2019.07.24

研究者を支援して、新しいコンテンツを発信! クラウドファンディング・プラットフォーム「ブルーバックス・アウトリーチ」

科学コンテンツを気軽に発信できる、クラウドファンディング・プラットフォーム「ブルーバックス・アウトリーチ」(以下、「BBO」)がオープンしました。講談社の企画・編集力で研究者をバックアップし、研究者による製造や配送作業といった負担を減らすことで、小規模であっても「新しくておもしろい科学コンテンツ」をアウトリーチできる、まったく新しい形のサービスです。

創刊から50年以上、「科学をあなたのポケットに」を合言葉に、一般読者にわかりやすい科学書づくりと科学の普及を目指してきた科学新書シリーズ『ブルーバックス』。2017年よりウェブメディア『現代ビジネス』と組んで、書籍化に結び付かないコンテンツも発信するようになりました。

「この『ブルーバックス』のブランド力を生かし、他の科学メディアと差別化できる取り組みを目指してBBOを立ち上げた」と話すのは、BBOの発案者である講談社第一事業戦略部事業戦略チームの長尾洋一郎さんです。

週刊誌の編集現場では毎週多くの記者や編集担当者が取材をしていますが、そのすべてが記事に反映されるわけではなく、誌面化できなくても届けたい思いがたくさん残ったままになっているといいます。『ブルーバックス』は、科学関連の書籍シリーズの中では比較的メジャーなものを扱っていますが、読者の興味が細分化されつつある今、「規模は小さくても、強く求める人がいる企画やサービスを、工夫をこらし合理的な形で届けることができないだろうか」と考えたそうです。先に需要を確定させ、原価とのバランスが取れることが保証できれば──その一つの手法として、クラウドファンディングという形にたどり着いたといいます。

BBOの仕組みは?

通常のクラウドファンディングでは、業者は宣伝や代金の決済はしますが、商品自体は起案者が作り、起案者が買い手に届けることで商取引が完了します。業者は仲介のみです。この場合、起案者からは「アイデアはあるが個人では商品化が難しい」という声や、「製品を製造し配送する負担が壁となり、なんとなく一歩を踏み出しにくい」といった声も聞かれます。「そもそも、一般の人に楽しんでもらえる形にするには、どうしたらいいんだろう?」と戸惑う方も多いようです。
このため、クラウドファンディングは、「ものづくり」のノウハウを持っている人が、初期開発のための資金調達を目的に利用するケースがほとんどです。

BBOは、商品の製造から配送、ディストリビューションまで講談社が責任を持ちます。

①研究者が参加を申し込み、講談社と企画のご相談。プロジェクトページを作成します。
②プロジェクトページを公開し、支援を募ります。
③支援者が商品の予約の形で支援を表明します。
④プロジェクトが目標を達成・成立すると、支援者から支援額を受け取ります。
⑤商品をお届けします。
⑥講談社から研究者に対価を支払います。

一般的なクラウドファンディングとは異なり、商品やサービスの販売元は講談社です。そのため忙しい研究者が、製造や配送作業の大きな負担を背負うことはなく、アイデアが面白ければ企画を実現できるのが、一般的なクラウドファンディングとの大きな違いとなります。「自分の研究が、みんなに楽しんでもらえるコンテンツにできるかわからない...」という不安を持つ研究者へも、講談社の企画・編集力で、全面的にバックアップが可能です。

人気科学コミックとの企画も!

認知拡大のため、講談社の「モーニング」で連載中の人気科学コミック『惑わない星』『はじめのアルゴリズム』とのコラボレーション企画がスタートしています。

スマホを置くだけで充電できるワイヤレス充電器を、『惑わない星』のキャラクターをモチーフにしたオリジナルデザインで企画したものや、『はじめのアルゴリズム』の作者・三原和人先生が、今回のために描き下ろしたオリジナルデザインのマスキングテープの企画では、限定10口は直筆のサイン色紙がセットに!

詳しくは、こちらから↓
『惑わない星』
『はじめアルゴリズム』

2012年にイグノーベル賞を受賞した「人を笑わせ、考えさせる不思議な発明」スピーチジャーマーを自作できるスペシャルキットも、今後登場予定です。

プロジェクトの種類

通常のクラウドファンディング(特に購買型と呼ばれるもの)は、目標とする金額以上の資金を得た場合、それによって実現した製品やサービスが支援してくれた人に届けられます。

BBOは、さらに大学などの行う「寄附型」クラウドファンディングにも対応します。国立大学法人などに所属する研究者の方が呼びかけを行い、大学の寄附口座に支援を集める場合にも、このプラットフォームが利用可能です。「寄附型」と表示されたプロジェクトの場合、支援者から大学法人などに直接、寄附を行うのと同じように寄附金を届けることができます。

BBOで行われるプロジェクトには、「通常のプロジェクト」と「寄附型プロジェクト」という大きな区分がありますが、それと並んで「何をもって支払いが発生するか」が異なる「All-or-Nothing型」と「All-In型」という区別があります。

All-or-Nothing型とは、「プロジェクトであらかじめ設定されている目標金額に達した状態で、募集期間が終了した場合にのみ、決済が発生するプロジェクト」のことを言い、All-In型とは、「プロジェクトであらかじめ設定されている目標金額に達していない状態でも、募集期間が終了したときに、決済が発生するプロジェクト」のことを言います。

知って、楽しんで、応援する!

BBOが提供するコンテンツは、書籍やムックだけに限りません。たとえば、研究者が行うワークショップの参加券や、普段は立ち入ることのできない実験室の見学など、体験が商品になることもあるでしょう。科学の現場では付加価値のないものと思われているものが、一般の科学ファンに貴重な情報の場合もあります。これらを商品化できれば、ユーザーはいままで手に入らなかった情報が手に入り、研究者にとっては支援を受けるチャンスになります。

研究費用を集める場合、通常は論文や開発した商品などの「成果」が求められます。それは資金を受け取る研究者にとって大きなプレッシャーになり、言い換えると成果を強調しづらい調査活動などは、資金の獲得が難しいということになります。
BBOは、商品やコンテンツを楽しんでもらうだけではなく、その結果として研究者を応援するところまでが、ひとつながりのサービスとなったツールです。

最先端の科学の現場には、すばらしい研究をしている研究者の方々がたくさんいます。企画にならず眠っていたテーマを商品化できるということは、研究者にとっても、講談社にとっても大きなメリットに。さらにサイトを通じて、一般ユーザーが「科学っておもしろそう!」と応援する気持ちを研究者に伝えられる場にもなると考えています。

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