2022.07.27

SNSの炎上リスクとの向き合い方と今後のSNS動画のゆくえ|SNS動画時代を生き抜こう<第4回>

この連載では、SNSでの動画活用がますます一般的になるなかで、利用者が特に多いTwitterやInstagramで支持される動画を制作、投稿するために押さえておくべき基礎知識をお届けします。
最終回である今回は、SNSで企業アカウントが炎上するリスクや事例、炎上を回避するために押さえておくべきポイントについてご紹介し、終わりに今後のSNS動画のゆくえについて考察します。

SNSにおける企業アカウント炎上の実態

SNSの企業アカウントが炎上してしまう場合、不適切な投稿内容や、アカウント運営主体(企業やブランドなど)の不祥事などがきっかけで、インターネット上で非難や批判が集まるケースがほとんどです。
炎上に気づいて即座に対象の投稿や動画を削除したとしても、スクリーンショットが残っていてそれがネット上で拡散され、結果として投稿内容がネット上に残り続けてしまうことも珍しくありません。
そんな状況が続いてしまったら、企業としての損失は計り知れません。SNSを運営する際には、炎上しないように細心の注意を払う必要があるのです。

企業アカウントの場合、特に下記のような内容に抵触する投稿や動画が炎上しやすいとされています。

  • 公序良俗やSNSの利用規約に反した不適切な発言(差別的・侮蔑的発言など)や行為
  • 特定の人種や性別を差別する内容
  • 性的指向(LGBTQなど)を批判、否定するような内容
  • 思想(宗教など)を批判、否定するような投稿
  • いわゆる"空気を読まない"不謹慎な投稿(災害時や非常時などに通常通りの投稿をしてしまう、など)

SNSで投稿する動画や投稿文自体が上記内容に触れていなくても、あわせて記載したハッシュタグで炎上してしまう例もあります。
実際に企業アカウントで炎上した事例も見ておきましょう。

【事例1】
2015年、ディズニー公式Twitterが長崎原爆投下の日(8月9日)に「なんでもない日おめでとう」というメッセージを投稿。原爆投下から70年という節目の年だったこともあり、批判が相次ぎ炎上。該当ツイートを削除し、即日謝罪した。
>>参考記事

【事例2】
2020年、ドン・キホーテの10代のスタッフが運営する公式Instagramで「みんなはドンキで何盗んだことある?」などと投稿。「#これは大喜利です」「#万引きは犯罪です」というハッシュタグがついており、公式キャラクターが万引き犯を捕まえるという趣旨の動画も公開。
大喜利を募集する意図で投稿されたものだったが、批判を受け翌日投稿を削除した。
>>参考記事

【事例3】
2020年、アツギは11月2日の「タイツの日」に合わせて、Twitterで「#ラブタイツ」キャンペーンを実施。同社製品を着用した女性のイラストを投稿したところ、脚や胸を強調した性的なイラストが含まれていたため炎上。2日後にTwitterで謝罪。
>>参考記事

SNSで投稿した内容だけでなく、運営主体の従業員や関係者が不適切に当たる発言や行動をした場合などに、企業のSNS側が炎上するケースも少なくありません。

いわゆる「バイトテロ」のように、従業員が不適切な業務態度を撮影した動画が炎上するケースも頻発しています。SNSを運用する際には、SNS運用や動画制作に関わるメンバーだけでなく、社内全体で炎上に対する共通の危機意識を持つことが必要でしょう。

SNSで炎上しないために施すべき3つの対策

では、SNSで炎上しないために、企業側はどういった対策を行っておくべきでしょうか。気をつけておくべき3つのポイントをご紹介しましょう。

日々の制作・投稿フローのチェック体制を強化する

企業によってはコンテンツ制作から投稿、コメントやDMの返信まで、すべて1人で行っているケースもあるかもしれません。しかし、それではその人の視点でしかチェックができないため、炎上リスクが潜んでいても見落としてしまう可能性が高くなります。

実作業は1人だったとしても、コンテンツや投稿、コメントやDMの返信内容などを必ずダブルチェックする体制をつくることが重要です。複数の視点から確認することで、炎上リスクを減らすことができるでしょう。

投稿タイミングにも細心の注意を図る

自然災害や大規模な事故などが発生した際や、著名人が亡くなったときなどに通常通りの投稿をすると、思わぬところで炎上してしまうことがあります。企業側に悪意がなかったとしても、タイミングによっては投稿内容を意図通りに受け取ってもらえないことも少なくありません。タイムラインやトレンドなどもチェックし、このタイミングで投稿しても問題ないかどうか確認してから投稿することを心がけましょう。

万が一、炎上した場合も想定しておく

炎上の被害を最小限にとどめ、事態を鎮静化させるには、できるだけ早めに発見し、速やかに対応しなければなりません。トラブルの内容にあわせて「投稿をどのタイミングで削除するのか」「お詫び文は誰が作成するのか」「内容について誰が判断し、責任を持つのか」など、炎上対応に備えたマニュアルをあらかじめ作成しておくのがおすすめです。

SNS運用を外部の会社に委託している企業も多いかもしれません。その場合は、委託先にも上記のポイントをおさえた運用体制をつくるように指示しておきましょう。

メンバーの意識を常に高めておく

もうひとつ気をつけたいのが、当初は注意点を意識しながら投稿していたものの、KPIを達成するためになんとかして投稿をバズらせたいという思いが強くなり、次第に炎上スレスレの動画を投稿して注目を集めようとしてしまうケースです。この場合は、SNS運営に関わるメンバーの意識改革が必要でしょう。

炎上したらどのような損失が発生してしまうのかを認識しつつ、改めて炎上しないためのポイントを学び直すこと、またKPI設定に無理がないかどうかも見直すとよいでしょう。

ショート動画全盛時代の到来ー今後もトレンドを注視しよう

SNSは、今や企業にとってユーザーやファンと直接つながる場所であり、マーケティングチャネルとして欠かせない存在です。

一方で動画は、短い時間でさまざまな情報を届けることができるため、企業アカウントを運用する上で欠かせないコンテンツとしてこれからも最重要視されるでしょう。SNS運用に関わる場合は、SNSと動画を取り巻くトレンドを常に注視しておく必要があります。

特にここ1〜2年は、TikTokの人気により、ショート動画全盛時代が到来しています。InstagramやFacebookのリール、YouTubeのショート動画など、他のSNSやプラットフォームも次々とショート動画に参入しているのはご存じでしょう。Instagramのタイムラインもフィード投稿の動画よりもリール動画を優先して表示するようになりましたし、YouTubeもショート動画を強化していくことを公表しています。そういったトレンドを見逃すことなく、いち早く勝ちパターンを見つけていくことが重要です。

ただ、トレンドは変化しても、SNS動画の制作体制や運用フローは従来と変わりません。この連載全4回でご紹介したポイントをふまえて、効果的なSNS運用とコンテンツ制作をすすめていきましょう。


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