生でスコアダウンが目立っており、気になるところです。
図表1. マンガ全般への好意度(2024年12月)
図表2. 【参考】マンガ全般への好意度(2021年11月)
テレビアニメ全般への好意度は男子ティーンが最も高い
次に、TVアニメに対する好意度のスコアです。
「テレビアニメが好きなほうである」の質問に対し、「かなり当てはまる」+「まあ当てはまる」と答えた人は、男女3-74歳全体の48.2%です(図表3)。
過去10年間で時系列比較すると、2018年3月以降は50%超えを続け、最も高かったのは前回調査である2024年2月の51.9%(図表4)でしたが、今回が最も低くなっています。
性・年齢別にみると、男子中学生-19歳が66.3%で最も高く、女子園児・小学生(63.6%)、男子園児・小学生(60.8%)、女子中学生-19歳(60.5%)と続きます。2024年2月と比べると、男子中学生-19歳が最も高い点は変わりませんが、男20-34歳や男35-49歳でスコアダウンが目立ちます。短期間での変動のためサンプル誤差かもしれませんが、気になるところです。
図表3. テレビアニメ全般への好意度(2024年12月)
図表4. 【参考】テレビアニメ全般への好意度(2024年2月)
アニメ映画全般への好意度は女子ティーンが最も高い
続いて、アニメ映画に関する好意度スコアです。
「アニメの映画が好きなほうである」の質問に対し、「かなり当てはまる」+「まあ当てはまる」と答えた人は、男女3-74歳全体の38.6%です(図表)。過去10年間で時系列比較すると、最も高かったのは2021年11月の42.1%(図表6)で、今回は2020年9月と並んで最も低くなっています。
性・年齢別にみると、女子中学生-19歳が59.3%で最も高く、男子中学生-19歳(55.0%)、男20-34歳(47.1%)、男子園児・小学生(45.0%)、女子園児・小学生(44.2%)、女20-34歳(44.1%)と続きます。2021年11月と比べると、女子中学生-19歳のスコアアップが顕著で、男女園児・小学生や男20-34歳のスコアダウンが目立ちます。
図表5. アニメ映画全般への好意度(2024年12月)
図表6. 【参考】アニメ映画全般への好意度(2021年11月)
ネット配信キャラ動画・アニメ視聴者は男子ティーンが最も多い
「インターネットで配信されるキャラクターの動画やアニメをよく見るほうである」の質問に対し、「かなり当てはまる」+「まあ当てはまる」と答えた人は、男女3-74歳全体の34.2%です(図表7)。
過去10年間で時系列比較すると年々スコアアップを続けていましたが、最も高かった2024年11月の36.7%(図表8)から、今回初めて前回を下回るスコアになっています。
性・年齢別にみると、男子中学生-19歳が55.0%で最も高く、男20-34歳(51.6%)、女子園児・小学生(47.5%)、女子中学生-19歳(45.3%)、男子園児・小学生(45.0%)と続きます。2024年2月と比べると、男子中学生-19歳と男20-34歳のスコアアップが顕著で、男女園児・小学生や男35-49歳のスコアダウンが目立ちます。短期間での変動のため、こちらもサンプル誤差かもしれませんが、気になるところです。
図表7. インターネットで配信されるキャラクター動画・アニメの視聴(2024年12月)
図表8. 【参考】インターネットで配信されるキャラクター動画・アニメの視聴(2024年2月)
最後に、今回紹介した4項目の時系列推移をまとめてみました(図表9)。
コロナ禍の巣ごもり需要も追い風となって順調に伸びてきた、インターネットで配信されるキャラクターの動画やアニメの視聴に初めてブレーキがかかったことが、今回の最も大きなトピックです。この傾向が続くかどうか、年末を予定している次回調査の結果に注目していきます。
図表9. マンガ、テレビアニメ、劇場アニメ好意度、ネット動画視聴比較(男女3-74歳全体)
今回は以上です。コロナ禍の巣ごもり需要も追い風となって順調に伸びてきた、インターネット配信によるキャラクターの動画やアニメの視聴に初めてブレーキがかかったことが、今回の最も大きなトピックです。この傾向が続くかどうか、年末を予定している次回調査の結果に注目していきます。
次回からは、2024-25年キャラクター定量調査から、広告・プロモーションのエンドーサー(宣伝役)としてのタレント・有名人、YouTuber、VTuber全般への好意度を比較した結果を紹介します。どうぞお楽しみに。
<第2部 バックナンバー>
第32回:《2024-25年調査》 キャラクターの最新人気ランキング
第31回:スマホの普及で生活者とキャラクターとの接点はどう変化したか
第30回:タレント・キャラクター・YouTuber・Vtuberの「Z世代向けエンドーサー(宣伝マン)」としての可能性を分析する(4)
第29回:タレント・キャラクター・YouTuber・Vtuberの「Z世代向けエンドーサー(宣伝マン)」としての可能性を分析する(3)
第28回:タレント・キャラクター・YouTuber・Vtuberの「Z世代向けエンドーサー(宣伝マン)」としての可能性を分析する(2)
第27回:タレント・キャラクター・YouTuber・Vtuberの「Z世代向けエンドーサー(宣伝マン)」としての可能性を分析する
第26回:《2024年調査》キャラクター・YouTuber・Vtuberのエンドーサー(宣伝マン)としての可能性を分析する
第25回:《2024年調査》 YouTuber・VTuberファンの、マンガ・アニメ・キャラクターへの反応を分析する
第24回:《2024年調査》 タレントタイプ別ファンの、マンガ・アニメ・キャラクターへの反応を分析する
第23回:《2024年調査》 各キャラクターの支持層から、どのような反応が期待できるかを分析する
第22回:《2024年調査》 キャラクターの最新人気ランキングとその支持層
第21回:コロナ禍の前後で、キャラクター関連への「好意度」はどう変化したか
第20回:コロナ禍の前後で、キャラクター関連への接触はどう変化したか
第19回:地域によって異なる? キャラクターやマンガへの好意度と関連行動(3)
第18回:地域によって異なる? キャラクターやマンガへの好意度と関連行動(2)
第17回:地域によって異なる? キャラクターやマンガへの好意度と関連行動(1)
第16回:調査で解明する、エンドーサー(宣伝マン)としてのキャラクターの可能性(3)
第15回:調査で解明する、エンドーサー(宣伝マン)としてのキャラクターの可能性(2)
第14回:調査で解明する、エンドーサー(宣伝マン)としてのキャラクターの可能性(1)
第13回:純粋想起による2023年の好意度ランキング(ご当地キャラ&タレント・有名人&Vtuber編)
第12回:純粋想起による2023年の好意度ランキング(キャラクター全般&企業キャラ編)
第11回:さまざまなタイプのキャラクターファンが、どのようなプロフィールを持つのか分析する(3)
第10回:さまざまなタイプのキャラクターファンが、どのようなプロフィールを持つのか分析する(2)
第9回:さまざまなタイプのキャラクターファンが、どのようなプロフィールを持つのか分析する(1)
第8回:2023年トレンド予測・キャラクター活用は5つの流れで進む
第7回:拡がるVtuberの活動領域とその実像を分析する(前編)
第6回:拡がるVtuberの活動領域とその実像を分析する(前編)
第5回:Z世代のマンガ原作コンテンツへの支持傾向と消費行動(後編)
第4回:Z世代のマンガ原作コンテンツへの支持傾向と消費行動(中編)
第3回:Z世代のマンガ原作コンテンツへの支持傾向と消費行動(前編)
第2回:ティーン・ヤング層に人気のマンガは、ターゲットにどんな体験を提供するか
第1回:男子ティーン・ヤング中心に人気のマンガコンテンツ。女子ティーンからコアな支持を集める作品も
<第1部 バックナンバー>
第1部 連載記事一覧
野澤 智行(のざわ ともゆき)
栃木県宇都宮市出身。1987年千葉大学文学部卒業、(株)ビデオリサーチ入社。98年旭通信社(現ADKグループ)入社、研究開発部門、マーケティング部門で広告効果やブランディングの研究、企業のマーケティング・プロモーション支援を、キャラクター総研リーダーとしてアニメコンテンツの戦略支援、キャラクターに関する開発・活用提案を行う。2013年に日本百貨店協会主催「ご当地キャラ総選挙」実行委員として、企画立案およびキャンペーン・イベント総指揮を担当。デジタルハリウッド大学院で客員教授を、駒澤大学や福井工業大学で講師を務め、法政大学経営大学院でMBAを取得して、キャラクターやアニメコンテンツに関する企画提案・分析業務でも活動中。2022年4月からは、福井工業大学の環境情報学部経営情報学科でマーケティングやメディア論の教授として着任。