2023.10.16

2023年の「SDGs」の現在地 ── 生活者とSDGsのいまがわかる、電通「SDGsに関する生活者調査」解説

2023年5月12日(金)、株式会社電通が公開した「SDGsに関する生活者調査」の最新版が公開されました。この調査は2018年2月に第1回が行われて以来、毎年実施。今年で6回目となります。今回の調査では、内容まで含めてSDGsを知っているかどうかという項目に加え、SDGsに取り組む企業の印象についても分析されています。生活者はいま、SDGsをどのように捉えているのでしょうか。

(この記事は関連サイト・講談社SDGsのコンテンツを加筆・再構成したものです)

生活者の9割以上がSDGsを認知している

2018年の第1回調査では、SDGsの認知率はわずか14.8%でした。それから5年、今回の調査では、SDGsの認知率(「内容まで含めて知っている」「内容はわからないが名前は聞いたことがある」の合計)が、調査開始以来、ついに9割を超え、「91.6%」となりました。

今回の調査対象は、日本全国の10〜70代の男女。もはやSDGsへの関心が特に高い人でなくとも、日本人のほぼ全員が「SDGsという名前を聞いたことがある」「SDGsについて知っている」のが、SDGsの最新状況と言えそうです。

加えて、2018年の第1回調査では、「内容まで含めて知っている」と回答した人は、わずか3.6%。それが今回の調査では、「内容まで知っている」と回答した人が2018年の11倍以上となる40.4%へと増加。SDGsの認知に比例して、理解も確実に進んでいることがうかがえます。

9割以上の人が「SDGs」について知っていると回答

SDGsネイティブの10代は、SDGsを深く理解

SDGsの認知率について、さらに掘り下げ、性年代別で見てみると、10代男女の「内容まで含めて知っている」の割合が突出して高いことがわかります。女性10代で72.4%、男性10代で58.5%が「SDGsの内容まで含めて知っている」と回答しています。

10代の男女ともに「SDGsの内容まで含めて知っている」の割合が、他の世代よりも高い

この結果に、男女差による大きな違いは見られません。しかし、年代別で大きな差が見られるのは、学校でのSDGs教育が浸透してきた結果だと推察されます。

2017年3月に公示された新学習指導要領学校教育で、「持続可能な社会の創り手」の育成について掲げられました。これにより、2020年度からは小学校、2021年度からは中学校、そして2022年度からは高等学校で、SDGsについて学ぶ機会が提供されています。こうしたことから、10代のSDGsに対する内容理解度は年々深まっており、今後、若年層にとってSDGsはより"当たり前"の概念として、浸透していくのではないでしょうか。

SDGsのテーマ別では、認知度と理解度に乖離が

今回の調査では、SDGsに関する「テーマ」についての個別の認知度調査も公開されています。この結果を見ると、認知度と理解度に乖離があることがわかります。

たとえば、認知度が9割を超える「食品ロス」「ジェンダー平等」「再生可能エネルギー」も、理解度は2割から3割強と、まだまだ低いことがわかります。今後は理解度の向上に力を入れる必要がありそうです。
・食品ロス      :認知度(92.6%)/理解度(35.9%)
・ジェンダー平等   :認知度(90.2%)/理解度(22.8%)
・再生可能エネルギー:認知度(90.1%)/理解度(24.1%)

SDGs関連テーマの認知度・理解度

※【認知度】「内容を詳しく説明できるくらい知っている」「簡単な内容なら説明できるくらい知っている」「説明できるほどではないが、一応内容まで知っている」「聞いたことがある程度」の合計
※【理解度】「内容を詳しく説明できるくらい知っている」「簡単な内容なら説明できるくらい知っている」の合計

生活者はSDGsに取り組む企業に好感を抱く

企業がSDGsに取り組むことに対し、生活者はどのように見ているのでしょうか。企業がSDGsに取り組むことの影響についても見てみましょう。

企業がSDGsに対して積極的に予算や人員をかけて取り組むことに対し、何らかの影響があると回答した人は全体の約8割(79.3%)でした。

具体的にどんな影響があるかという質問に対して、いちばん多かった回答は「その企業の良い印象が強くなる」(59.1%)。次に「その企業の好感度が上がる/応援したくなる」(56.5%)、「その企業への信頼度が増す」(55.9%)でした。この結果から、SDGsに取り組むことは企業価値を上げる効果があると言えそうです。

企業がSDGsに取り組むことの影響

さらに、日本の企業にどんなテーマについて積極的に推進してほしいかという質問に対しては、「食品ロス」が最も多く、63.2%の回答でした。次に「再生可能エネルギー」(58.6%)、「気候変動対策」(46.5%)と続き、食と環境に対する企業への期待が高いことがうかがえました。

企業に積極的に推進して欲しいテーマ


今回の調査結果から、生活者はSDGsに積極的に取り組む企業に対し、ポジティブな印象を持つということが明らかになりました。これは裏を返せば、SDGsに積極的に取り組まない企業は、生活者からネガティブな印象を持たれる可能性があることを示唆しているとも言えます。今後、企業のSDGsへの取り組みはより一層重要になっていくのではないでしょうか。

「SDGsに関する生活者調査」とは

株式会社電通が、国内電通グループ横断でSDGsに関するプロジェクトを推進する「電通Team SDGs」のもと、全国10~70代の男女計1400人を対象に行っている調査。2018年の第1回から毎年行われ、第6回は2023年2月7日~2月10日に実施されました。

<調査概要>
・目的:日本におけるSDGsの「認知・理解」や「興味・関心」などの現状把握、および今後の浸透策に関する検討
・対象エリア:日本全国
・対象者条件:10~70代の男女
・サンプル数:1400(性年代各100人ずつ、計1400人を人口構成比でウエイトバック集計)
・調査手法:インターネット調査
・調査期間:2023年2月7日~2月10日
・調査機関:株式会社電通マクロミルインサイト


●関連リンク
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2023/0512-010608.html

*この記事は関連サイト・講談社SDGsのコンテンツを加筆・再構成しました。

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