マンガ・ファンマーケティング・データドリブンによって
課題解決をめざす「マーケティング情報コンシェルジュサイト」
「ペルソナを可視化」だけじゃない! 見えた、"効果"と"可能性"
発売からわずか1ヵ月で100万ケースを突破した「サッポロ GOLD STAR(ゴールドスター)」。サッポロビール株式会社はプロモーションにおいて、実際の行動データから紐付けられた消費者のペルソナをつかむことで、新規顧客の獲得を目指しています。そんな同社が着目したのが、講談社プレミアムメディアへの広告配信を通して詳細なデータ分析が行える「OTAKAD(オタカド)」でした。
サッポロビール株式会社 マーケティング本部 シニアメディアプランニングマネージャー 福吉敬さんと、マーケティング本部 コミュニケーション開発部 マーケティングリサーチグループ 堀内亜依さんのお2人に「OTAKADとの連携によって見えた、効果と可能性」について、お聞きました。
●課題1 訴求力の向上
バナー広告や純広告は商品購入につながりにくい。
●課題2 データから具体的な消費者像が見えない
タイアップ広告は、PVは見えるが、その先の「どんな人が見ているのか」というユーザー像を思い浮かべにくい。また、自社サイトを訪れた人の趣味嗜好が分からない。
●課題3 新規顧客の開拓
まだ見ぬ新しい顧客を獲得したい。
サッポロビール株式会社は、データマーケティングに力を入れている企業です。自社データを統合・管理する「CDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)」では、オンライン、オフライン問わず、同社の企業活動に触れた消費者のデータを収集。そのなかでも、特定のブランドに関するアクションがあるユーザーだけを集めた"ブランドランク"というものを作り、行動によってスコアリング(愛着度)を実施しています。
しかし、「そこには課題もありました」と堀内さんは言います。
「たとえば、『黒ラベル』ファンであれば、『黒ラベル』に関しての購入履歴やサイト閲覧は分かるのですが、それ以外の行動はまったく分かりません。黒ラベル以外のどんなことに興味があって、どんな行動をするのかといったお客様のペルソナとはほど遠いところにいるため、外部データとの連携でお客様理解を深めることは喫緊の課題でした」(堀内さん)
今回OTAKADとの連携を決めた理由について、福吉さんはこう話します。
「OTAKADでは、『ビジネスマン』『酒好きグルメマン』といったジャンル分けはもちろん、具体的にどのようなコンテンツを好み、どんな記事を読んでいるかまで分かるのは魅力に感じました。今、当社が想定しているペルソナは、完全に"こんな人だったらいいな"という仮説なんです。しかしそこに、実際の行動データから紐付けられたデータを組み合わせることができれば、仮想のペルソナの精度は向上します。そうなれば、今後のマーケティングにも厚みが出てくると思い、コラボを決めました」
「詳細なデータを得ることで、マーケティングの精度は増す」と話す福吉さん
具体的には、2020年2月に新発売した「サッポロ GOLD STAR」のタイアップ記事広告をターゲットが合致する現代ビジネスで展開。「冷蔵庫にお気に入りの350ml缶を常備する」という、ビール党のコラムニスト・山田五郎氏と、「GOLD STAR」のブランドマネージャー野並祐介氏との対談による記事広告を掲載し、OTAKADを利用して多くのリーチを獲得しました。
この成果は、『現代ビジネス』というメディアのブランド力と、OTAKADの相乗効果によって生まれたものです。
『現代ビジネス』でタイアップをした「サッポロ GOLD STAR」の対談記事
「『現代ビジネス』とタイアップしたのは、「サッポロ GOLD STAR」のような新商品の購入者がビジネス層だからです。働き盛りのビジネスパーソンが注目するのは、"元気のあるブランド"です。山田さんのような第三者の視点で語っていただくことで、より真実味を持たせることを意識しました」(福吉さん)
加えて、『現代ビジネス』の持つユーザー層とのマッチング力のほか、「記事がきちんと読まれる」という講談社メディア全般に共通するコンテンツ力の高さも魅力的に感じたといいます。
新ジャンルの販売は、お客様理解がカギとなります。2人は、お客様の行動傾向についてこう分析します。
「どれも一緒だと思っている方は、その時店頭でいちばん安い商品を購入されますが、"商品愛が深い"お客様は、その商品を探して購入くださる。選んでいただくためには、最低限、商品がどんなものか知ってもらうことが大切です」(福吉さん)
「ブランドのエンゲージメントが低いと、いつもの店に「サッポロ GOLD STAR」がなければ、ほかのブランドを買いますよね。でも、「サッポロ GOLD STAR」が飲みたいと思ってくださる方は、コンビニになければスーパーに行こう、と思ってくださるんです」(堀内さん)
「ブランドのエンゲージメントを高めるためには、お客様を知ることが大切」と語る堀内さん
お客様の行動変容は、これまでの「PV至上主義」のやり方では把握できないという福吉さん。OTAKADを使ったタイアップを実施したことで、「お客様のペルソナが見えてきたことは大きな成果」と語ります。
バナー広告や純広告にない「訴求力」を、タイアップ記事によって向上させるためのポイントについて、福吉さんは以下のように説明しています。
「自分の納得の上で動機付けして自分ゴト化できないと指名購買につながらない。そのためには、商品理解を深めてもらうことが重要です。そのために当社では、<物語の中に商品を置く>というパターンと、<きちんと商品を説明する>2種類のコンテンツがあるのですが、今回のタイアップ記事では<きちんと理解していただく>ことに主眼を置いて記事を作っていただきました」(福吉さん)
タイアップ記事は「読まれるコンテンツ」である必要があります。それについて、堀内さんは今回タイアップを実施した講談社プレミアムメディア『現代ビジネス』で記事を掲載する効果について、次のように述べています。
「現代ビジネスへの掲載ということで、さらっと読み飛ばすのではなく、しっかり読んでくださった方が多かったと思います。帰宅途中に読んで、コンビニで『サッポロ GOLD STAR』を買って帰るという行動につながったケースも多かったとみています」(堀内さん)
では、ここからデータに基づき、クライアントサイトにもたらした影響について説明していきます。
「しっかりと読まれる」タイアップ記事
「なんとなく、タイアップ記事は訴求力が高い」というイメージをお持ちの方は多いのではないでしょうか。OTAKADでは、実際の数値から、その心証を実証に変えることが可能です。
以下は、OTAKADで収集した、クライアントサイトでの「スクロール深度(どこまで読んでいるか)」を表したグラフです。
OTAKADで収集した、クライアントサイトでの「スクロール深度」を表した図
縦軸の数値が高ければ高いほど、クライアントサイトを見るときによりスクロールし、より多くの情報を手に入れていることを意味しています。
グラフにある棒グラフの左側はタイアップ記事に触れていないユーザーのクライアントサイトでのスクロール深度を表し、右側はタイアップ記事を読了したユーザーのデータです。
この図から、クライアントサイトの平均スクロール率は、タイアップ記事読了後のほうが平均25%増加していることがわかりました。
スクロール深度を通して、「タイアップ記事が "読まれた" からクライアントサイトに興味を持った」と判断することができるでしょう。さらにOTAKADでは、記事を閲覧したユーザーの、詳細なユーザー像(ペルソナ)も可視化可能です。
増加するクライアントページへの流入
OTAKADでは、タイアップ記事を通じて、いかにクライアントページ(商品サイト)に誘導できたかも明らかにすることができます。
商品サイトでは、商品の購入リンクが貼られており、滞在時間が長ければ長いほど、購買行動につながる可能性が大きくなる傾向にあります。つまり、ページの滞在時間は、購買と密接な関係があるわけです。今回、タイアップ記事を経由した、商品サイトのユーザー滞在時間は以下です。
このグラフから、タイアップ記事経由でクライアントの自社サイトに送客したユーザーの方が、滞在時間が大幅に長くなったことが確認できます。これは、タイアップ記事を通して、ユーザーのブランド理解が深まった結果だと推測できます。なお平均では、平均滞在時間は25%も増加しました。
OTAKADは、サッポロビールの抱く訴求力の不足という課題に対して、タイアップ記事を効果測定することで、「解決策としてタイアップ記事が有効であること」を示しました。
OTAKADではさらに、タイアップ記事によって、「どれくらい訴求力が変化しているか」「ユーザーに実際どのような影響が出ているか」を、データによって確認(効果を見える化)することができます。
今回の事例では、OTAKADを利用してタイアップ記事へ送客することによって、どういったデータ計測ができ、どんなユーザー像が見えてきたのでしょうか。
OTAKADを利用した、講談社プレミアムメディアへの「広告配信」フロー
データ1.講談社プレミアムメディア内でのトラフィック
まず1つ目のデータとして、「タイアップ記事のほかに、ユーザーはどんな記事を読んでいるのか」を知ることができます。講談社プレミアムメディア内で読まれた記事をリストアップすることで、ユーザーの興味関心の傾向を掴むための大きなヒントとなるデータです。
講談社プレミアムメディア(11媒体)
「今回の結果では、講談社のマンガ雑誌を読んでいる人や、サッカー総合サイト『ゲキサカ』やプロレス関連の記事を見ているなど、スポーツとの親和性の高いユーザーが多くいました。知りたかった"ペルソナ"が見えたことは、今後につながる大きな一歩になりました」と福吉さんは、今まで課題だった「ユーザーの見える化」問題の解決につながったと話します。
データ2.セグメントによって可視化されるユーザー像
2つ目のデータとして、「OTAKADセグメントごとに、どのような動きがみられたのか」を計測できます。実際のデータの一部が以下のグラフです。タイアップ記事読了後にゴールドスターサイトへ遷移し、そこでアクションを起こしたユーザーを「セグメントごと」に表しています。
タイアップ記事への誘導としてOTAKADを用いたバナー配信をする際、あえてノンターゲティングで行いました。その結果、「上昇志向ハイブランドガール」と「手堅い系インドアガール」といった女性をメインとしたセグメントが上位に来ています。はじめに想定していた、主に男性によって構成されているユーザー像とは異なり、女性ユーザーの反応が目立ったという新しい発見がありました。
堀内さんも「お客様とコンテンツを通してコミュニケーションを取る際に重要なのは、『こういう行動や嗜好を持つ人たちとこのブランドは親和性が高い』という枠組みを知ることだと思います。そのヒントを得ることができたことは有益だったと感じています」と語ります。
時間によって変化するタイアップ記事
OTAKADのユーザーセグメント機能を使うことで、いままで見えなかったユーザー像を可視化することが可能です。
OTAKADの基本セグメントの一部
ユーザーセグメント機能について、福吉さんは以下のように話します。
「自社データとOTAKADで得たデータを連携できれば、これまで仮説だったペルソナが可視化され、より精度の高いマーケティングが可能になると考えています」
さらに堀内はこうも言います。
「今後、データの可視化のところが実施後まで中長期的に追って見えると、さらに価値があがると思います。1回きりでなく、継続して続けられると、さまざまなデータが蓄積でき、活用の幅も広がりそうです」
ここで堀内さんが述べていた「1回きりでなく継続していく効果」について、OTAKADのデータを用いて説明していきます。
以下のデータは、今回のタイアップ記事閲覧からクライアントサイト訪問までの日数を表しているものです。「0日」というのはタイアップ記事を読んだその日のうちに、クライアントサイトを訪れたユーザー数を表しています。
タイアップ記事閲覧からクライアントサイト訪問までの日数
このデータから、タイアップ記事を閲覧し、同日中にクライアントサイトを訪れたユーザーが、圧倒的に多いことがわかります。同時に注目すべきは、日数が増えるにつれ、訪問数が徐々に一定量になってくることです。つまり、2ヶ月の間、クライアントサイトの訪問ユーザー数は毎日蓄積されていると言えます。
タイアップ記事は公開後に、そのまま放置される傾向にありますが、タイアップ記事を時期に合わせて再公開するといった施策も有効と考えることもできそうです。
ここまでは実際のデータに沿って、OTAKADの活用法について説明してきました。上記の使い方以外にも、発展し続けるOTAKADにはさらなる可能性があります。
ユーザーの記事傾向分析(コンバージョンしたユーザーはどのようなコンテンツを読んでいるか)やクライアントの要望に合わせて新たなセグメントの作成といった機能もあります。これによって、マッチングの精度も向上し、「広告の質は向上」すると言えます。福吉さんは「質を重視したい」と言い、その理由を次のように述べました。
「サッポロビールとしては、量より質を問いたい。となると、リターゲティング広告のようなマス的なものではなく、OTAKADのように効果が可視化され、さらに取り組みを通して、"新たなデータ""新たな可能性"に出会える方が有意義であると感じています。データは取ることも重要ですが、どう使うかはもっと大切です。今後もデータマーケティグを加速させ、お客様にとって気持ちのいいコミュニケーションを返していくことで、お客様との関係を深めていきたいです」
「データ活用によって、お客様にとって気持ちのいいコミュニケーションを展開していきたい」と語る2人
今回、タイアップ記事とOTAKADを組み合わせることによって、これまで把握できなかったユーザー像が可視化でき、今後のプロモーションに活かせるデータが計測できたことは、サッポロビールのデータマーケティングを前進させることにつながったと言えるでしょう。
ご紹介したデータのほかにも、詳細なセグメントごとのトラフィックの計測や、セグメントのカスタマイズも可能です。詳細については資料もご用意しています。ぜひご検討ください。
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