2024.04.20

《2024年調査》 各キャラクターの支持層から、どのような反応が期待できるかを分析する|マンガキャラクター活用の極意【第二部】

ここ数年ではかなり遅れての開花でしたが、今年も桜の季節を迎えました。福井市の足羽川河川敷では、北陸新幹線が敦賀まで延伸した3月16日にブルーインパルスが展示飛行しましたが、桜も4月7日には満開となって、多くの市民で賑わいました。宿泊客も大幅上昇しているそうで、この勢いが続くことを願います。

福井市足羽川河川敷 上空のブルーインパルス展示飛行と桜並木

福井市足羽川河川敷:上空のブルーインパルス展示飛行(2024年3月16日)と桜並木(2024年4月7日) ※いずれも筆者撮影


さて、前回は2024年2月に実施した「キャラクター定量調査2024」で得られた純粋想起による2024年キャラクター好意度ランキングのうち、「キャラクター全般」に関する以下の調査結果を紹介しました。

  • 「ポケモン」「ドラえもん」「スヌーピー」が高い支持を安定して獲得
  • 「ちいかわ」はさらにアップ、アニメ化されたマンガ原作系も上位に
  • 特定年代で人気のマンガ原作系が新たにランクイン
  • 人気上位キャラのファンは、男女比や年代の傾向がそれぞれ異なる

今回は、前回に続いて純粋想起による2024年キャラクター全般好意度ランキング上位キャラの支持層に関する分析結果から、メディアやグッズなど、どんなタイプの訴求に対して反応が期待できそうかを紹介します。

なお、「キャラクター定量調査2024」は、日本国内に居住する男女3~74歳の1,015名を対象として、2024年2月16日(金)~20日(火)に実施しています。調査概要については前回の記事をご覧ください。

キャラクター・マンガへの好意度が特に高い「ちいかわ」「ポケモン」のファン

まずは、前回ご紹介した男女3-74歳全体での上位10キャラ・作品純粋想起者(コアファン)がどんな人たちなのか、キャラクター全般とマンガ全般への好意度を比較しました(図表1)。

図表1. 好意度ランキング上位10作品コアファンのキャラクター・マンガ好意度比較

好意度ランキング上位10作品コアファンのキャラクター・マンガ好意度比較1

好意度ランキング上位10作品コアファンのキャラクター・マンガ好意度比較2

今回調査対象者の男女3-74歳全体と比べてキャラクター好きが特に多いのは「すみっコぐらし」「ちいかわ」「ポケットモンスター」のファンで、男女3-74歳全体と差がないのは「ONE PIECE」「くまのプーさん」のファンでした。

マンガ好きが特に多いのは「ちいかわ」「ポケットモンスター」「名探偵コナン」のファンで、少ないのは「くまのプーさん」「ドラえもん」「すみっコぐらし」のファンでした。

TV・映画などのアニメへの好意度が特に高い「コナン」「ちいかわ」「ポケモン」のファン

続いて、テレビアニメ全般とアニメ映画全般への好意度、ネット配信動画・アニメの視聴度合いを比較しました(図表2)。

図表2. 好意度ランキング上位10作品コアファンのテレビアニメ・アニメ映画好意度、ネット配信動画・アニメの視聴度

好意度ランキング上位10作品コアファンのテレビアニメ好意度

好意度ランキング上位10作品コアファンのアニメ映画好意度

好意度ランキング上位10作品コアファンのネット配信動画・アニメの視聴度

男女3-74歳全体と比べてテレビアニメ好きが特に多いのは「名探偵コナン」「ポケットモンスター」「ちいかわ」のファンで、少ないのは「くまのプーさん」「スヌーピー」のファンでした。

アニメ映画好きが特に多いのは「ポケットモンスター」「名探偵コナン」「ちいかわ」のファンで、少ないのは「くまのプーさん」「スヌーピー」「ミッキーマウス」のファンでした。

男女3-74歳全体と比べてネット配信動画・アニメの視聴が特に多いのは「ポケットモンスター」「すみっコぐらし」「ちいかわ」のファンで、少ないのは「スヌーピー」「くまのプーさん」のファンでした。

まとめると、キャラクターとマンガ・テレビアニメ・映画のいずれも好きなファンが特に多いのは「ちいかわ」「ポケットモンスター」でした。これらのIPは、グッズによるキャラクターとストーリーによるコンテンツを組み合わせたミックス訴求などによる反応が特に期待できます。

また、「すみっコぐらし」はグッズ+ネット配信、「名探偵コナン」はマンガ+テレビアニメ+アニメ映画といった組み合わせで、それぞれ反応が期待できそうです。

マンガ原作系キャラのファンは、他のマンガ系キャラへの好意度も高い

最後に、男女3-74歳全体での上位10キャラ・作品純粋想起者(コアファン)が他にどんなキャラを好きなのかを紹介します(図表3)。

図表3.  男女3-74歳全体:上位10キャラ純粋想起者の「好きなキャラクター」ランキング

男女3-74才全体:上位10キャラ純粋想起者の「好きなキャラクター」ランキング

総じてマンガ原作系作品のファンは、他マンガ系キャラへの好意度も高いことが見てとれます。特に「ドラえもん」と「クレヨンしんちゃん」、「ONE PIECE」と「ドラゴンボール」など、アニメ放送時間帯や連載誌などで共通点がある作品は、ファンが重複していることがわかります。

また、「ちいかわ」と「すみっコぐらし」ファンの重複も顕著で、「ミッキーマウス」と「ハローキティ」は、それぞれ「スヌーピー」とファンが最も重複しています。調整が難しい部分もあるかと思いますが、これらのキャラや作品間のコラボによるキャンペーンやグッズ展開が実現した場合、相乗効果が期待できる結果だといえるでしょう。

次回からは、タレント・有名人やYouTuber、VTuberの純粋想起による好意度ランキングと、キャラクターコアファンとの関係について紹介していきます。どうぞお楽しみに。

<第2部 バックナンバー>
第22回:《2024年調査》 キャラクターの最新人気ランキングとその支持層
第21回:コロナ禍の前後で、キャラクター関連への「好意度」はどう変化したか
第20回:コロナ禍の前後で、キャラクター関連への接触はどう変化したか
第19回:地域によって異なる? キャラクターやマンガへの好意度と関連行動(3)
第18回:地域によって異なる? キャラクターやマンガへの好意度と関連行動(2)
第17回:地域によって異なる? キャラクターやマンガへの好意度と関連行動(1)
第16回:調査で解明する、エンドーサー(宣伝マン)としてのキャラクターの可能性(3)
第15回:調査で解明する、エンドーサー(宣伝マン)としてのキャラクターの可能性(2)

第14回:調査で解明する、エンドーサー(宣伝マン)としてのキャラクターの可能性(1)
第13回:純粋想起による2023年の好意度ランキング(ご当地キャラ&タレント・有名人&Vtuber編)
第12回:純粋想起による2023年の好意度ランキング(キャラクター全般&企業キャラ編)
第11回:さまざまなタイプのキャラクターファンが、どのようなプロフィールを持つのか分析する(3)
第10回:さまざまなタイプのキャラクターファンが、どのようなプロフィールを持つのか分析する(2)
第9回:さまざまなタイプのキャラクターファンが、どのようなプロフィールを持つのか分析する(1)
第8回:2023年トレンド予測・キャラクター活用は5つの流れで進む
第7回:拡がるVtuberの活動領域とその実像を分析する(前編)
第6回:拡がるVtuberの活動領域とその実像を分析する(前編)
第5回:Z世代のマンガ原作コンテンツへの支持傾向と消費行動(後編)
第4回:Z世代のマンガ原作コンテンツへの支持傾向と消費行動(中編)
第3回:Z世代のマンガ原作コンテンツへの支持傾向と消費行動(前編)
第2回:ティーン・ヤング層に人気のマンガは、ターゲットにどんな体験を提供するか
第1回:男子ティーン・ヤング中心に人気のマンガコンテンツ。女子ティーンからコアな支持を集める作品も

<第1部 バックナンバー>
第1部 連載記事一覧

筆者プロフィール
野澤 智行(のざわ ともゆき)

栃木県宇都宮市出身。1987年千葉大学文学部卒業、(株)ビデオリサーチ入社。98年旭通信社(現ADKグループ)入社、研究開発部門、マーケティング部門で広告効果やブランディングの研究、企業のマーケティング・プロモーション支援を、キャラクター総研リーダーとしてアニメコンテンツの戦略支援、キャラクターに関する開発・活用提案を行う。2013年に日本百貨店協会主催「ご当地キャラ総選挙」実行委員として、企画立案およびキャンペーン・イベント総指揮を担当。デジタルハリウッド大学院で客員教授を、駒澤大学や福井工業大学で講師を務め、法政大学経営大学院でMBAを取得して、キャラクターやアニメコンテンツに関する企画提案・分析業務でも活動中。2022年4月からは、福井工業大学の環境情報学部経営情報学科でマーケティングやメディア論の教授として着任。

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