2019年11月12日(火)に開催された「講談社メディアカンファレンス 2019」。コンテンツメディアの価値再発見に繋げるべく、外部からも有識者を招いて学びのプログラムが設けられました。そのひとつして実施されたトークセッション「フォレストアドベンチャー・ターザニア ×『進撃の巨人』コラボにみる、2020年コンテンツマーケティングの可能性」を完全レポート。マンガ・キャラクターを活用して企業課題を解決した実例が、舞台裏を含めて披露されています。

トークセッション参加者
佐野直人(リソル生命の森株式会社 取締役総支配人)
菊地優斗(株式会社講談社 第三事業局 週刊少年マガジン編集部)
伊藤洋平(株式会社講談社 ライツ・メディアビジネス局 ライツ事業部 副部長)
前田亮/モデレーター・C-stationチーフエディター(株式会社講談社 ライツ・メディアビジネス局 メディアビジネス部 担当部長)

満席の会場で、スクリーンを見ながら進められたトークセッション

マンガ・キャラクターが持っている3つのパワー

前田亮(以下「前田」) 本日は、講談社の『進撃の巨人』というコンテンツを有効活用したプロモーション事例をご紹介し、2020年のコンテンツマーケティングの可能性を考察するヒントにしていただければと思っています。

はじめに、私がチーフエディターとして運営しているC-stationについて、ご説明します。

C-stationは、講談社の各事業局で実現できるサービスを集約して、クライアントさまへソリューションを提供する、コンテンツのコンシェルジュサービスです。 C-stationでご案内しているメニューには、「コラボ商品の開発」「動画の制作」「SNSマーケティングの支援」「イベントやセミナーの支援」などさまざまありますが、本日はマンガやマンガのキャラクターを活用して実施する、コラボプロモーションの実例をご紹介します。

まず、なぜマンガが販促やPRに有効なのか。やはりそこには理由があります。マンガやマンガ・キャラクターには、プロモーションに有効な課題突破力があるからです。そのおもなパワー3つからご説明します。

一つめは「訴求力」。

弊社の作品を例にあげますと、男性もので『島耕作』シリーズ4400万部、『進撃の巨人』9380万部、女性もので『カードキャプターさくら』1960万部、『セーラームーン』3610万部という具合に、どの作品も多くの方にキャラクターが認知されています。これは、クライアントの皆さまのターゲットにフィットしたキャラを起用できれば、そのプロモーションへの注目度を一気に高められるということです。

二つめは「伝達力」。

マンガは、ビジュアルとセリフで構成されています。文字だけの文章で読むよりも、ビジュアルとセリフで構成されるマンガを見るほうが、2倍、伝えたいことが伝わると言われています。マンガは、優れた情報伝達媒体です。

三つめは「共感力」。

消費者がそのマンガのファンであればあるほど、登場するキャラクターに共感を持ちます。コミックマーケットなどでコスプレをして参加したりするのも、共感が可視化された例といえます。商品やサービスが持つ特性や、商材の効用なども、キャラクターが体験したりお勧めしたりすることで、消費者は、自分事として疑似体験する。自己投影しやすいキャラクターの採用によって、ターゲットの共感を獲得しやすいという力を、マンガ・キャラクターは持っているのです。

訴求力、伝達力、共感力。これら3つの力をマンガ・キャラクターは最大限に引き出します。キャラクターマーケティングによって、ターゲットへのPR効果や販促効果をアップさせられる。つまり、キャラクターマーケティングには突破力がある、ということです。

そしてここから、本日の本編となるトークセッションとなります。まずはこの動画をご覧ください。

ついに夢のコラボが実現! フォレストアドベンチャー・ターザニア×進撃の巨人

『進撃の巨人』への熱い思いから実現したコラボ

前田 ご覧いただいたのは、2019年の9月5日にスタートした「フォレストアドベンチャー・ターザニア × 進撃の巨人」のコラボキャンペーンのPR動画です。このコラボ案件が実現したきっかけから現在までを、リソル生命の森 取締役総支配人の佐野直人さんにお聞きします。

まずリソル生命の森という会社と、その中にあるアドベンチャー施設ターザニアについて教えてください。

佐野直人氏(以下「佐野」) リソル生命の森は、千葉県の長生郡長柄町にある総合リゾート施設です。ホテルやゴルフ場などを全国で展開するリソルグループのひとつで、グループのランドマーク施設としても位置付けられています。2019年に創業50周年を迎え、2020年には大規模リニューアルを計画しています。

私は運営責任者としての役割のほか、広大な敷地の中にある施設やコンテンツに付加価値を付け、いろんなイベントを企画する仕事をしています。

前田 フォレストアドベンチャー・ターザニアは、そのリソル生命の森内にあるアドベンチャー施設ですね。このターザニアでコラボが実現したわけですが、具体的にはどのような施策を実施されたのでしょうか。

佐野 フォレストアドベンチャーという施設は、自然の森を生かした環境でアスレチックを楽しんでいただくアトラクションです。『進撃の巨人』のキャラクターをこのアトラクションのいたる所に配置し、お客さまに新しい体験、楽しい体験をしていただくこと。それから、『進撃の巨人』とのコラボグッズを作成して、ご来場いただいた方に楽しい体験を思い出として持ち帰っていただくこと。この2つが今回の施策ですね。

前田 コラボを実現させるに当たり、御社が抱えていた課題を教えていただけますか。

佐野 はい。課題は2点ありました。

まず1点が、話題性と独自性が不足していたことです。アトラクション自体の完成度は高いと自負しており、マイナーチェンジも繰り返していたのですが、あまり大きな話題にはなっておりませんでした。フォレストアドベンチャーは全国に30ヵ所以上あり、その中でのターザニアの独自性があまり認知されてないという課題がありました。

もう1点は、来場者不足と稼働率が伸び悩んでいたことです。以前、外部の会社に運営を委託していましたが、1年半ほど前から直営になったこともあり、損益数字など細かい部分を見てみたんです。立地がいい割に稼働率があまり高くなく、単なるアスレチックではなく何かプラスの付加価値を付けて、新しい顧客を集める必要がありました。

前田 ターザニアとしての知名度や、稼働率のアップ。あとは、その新規来場者の集客ということですね。では、その課題の解決がどのように『進撃の巨人』のコラボと結びついたのでしょうか。

佐野 4年前、私がグループの別の部署から異動して初めてこのアスレチック施設を見たときに、いつかこのコラボを実現させたいという強い、個人的な思いを抱きました。ターザニアでは木の上をスライドして進んだり、ハーネスという安全器具を付けて木の上を移動してもらうのですが、その機械が『進撃の巨人』の作中に出てくる立体機動装置に似ていて、これはコラボして体験してもらったら面白いのでは、と思ったんです。私が昔から『進撃の巨人』のファンだった、ということもあるんですけれども(笑)。

前田 このコラボが実現すれば課題解決につながる、という勝算はあったのでしょうか。

佐野 大ヒット作とのコラボなので、話題性は抜群です。独自性という意味でも他のアスレチックではやってない試みでしたので、勝算はありました。それから『進撃の巨人』のコアなファン層の方が来てくれるようになれば、今までにない客層の新規顧客を獲得できるという思いもありました。

前田 佐野さんご自身がコラボへの強い思いをお持ちで、今おっしゃった勝算も想定して実現されたというわけですね。御社内での受け止められ方はどうだったのでしょうか。

佐野 従業員の中には『進撃の巨人』の愛読者が何人もいて、ぜひ実現したいという声はかなり上がりました。ただ経験がないので、やりたくても実現するノウハウがなく困っていたのも事実です。

C-stationへの問い合わせがきっかけに

前田 さてここで、リソル生命の森の皆さんの熱い思いを実現するため、ご担当の方がどのような行動をされたのか。

実は、2018年10月3日にC-station の問い合わせ窓口にメールでコラボ希望のご連絡をいただいたのが始まりです。ライセンス契約を扱う弊社ライツ事業部の伊藤に、当時のことをちょっと振り返ってもらいたいと思います。伊藤さん、この第一報を確認したときにどんなことを思われましたか。

写真左から菊地優斗(週刊少年マガジン編集部)、伊藤洋平(ライツ事業部)、
佐野直人さん(リソル生命の森株式会社 取締役総支配人)、
前田亮(C-stationチーフエディター)

伊藤洋平(以下「伊藤」) 実はターザニアのことは存じ上げなくて、すぐに検索しました。そのときに、遊びに行った方のTwitterで、ターザニアが『進撃の巨人』の森みたいだ、とツイートされていたんです。ターザニアの写真も付いていて作品の世界観とも合っていました。詳細な企画書をいただく前でしたが、いいコラボができるんじゃないかなって思いましたね。

前田 ライツ事業部を利用するときの流れを簡単に教えていただけますか。

ライツ利用にあたっての業務フロー

伊藤 講談社のライツ事業部では、何をやりたいのかという企画内容と、経済条件の部分を、まず確認させていただきます。そのあたりがある程度固まったところで、編集部に確認をとります。今回は『進撃の巨人』のアニメーションを利用するということだったので、製作委員会にも確認をとりました。それで問題がなければ、契約を交わす流れになります。

今回は代理店さんを挟まずに直接、講談社と契約をしたい、ということでご提案をいただきました。コンテンツを使うことに慣れていない方でも、僕らのほうからこういう確認が必要ですよとか、こういうことを詰めてくださいね、みたいなやりとりをしながら企画の詳細を固めていくので、代理店さんを挟まなくても問題はありません。

前田 例えば『進撃の巨人』の場合だと、これまでにもいくつかコラボレーションをしているわけじゃないですか。それらと今回の案件で、何か違いはありましたか。

伊藤 そうですね。ターザニアとのコラボは場所が森の中になるので、そこにキャラクターや巨人のパネルを置くことで、実際の作品の世界観の中に入ったような体験ができるという点が、これまではまったくなかったところです。

会場のいたるところに進撃のキャラが潜む

前田 では次に、編集部の菊地さんにお聞きします。『進撃の巨人』といえば大ヒット作品ですので、ライセンス契約のアプローチは数多くあると思いますが、今回のコラボオファーに関してはどのようにお考えになりましたか。

菊地優斗(以下「菊地」)最初に思ったのは、『進撃の巨人』という作品と非常に相性のいい施設だなということです。というのも、『進撃の巨人』では森の中で戦ったり、立体機動という特殊な装置を使って木と木の間を飛び回ったりするような描写がたくさん出てきます。それを疑似体験できるようなイベントってこれまでやったことがなかったので、これはいい企画だなと編集部で話していました。

前田 今回の案件に限らず、『進撃の巨人』やそのキャラクターとのコラボオファーに関して、担当の編集者としてはどういう思いがありますか。

菊地 いちばん大きなことは、すでに『進撃の巨人』を読んでいる読者に楽しんでもらえるかということです。楽しむにもいくつか種類があって、好きなキャラクターが出てくる商品を買う、アニメを見る、マンガを読む、などがあると思います。今回の企画に関して言うと、誌面や画面を通してではなく、キャラクターに実際に会えるという没入感を楽しんでもらえますよね。作品をより身近に感じてもらえるチャンスなのかなと思いました。

前田 著者の意向の確認も、担当編集者の大事な役割だと思います。今回のコラボオファーに関して、諫山先生はどのようにおっしゃっていましたか。

菊地 諫山先生はコラボがあったときに、一つ一つの企画に対して細かく言うというスタンスではなく、基本的に担当者やコラボ相手がどのぐらい『進撃の巨人』のことを愛してくれているか、という熱意を気にされています。今回で言うと、佐野さんやスタッフ自身が読者で、そういう人たちがもっとこうやったらいいんじゃないかと考えることが、いちばん面白くて、読者のためにもなるだろうと。

契約を交わして以降、イベント開催まで

前田 ありがとうございます。では佐野さん、次に、コラボが決まってからターザニア内でどのように動きがあったのか、教えていただけますか。

佐野 はい。まずは社内でプロジェクトを立ち上げました。通常このような大きなイベントのときは、会社の幹部クラスの人間がチームを組んでプロジェクトを進めるのですが、今回は社内の若手、かつ『進撃の巨人』愛の強いスタッフの中から精鋭を集めて、企画か何から考えてもらいました。いざ実現となるとやはり大変だと思うのですが、そこに愛があればきっと乗り越えられるし、その熱意がお客さんに伝わるかなと考えました。

前田 なるほど。プロジェクトへの愛ですね。講談社とコンタクトされた時点で、こういうことをやりたいという構想は、すでに固まっていたのでしょうか。

佐野 そうですね。お恥ずかしい話、コラボ企画を持ち込むのは初めてだったので、実際に実現した企画の倍ぐらいの内容を持って講談社に行ったのを覚えています(笑)。かなり細かいところにもこだわって、初めに流していただいた動画も、イベントのロゴも、全部弊社の社員が自前でどこにも外注せずに作っています。

前田 このコラボに関わった社内の方は、何名いらっしゃったんですか。

佐野 私を除いて8人ですね。社内にイベントを運営する部署もあるんですけど、今回はそこからは1人か2人ぐらいで、そのほかはイラストを起こせるスポーツインストラクターとか、施設内にあるゴルフ場のフロントの女性スタッフとか、部署を越えてとにかく情熱を持った8人を集めました。

前田 皆さまのほうで決められたのは、具体的にはどんなことがありますか。

佐野 どういうコンセプトで、どういうストーリーでこのアトラクションを進んでいくかとか、パーク内のどこにどのキャラクターを配置するかとか、グッズの販売に関しても。すべて自分たちで決めていきました。

前田 何がいちばん大変でしたか。

佐野 全部大変だったんですけど、慣れないグッズの制作がいちばん大変だったのを覚えています。とにかく初めての経験で、何を作るかどういうものが売れるのかを、時には夜中まで熱い議論を交わしましたね。構想が固まった後も、サンプル取り寄せて微調整しながら行ったり来たりやりとりしていました。

こだわりぬいたコラボグッズの数々

前田 そのお話をうかがうと、まさに様子が思い浮かびますね。コラボ案件でのものづくりに関して、何か決まり事みたいなものはあるのでしょうか。伊藤さんにお聞きします。

伊藤 どういうものを作りたいかという企画内容と、デザイン、その後でき上がってきたサンプル。この3段階は必ず監修をさせていただいています。

前田 このようなコラボのときに、作品中に登場するキャラクターはすべて使用できるんですか。

伊藤 基本的にはすべて使用できますが、『進撃の巨人』の場合だと、そのキャラクターを使用することでネタバレしないかということは気にかけています。作品を読んで知るのではなくコラボで知ってしまう、ということは避けたいからですね。

初日の様子とコラボレーションの成果

前田 それでは、実際にイベントが始まったときのことについて、佐野さんにお聞きします。オープン初日の様子はいかがでしたか。

佐野 初日は遠方からたくさんのお客さまに来ていただいて、本当にうれしかったです。

キャラクターパネルの前で「心臓を捧げよ」のポーズ

佐野 お客さんが入る5分前まで『心臓を捧げよ』というポーズがあるんですけど、その角度までみんなで統一しようということで練習していました(笑)。

たくさんのお客さんと話す機会があり、メインパネルの前で一緒に写真も撮りました。お客さんとコミュニケーションがとれたことが、今までの企画にはなかったことです。当然ですが、ファンの方は本当に『進撃の巨人』のこと好きなんだなと感じました。あと、いちばん大変だったグッズも、大変好評をいただきました。モチベーションの上がる初日でしたよ。

前田 菊地さんにお聞きします。今回のケースは、単行本のなかで認識される『進撃の巨人』ではなく、派生するクリエイティブですよね。キャラクターが作品を飛び出して、さまざまなシーンで世の中へ影響を与えることに関して、どのように思われますか。

菊地 読者以外の『進撃の巨人』知らない人の目にキャラクターが触れる機会が増えることは、編集部としてはとてもうれしいです。

『進撃の巨人』って、どうしてもちょっとダークな世界観だったり、人がいっぱい死んじゃったり、ちょっと怖いイメージが世間一般にあると思うんです。コラボによってキャラクターへの認知が広まって、読んだことはないけど『進撃の巨人』のキャラは知っている、みたいな人がどんどん増えていって、いつか読者になってくれるかもしれない。国民的キャラクターになってくれたらいいなと思っているので、作品を飛び出すっていうことについては、編集部としてすごくポジティブに捉えています。

前田 ありがとうございます。9月の上旬にこのコラボがスタートしたわけですけれども、その数日後に、台風15号の襲来がありました。被害状況はいかがだったのでしょうか。

佐野 はい、実はオープンから5日目に台風が到来して、アトラクションの支柱になる大木が20~30本倒れてしまい、ほぼほぼ壊滅状態という厳しい状況に追い込まれました。

ただ、今回の企画はどうしてもやりたかったことだったので、他の部署も含む全従業員で森林整備をかけて、外部の専門家も呼んで、何とか復旧作業を続けておりました。

前田 台風でいったんアトラクションの運営がストップされたわけですけれども、そのとき、ライツの伊藤とはどのような形で情報共有をされましたか。

佐野 すぐに被害状況をお伝えして、ちょっと厳しい状況かもしれませんと......。そんな中でご厚意をいただいて、本来は12月1日までの予定だったんですけど、快く1月の正月明けまで無条件で期間を延長、という言葉をいただきました。本当にありがとうございました。

前田 伊藤さん、自然災害時のこのような対応というのは、ライツ事業部ではよくあることなんでしょうか。

伊藤 いいえ、僕が経験した中では初めてでした。延長したいですっていうのを佐野さんから連絡いただいて、すぐに編集部と製作委員会に連絡をしたわけですが、もう皆さん即答で、もちろんですと。

それよりも、停電が続いている中、佐野さんから「パネルは避難させていたので1個も壊れていませんでした」と連絡をいただいて、むしろありがたいなって思いました。

前田 佐野さんの熱い思いからコラボが実現し、実現したと思いきや台風で被害を受けてという状況でしたが、その後再開されたのですよね。

佐野 はい。おかげさまで10月26日から復活することができました。いちばんうれしかったのは、復旧期間中にSNSでたくさんの「頑張ってください」「再開、楽しみにしてます」などのメッセージをくれた『進撃の巨人』のファンの皆さんの存在です。スタッフ一同、そのメッセージに励まされて毎日作業をしていました。

前田 そうでしたか。やはりファンの存在は、本当にありがたいですね。では最後に、来場されたお客さまの属性に関して、それまでの通常営業と比べて変化や特徴的なことがあれば教えていただけますか。

オリジナルメニューを展開するカフェも設営された

佐野 はい。トップシーズンの夏は当然稼働率が高いのですが、通常秋になると、平日で約30パーセント、土日で70~80パーセントぐらいという稼働状況でした。台風による中断から再開してまだ間もないため受注ベースにはなってしまいますが、イベントが始まってからは平日で10パーセント強ぐらい稼働が増えています。土日はほぼ満員です。イベントの単価自体も上がっていますので、まずまずの成績かなと思っています。

属性的には、今まで少なかった20~30代の女性グループの方、時には女性お一人さまという方もたくさん来場いただき、この層からのSNSでの拡散も増えています。

グッズ販売については想定以上に好調で、再開してから平日で、1日、客単価が1万を超えるという日もあります。1月のイベント終了までまだ日にちがあるので、これからが楽しみですね。フードについては、やや種類が少なく、もう一工夫が必要かなという印象なので、社内でさらに議論をしている状況です。

前田 佐野さん、ありがとうございます。ターザニアと『進撃の巨人』のコラボを題材にした、キャラクターマーケティングの突破力に関しての実例紹介は、以上となります。

これからのコンテンツマーケティング

前田 それでは最後に、これからのビジネス、これからのコンテンツマーケティングの可能性についてまとめます。

講談社が始めたC-stationの取り組みから、今回のコラボが実現することとなったのですが、そこには3つのポイントがありました。

一つめは、「新たな意味を持った商談ルートである」ということです。

今回のコラボは、リソル生命の森さまからのファーストアプローチがC-stationへの問い合わせでした。成約に至る取っ掛かりが、旧知の代理店さまや、クライアントさまからの電話、対面の打ち合わせではなく、C-stationへの一報だったというのがポイントです。

このオンラインによる商談ルートの特徴は、時間空間を越えられること。どなたでも直接講談社とつながることができる。つまり、クライアントさまが考えた新鮮なアイデアを、いつでもどこからでも講談社にダイレクトに投げかけることができるわけです。この意味合いは非常に大きいと認識しています。

二つめは、「ビジネスにおける新たな出会いが生まれる」ということ。

今回の案件は、これまでの弊社の営業ルート上では把握できなかったまったく新しい商流であり、クライアントさまです。また、これまで取引させていただいているクライアントさまでも、別部署の方とC-stationを通じて、新たなコミュニケーションできるということも分かりました。これも今後につながる収穫と考えております。

三つめは、「多様なニーズに対して、きめ細かな対応ができる」ということです。

首都圏や関西圏ではないローカルエリアからのお問い合わせや、予算事情がさほど潤沢ではない場合など、アプローチされる内容もさまざまです。例をあげると、C-station経由でとある地域のスーパーから、マンガ・キャラクターを使った店頭プロモーションをしたいという依頼があり、契約としては少額でしたが、店頭の活性化につながり売り上げに貢献したという実績があります。

キャラクターマーケティングといえば、大規模な予算や全国での展開などがイメージされますが、それだけではない多様なニーズや現場に対応できる体制を、C-station によってつくることができました。

これら三つのポイントから、C-stationがキャラクターマーケティングの新たな可能性を発掘できたのではないかと考えています。

講談社は、事業理念として、あらゆる人たちにエンターテインメントの楽しさを感じていただきたい、そのような場所を少しでも広げていきたいということを掲げています。C-stationの取り組みもこの理念に根ざしています。規模の大小、都市部か地方か、実施内容に制限はなく、あらゆるクライアントさまにビジネスチャンスがあり、それがユーザーさまの喜びにつながるように、これからもいっそう、運営を強化していきたいと考えております。

本日はご清聴ありがとうございました。

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