GA4(Google Analytics 4)には、多角的にWebサイトのアクセスを解析するための機能が充実している。これを活用すれば、よりビジネスの成果につながるWebサイトにできる。そうは思っていても、レポートをどう見ればいいのか、どの数字に注目すべきなのかがわからない、という担当者は多いかもしれない。
本連載では、GA4を活用したい企業に対して、「Webサイトの種別で見るGA4の活用方法」をお届けする。株式会社Faber Company 取締役(CAO)・株式会社HAPPY ANALYTICS代表取締役であり、数多くのGA4解説書籍を世に送り出してきたWebアナリスト小川卓氏を迎え、GA4に向き合うWebサイトの担当者や企業がどのような準備や考え方をすれば良いか解説していただく。第2回となる本記事のテーマは、「GA4の分析術」だ。ECサイト、オウンドメディア、コーポレートサイトそれぞれにおいて、GA4のレポートをどう見ていくか小川氏に解説してもらおう。
GA4における分析のベースとなる4種類のレポート
GA4では300~400種類のデータを取ることができるが、それらをレポートという形にまとめて見ることができる。分析術の理解を深めるために、まずはこのレポートについて詳しく知っていこう。
──GA4で、まず見るべきレポートについてお聞かせください。
小川 サイト分析のために見るべきレポートは、大きく4つ挙げることができます 。これは、①どんな人が、②どこから来て、③何をどんなふうに見て、④どれくらい成果につながったかを読み解くレポートになります。まず、「①どんな人が来たか」を明らかにする「ユーザー」レポート。ユーザーがどの地域(国・市区町村・言語)の人か、どんなデバイス(カテゴリ・OS・ブラウザ・画面解像度など)でアクセスしているか、そして設定次第では一部の性別・年齢・興味関心といった「ユーザー属性」に関わるデータも見られます。特定の商圏でビジネスを展開する企業の場合は、とくに地域属性のレポートが役立つでしょう。
次に「②どこから来たか」がわかる、「ライフサイクル」>「集客」のレポートです。検索エンジン、SNS、あるいはチラシのQRコードなど、ユーザーがどこからWebサイトに来たのか、「流入元」を把握することができます。有料広告の費用対効果を考えたいときなどにも、このレポートを見ます。
そして「③何をどんなふうに見たか」を知るための「ライフサイクル」>「エンゲージメント」のレポート。Webサイトに来たユーザーがどの記事を読んだのか、どのくらい読んだのか、あるいは読まずに離脱してしまったか、他のページも見てくれたかといった、Webサイト内のユーザーの行動を可視化できます。ファイルのダウンロード数や動画再生数なども、このレポートで見られる内容です。
最後に、これらを踏まえ、Webサイトがどれだけビジネスの「④成果につながったのか」を確認するレポートです。ECサイトでは「eコマース設定」をすることにより、「ライフサイクル」>「収益化」レポートで、商品ごとの購入数や収益、時系列推移などを見ることができるようになります。また、オウンドメディアやコーポレートサイトでは、それぞれのビジネス上のゴールを「キーイベント」として設定することにより、「ライフサイクル」>「エンゲージメント」レポート内で、どれだけ達成できたのかを把握できるようになります。
──「キーイベント」とは何でしょうか?
小川 GA4はさまざまなユーザーの行動を「イベント」として計測します。「ページを閲覧した」「ファイルをダウンロードした」「動画を再生した」といったユーザー行動はもちろん、ユーザーが「新規ユーザー」か「リピーター」かといった状態もすべて「イベント」として記録されています。この中で、とくに重要なイベントを「キーイベント」として設定できて、レポートで確認することができるのです。以前は「コンバージョン」と呼ばれていたのですが、2024年3月から「キーイベント」と呼ばれるようになりました。
まず見るべき4つのレポート
サイト分析のために見るべきレポートは、①どんな人が=「ユーザー」 ②どこから来て=「集客」 ③何をどんなふうに見て=「エンゲージメント」 ④どれくらい成果につながったか=「収益化/エンゲージメント」レポート、の4つ。
「ECサイト」はユーザーの行動を分析して改善策を打ち出していく
ここから、Webサイトの種類別に分析術を詳しく聞いていこう。はじめはECサイトだ。本記事では、ECサイトを「自社の商品を販売するためのWebサイト」と定義する。ECサイトは商品をより多く買ってもらうことがゴールになることが多いが、どのような分析をすれば成果につながりやすいのだろうか。
──まず、ECサイトで注目すべき分析項目を教えてください。
小川 ECサイトは商材によってアクセスするデバイスが異なる特徴があり、一般的にはtoCの商材はスマートフォン中心、toBの商材はPC中心になりやすいです。スマートフォンとPCでは見やすいレイアウトが異なるので、より多くのユーザーが使いやすいように設計しましょう。
制作にあたっては、先にPCのページレイアウトを考えがちですが、ユーザーの多くがスマートフォンからアクセスしているのであれば、スマートフォンに適したWebデザインを先に考えたほうが適切です。
さらに「成果」につながりやすいデバイスも確認してください。閲覧するのはスマートフォンでも、購入するための情報入力はPCでおこなっている場合もありますから。そこで、「ユーザー」レポート>「テクノロジー」>「デバイス カテゴリ」をチェックします。ここで、キーイベントを「purchase」(購入手続き完了)に設定すると、各デバイスでどれだけ購入されたかを確認できます。
■GA4画面 (例)「レポート>ユーザー>テクノロジー>ユーザーの環境の詳細:デバイス カテゴリ」
キーイベントを「purchase」に設定すれば、「mobile」「desktop」「tablet」など
ユーザーがアクセスしたデバイスのカテゴリごとに、どれだけ購入したかがわかります。
たとえば上記のケースであれば、 商品購入者のデバイスは、スマートフォンがPCを大きく上回っているという結果が読み取れるので、やはりスマートフォンを優先的に考えるべきと結論づけられます。
──では、各レポートをECサイトで見ていくときは、とくにどの項目を見るといいですか?
小川 「集客」レポートでは、新規ユーザーをどれだけ獲得できたかを表す「ユーザー獲得」と、新規かリピーターかを問わず全体を表す「トラフィック獲得」に注目しましょう。ECサイトにおいては、新しい顧客を獲得することも、何度も商品を買ってくれるリピーターを獲得することも大切ですから、どちらのデータも把握していくことが重要です。
■GA4画面 (例)「レポート>ライフサイクル>集客>ユーザー獲得 (or トラフィック獲得)」
集客レポートでは、ユーザー獲得(新規ユーザー)とトラフィック獲得(新規+リピーター)
で、どこから来たか分析。「Display」や「Paid ○○」など広告からの流入も確認。
「エンゲージメント」レポートでは、どの商品がよく見られているか、特集ページがしっかり見られているかといった視点で見ていくといいと思います。
──ECサイトならではの分析の視点はありますか?
小川 どんな商材を扱うとしても、ECサイトの構造はほとんど同じです。ユーザーはWebサイトに来て、商品を見て、カートに商品を追加し、決済手続きをします。このステップごとに、ページに来たユーザーのうち何割が商品を見たか、さらに何割がカートに商品を追加したか、そして何割が決済手続きに進んだか......と割合を見ていくと、どのステップに課題があるのかわかります。そこで、「ライフサイクル」>「収益化」>「購入経路」で、ファネルを見てみます。
■GA4画面 (例)「レポート>ライフサイクル>収益化>購入経路: デバイス カテゴリ」
ユーザーによる「セッションの開始」から「購入」までの行動をファネルで可視化。
完了率を見て課題を発見→改善策を打ち、施策の前後を比較して効果を確認します。
上記のケースを見ると、Webサイトに来たユーザーのうち、次のステップに進んで「商品を表示」した人の割合(完了率)は約37%しかないので、ここはなんらかの改善策を打ちたいところです。商品情報をより見やすくする、ユーザーが興味のあるものを見せるなどの工夫によって改善できるかもしれません。次に、カートの追加でも1.4%に完了率が下がっているので、商品レビューを細かく書いたり、購入者のコメントを入れたりなど、購入の後押しをする必要がありそうです。
このように、ステップごとに改善策を打ち、2週間ほどの期間を設けて施策前後の数字を比較してみると、施策の効果がどれだけあったかをチェックできます。全体のコンバージョンだけを見ているとやれることが多すぎて何をやればいいのかわからなくなってしまいがちですが、細かに改善点を切り分けて効果を計測していくことで、最終的な購入率を上げていくことができるはずです。
「ECサイト」分析・改善のポイント
キーイベントを「purchase」(購入手続き完了)に設定して分析。
「カート落ち」対策は、「購入経路」ファネルから課題をピックアップ。
改善策を打ち、施策前後の数字を比較して購入率を上げていこう。
オウンドメディアはエンゲージメント率を高めることが分析・改善の目的
次はオウンドメディアについて聞いていく。本記事では、オウンドメディアを「おもにBtoCで、自社の商品やサービスにつながるコンテンツを掲載するWebサイト」と定義する。オウンドメディアは記事を読んでもらわなければ、その先の成果にはつながらない。GA4の数字をどのように読み解いていけばいいのだろうか。
──オウンドメディアの数字の見方を教えてください。
小川 多くの場合、オウンドメディアは「ゴール」(ビジネスの目的)からは遠い記事を掲載します。たとえば、旅行会社が運営するオウンドメディアで、「台湾旅行の魅力10選」という記事を掲載したとしても、その記事を読んでいきなり台湾ツアーの予約をしてくれるユーザーはほとんどいないでしょう。多くのユーザーは、まだ情報収集をしている段階で、興味があって見ている程度だと思います。
そこで、オウンドメディアの分析では、4つのステップで考えていくことが大事になります。まず①「集客」=ユーザーを集めることができているか、次に②「閲覧」=各記事がしっかり読まれているか、③「誘導」=サイト内の別記事への回遊や、自社の商品・サービス紹介ページに誘導できているか、最後に④「成果」=会員登録や資料ダウンロードなど、ビジネスの目的を果たしているか、といったポイントでWebサイトを評価していきます。
──では、各レポートで注目すべき項目を教えてください。
小川 ①「集客」について、オウンドメディアは「Organic Search」(自然検索) からの流入が多い傾向があります。そのほか「Referral」(他サイトのリンクからの流入)、SNSやメールマガジンからの流入などもあるので、どこからユーザーが記事にたどり着いたのかチェックしましょう。このとき、ECサイトでも説明した「ユーザー獲得」「トラフィック獲得」それぞれをチェックします。
■GA4画面 (例)「レポート>ライフサイクル>集客>ユーザー獲得 (or トラフィック獲得)」
集客は、新規の「ユーザー獲得」とリピーターも含む「トラフィック獲得」を分析。
「Organic Search」「Referral」「Social」「Email」など、流入元を把握します。
大半を占めるオーガニック検索からの集客をより高める施策については、GA4よりも「Google Search Console」を用いて「検索クエリ」(検索ワード) を見ながら、どのようなキーワードを扱えば記事への検索流入を増やせるかといった「SEO」視点での分析が必要になってきます。
②「閲覧」については、「エンゲージメント」レポートの「ページとスクリーン」や「ランディングページ」で、各記事の「エンゲージメント時間」(滞在時間) に注目しましょう。記事をきちんと読んでくれているかどうかは、オウンドメディアにおいて重要な指標です。
■GA4画面 (例)「レポート>ライフサイクル>エンゲージメント>ページとスクリーン」
各記事の「エンゲージメント時間」に注目。長いほど、きちんと読まれていることに。
同様に、ユーザーが最初にアクセスした「ランディングページ」でも確認しましょう。
③「誘導」については、記事を読んだあとトップページや他の記事にも足を運んでくれているか、オウンドメディアを再訪してくれているかといったユーザーの行動も見ていくと、記事がどれだけユーザーに価値を提供したかがわかります。
──「キーイベント」についてはどうでしょうか。ECサイトでは「purchase」に着目していましたね。
小川 ④「成果」については、「キーイベント」の数字で見ていくことになりますが、これは定めたゴールによって異なります。たとえば、会員登録をゴールとする場合は「sign_up」(アカウント登録)、資料ダウンロードであれば「file_download」(ファイルダウンロード)、お問い合わせをもらいたい場合は「form_submit」(フォーム送信)など、ゴールに合わせた「キーイベント」を設定することが大切です。
──オウンドメディアの分析をする場合のポイントは?
小川 とくに見ていただきたいのは、「エンゲージメント率」という指標です。「エンゲージメント率」とは、全セッション数でエンゲージメントのあったセッション数を割ったもので、「直帰率」と逆の指標となります。「ページとスクリーン」や「ランディングページ」では、「レポートをカスタマイズ>指標>指標を追加」と設定することで見られるようになります。そもそも「エンゲージメント」とは、「深い関係性を持つ」という意味を持っていて、GA4ではエンゲージメントの定義として「10秒を超えた訪問」、「キーイベントが発生」、「2ページまたは2画面以上閲覧」という条件を定めています。このいずれかを満たしていればエンゲージメントのあったセッションとしてカウントされます。
■GA4画面 (例)「レポート>ライフサイクル>エンゲージメント>ランディングページ」
「レポートをカスタマイズ」して、エンゲージメント率を表示させます。ページごとの
数字がわかるので、率が低い記事は手直しし、高くなるように改善するのが重要です。
このエンゲージメント率が高ければ高いほど質の高い記事と言えるので、エンゲージメント率を比較しながら、良質な記事の傾向を分析し、オウンドメディア全体のエンゲージメント率を高めていくのが効果的です。
ちなみに、「集客」や「閲覧」「誘導」につながりやすい記事と、「成果」につながりやすい記事は違うということも、押さえておきましょう。すべての要素を兼ね備えた記事を作るのは、至難の業です。記事の目的を意図的に使い分けながら、それぞれの目的を達成できているかをGA4で分析し、オウンドメディア全体で「集客」~「成果」のバランスを取っていくことを心がけるといいと思います。
──そのほか、オウンドメディアだからこそ注目したい改善策はありますか?
小川 過去記事のアクセスを見ながら手直ししていくことも大切です。ニュースメディアのような内容の鮮度が求められるものでなければ、おすすめ記事の入れ方や画像の量などを変えていくことで、過去記事のエンゲージメント率をより高めていくこともできます。オウンドメディアを運営するというと、新規記事に注力するイメージがあるかもしれませんが、過去記事を手直ししていくことで全体の成果を高められるケースは多くあります。新規記事、過去記事、いずれもデータを見ながら改善していくことが大切です。
「オウンドメディア」分析・改善のポイント
①「集客」②「閲覧」③「誘導」④「成果」の4ステップで分析。
エンゲージメント率を高めるように、過去記事も含めて改善していく。
コーポレートサイトはユーザーの経路をたどるとニーズが見えてくる
最後にコーポレートサイトのポイントを押さえていこう。本記事では、コーポレートサイトを「おもにBtoBで、事業活動全体に貢献するWebサイト」と定義する。コーポレートサイトはECサイトやオウンドメディアと比べ、改善の軸が見えづらい印象がある。GA4のレポートは、コーポレートサイトにどのように効くのだろうか。
──コーポレートサイトでは、各レポートをどのように見ていくと良いのでしょうか?
小川 コーポレートサイトは、目的を持ってきている人が多いという特徴があります。よって、まずコーポレートサイトの役割を決める──たとえば、お問い合わせしていただく、資料をダウンロードしてもらう、採用のエントリーを増やすといった目的を決めることから始めます。これらをコンバージョン=「キーイベント」として設定しつつ、「集客」レポートの中の「ユーザー獲得」や「トラフィック獲得」で、「参照元 / メディア」を見てみましょう。どのサイトから流入してきたかが具体的にわかります。コーポレートサイトの場合はオーガニック検索で集客を増やすことは難しい場合もあるので、外部のプレスリリースサイトや採用サイト、広告、あるいはSNSやオウンドメディアなどから流入を確保できているのか確認します。
■GA4画面 (例)「レポート>ライフサイクル>集客>トラフィック獲得: セッションの参照元 / メディア」
「参照元」を表示することで、流入元のドメインが具体的にわかります。外部サイトや
広告、SNS、別ドメインのオウンドメディアなど、集客施策の分析・改善に役立ちます。
また、「エンゲージメント」>「ページとスクリーン」では、どのページがよく見られているのか確認し、ユーザーのニーズがどこにあるのかを把握します。
さらに、ユーザーのニーズを把握するうえでは「探索」というメニューも役立ちます。「探索」ではオーダーメイドのレポートを作ることができ、「セグメント」という機能も使うことができます。セグメントとは、特定の条件を設定してユーザーやイベントなどを絞り込む機能のこと。たとえば、資料をダウンロードした人がどのページを見ていたか絞り込めば、Webサイト内で資料ダウンロードに貢献しているページを順位付けすることができます。
その「探索」メニューにある「経路データ探索」レポートは、ユーザーがWebサイト内でどのような経路をたどって移動しているかがわかるレポートです。トップページから訪れることが多いコーポレートサイトでは、「始点」にトップページを設定して経路を追うことで、ユーザーのニーズが見えてきます。
■GA4画面 (例)「探索>経路データ探索」始点にトップページを設定
ユーザーがトップページから移動していった経路を可視化。ユーザーのニーズを把握
し、目的先へスムースに移動できるように、動線を改善するヒントが見えてきます。
コーポレートサイトは、目的を持ったユーザーが多いからこそ、それぞれのニーズに応えているページを分析することで改善策を見いだしやすくなります。分析に基づき、トップページのレイアウトやメニュー構成を見直し、適切なページに誘導できるようなWebサイトを作っていくと、よりユーザーのニーズに応えられるコーポレートサイトにすることができるでしょう。
「コーポレートサイト」分析・改善のポイント
サイトの役割・目的に合わせて「キーイベント」を設定。
「経路データ探索」もチェックして、ユーザーのニーズに応えられているかを分析、改善していく。
数字を見すぎない、GA4を学びすぎない――目的に応じた分析を心がけよう
種類別のWebサイト分析術を踏まえて、全体を通して小川氏が伝えたいGA4分析のポイントを聞いてみよう。
──分析するときの注意点をお聞かせください。
小川 「数字を見すぎないこと」が大切ですね。数字はあくまで結果で、そこから「改善案」は出てきませんから。GA4の数字を見て課題がわかったら、あとは実際のページをじっくり見て具体的な改善案、アイディアを考えていくようにしましょう。
自社のWebサイトだけでなく、同業他社のWebサイトを見てみると、ヒントを得やすいです。たとえば、自社ECサイトのカートに課題を感じたなら、同業他社のカートと比べてみてください。ボタンの位置や大きさ、色、文言など、工夫すべきところが見えてくるはずです。
──具体的な改善案を考えていくとき、ほかにも効果的な方法はありますか?
小川 ほかの誰かにWebサイトを使ってもらってみるのも有効です。実際のユーザーがWebサイト上でどんな行動をするのか、画面共有などで実際の画面を見せてもらうとわかりやすいです。ときにユーザーは、自分が予想していたのとは異なる行動を取ると思います。そこで、GA4のデータと照らし合わせながら、Webサイトの構成やデザイン、情報の見せ方などを見直していくといいと思います。
──最後に、これからGA4の分析に初めて挑む方々にメッセージをお願いします。
小川 GA4には分析できる項目や機能がたくさんありますが、そのすべてを覚える必要はありません。Webサイトの何を知りたいか、何を分析するか決めれば、見るべきレポートや数字を絞ることができるからです。わからないことがあれば、自分が知りたいことをGA4で見るにはどうしたらいいのかとChatGPTなどのAIに質問すれば、ほとんどのことは解決します。
GA4自体について詳しくなることは、本来の目的ではありません。分析はあくまで手段であって、目的はサイトの「改善」です。GA4は難しいと身構えずに、ポイントを絞ってGA4を活用していってください。
今回はWebサイトの種別にGA4のレポートで見るべきポイントや指標、活用できる機能などについて小川氏に解説していただいた。何を見たらいいのか、どう改善に活かしたらいいか戸惑っていた方は、ぜひ今回の記事をヒントに、まずは何を知りたいか決めるところから始めてほしい。次回は、Webサイト運営における組織マネジメントや予算確保など、GA4の分析結果をよりビジネス向けに活用していくために取り組むべきことを聞いていく。
【Webアナリスト小川卓氏の熱血解説! 「GA4」成功戦略 シリーズ記事】
小川 卓(Taku Ogawa)
ウェブアナリストとしてリクルート、サイバーエージェント、アマゾンジャパン等で勤務後、独立。株式会社Faber Company 取締役(CAO)をはじめ複数社の社外取締役、大学院の客員教授などを通じてウェブ解析の啓蒙・浸透に従事。株式会社HAPPY ANALYTICS代表取締役。
主な著書に『ウェブ分析論』『ウェブ分析レポーティング講座』『マンガでわかるウェブ分析』『Webサイト分析・改善の教科書』『あなたのアクセスはいつも誰かに見られている』『「やりたいこと」からパッと引ける Google アナリティクス 分析・改善のすべてがわかる本』など。最新版のSEO対策はこちらから。
聞き手:宿木雪樹(やどりぎ ゆき)
広告代理店で企画・マーケティングについての視座を学んだ後、ライターとして独立、現在は企業の魅力を伝える記事執筆を中心に活動。大学にて文化研究を専攻したバックボーンを生かし、メディアのトレンドについてフレッシュな事例をもとに紹介する。2018年より東京と札幌の2拠点生活を開始。リモートワークの可能性を模索中。