2024.09.17

企業の課題をコラボで解決! CASE.3「海老乃家×with class」|ママの心を軽くしたい。 現役ママとブランドの想いが重なり生まれた「揚げない天然海老フライ」

船田裕亮氏, 海老乃家氏, FGROW JAPAN, with class, 講談社, 元家奈美, インタビュー,

世界中の海から見つけ出した天然海老と、海老料理を販売する海老専門ブランド「海老乃家」。2020年の立ち上げ以来、香川県高松市を拠点に、全国の人々に海老の美味しさと海老食文化の新たな可能性を届けてきた。

2023年には、講談社の働く女性向けメディア「with class」とコラボレーション。現役ママの声を反映した「with class ×海老乃家の揚げない天然海老フライ」を開発した。開発経緯や商品へのこだわり、発売後の反響などついて、海老乃家を運営するFGROW JAPAN株式会社 代表取締役の船田裕亮さん、ディレクターの元家奈美さんに話を聞いた。

海老の価値観を変える商品と「想い」を届ける。海老専門ブランド『海老乃家』

「海老乃家」は、主にB2Bの水産物加工販売を行っているFGROW JAPAN株式会社・代表取締役の船田裕亮さんと、ディレクターの元家奈美さんが立ち上げた、海老を専門に取り扱うブランドだ。「獲れたての海老と変わらない美味しさを家庭にも届けたい」という想いから、長年冷凍加工技術や調理法の研究を続け、そのノウハウを活かした様々な海老商品を開発・販売してきた。

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生食も可能で、お刺身としても楽しめる「海老乃家のむき海老」。頭や殻、背ワタが処理済のため解凍後すぐに調理が可能。ソースや調味料と絡みやすくするために、あえて身を開いた状態にしているのも大きな特徴だ。

ブランド立ち上げ時のコンセプトは、「海老の価値観を変える」。商品ラインナップも、獲れたての美味しさと食感を手軽に楽しめる「天然むき海老」、特別な日の食事や贈り物にもぴったりな「霜降り海老ステーキ」、SDGsの視点で海老の殻を再利用して生まれた「海老オイル」など、これまでにない海老の食べ方を提案し、イメージを一新するような商品が揃っている。

「美味しさはもちろんですが、『こんな食べ方があったんだ』『こんなに手軽に調理できるんだ』 など、食べた人に新たな海老の価値を感じてもらいたい、というメッセージを込めています」と語るのは、海老に携わり続けて20年以上という"大の海老好き"である、代表の船田裕亮さんだ。

そもそもなぜ、水産物の加工販売を中心にB2Bビジネスを行っていた同社が「海老乃家」というD2Cブランドを立ち上げたのだろうか......。その理由についても聞いてみた。

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FGROW JAPAN株式会社 代表取締役 船田裕亮さん

船田「ブランドを立ち上げた理由は、ただ美味しい海老を届けるだけでなく『私たちの想いも一緒に届けたい』と考えたからです。もちろん、大手ECモールに出店することも一つの方法。ですが、商品に込めた想いやこだわりを丁寧に伝えるためには、ブランドを立ち上げ、ホームページを通じて発信していくことが大切だと感じました」

ホームページには、海老乃家の海老が食卓にならぶ様子を描いたイメージビデオも公開。「海老乃家の商品は、手軽に美味しく調理できるものばかり。忙しい日常のお手伝いができれば、という気持ちで制作しました」と、船田さん。人々が笑顔で食事を楽しむシーンからは、「生活に寄り添う存在でありたい」という海老乃家の想いを感じることができるだろう。

「忙しいママを助けたい」。共通の"想い"から生まれたコラボ

独自の加工技術を武器に、想いの詰まった商品を届けてきた海老乃家。2023年に開発した「with class」とのコラボ商品「with class ×海老乃家の揚げない天然海老フライ」も、「育児や仕事で忙しいママたちを応援したい」という想いから生まれたものだという。

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「with class ×海老乃家の揚げない天然海老フライ」 8尾:1,980円(税込)。

元家「開発のきかっけは、自分や船田が子育て世代である、ということも大きな理由です。家事育児と仕事を両立する難しさを日々実感しているからこそ、私たちの強みである『海老を簡単に楽しめる商品』を通して、忙しいママたちをサポートしたいという想いが強くありました」

しかし、「新規顧客へのアプローチには課題を感じていた」と語るのは、海老乃家のディレクター元家奈美さん。30代から50代の共働き女性が海老乃家のメインターゲットではあるものの、開発した商品をより多くの人々に届けるにはどうすればいいのか悩んでいたそうだ。

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FGROW JAPAN株式会社 ディレクター 元家奈美さん。取材当日は、香川県からオンラインで参加

元家「海老乃家は立ち上げ時にクラウドファンディングを実施しています。その頃からリピートしてくださる方が多くいらっしゃるのですが、海老乃家をまだ知らないお客様へのアプローチには難しさを感じていました。大手ECモールに出店したり、WEB広告を打ったりと様々な手段を模索したのですが、私たちが大切にしている『想いを届ける』というファンマーケティングの軸から外れてしまうのではないか、と思っていたんです」

そんな折に出会ったのが、講談社「with class」だった。「with class」は、「子育て・教育」「住まい」「時短術」の3つのテーマを軸に、働く女性の暮らしを豊かにする情報を発信しているウェブメディアだ。2023年1月には、ママインフルエンサー集団と編集部が共同運営するInstagramアカウントを中心としたプロジェクト『with class mama』がスタート。現場の声を吸い上げ、子育てママが本当に必要としている情報を発信し続けている。

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『with class mama』のInstagramアカウント(@withclass_mama)。おうち学習、ママの美容、家事時短など、各インフルエンサーの特技や知見を活かして子育て+αの情報を発信している。

元家「子育て情報を発信しているメディアはたくさんありますが、その中でも『with class』、そして『with class mama』のインフルエンサーのみなさんは、現場の気持ちに寄り添った深い内容を発信しているのが印象的でした。子育て世代に想いを届けたいと考えていた私たちにとって、まさにぴったりな出会いだったと感じています」

船田「普通であれば、出版社と水産加工会社がつながる機会はあまりないですよね(笑)。それでも今回のコラボが生まれたのは、海老乃家と『with class』の、"ママたちの子育ての負担を軽くしたい"という同じ想いがあったからこそだと思います」

「調理器具を使わず素早くできるもの」。事前アンケートで見えた、ママ理想の簡単ご飯

商品開発を進めるにあたり、「with class mama」のInstagramアカウントでは事前アンケートを実施。「簡単ごはん」に関して意見を聞いたところ、1200人を超える回答があったという。

元家「アンケートからは、ママたちが『いかに簡単に、素早く調理を済ませられるか』という点を重視していることが分かりました。さらに、『調理器具を少なくしたい』との声も多かったです。電子レンジや圧力鍋などを活用して片付けの負担を減らし、忙しい日常を回している印象でした。ママたちの率直な声は、本当に勉強になりましたね」

with class

2023年4月28日に実施した事前アンケート。本取り組みは、メディアが持つ読者コミュニティを企業のマーケティングに活かす講談社メディア・コミュニティ・ラボ(MCL)のサービスを活用している。※MCLは、熱量の高い読者コミュニティに対する調査・分析によって企業の課題解決を浮き彫りにし、解決施策をともに考えるプロジェクトだ。

こうしたママたちの声を受けて、海老乃家では5つのメニューを考案。海老パスタソース、海老スパイスカレー、海老グラタン、海老マヨ、そして揚げない海老フライの5つだ。その中からなぜ「揚げない海老フライ」の開発を決めたのだろうか。

元家「5つの候補は冷凍ソース類が多め。ですが冷凍ソースはどうしても鍋やフライパンでの湯煎が必要なので、洗い物も増えてしまいます。さらに、お弁当に入れるのも難しい......。with classの皆さんと何度も話し合った結果、幅広く使えてすぐに調理できる『揚げない海老フライ』を開発することに決めました」

船田「『揚げない海老フライ』は、子育て世代に届けるのであれば、子どもたちの喜ぶものを作りたいと思い提案したメニューです。揚げものは調理がとても大変なので、揚げずにできる海老フライがあればママの負担も減らせると考えました。そこからは試作を繰り返す日々でしたね(笑)。結果、海老乃家の商品の一つである『海老オイル』を衣に配合することで、揚げなくてもカラっとした食感が楽しめるレシピに辿り着きました

海老乃家, with class

凍ったままトースターに入れて15分。「海老乃家の海老オイル」を衣に混ぜることで、サクサク食感を実現。海老の香ばしい香りも楽しめる。

船田「開発にあたっては、with class編集長の岡本さんやwith class mamaのディレクター・じママさんなど、みなさんの意見がとても参考になりました。私たちはものづくりの視点で考えがちですが、with classの方々は生活者の視点からリアルな意見を提供してくれたんですよね。製造面で難しい意見もありましたが、『これならできますか』と商品開発に寄り添っていただいたのが印象的でした」

パッケージや価格にまで言及! ママのリアルな声が飛び交う試食会

開発の過程では「with class mama」の海老好きインフルエンサー4名を集めた試食会も実施。元家さんは、試食会の様子をこう振り返る。

元家「商品開発時は常に社内で試食を行っていましたが、何万人ものフォロワーを持つママインフルエンサーを招いての試食会は初めての経験でした。試食会では、味や食感はもちろん、パッケージや価格、プロモーション施策についても意見が飛び交いました。どれも参考になる意見ばかりでしたね。

試食会で出た意見は、実際の商品に反映されています。たとえば、海老の尾の有無について。尾を食べる人、食べない人で意見が割れたのですが、『子どもが食べるときに尾を外してあげるのが大変』という声があがったんです。それであれば、子どもが自分で丸ごと食べられるように尾は無しにしようと決めました」

その他にも、「卵アレルギーの子も安心して食べられるように、衣に卵を使わないでほしい」、「トレーよりも、保存に便利なチャック付きの袋がいい」など、ママたちのリアルな声が商品に採用されているという。

with class

船田「なにより驚いたのは、参加してくださったみなさんの熱量の高さです。試食会に参加した全員が『良いものを作りたい』という想いで、真摯な意見を出してくださったのを覚えています。そんなチームの一員になれたことが、とても嬉しかったですね。

また、インフルエンサーの方がフォロワーの声を共有してくれたことも印象に残っています。金額が議論になった際は、『私のフォロワーは、この金額だと買わない』『私のフォロワーは買う』など......何万人もいるママたちの意見を代弁してくださいました。それが可能なのは、ひとえにインフルエンサーの方々が、日頃からフォロワーさんと密なコミュニケーションを取っているからこそですよね。本当に貴重な機会をいただけたと思っています」

等身大の声だからこそ、届けたい人に響く。「with class mama」インフルエンサーの発信力

こうして完成した「with class ×海老乃家の揚げない天然海老フライ」。現役ママたちの声はもちろん、海老乃家のこだわりが詰め込まれている。

元家「最大の魅力は、天然海老を贅沢に使っている点です。実は、天然海老を使った冷凍海老フライはあまり出回っていません。そこは、海老の美味しさを引き出す加工技術と調理法を追求してきた海老乃家ならではだと思います。また、海老オイルを使った衣のサクサク感だけでなく、海老のプリプリ感もしっかり楽しめるよう、衣は1つ1つ手で付けて、できるだけ薄く仕上げているのも特徴です」

「『揚げない海老フライ』ではありますが、揚げるとさらに美味しいんですよ。ぜひ2WAYで楽しんでほしいです!」(船田)

発売後は、with classサイト内のタイアップ記事や、複数のママインフルエンサーInstagramアカウントにて多角的に情報を発信。商品の特徴や開発経緯などを、各人の得意とする分野の切り口で丁寧に紹介し、「with class ×海老乃家の揚げない天然海老フライ」の魅力を多くの人に届けてきた。

「with class mama」のママインフルエンサーたちのInstagram投稿について船田さんは、「参考になる点が非常に多かった」と語る。

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「with class mama」のママインフルエンサーによる、Instagramの投稿。左から、れーこさん(@reikojitan)、うなぎママさん(@unagi.mama)、れみさん(@kosodate_cheeringonallmoms)さん。他にも多くのママインフルエンサーがプロジェクトに参加し、「#ミールキット」「#忙しいママ」等のハッシュタグでトップに掲載されるほど大きな反響に。

船田「どの投稿も『こんなに簡単にできる!』、『家に帰ってすぐできた!』のように、忙しい日々を過ごすママたちの生活に溶け込むような内容で発信してくれていて......。"届けたい人に刺さる"投稿が、みなさん本当に上手だなと思いました。海老乃家もInstagramを運営しているので、『届け方』については非常に勉強になりましたね」

元家「私もみなさんの投稿を見て、泣いてしまうくらい感動しました! また、投稿して終わりではなく、with class チームからはSNSインサイトの分析結果まとめたレポートを共有いただきました。その結果を基に、今後も販売数を増やしていくにはどうすればいいかなど、継続的にご意見をくださるのはとてもありがたく思っています」

初期製造分は、約2か月で完売!  急遽ギフトセットもラインナップに

海老乃家とwith class、互いが持つ強みや視点を掛け合わせながら生まれた「揚げない海老フライ」。初期製造分は、販売開始から約2か月で完売。新規ユーザーだけでなく、既存ユーザーからも好評だったという。

元家「お客様からは、『美味しい!』『簡単にできてありがたい』と、多くの喜びの声をいただきました。なかには発売直後に9袋を同時に注文してくださった既存のお客様もいらっしゃいましたね。さらに予想外だったのは、パパからも嬉しい声が届いたことです。まだまだ料理はママが担当する家庭が多いかと思いますが、ママ不在時に調理を任されたパパから『簡単に作れて助かった』という声が寄せられました。ママをターゲットに作った商品でしたが、パパからの需要も高かったのは新しい発見でした」

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船田「僕も料理があまり得意ではないのですが、娘たちから『これならパパでもできるやん!』と言われましたね(笑)。『揚げない海老フライ』があれば、パパが料理をするきかっけにも、ママが料理のことを心配せずに出かけるきっかけにもなるはず。子育て応援につながる『新しい価値』を生むことができたと感じています」

そして、さらに広がりを見せた今回のプロジェクト。予想以上にギフト需要が高かったことから、新たに「ギフトセット」もレパートリーに追加することになったという。

船田「with classのみなさんに贈り物需要が高かったという情報を共有したところ、『限定のギフトセットを作りませんか?』とご意見をいただき、急遽ラインナップに追加しました。リリース後も定期的な打ち合わせを行い、訴求方法やキャンペーンについての意見をいただけるのはとても心強いです」

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ラインナップに追加した、ギフトセット。「海老は『長寿』や『めでたい』等のいわれから、縁起の良い食材として親しまれてきました。海老乃家では、そうした海老に込められた想いも一緒にギフトとして贈れるよう、想いが伝わる熨斗やメッセ―カードを用意しています」(船田)

新たなコンセプトは「海老の可能性を、もっと。」。実店舗を展開し、リアルな場からも想いを届け続ける。

今回のコラボを通して、「想いの届け方」に可能性を感じたと、船田さん。

船田「ブランドの想いや商品の魅力を、届けたい人に、最適なメッセージを届ける。今回のコラボを通して、今の時代に必要な『届け方』に改めて気付くことができました。情報があふれる昨今、ただ広告を打つだけでは届けたいメッセージは埋もれてしまいます。しかし、『with class』のようなコミュニティを持つ方々が、そのコミュニティに向けて『自分ゴト』として発信することで、ターゲットに確実にメッセージを届けることができる。そんな可能性を感じましたね」

ブランド立ち上げから4年を迎えた海老乃家。これからの成長を見据え、新たなコンセプトとして打ち出したのが、「海老の可能性を、もっと。」だ。

船田「さまざまな可能性を秘めた海老の魅力を、もっと深堀していきたいと考えています。今回の『揚げない海老フライ』も、海老フライに合うディップソースを開発したり、新たな食べ方を提案したり......。可能性は広がっていると思います

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「海老乃家」ブランドサイト

船田「また、今回のコラボで『届け方』を考えるなかで、今後は『リアル』な場所での発信も重要だと感じました。その新たなステップとして、海老乃家は神社仏閣の参道への実店舗出店を計画しています。縁起の良い食材と言われる海老と神社仏閣のご利益を掛け合わせることで、新たなビジネスチャンスが創出できるのではないかと考えました。1店舗目は、香川県の金毘羅宮に出店予定です。美味しさだけでなく『縁起の良さ』も感じてもらえるような食体験を提供したいと思っています。そこから店舗を増やし、全国に海老の可能性を広げていければ嬉しいですね。

私たちの最終的な目標は『海老と言えば海老乃家』と認識されるようなブランドに育てていくこと。そのために、これからもみなさんの生活に寄り添い、海老の魅力と可能性を伝えていきたいと思っています」

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撮影/村田克己 取材・文/室井美優(Plyace) 編集・コーディネート/川崎耕司(C-station) 撮影協力/FGROW JAPAN(海老乃家)

川崎耕司 シニアエディター・コーディネーター

C-stationコンテンツ責任者。C-stationグループの、広告会社・広告主向け情報サイト「AD STATION」担当。

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