講談社がより幅広いジャンルのクリエイターと出逢い、支援するために生まれたR&D(=研究開発)部署・クリエイターズラボ。クリエイターズラボ内では、「ゲームクリエイターズラボ」「シネマクリエイターズラボ」などさまざまなラボが活動中ですが、クリエイターズラボ発足と同時にできた組織に「講談社IP開発ラボ」というチームがあります。本記事では、講談社IP開発ラボチームがいったい何をしているのか、しようとしているのか、チーム長にきいてみました!
Q. IPって?
もともとは、 Intellectual Property(インテレクチュアルプロパティ)の頭文字 からとった略称。日本語では「知的財産」と訳されることが多い概念。人間の 知的な活動によって創造された財産的価値のある情報を指す。
世界観の「物語化」
神保 チームにとっての「IP」ってなんでしょう?
助宗 やっぱりその質問からですよね(笑)。部署ができた際にメンバーとも議論しました。我々が考える意味としては「IP=世界観」です。「世界観」とはそこ に横たわる価値観や醸し出される空気感をさしています。「世界観」を何かしらの形にしたものが「コンテンツ」、登場する人物やキャラのキャラクター性や"5時間後に地球が終わります"みたいな物語上のルール等を「設定」と呼んでいます。
神保 チームが目指しているのは?
助宗 これまで講談社は、主にフィクション分野において世界観を「物語化」して「本」という形をメインに出力してきました。けれど、物語の出力方法はテクノロジーの進化や民主化によって以前よりも増えてきていています。それなら、我々も別の出力にトライしてみても いいんじゃないか?、やってみたいよね!、を試みているのがIP開発ラボです。簡単にいえば『講談社は「本」以外をつくれるのか?』ということですね。
様々な出力方法や取り組みにも変形できる物語の「種づくり」ってどうやってやるのかも色々実験していますし、競合調査、市場調査などもチーム内で担っています。
でも結局、立ち戻る場所は『講談社は企画者として「面白い世界観」を提案できるのか』『それをカタチにできるか』だな~と現在プロジェクトをを進めながら実感している最中です。単純な答えですけど「みんながおもしろいと思ってくれるのか」が一番大切ですし、結局は 「おもしろいものだから広がる」。モノづくりの面白さ、難しさと日々純粋に向き合っています。
アウトプットの出発点
神保 いろんな分野のクリエイターさんとお付き合いすることになりそうですね?
助宗 はい。企画の出発点は講談社が提案させてもらっていますが、様々なジャンルのクリエイターさんとチームを組ませていただき世界観を拡げていきたいと考えています。
神保 チームビルディングですか?
助宗 編集者は「集めて編む」のが仕事なわけですが、IP開発ラボではその中でもプロジェクトのコンセプトにあわせて才能を集め、その人の特性を生かせる形で編む。それがとても大切で、それができる人がいい編集者であり、いいプロデュ ーサーになれると思っています。幸せな結果を生み出せるチームをいっぱいつくりたいですね。
クリエイターさんとの新しい関係
助宗 私はこれまで17年近くマンガ編集の現場にいました。マンガをつくるには「絵が描けること」「物語を紡げること」「時代のニーズと呼応できること」「実際に完成させる胆力を持つこと」など多岐にわたる才能が必要です。 一方で、絵の才能が突出していると感じるクリエイターさん、プロット制作の才能が突出していると感じるクリエイターさんに出会うことも多くありました。 マンガの場合は総合力をあげていくことが大切でしたが、今回は得意を生かして部分的にプロジェクトに参加していただくという形が可能なため、ジャンルレスという意味も含め、いろんなクリエイターさんとこれまでにない関係を築けるのが嬉しいですし、楽しみです。
これから生まれてくるもの
神保 これから何が出力されてくるのでしょうか?
助宗 まずは「ハンドレッドノート」がリリースされています。このあとキャラクタープロジェクトの第一弾が6月中旬に、第二弾が夏に、第三弾が秋にリリース予定です。年内にはそのほかにレ内のカップルキャラクタープロジェクト、音楽プロジェクトも手掛けてゆきたいと思っています。講談社の新しいチャレンジにご注目ください。
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弊社R&D部門・クリエイターズラボの月刊レポート「THELab」vol.06よりの転載です。
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