2023.05.22

【リサーチ会社のプロが分析!】「働く30代女性」の雑誌事情 ── 情報を求め、雑誌広告にも関心を示す女性たち

仕事もプライベートも忙しい、働く女性たち。今回は、その中から「フルタイム勤務で働く30代女性」に注目して、彼女たちの雑誌の閲読状況やその意識を、ビデオリサーチ社の生活者データベース「ACR/ex」(※)を用いて調査してみました。

文/株式会社ビデオリサーチ ビジネスソリューショングループ 寺出朋子

※ビデオリサーチ「ACR/ex」:無作為に抽出された対象者に、約1.5万の項目の調査を実施。雑誌の出稿プランニングなどに活用できる日本最大級のマーケティングデータベース

雑誌の閲読率が高い、働く30代女性

若者の「雑誌離れ」に関するニュースを目にする機会が多くあります。ではその上の世代、日々を忙しく過ごしているであろう、フルタイムで働く30代の女性(以下、働く30代女性)たちは、どれくらい雑誌と接触しているのでしょうか。まずは、「雑誌の閲読率」に関する調査結果を見てみましょう。

図1 雑誌の閲読率(最新2号中1号以上)(ACR/ex2022年4-6月、東京50㎞)

「働く30代女性」の49%が直近で雑誌の閲読経験があると回答。これは、「30代女性全体」(43%)と比較しても高い閲読率です。どちらも4割を超えていることを考えると、30代の女性のおよそ半数は「最新号の雑誌を読んでいる」とも言えそうです。

ちなみに、「個人全体(男女12歳〜69歳)」が41.1%ですから、他の世代と比較しても、30代の女性は、雑誌との接触が多い世代と捉えることもできそうです。


雑誌は情報源。周囲とも情報をシェア

現代は、無料で読めるWEB記事がインターネットに多数あります。そのなかで、「働く30代女性」たちはなぜ、有料コンテンツである雑誌を読んでいるのでしょうか。こちらも「ACR/ex」をもとに、その背景を探ってみました。

ここでは雑誌読者に対象を絞り込み、30代女性全体と、働く30代女性を「雑誌への意識・閲読態度」に関する項目で比較してみました。

図2 雑誌への意識・雑誌閲読態度(ACR/ex2022年4-6月、東京50㎞、雑誌読者)

「雑誌から世の中を知る」「雑誌は発売日に買うことが多い」という設問に対して、YESの割合が30代女性全体よりも、働く30代女性は高く、雑誌に対して信頼を寄せており、そこから正確かつ最新情報を得ようとしている様子がうかがえます。

加えて「雑誌の情報を家族や友人と話す」割合も、雑誌読者である働く30代女性の27.0%にのぼりました。このことから、自分が関心のある記事であれば、積極的に話題を拡散し、周囲にレコメンドしていることがわかります。

親和性が高い、「働く30代女性」と「雑誌広告」

続いて「雑誌広告」との親和性についても調査してみました。

活用したのは、「ACR/ex」の雑誌広告への意識項目です。雑誌読者の中で、30代女性全体と働く30代女性を比較し、スコア差が大きかった項目を見てみます。

図3 雑誌広告への意識(ACR/ex2022年4-6月、東京50㎞、雑誌読者)

働く30代女性の雑誌広告に対する意識は、「欲しい情報がタイミングよく手に入る」「商品選択に役立つ」の項目で、30代女性全体より高いことがわかります。このことから、編集記事同様、雑誌広告も非常にポジティブに受け止めていることがわかります。

さらに「雑誌広告は商品名が印象に残る」という設問についても13.5%がYESと回答しており、雑誌広告と働く30代女性の親和性は高い傾向にあると言えそうです。

雑誌広告も情報のひとつ。注目したものは購入

雑誌広告をポジティブに受け止めている、働く30代女性の雑誌読者たち。次に、彼女たちの広告意識についても深掘りしてみました。

図4 情報・広告/商品の買い方に関する意識(ACR/ex2022年4-6月、東京50㎞、雑誌読者)

広告を見る目的として、「流行を知るため」が47.3%と、30代女性全体より6.6pt高く、広告もひとつの情報源として捉えていることがわかります。また、働く30代女性の雑誌読者の59.5%が「注目した話題は人に伝えたい」、70.3%が「注目したものは無理をしてでも買う」と答えており、広告による行動変容も比較的高い傾向が見られます。

まとめ

働く30代女性の雑誌読者を「ACR/ex」のデータで見てみると、雑誌へ関心が高い理由は"情報"を求める思いからで、雑誌広告さえもトレンドを知る手段と捉えているほど、情報感度が高いことがわかります。

また、情報接触後も、注目した話題の拡散や商品の購買行動についても、同年代の女性と比較しても高いことがわかりました。このことから、働く30代女性は、雑誌広告の広告効果の高い読者であるといえるでしょう。

寺出朋子

筆者プロフィール
寺出朋子/株式会社ビデオリサーチ ビジネスソリューショングループ

2019年、株式会社ビデオリサーチ入社。メーカー等広告主や広告会社をクライアントに、広告効果測定やブランディングに関するリサーチに従事。同時にビデオリサーチのシンクタンク"ひと研究所®"の若者研究チームメンバーとして、若者のコンテンツ受容に関する研究に携わる。

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