2022.07.25

「『恐竜図鑑』とのコラボ商品が4万台売上のヒット! 遊びと学びを一体化させた『エデュテインメント(教育×遊び)』の魅力と可能性」講談社メディアカンファレンス2021 学びコンテンツレポート⑥

講談社の動く図鑑「MOVE」恐竜とコラボしたヒット商品、セガトイズのトイパソコン「マウスでバトル!!恐竜図鑑パソコン」(※1)。本セッションでは、"恐竜"IPを活用したこの商品を通して、子どもが楽しみながら学び、親にも刺さる「エデュテインメント」を考察。数々の電子知育玩具を開発してきたセガトイズ担当者と、16万人の脳画像を見てきた脳医学者による対談で、キャラクターに頼らない「ファミリーIP」としての教育コンテンツの可能性と活用法を探ります。(※2)

※1 2022年6月に発売されたコラボ第2弾「メダルでバトル!!恐竜図鑑パソコンΩ」は、第14回 日本おもちゃ大賞2022「エデュケーショナル・トイ部門」で優秀賞を受賞しました。 >詳細はこちら

(左から)電通zero クリエーティブ・ディレクター/PRディレクター 嶋野裕介さん
株式会社セガトイズ 国内マーケティング企画本部 マーケティング部 ディレクター 亀田英里さん
東北大学加齢医学研究所 教授、医師、医学博士 瀧 靖之さん

※2 本レポートは、昨年行われた「講談社メディアカンファレンス 2021」で配信されたセッションの模様です。最新のメディアプロフィールについては、講談社の広告情報サイト「AD STATION」をご覧ください。


新たなニーズの掘り起こしに成功! 「図鑑×パソコントイ」

嶋野裕介(以下、嶋野) このセッションは、出版社のIP(知的財産)のなかでも新しい潮流ともいえるファミリー向けIPをテーマに、セガトイズさんの「マウスでバトル!!恐竜図鑑パソコン」に講談社の動く図鑑「MOVE」IPを活用した事例をご紹介します。

まず、「恐竜図鑑パソコン」について、セガトイズの亀田さんからご説明をお願いします。

亀田英里(以下、亀田) セガトイズでは、知育学習要素のあるデジタルトイをこれまでにも数多く発売していますが、この数年間はパソコントイ市場が非常に活況になっていて、競合各社との差別化という課題を抱えていました。

「恐竜×パソコン」という新商品を開発するにあたり、保護者の方も取り込んだ販売アプローチや、知育性の裏付け部分・恐竜の情報源という部分においてパートナーの必要性を感じ、社内でも家族で愛読している人が多かった、講談社の動く図鑑「MOVE」とコラボレーションしました。

恐竜と遊びながら学べる「マウスでバトル!!恐竜図鑑パソコン」。5種類のマウスから好きな「恐竜」を選べる

本体に配列されたキーボードを使ってタイピングなどのパソコンの操作ができるほか、プログラミング、英語などの豊富なコンテンツで学ぶこともできるのが特徴で、内蔵された勉強コンテンツやキーボードを使った遊びでマウスにつけた恐竜を強化することができます。

恐竜図鑑には152体の恐竜データが収録されていますが、強化した恐竜とバトルすることで新しい恐竜が一体ずつ図鑑に追加されるという仕様になっていて、この「バトル」と「図鑑」という要素がこの商品の核になっています。

「MOVE」から人気の恐竜152体を選定。「恐竜バトル」に勝つと図鑑に新たな恐竜が追加される仕組みになっている

プロモーション面でも、講談社の動く図鑑「MOVE」シリーズにチラシを封入したり、雑誌「テレビマガジン」とタイアップしたりすることで、保護者への訴求強化と"カッコいいもの好き"なお子さん両方へのアプローチを実施しました。

こうしたすべての結果、販売実績4万台以上を達成することができました。

また、実際の購入者アンケートでは、60%以上の方が"図鑑"という要素に惹かれて購入したという結果が出ており、新たな層のパソコントイニーズを掘り起こすこともできたと考えています。

読み聞かせにも効果を発揮する、教育×エンタメ=エデュテインメント

嶋野 亀田さんありがとうございました。こちらは私も審査員をさせていただいた「講談社メディアアワード 2021」も受賞されていますよね。エデュケーション(教育)とエンターテイメントをミックスした「エデュテインメント」の本当にいい事例だと感じます。

ちなみにこの成功事例をもとにした、ほかの展開などもあるのでしょうか?

亀田 はい。講談社さんとは、動く絵本プロジェクター「ドリームスイッチ」という商品でもコラボレーションさせていただいています。この商品では、講談社の動く図鑑「MOVE」だけでなく、ほかの絵本IPとのコラボも行っています。

ドリームスイッチは、本体に絵本のコンテンツや図鑑のコンテンツを収録して、天井や壁面に絵本や図鑑のコンテンツを投影して読み聞かせができる商品です。コンテンツのひとつには、「講談社の動く図鑑『MOVE』星と星座」も収録されています。


動く絵本プロジェクター「ドリームスイッチ」。
搭載している計30作品の絵本が"動く絵本"化され、寝かしつけや愛着形成に高い効果を発揮する

瀧 靖之(以下、瀧) 人は幼少時代に獲得している語彙数が多いほど、その後の学習成績など、さまざまな面が伸びるといわれています。たくさん読み聞かせてあげるというのは、それだけでも非常に素晴らしいと思います。

さらに、「星」というのは私たちにとって身近な自然のひとつですから、読み聞かせを通して星座の知識を学び、かつ、あたたかい気持ちで眠りにつけるというのもすごくいいと思います。

テストのためではなく、世の中にあることを吸収することこそ「学び」です。そういう体験が自然な形でできるこの玩具はとてもよいと思います。

嶋野 「恐竜図鑑パソコン」もドリームスイッチも、遊びながら学べるいいコラボ事例だと思います。瀧先生はこうした玩具が子どもの学びにどうつながっていくとお考えですか?

 子どもたちの脳の発達にはさまざまな要素が必要です。特に「世の中をもっと知りたい」という好奇心が、子どもたちの脳の発達とその先の"学び"につながっていくといわれていますので、さまざまな玩具で学びを伸ばしていくというのはすごく大切なことです。

また、「ほんのちょっと知っておく」ということが、その先興味を持つ大きなきっかけになるのではないでしょうか。

愛着形成と好奇心を伸ばすことができる「図鑑」

嶋野 今回は「ファミリーIP」がテーマです。出版社にはマンガやアニメのキャラクターもたくさんあるなかで、図鑑ならではのメリットはどういうところにあるとお考えですか?

 図鑑には、写真や世の中のものがリアルに載っていますので、本に掲載されているものと実際のリアルを結びつけやすいことと、情報の多さが強みといえます。

子どもの脳の発達には保護者と子どもの愛着形成も重要です。そのなかで、本の読み聞かせは「愛着形成そのもの」ですから、図鑑で読み聞かせをして親子で話すことは、愛着形成と好奇心の両方を伸ばすことにつながります。

また、恐竜というIPを活用する場合、博物館や科学館などに出かけ、リアルな体験と結びつけることで、さらに好奇心を伸ばすことができると思います。

Q1.子育てをするなかで、「玩具」や「動画コンテンツ」とどう向き合うのがよいか? 
「デジタルデバイス」との付き合い方は?


自身の子育て経験をベースに瀧先生(右)に質問をする亀田さん(中)

亀田 デジタル玩具のなかには動画コンテンツもありますが、動画についてはいかがでしょうか。子どもが見たがるものをそのまま見せていいのか、あるいは選別すべきなど、動画との付き合い方を教えていただけますか?

 子どもの脳は豊かな刺激で発達していきますので、いろいろ学んでいく上では動画コンテンツもすごく大事だと思います。

楽器の弾き方、走り方、バットの振り方など、動画コンテンツは子どもたちがそれを見て学習する上でいいツールになり得るので、選び方次第ではすごくいいと思います。

ただ一方で、大人ですら一度見始めるとやめられないという面もあるので、保護者が子どもと一緒にやるとか、時間を決めるなど、ルールを決めた上で与えてあげるとお子さんの将来にとってプラスになるのではないかと思います。

Q2.玩具を通して「大人の真似」をすることは、子どもの脳を刺激する?
パソコントイなどデジタル玩具での遊びは、子どもの学びにつながる?

亀田 今日ご紹介させていただいた恐竜パソコンもそうですが、いわゆるパソコントイみたいなものは、大人の姿を見てお子さまがやりたがるというところから着想して商品化しています。デジタル玩具での遊びというのは、どのくらい子どもの学びや脳の刺激につながるのでしょうか。

 子どもの脳の発達は基本的には「模倣」ですから、さまざまな玩具を通して「大人の真似をする」というのはすごく重要だといえます。

ですから、模倣を通していろいろなものに親しんだり、好奇心を伸ばしたりするきっかけがつくれれば、デジタル玩具・アナログ玩具どちらでも子どもの脳の発達によい効果があると思います。

亀田 大人がノートパソコンやスマートフォンを使っているのを「真似したい」と思う子どもの気持ちを尊重しつつ、それに教育要素を入れて学びが得られる玩具であれば、デジタルでもアナログでもいいということですね。ありがとうございます。

エデュテインメントによって拡張する「学び」

嶋野 子どもが学びに興味を持つには、模倣と面白さが重要というお2人のお話は非常に面白かったです。ありがとうございました。

講談社の動く図鑑「MOVE」には、ほかにもさまざまなコラボや発展事例がありますので、ここでエデュテインメント事例としてご紹介させていただきます。

講談社の動く図鑑「MOVE」の、エデュテインメント事例

「MOVE 生きものになれる展」(左上)

(概要)「図鑑の世界を体験する」をコンセプトに、自分が蝶やペンギン、ダンゴムシになって動物から見た世界がどうなっているかが体験できる展示会。

 実際に私も子どもと行きましたが、本で見るのと、ほんの少しでも実際にその世界を体験するというのはまるで違います。五感で体験することで、子どもの動物や昆虫に対する興味がさらに増しました。

嶋野 私も子どもと一緒に行きましたが、ダンゴムシにすごくはまって大興奮で楽しんでいて、"生きた学び"というのはこういうことなんだなと思いました。

キッザニア東京(右上)

編集者になれるという設定で、図鑑や本をどうつくるかという実際体験ができることで、より深い学びにつながる職業体験。

 子どもの職業体験は、子どもたちにとって夢が広がる、自分の将来の選択肢を広げる素晴らしい取り組みだと思います。大人になったら何になりたいかなどいろいろな夢を持っている子どもたちに、ほんの少しでもそれを体験できる場があるというのはとてもよいと思います。

「MOVEラボ」「オンラインイベント」

(概要)実際にその道のプロの方に学びに行く、聞きに行って体験するイベント。

嶋野 「MOVEラボ」や「オンラインイベント」のように、実際にその道のプロの方に学びに行く、聞きに行って体験するイベントもすごく意味があると思いますが、瀧先生がお子さまに教えるときに、注意されているポイントを教えてください。

 まず「世の中は面白い」ということは、常に伝えるようにしています。

また、子どもは好き嫌いがありますから、これをやりなさいと強制するのではなく、まず大人が楽しそうにやってみせるようにしています。

たとえば私は今でも昆虫が大好きなので、子どもと一緒に虫採りに行くのですが、大人が楽しんで虫採りをしていると子どもも楽しいと思うわけです。楽器などでも、大人が楽しく弾いていたら、それを見ている子どもも楽しんでやるという結果が出ています。

つまり、世の中がいかに楽しいことに満ち溢れているかということを常に伝えながら、何かしなさいではなく、大人が楽しむ姿を子どもに見せてあげて一緒に体験する。これがいちばんだと思います。

嶋野 パソコンには、"大人が楽しんでいる"というイメージはなかったんですが、もしかしたら子どもから見たら楽しそうに見えているのかもしれないですね。

亀田 そうですね。パソコンを操作している姿がカッコよく映ったり、憧れたりするようなものだったのかなと思います。

今日は子育てをしているなかでのいろいろなヒントもありましたし、次の新しい商品企画とかプロモーションに活かせるようないろいろなお話も伺えて本当に楽しかったです。ありがとうございました。

 これまではアナログが中心だった知育玩具のなかに、最近はデジタルトイが出てきているというのがすごく勉強になりました。アナログとデジタルをうまく使って、子どもたちの自己実現に向けて私たち保護者も一緒に楽しんでいきたいと思います。

嶋野 私たちの子どもの頃は、"ただ教科書を覚える"みたいな勉強が多かったのですが、いまの子どもたちは幸せですね。今回のようなコンテンツ、キャラクター、図鑑などの情報によって勉強を楽しめるわけですから。

お風呂に入れると何かが出てくるバスボールや、折り紙や塗り絵なども含めて、いろいろな方面でファミリーIPとの展開が増えていく事例もありますし、これからもどんどんファミリーIPを活用したコラボ事例が増えていってほしいと思います。

お2人とも、本日はありがとうございました。

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【講談社メディアカンファレンス 2021:学び動画】
「恐竜図鑑」とのコラボ商品が4万台売上のヒット! 遊びと学びを一体化させた「エデュテインメント(教育×遊び)」の魅力と可能性

登壇者:
・亀田英里/株式会社セガトイズ 国内マーケティング企画本部 マーケティング部 ディレクター
・瀧靖之/東北大学加齢医学研究所教授、医師、医学博士 
・嶋野裕介(モデレーター)/電通zero クリエーティブ・ディレクター/PRディレクター

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