講談社がより幅広いジャンルのクリエイターと出逢い、支援するために生まれたR&D(=研究開発)部署・クリエイターズラボ。クリエイターズラボ内では、「ゲームクリエイターズラボ」「シネマクリエイターズラボ」「メタバースラボ」などさまざまなラボが活動中です。本記事では、メタバースラボ所属の編集者3名が、出版社とメタバースの関係性やラボのこれからについて、熱く語りました。
Q. メタバースって?
Meta(超越)+Universe(世界)の造語で、日本語にすると「超越世界」。具体的には、オンライン上に構築された、現実の世界とは異なる3次元の仮想空間のこと。
チーム長 佐川
学生の頃、VR・ARの研究をしていました!
織田
入社5年目で販売部から異動。
「スマホから本に戻ってきたくなる」プロジェクトを考え中。
酒井
児童向け書籍の編集部と兼務。
クリエイターさんの「表現の余白」が大好き。それを引き出せるような企画を作りたい!
定義が曖昧なメタバース
──メタバースってなんのことなんだろう?
佐川 「三次元空間すなわち3DCGで再現されたオンライン上で繋がるバーチャル空間」、と言われることが多いです。インターネットの延長線上にあって、誰もが自由に創作活動をして誰もが自由に交流できる、そんな体験を世界中が期待しているし、きっと"ふつう"に来る未来。
織田 僕にとっては「みんながフラットになる世界」でしょうか。今までGoogleとかAppleのような大企業が"社会"をつくってきたけど、全員が3Dで平等につながれる非中央集権的な世界がメタバースなんじゃないかと感じています。
酒井 世界的にもまだ定義がバラバラですよね。いろいろなコンテンツを体験した結果、メタバース空間にこだわらず広く新規事業に取り組んでいくことがメタバースにつながるっていう捉え方をして臨んでいます。
佐川 メタバースとは何かということと、出版社がやる意味の両方にかかってくるんですが、メタバースと出版社は親和性が非常に高いと思っているんです。VRとかテクノロジー的な話ではなく、「メタ」というワードがカギになると考えているんです。メタバースって、非常に「マンガ的」だな~、と。
出版社が参加する意味はどこに?
佐川 仮想空間の考え方には大きく分けて「スーパーリアリティ」と「メタリアリティ」の2つがあります。「スーパー」 は"超高"臨場感で、めちゃくちゃ現実=本物に近いものを再現するというもの。歴史的建造物を忠実に再現したり、誰もが知っている街をそのまま3Dにしたり。一方の「メタ」は現実に忠実ではないけれど、ちょっと過剰に演出することでユーザーにとってはリアルよりも"いい体験"ができる、"超越"臨場感と言いますが、これって非常に「マンガ的」だと思うんです。
──たしかにまさに講談社がやってきたこと......
佐川 現実世界と同じ体験ではなく、演出や表現の仕方を振り切ることによって、より迫力があって、感情が揺り動かされる体験をユーザーにしてもらえるというものが「メタ」。
織田 パンチする手が大きく見えたり。
佐川 そうそう。だとしたら、そのような作品をたくさん作ってきた経験が講談社にはあるし、テクノロジーさえ追いついてきたら、そういうものをつくりたいクリエイターさんと編集者はいるはずなので出版社との親和性はかなり高いんじゃないか、とずっと考えています。
酒井 マンガだけでなく、私が作っている児童書、ファンタジーとの相性もすごくいいですよね。
織田 上司からは「世界をちょっと良くするものをつくってよ」と言われました。いままで取り組んできた「おもしろくて、ためになるコンテンツ」を出版という方法に限らずやろうね、というのが会社としてやる意味なのかもしれません。
新世代クリエイターと出会って
佐川 2人とも、異動してきてからクリエイターさんにはたくさん会ったよね?
織田 はい! 本当に素晴らしい才能を持った方々ばかりです! 今の時代、マルチクリエイターというか、イラストから動画、CGまで一人で表現できてしまうクリエイターさんがたくさんいるんです。しかも、僕より若い(笑)。
酒井 テクノロジーの進歩を実感しますよね。たとえば、3DCGクリエイターコンテストを開催する上で感じたことですが、CGの世界は新しく入ってこようとする人たちにとってもやさしいんです。新規参入を歓迎する空気感がある。びっくりするくらい多機能なソフトが無償で提供されているし、YouTubeでハウツー解説している人も他ジャンルと比べて多い気がします。
織田 いい話だね!!
酒井 出来上がったものの見た目はハードル高そうに見えるのに、始めるハードルは低いんです。
佐川 テクノロジーが発達して、イメージした世界観を一人で創造することが可能になったのだと思います。それに伴ってイラストや映像などでも今までになかった新しい表現が増えてきている気がします。
──その世界をもっと大きくするのに必要なものは?
佐川 複合的な要素が必要なんだと思います。ひとつは「スタークリエイターが誕生すること」なのかもしれません。この人みたいになりたい、というクリエイターさんが生まれることだと思います。そのためにはプラットフォームだけでなく、コンテンツを生む力、両方の視点からメタバースを捉えていく必要があります。
僕たちは編集者としてクリエーターさんと共に「純粋に面白いコンテンツ」「ワクワクする企画」をたくさんつくるので、そのコンテンツ力に興味をテクノロジー企業さんと、手を組んでチームになりたいと考えています。
すでに5つほど企画も進んでいるので、みなさんにお披露目できる日が待ち遠しいです。お問い合わせ、ご提案、たくさん待ってます!!
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弊社R&D部門・クリエイターズラボの月刊レポート「THELab」vol.05よりの転載です。
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