「面白い」「ためになる」と感じるコンテンツで、新たなファン獲得!
ここ数年、「コンテンツマーケティング」というキーワードが、Webマーケティングの潮流として注目されています。そもそもどんなアプローチ法なのか、実施することで得られるものが何なのか、からお伝えしましょう。
コンテンツマーケティングとは、疑問や関心を持っている消費者が、その解決に関連するさまざまな情報を入手しようとしたときに、「面白い」「ためになる」「楽しい」と思えるコンテンツを提供することで、彼らの関心を惹きつけ、最終的に自社商品やサービスへの顧客化、ファン化を促すアプローチです。
プッシュしたい商品やサービスについて、先ほどの視点──「面白い」「ためになる」「役立つ」「楽しい」と思わせるコンテンツを継続的に制作、発信します。これにより潜在層には長期的なアプローチができる、顕在層には購買に至るアプローチを行うことができるなど、新たなファンも含め将来的に自社のロイヤルユーザーとなりえる層を囲い込むことができるのです。
従来の広告とは異なるこの新しいコミュニケーション戦略は、広告を補完する、という観点からも注目されています。今からトライしてみようと考えている皆さんに向けて、最初に何に着手すべきか、ポイントを3つに絞ってご紹介します。
【1】ペルソナを定め、カスタマージャーニーマップを作成する
コンテンツマーケティングを実践する場合、まず自社の商品・サービスの利用層の分析、またアプローチしたい層を分析し、明確にする必要があります。そしてこの「興味を持ってもらうお客さまを定める=ターゲット設定」に関しては、マーケティング業界において「ペルソナ」という概念が広く普及しています。
ペルソナとは、元々はラテン語で、仮面、あるいは人格を意味します。そこから転じて、商品やサービスを利用する「架空の人物像」「象徴的な顧客像」という意味で使われています。
ペルソナを設定することで、たとえば、顧客の具体的なニーズを把握しやすくなったり、ユーザーの目線で判断を下しやすくなったりします。ペルソナに盛り込まれる代表的なプロフィール要素を上げてみましょう。
・性別
・年齢
・独身/既婚
・在住場所
・性格
・職業/収入
・趣味嗜好
プロフィールはできるかぎり細かく設定して、ペルソナが一人の人間像として、はっきりと浮かび上がるようにすることが重要です。
ペルソナ設定ののち、そのペルソナが求めるものを見極める方法として、一般的には「カスタマージャーニーマップ」という資料が作成されます。
「カスタマージャーニー」とは、御社の商品が、見つけられ、選ばれ、購入されるまでの態度変容──たとえば、どこで商品を知り、なぜその商品に惹かれ、いつ商品購入を決意したのか──という一連の流れを指します。そして、そのペルソナの考え方や行動を、時間軸にそってまとめた「カスタマージャーニーマップ」が作成されることにより、この件に関わる関係者全体が、このマップをベースにスムースに認識共有できる、ということになります。
カスタマージャーニーマップは、通常、ペルソナが商品やサービスなどに対して、以下の各段階をどのように踏むのかが想定され、可視化されています。
・いつどこで認知したか
・いつどこで関心を持ったのか
・比較検討はしたのか
・意思決定のタイミングはどこなのか
・その時の感情はポジティブなのかネガティブなのか
カスタマージャーニーマップで購入までのプロセスを客観的に把握することにより、ペルソナの購買行動が明らかとなります。
【2】ユーザーが求めるコンテンツ、役に立つと思うコンテンツを!
【1】のプロセスによりターゲットが定まったら、次にそれらをベースに制作するコンテンツの方向性を定めます。このベクトルはマーケティングの成果に直結しますから、慎重に検討を重ねると良いでしょう。
コンテンツの方向性を定める際に最も重要なのは、ペルソナにとってニーズがあるコンテンツをブラッシュアップしていくことです。せっかく制作したコンテンツが「ペルソナが面白くて役に立つと思うこと」「ペルソナが比較検討したい内容」になっていなければ、それは意味をなしません。彼らに有益な情報が何かを見極め、自然なかたちでコンテンツに落とし込み、継続的に発信する。この繰り返しでコンテンツ自体の質、Webサイト自体の質も自然とペルソナに寄り添ったものへ仕上がっていきます。
良質なコンテンツを作成したのち、大事になるのが「そのコンテンツが閲覧される」こと。そこで重要になってくるのが、コンテンツを見つけてもらうためのSEO対策です。
SEO対策とは、ネット検索において上位表示されることを目的とし、適切なキーワードを選定したり、タグを適切に使用したりするWebマーケティングの施策です。
SEO対策で適切なキーワードを調べる方法として、一般的には以下のようなツールが使われています。
・Googleキーワードプランナー
https://ads.google.com/intl/ja_jp/home/tools/keyword-planner/
・goodkeyword
https://goodkeyword.net/
これらのツールを利用することによって、キーワードに関連したワードをリストアップできます。この「キーワードに関連したワード(共起語)」をキーワードとともにコンテンツに盛り込むことで、検索順位の上昇が期待できます。
近年、グーグル検索においては「アルゴリズムのアップデート」が定期的に行われ、それまで検索順位が上位であっても、突然、検索順位が大幅に下がってしまう事例も見られました。けれども、ペルソナの疑問や不安などに対して適切な答えとなっている良質なコンテンツについては、検索順位が下がりにくい状況となっています。
コンテンツの作成においては、サイト訪問者の立場で、彼らの疑問解決となる内容、理解しやすい内容を心掛けることが大切です。
なお、これらのさまざまな施策を実施する大前提として、このマーケティング戦略で成果を上げるためには、明確な目的とKPIの設定が不可欠です。そのマーケ施策の目的は、売上アップなのか、会員獲得なのか、ブランド認知なのか、コンバージョン向上なのか──設定された目的により、とるべきコンテンツ施策も、指標となるKPIも当然変わってきます。
以下は、KPIの指標として設定されることが多い項目です。
・PV数
・UU数
・セッション数
・滞在時間
・新規会員数
・記事の本数
・問合せ数
これらのうち、どの項目を重視して日々のPDCAを回すのかを、事前に策定しておく必要があります。
【3】コンテンツ制作時のマニュアルを作成・共有
質にこだわったコンテンツを制作する場合、制作体制にも留意する必要があります。いつ誰が作成しても、一定のクオリティが維持・継続される必要があるということです。クオリティを一定に保つためには、記事の制作に関するガイドライン、いわゆる「マニュアル」を作成・共有することも欠かせないポイントです。
「コンテンツ作成マニュアル」があれば、たとえ書き手が変わっても、継続的に良質なコンテンツを作成することができ、また、属人化を防ぐという意味でリスクヘッジにもなります。コンテンツ作成が内製であれ外注であれ、スピード感をもって業務の引き継ぎが可能となります。
ペルソナに関するディテール、コンテンツの構成要素、重要視するキーワード、記事のテイスト、NGワードなどは、マニュアルに蓄積、共有するとよいでしょう。
また、記事制作に関するマニュアル以外にも、チェックフローに関するマニュアルや、チェック作業を行うための管理シートなども作成・共有することで、より効率的な制作体制を構築できます。
地道な取り組みが、半年後1年後の成果に!
コンテンツマーケティングに取り組むにあたって、ポイントをおさらいします。コンテンツ制作以前の「ペルソナとカスタマージャーニーマップの設定」、制作にあたっての「コンテンツの方向性」、クオリティ担保のための「記事制作に関するマニュアルの作成・共有」となります。
コンテンツマーケティングは、即座に成果が判明するリスティング広告などと違い、地道に腰を据えて取り組むことが半年後、1年後の成果に繋がります。継続は力なり。一歩一歩積み重ねていきましょう。