2019.02.05
「オウンドメディア」って、どんなメディア?|注目される理由と運用メリット
企業や事業体で独自の発信を行う「オウンドメディア」の導入が進んでいます。C-stationでは、まだオウンドメディア運営を手掛けていないけれども、「どう判断すればいいのか、実は最近気にしています」「ウチもトライしてみようか迷っている最中です」という皆さん向けに、把握しておきたい基礎の基礎をわかりやすくご紹介します。今回のテーマは「オウンドメディアがどんなものか」「マーケターが注目している理由と運用メリット」。これからのマーケティング活動の中で、業種業界を問わず知っておきたい基礎知識だけに、この機会にぜひ概要を把握することをおすすめします。
多数の潜在顧客が、自社ファンになる可能性も!
オウンドメディアの「オウンド=Owned」とは、「保有」の意。文字通り自社で運営して情報発信を行う媒体全般を意味します。中でも「企業などが製品やサービスを紹介するために独自に運営するサイト」を指すことが多く、C-stationでもこれをオウンドメディアとしてご案内します。オウンドメディアを運営することで、自社の製品やサービスを直接的・間接的に紹介し、多くの潜在顧客に見てもらえる可能性を高めていけます。製品やサービスの優位性や想いを強く深く伝えることで、ファンになってもらえる可能性も高まります。
どうして昨今注目されているのか、その背景をまずは知ろう!
「猫も杓子も」ではありませんが、とくに近年、オウンドメディアを運営しようという企業は増えています。なぜ、こんなに脚光をあびているのでしょうか。私たちをとりまく社会状況の変化とともに、これまでの広告手法が通用しなくなってきていることとも関係がありそうです。さっそく探ってみましょう。
●インターネット広告の現状
スマートフォンやタブレットパソコンが私たちの周囲にほぼ普及し、今やインターネットを経由して情報に触れる消費者が中心となりつつあります。その流れとシンクロして、インターネット広告もさまざまな形で進化しました。ただ、さまざまな広告手法が生み出されるにつれ、消費者やソフトウエア側には、広告を警戒する動きも高まってきました。ネット上のバナー広告も、ブロックされて見られなくなるケースも増え、これまでの広告手法に限界がきていると言われています。
●広告費用の適正化
ネットでは、広告をクリックしなくなり、自然検索でのクリック数が増えているという調査結果が出ています。この状況下、リスティング広告など、「いかにも広告です」というやり方に多額の広告予算をまわさず、オーガニックと呼ばれる自然検索からの流入を増やそうとする企業が増えているのが実情です。オウンドメディア運営も、広告費用の適正化を図るという意味では、その流れによるものといえます。
●検索エンジンがコンテンツ重視に変わった!
SEOに関しては、長く被リンクが重視され、リンクを増やす手法が有効でした。しかし、Googleがこの手法をよしとせず、2011年以降、順次、上位に表示させるためのアルゴリズムの変更を行い、その状況は一変しました。現在Googleが重きを置いているポイントは、コンテンツの品質と量。「見ていて、読んでいて面白い」「ためになることがわかってよかった」──このような、ユーザーにとって本当に役立つ、そのメディアでなければ制作できないコンテンツが、検索されたときに上位に表示されるようになっています。
●TwitterやInstagramなどの普及やキュレーションメディアによる伝播
皆さんもすでにご承知の通り、TwitterやInstagramなどのSNSから、世代や性別を問わず、人々は情報を手に入れるようになりました。これは、さきほど言及した質の高い記事や興味深い記事がSNSで拡散され、記事がどんどん広まるようになったことと無関係ではありません。
また、多くの読者を抱えるニュース系のキュレーションメディアは、SNSのシェア数が多い記事を取り上げる傾向にあります。その企業や団体からしか発信できない、本当に面白い、役に立つ記事がオウンドメディアで発信されると、そののち、たとえば「SNS→キュレーションメディア」という流れでたくさんの人々の目にふれ、ひいてはそれが、企業活動に影響を及ぼしていくのです。
「オウンドメディア」の位置づけ
日一日と進化しつつある「デジタルマーケティング」。リスティングを始めとする各種の広告が当たり前になり、消費者のデジタルリテラシーが向上して情報の手に入れ方もどんどん変化している状況下で、オウンドメディアを運営することが、この先、企業や団体にどんなメリットをもたらすのでしょうか。
●オウンドメディアは、自由に情報を発信できる
「トリプルメディア」という言葉を耳にしたことがありませんか? デジタルマーケティングが主流になるにつれ、新しく出てきた考え方です。世の中の人々が、ふだん接点がある「トリプル=3つ」のメディアを総称して、このように呼ばれています。
まず1つめが、「ペイドメディア」。「ペイド(paid)=有料の」という文字からわかるように、お金を払うことで広告を出せる枠を持っているメディアを指します。いわゆる従来型のメディア──テレビや新聞、雑誌など、WEBでいえばメジャーなニュースサイトやポータルサイトなどが該当します。
2つめは、「アーンドメディア」。これは消費者がSNSなどで自ら情報を発信し、そのやりとりを通じて情報を入手したり、高い評価を獲得したりするものです。さきほど言及したTwitterやInstagramが、その代表と言えます。「アーンドメディア」は非常に効果があるメディアですが、発信する情報が投稿者にゆだねられるため、拡散される情報を自社の思惑通りにすることが難しいという特徴があります。ときに「炎上」と呼ばれる、悪い評価が流れるリスクもあるメディアです。
そして、3つめが「オウンドメディア」。これはなんらかの情報を伝えたい企業や団体が、自社の戦略をベースに自由に発信できるメディアです。ECサイトやコーポレートサイト、商品ブランドのサイトなどもここに含まれます。
●オウンドメディアはコンテンツマーケティングの強力な武器
コンテンツマーケティングという概念を耳にすることが増えてきました。しばしば取り上げられていることから、すでにおわかりのマーケターの方も多くいると思います。この考え方がオウンドメディアの隆盛と大きく関係があります。
読者やユーザーに提供する「コンテンツ」、その「コンテンツ」がどんなものなら受け手にとって興味深いものになるかを想定して、情報を発信するマーケティング手法です。メールや動画、プレスリリースや資料集など、情報発信の仕方や、性別・世代など何を重視するかは、それこそ企業の作戦次第。さまざまなコンテンツを作成し、世の人々に届けることから、そのステップは始まります。いきなり大きな成果は難しくとも、継続して情報を発信し続けることで、見込み客のニーズが育成され、徐々に顧客化されていきます。やがて、どこかのタイミングで、その顧客が購買を経て、最終的にはファンになってもらうのが目的です。
発信する情報を受け取る人々のインサイトがどこにあり、何をどのように発信すると顧客化できるのか。この命題を実現させる強力な武器になりえるのがオウンドメディアなのです。
●オウンドメディアはインバウンドマーケティングの施策
もうひとつ、別の切り口からアプローチします。インバウンドマーケティングという考え方です。かいつまんでご説明すると、見込み客自らが記事やホワイトペーパー、ニュースリリース、動画などの情報を見つけ、興味を持ち、問い合わせや購買をしてもらう、という販促活動です。不特定多数に情報をばらまくのではなく、潜在顧客に見つけてもらう、というところがカギで、オウンドメディア運営もインバウンドマーケティングの施策のひとつです。
これに対し、ダイレクトメールを送付したりテレビCMでアピールしたりなど、不特定多数に企業側からプッシュするやり方は、アウトバウンドマーケティングと呼ばれ、区別されています。
運用メリットは、どこにあるのか?
誰に、どんなアプローチをして、狙いとするゴールが何か──オウンドメディアの基礎の基礎が、おおよそ把握できましたか?
この先、情報発信のやり方として、従来のように新聞広告やテレビCMを活用するのももちろんアリです。けれどもご存じの通り、費用がそれなりにかかります。また出稿をやめると売上もそれに応じて止まってしまうこともあります。しかし一度公開された質の高いオウンドメディアは、自然検索の流入が維持される確率が高く、広告を補完する役割を担えるのです。
また、「読んで面白い記事」「質が高く専門性の高い記事」を蓄積し続けることは、作り手にとってコンテンツの資産化につながります。
「資産化」についてご説明しましょう。良質なコンテンツ──「面白いモノ」「ためになるモノ」「役にたつモノetc.──は、いったん世に送り出されれば、人々の興味関心をひきつけ続けます。やがてそれらのコンテンツの存在が、毎回読んでくれる読者やファンの増加につながり、企業イメージや企業のブランド価値上昇をもたらし、顧客とのエンゲージメントを構築させます。そして最終的には継続的なユーザーとなってもらえる、という良い循環がもたらされるのです。コンテンツが企業利益をもたらす、という意味合いを「資産化」と表現しています。
<オウンドメディア運用のメリット>
・広告費が削減できる(有料広告を補完できる)
・企業のブランド価値や商品イメージをアップさせることができる
・獲得したいファンを増加させ、エンゲージメントを構築できる
・見込み客を獲得し、ロイヤルユーザーへと育成することができる
今回は、商品やサービスを展開する企業にオウンドメディアが注目される理由や運用メリットについてみてきました。質の高いコンテンツを作り続けることは苦労も多いですが、それによって得られるメリットは非常に大きいものとなります。オウンドメディアの運用で、自社の商品やサービスのファンを増やしていくように具体的な検討に入ることをおすすめします。
講談社でも「キャンペーンサイトの制作運営/コンテンツの提供」をはじめとしたオウンドメディア支援サービスを行っています。ご興味のある方はぜひお問い合わせください。