2024.09.24

with class岡本編集長と人気ママインフルエンサー"じママ"さんが紐解く! 令和ママたちの実態と、ママたちに刺さるコミュニケーションの方法とは?

コロナ禍を経て、多くの人々の生活スタイルが変わったように、ママたちの行動様式や考え方もガラリと変わっているはず。そこで講談社では、教育・住まい・時短の3つをテーマに情報を発信する女性向けウェブメディア『with class』読者を対象に、子育て・教育への向き合い方や普段の生活に関する調査を実施。その結果をまとめた『with class 子育てママ白書』を発表しました。

白書を読み解くことで見えてきた、30〜40代のママの実態とは? ママたちのインサイトを踏まえ、今、企業に求められるコミュニケーションとは? with classの岡本編集長と同媒体のSNSディレクターをつとめる人気ママインフルエンサーの"じママ"さんが、調査結果について語り合いました。

『with class 子育てママ白書』ができるまで

―子育てママ白書を制作することになった理由をお聞きする前に、まずは『with class』『with class mama』について教えてください。

岡本 創刊から約40年の歴史を持つ『with』は、20代〜30代の女性をターゲットにしたファッション雑誌でした。その読者の皆さんが結婚して子育てが始まって......と、ライフステージが上がっていく中では、ファッション以外の生活や子育ての情報など、従来のwithでは捕捉できないコンテンツに興味関心が移っているのではないかと感じていたんですね。

そこで、30代~40代の読者の皆さんをターゲットに、「子育て・教育」「住まい」「時短術」をメインに情報を届ける『with class』というウェブメディアを立ち上げました。

一方で、ウェブメディアだけでは到達できない層がいるということも、立ち上げ当初から何となく感じていたんです。

そんなとき、じママさんをはじめとするインフルエンサーの方と話す機会があり、「今のママたちはInstagramから情報を得ている」という話を聞きました。それなら、Instagramを大々的に使った新しい形のメディアがあったらいいのではと考え、立ち上げたのが『with class mama』です。現役ママインフルエンサーの皆さんとともに、コラムや公式Instagramを通じて子育て・教育カテゴリーに焦点を当てた情報発信を行っています。

岡本 朋子(講談社『with class』編集長)

―じママさんは現在、with class mamaのディレクターでいらっしゃいますが、そのいきさつは?

じママ 私はコロナ禍に子育てを経験した世代です。子どもが1歳を超え、これからママ友と交流したり、子育て支援センターで情報を得たりしようというときに、すべて遮断されてしまい、どうしたものかと思っていました。

私のように困っているママたちとSNS上で情報交換できるかもしれないと思い覗いてみたところ、X(旧Twitter)などと違い、当時Instagram上にはまだあまり子育てに関する情報がなくて......。ないのであれば発信する側になってみようと思い立ち、Instagramで"おうちモンテッソーリ"に関する情報をまとめて発信したところ、大きな反響があったんです。

その後、インフルエンサーとして活動をする中で、岡本編集長とたまたまお会いする機会があり意気投合。子育て世代のママたちに喜んでもらえるメディアを一緒に作りたいと思い、『with class mama』の立ち上げに携わることになりました。

じママ(with class mamaディレクター、インフルエンサー)/SNS総フォロワー24万人のインフルエンサーとして活動しながらSNSを中心としたマーケティング会社を経営。延べ350人の夫婦・ママ向けオンラインサロンを運営。2022年12月、with class mamaディレクターに就任。

令和ママの行動を深掘りしたい。その想いから生まれた『with class 子育てママ白書』

―お二人が関わるメディアにて、子育てママ白書を制作するに至った経緯を教えてください。

岡本 令和のママたちはどう子育てに向き合っているのか、行動や思考はどう変わっているのかを調査したかったというのが大きな理由の一つです。

『with class』の読者層でもある30~40代のママたちは、コロナ禍に子育てを経験せざるを得えなかった方たち。先ほどじママさんがおっしゃったように、子育ての悩みを直接ママ友に会って共有することのできなかった世代のため、コロナ禍以前に子育てを経験したママたちとは行動様式が大きく変わっているのではないかと思いました。

そのため調査では、共働きママを6パターンに分類して、「仕事と子育てのバランスの価値観」や「子育て志向」などのキーワード別に、興味関心、情報収集行動、お金の使い道など、さまざまな角度から令和のママたちのインサイトを分析しています。

調査から見えてきた、令和ママたちの実態とは

―実際に、調査から見えてきたのはどのような結果だったのでしょうか。

岡本 今回アンケート調査を実施した『with class』読者は、共働きママが75%、専業主婦が25%。共働き世帯は世帯年収1,000万円超え、専業主婦世帯でも950万円超えと、一般パネルの平均を大きく上回っていました。

ママたちの情報収集源はInstagramが主流の時代に

岡本 特に注目したいのは、情報をInstagramから取っているという回答が約9割という点です。インフルエンサーの皆さんから聞いてはいたものの、想像以上に情報収集源の変化が進んでいることに、驚きと焦りを感じました。

岡本 SNSが主流でなかった時代には、子育てに関する情報をインターネットで検索し、教育の専門家やタレントさんが発信する記事など見ていた方も多いと思います。でも、専門家の方がおすすめする情報や、タレントさんが「こんなことをやっています」という情報を見ても、あまりピンと来ない方が多かったのではないでしょうか。

一方、Instagram上で自分と同じような暮らしをしている人たちが実践していることって、身近に感じられるからこそ取り入れやすい。それが、Instagramから情報を収集するママたちが増えた理由の一つかもしれません。

じママ ウェブメディアとは違い、同じ地域に住む、同じ年齢の子どもを持つママたちの情報を「リアルタイム」で見られる点も大きいと思います。

コロナ禍で行動が制限され、地域に住むママたちと直接会い、リアルタイムに身近な情報を得ることができなかった世代だからこそ、InstagramをはじめとするSNSからの情報を求めているのだと思います。

with class読者は特に子どもの教育に興味関心が高く、投資する傾向が加速

--Instagramで情報収集しているママが9割超えということですが、Instagramではどんな情報を収集しているのでしょうか?

岡本 興味関心に関していうと、8割以上が子育て・子どもの教育に高い関心を持っていて、子どもの教育や習い事へ投資している割合が高いことも調査から見えてきました。つまり、Instagram上でも教育に関する情報が求められているのがわかると思います。

岡本 この背景には、日本経済の落ち込みも少なからず影響しているのではないでしょうか。5年ほど前までの「日本って安全でいいよね」という時代は終わり。そうなると、「世界でも通用するような人に育ってほしい」「子どもの選択肢を広げたい」という想いから、教育への投資が進んでいくのは自然なことです。グローバルというキーワードも、リアルではもちろん、SNSの世界でも浸透してきています。

じママ 先ほど岡本編集長もおっしゃっていましたが、Instagramでは、身近なママが今、何をしているのかがわかるんですよね。自分と同じようなママがさまざまな方法で知育に取り組んでいたり、グローバル教育に力を入れていることを知ると、自分もやった方がいいのかなと感じることもあるでしょう。焦りとはまた違った、前向きな刺激を受けることで、相対的に教育への関心が高まっているのかもしれません。

家事・育児の"時短"に関する情報も求められている

--ほかに、ママたちが興味のある分野はどんなところでしょうか?

じママ with class読者の働き方は、一般パネルと比べて時短勤務や産休・育休中の割合が高く、リモート勤務日数も多いという結果が見えてきました。

岡本 この結果から言えるのは、with class読者には、制度を有効活用しながら、仕事と子育てのバランスを取っているママが多いということです。家にいる時間を優先し、子育てに時間をかけるママたちだからこそ、子育て以外の部分の負担軽減につながるような情報が今、求められているはずです。

それがアウトソーシングなのか、時短グッズなのか、時短テクニックやルーティンなのかは三者三様ですが、Instagram上での需要は大きいのではないでしょうか。

じママ これまでのママたちは、家事・育児に関して何でも「自分でやらなければいけない」と思っていたところがありました。ところがInstagramで「時短」と検索すると、食洗器やロボット掃除機、レトルト食品や宅配スーパーを活用しているママたちの情報がたくさんヒットします。

「なんでも自分でやらずに、アウトソーシングに頼っているママも多いんだ」ということがInstagramを通してわかってきたんですよね。そして、自分は何を手放そうかと考えたときにもInstagramで情報を収集したり、共有したりしているのが、今のママたちなのだと思います。それが、家事・育児の時短ニーズが高いという今回の調査結果にもつながっているのだと思いました。

子どもの年齢や環境の変化に応じ、投資する項目を適宜コントロールしている

―最終的に、令和のママたちのインサイトをまとめると?

じママ 「子育て」「子どもの教育・習い事」に関心を持っている人が8割以上とお話しましたが、小学校高学年頃になり、子どもの手が離れてくると、ファッションやメイク、自身の趣味や娯楽へ関心を持つ人が、低学年以下の子どもを持つ人よりも10%以上増えるなど、自分のことをまた考え直そうかなと変化していることが結果でも綺麗に表れていました。

岡本 『with』の読者の皆さんは、地に足がついていて、知的な女性が多かったと思います。その方たちが子育てをするようになると、やはり子ども優先の毎日になり、子どもが小さい間は教育などに自ずと熱心になっているのだろうなと。でも、子どもが大きくなるにつれて、興味関心も移り変わっていく。

with class読者のママたちは、子どもの年齢に応じたり、そのときどきのTPOに合わせたりしながら、長期的な目線で見て賢い選択をしているということが、今回の調査結果から見えてきたことだと思います。

今、企業が行うべきは、「ピンポイントなターゲットに向けたコミュニケーション」

―調査結果から見えてきた令和ママに対して、企業としてはどういったコミュニケーションをしていけば良いのでしょうか。

じママ 今後は自分たちの商品の良さを伝える際には、「ピンポイントなターゲットに届くようなアプローチの仕方」が重要になると、個人的には考えています。

8割を超えるママたちが子どもの教育や習い事に関心があるといっても、子どもの年齢も違えば、住んでいる地域も違います。一つの商材の魅力をすべてのママたちに響かせたいと思うと、どうしてもぼんやりとした訴求しかできなくなってしまうと思うんです。

岡本 商品の魅力は一つだけではありませんよね。たとえば自社商材で『MOVE』という図鑑がありますが、一般的な図鑑としての使い方以外にも、中学受験の勉強に使う方もいれば、食育に活用する方やお出かけ時に利用される方もいらっしゃいます。だからこそ、企業が、商品・サービスをママに向けて発信する際は、商品・サービスの魅力にいろいろな方向から光を当ていくことが求められると思います。

岡本 『with class mama』でも、包括的な商品紹介を網羅しつつ、インフルエンサーさんを各アカウントの得意分野を見極めて選ぶことによって、中学受験なら中学受験、食育なら食育といったように、ピンポイントなターゲットに向けた発信をしています。これが、私たちの媒体の強みだと自負しています。

じママ ウェブサイトやInstagramなど、複数のメディアを使いこなして、それぞれに相乗効果が生まれるような戦略が立てられると強いですよね。一方で、InstagramをはじめとするSNSでの施策に興味はあるけれど、取り組めていない企業さんも多いと聞きます。

岡本 たしかに、インフルエンサーマーケティングは炎上リスクがあったり、管理がしづらかったりして、特に大企業さんでは二の足を踏んでいることも多いと思います。その点、with class mamaであれば、校閲を通すことができたり、専門家の監修をつけることができたりなど、出版社ならではのクオリティを担保できるので、安心してご依頼いただけると思っています。

じママ with class mamaを立ち上げるときに私がすごく気になっていたのが、発信内容にエビデンスがあるかという点でした。インフルエンサーとしての発信力や、ママたちの身近な存在という安心感を持っていただいているとは思いつつ、私は何かの専門家ではないので踏み込めないトピックがどうしてもあったんです。

私たちの発信力と、講談社さんのwithという媒体の信頼性を組み合わせることで、さらに影響力と信頼性を持った発信ができるのではないかと。これが他のメディアとは違う、お互いの強みを掛け合わせたwith class mamaならではの強みですよね。

岡本 with class mamaのインフルエンサーメンバーは、書類の審査をして、何度も面談をしていますし、著作権や肖像権、PR表記の講習会なども受けている方なので、私達を挟んでいただくことで、安心感を持って託していただけるのではないかと思います。

今後、四期メンバーが12名ほど増える予定で、40名を超えるインフルエンサーさんがそろい、子育てに関する情報をほぼ網羅できる体制になると思っています。令和ママたちに向けたコミュニケーションの選択肢の一つとして、ぜひご活用いただきたいですね。

『with class mama』の今後の展望は、商品開発の上流から関わること

岡本 商品開発など、もっと上流の段階からお手伝いできる媒体にしていきたいと考えているところです。

インフルエンサーさんの特技として、Instagram内でアンケートが取れるところが挙げられます。商品を企画する際に、生活者を集めての座談会を行うケースがありますが、たとえば私たちのインフルエンサーさん5人が集まれば、それぞれが数千人分のアンケートを背負って、その代表として意見をお出しできるので、5人分以上の収穫をご提供できると考えています。

じママ フォロワーの皆さんを見ていると、自分たちの実情を言いたいママたちもすごく多い気がしていて。実際、2択・4択のアンケートであれば24時間で何千人からの回答をいただけますし、記述式でも100件、200件の回答をいただけることもあります。

フォロワーの皆さんが伝えてくれる意見はマーケティングにも役立つと思いますし、商品開発時の良い判断材料として活用いただけるはずです。

with class mamaインフルエンサーのアンケート力を生かし、1万人のママの声から誕生した「育脳まくら

岡本 一つの投稿に対して、リーチ率やコメントの返信率を確認し、改善する。日々フォロワーさんとコミュニケーションを取り、PDCAサイクルを一投稿一投稿ごとに実施しているトップインフルエンサーさんだからこそ、商品開発のブレーンになれる集団だと思っています。

本調査を実施したのは...「講談社メディア・コミュニティ・ラボ(MCL)」
「with class 子育てママ白書」の企画・設計・制作を担当した講談社メディア・コミュニティ・ラボでは、講談社メディアの読者へのアンケートやインタビューなどを通して、企業のマーケティング課題の解決を支援しています。ご興味のある方は、下記よりお問い合わせをお待ちしております。

/mcl/

撮影/村田克己 取材・文/楳園麻美(Playce) 編集・コーディネート/丸田健介

丸田健介 エディター・コーディネーター

C-stationグループで、BtoB向けSDGs情報サイト「講談社SDGs」担当。講談社メディア・コミュニティ・ラボのソリューション開発リーダーとして、調査設計・サービス開発も担当。

講談社が提供する各種プロモーションサービスのご利用に関するお問い合わせ・ご相談はこちら