2022.12.26
「ViViのSNSはなぜ進化し続けられるのか。Z世代を惹きつけるクリエイティブとは?」 ── 講談社メディアカンファレンス 2022 ミライトーク01レポート
国内女性メディアNo.1のフォロワー数を抱える「ViVi」のSNSは、Z世代を中心に支持されています。クリエイティブのこだわり、編集体制、制作過程などが紹介された、ビジネスオンデマンド動画「講談社メディアカンファレンス 2022 ミライトーク01」をレポートします。
※本動画は、2023年1月までアーカイブ公開中です。詳しくはこちらをご覧ください。
(左から)株式会社宣伝会議 谷口優さん、「NET ViVi」エディター 山田由林、「ViVi」専属モデル 嵐 莉菜さん、「NET ViVi」編集長 平本哲也
その場で撮影、編集、出演も。SNSネイティブが活躍する「ViVi」
株式会社宣伝会議 谷口優(以下、谷口) 「ViVi」のSNSは、Z世代を中心に支持されています。このセッションでは、「NET ViVi」の編集体制やクリエイティブの工夫についてお聞きしていきます。よろしくお願いします。
「NET ViVi」編集長 平本哲也(以下、平本) 私は今年の6月まで、Instagramの運用担当や、美容班の編集者として、さまざまなクライアントと一緒にタイアップ企画を手がけてきました。
今回のテーマであるSNSに関しては、撮影現場に行き、その場でSNS用の素材を撮影・編集して投稿する。必要であれば自分も出演するという、山田のような次世代型の編集者が中心になって運用しています。
「NET ViVi」エディター 山田由林(以下、山田) 「NET ViVi」エディターの山田です。私は大学在学中から「NET ViVi」スタッフとして関わり、現在は、InstagramとTikTok、美容タイアップを担当しています。
動画は「やってみた」投稿でバズることが多いので、よりリアルな情報やフォロワーさんのお悩みに答えるような内容に関しては、自分が出演して「やってみた」動画を投稿することもあります。
谷口 今日はスペシャルゲストとして、「ViVi」専属モデル 嵐 莉菜さんにもご出演いただいています。嵐さんは18歳の現役高校生ですが、デビューにつながったきっかけのひとつがTikTokだったそうですね。
「ViVi」専属モデル 嵐 莉菜(以下、嵐) はい、TikTokでバズったことがきっかけのひとつとなって、2020年、16歳のときに「ViVi」専属モデルに選んでいただきました。当時はTikTokがデビューのきっかけになるとは夢にも思わず、ただ楽しくて発信していたので、驚きました。
セッションでは実際に嵐さんのTikTok動画も紹介された
平本 ViViモデルになって人気になるのではなく、SNSで人気になっている人がViViモデルになる、という流れには時代を感じます。
SNS投稿で大きな反響を生み出す工夫
谷口 人気投稿の傾向にもトレンドはありますか? 最近反響の大きかった投稿を教えてください。
平本 直近で一番、反響をただいたのは、THE RAMPAGE from EXILE TRIBEの川村壱馬(かわむら・かずま)さんを起用した、「PAUL&JOE」の動画タイアップ企画ですね。
Instagramのリール動画は1本38万回再生、累計で約120万回再生を達成し、Twitterのトレンド入りも果たしました。これまでにも企業との試みでいろいろな動画をつくってきましたが、トレンド入りしたのは初めてです。
トレンド入りしたタイアップ広告のSNS投稿
実際の投稿は、こちらからご覧ください。
左・https://www.instagram.com/reel/ChmQyl8A_9h/?hl=ja
中央・https://www.instagram.com/reel/Ch4Q5BKgkso/?hl=ja
右・https://www.instagram.com/reel/Ch9cLfRAbef/?hl=ja
谷口 イケメンを起用してユーザーを惹きつけるだけでなく、商品も自然に露出できている印象を受けます。
平本 単純に動画としても楽しめる、それでいて商品も魅力的に見えるような動画ができるのは、「ViVi」ならではの強みだと考えています。
「ViVi」には『国宝級イケメン』という名物企画があり、男性アーティストのブッキング力や撮影のディレクション力には自信があります。はじめは、「男性が商品を使う広告で、実際の購入につなげられるのか」という心配もされましたが、不自然な形で商材が登場しないように意識したことで、逆に商品の注目度も増しました。
SNS成功のポイント① バズポイントを必ず作る
谷口 ただイケメンを起用しただけでは、なかなかバズる動画は作れません。「ViVi」ではバズらせるために、どのような工夫をしているのですか?
山田 ひとつの動画で絶対にバズポイントを作るようにしています。動画は、人気男性アーティストを起用すればうまくいく、というものではありません。その方をどう映すべきか、どこが胸キュンポイントで、バズポイントなのか。コンテの段階からしっかり検討し、動画を作っています。
平本 最近は男性アーティストを起用してもうまくいかない、という企業や広告会社から「ViVi」にご相談をいただくケースも増えています。
山田 今回の川村さんは、普段は男らしい印象が強いので、「オフな川村さんを見たら胸キュンするのではないか」と考え、朝のシーンにしました。普段の活動では見られない一面、「ViVi」でしか見られない素顔をお届けしたいというのは、いつも意識している点です。
SNS成功のポイント② 数字を細かくチェックして臨機応変に対応
平本 数字にもかなりこだわっています。毎週の定例会議では保存数やインプレッション数を共有。自分では「がんばったつもり」でも、数字としてあまりよくないこともありますから、客観的に見ることを大切にしています。
谷口 トレンドにはどう対応しているのですか?
山田 「ViVi」は基本的に毎日投稿しているので、「今日はこの投稿がバズったから、明日はこの投稿のほうがいいね」など、その日の感覚で調整しています。
具体的には週に1回の定例会議だけでなく、アップしたあとにインサイトがどれくらい伸びているなどをチェックして、翌日の投稿に反映するくらい直前まで試行錯誤しています。
谷口 月刊誌の世界とは全然違いますね。
平本 そうですね。もちろんあらかじめ1ヵ月分の計画は立てますが、週単位、日単位で変わってくるので、都度対応が必要というところはあります。ですから「この投稿を予定していたけど、こちらに切り替る」という細かい調整は日々行っています。
SNS成功のポイント③ ターゲットに合わせてSNS投稿を使い分け
嵐 私はプライベートでもSNSを活用していますが、毎日新しいトレンドが生まれていると思って見ています。私も含め、私の周辺では、SNSを目的によって使い分けている人も多いです。
たとえばファッションやカフェ情報はInstagram、メイクのハウツーはTikTok、リアルな人々の意見を拾う場はTwitterというように、知りたい情報によってSNSを使い分けている人が多い印象です。
谷口 「ViVi」のコンテンツは、そういう「SNSの使い分け」も意識しているのですか?
平本 もちろんです。たとえばInstagramだと一歩先のファッショントレンドやメイクトレンドなどの最新情報を意識して制作しています。また、事前にInstagramのストーリーでみんなが気になることを募集し、ニーズに合わせたトレンドを発信するようにもしています。
一方Twitterでは、最新情報というよりもトレンドを意識し、バズを起こすフックとなるような投稿を心がけています。
TikTokはSNSのなかではいちばんリアルに作らなくてはいけないので、プロ仕様のカメラは使わないようにして、リアルな生っぽさを演出するようにしています。
ViViの撮影現場に見るSNS投稿の工夫とは
谷口 今日は特別に、実際に山田さんがどのようにSNS用の撮影を行っているかを、「ViVi」の撮影現場動画をもとに、紹介していただきます。山田さん、お願いいたします。
山田 では、ここからはSNS投稿のメイキング動画をご覧ください。
「投稿に必ず有益な情報をプラスする」という戦略を披露する山田
Z世代へのアプローチは30秒以内の動画が効果的。飽きずに見てもらうために、余計なカットは一切入れない
リール動画もTikTokも、動画は「テンポよく」を心がけています。いかに簡潔に情報を出せるかを考え、15秒から長くても30秒以内にまとめるようにしています。スマホで撮影して作るリール動画は、クライアントさんに完成までその場で確認してもらえるのも喜ばれるポイントです。
谷口 クライアントにとっても、その場で確認できるのは助かりますね。
山田 そうですね。いまはスマホで4Kの画が撮影できますし、編集できるアプリもたくさんあるので、動画編集までその場でできてしまいます。一方で、プロのカメラマンが撮影した高画質の動画は、美しすぎて広告っぽくなりすぎてしまうこともあります。SNSの場合はスマホで作った動画のほうが逆にリアル感が出て、タイアップでも喜ばれることが多いですね。
谷口 SNS動画の場合は、作り込みすぎないほうが好まれるのですね。ほかに、最近のトレンドがあれば教えてください。
山田 いまはSNS上に情報があふれているので、ただ「この商品がいいです」「これがおすすめ」と並べられても、誰も納得しません。それよりも、モデルが実際に使って本当にきれいになっている姿を動画で見せるなど、説得力のあるコンテンツが好まれる傾向があります。
平本 最近だと、撮影現場の裏側を紹介するメイキング動画は人気があります。タイアップの場合は、求められているものを撮影するのはもちろんですが、それをもっとバズらせるためにメイキングムービーやオフショットを撮影したり、インスタライブを同時に行ったりすることもあります。
「ViVi」では、本誌のスチール動画撮影とあわせて、SNS投稿用動画の撮影を行うこともある
新たなマーケットとSNSクリエイティブの可能性
谷口 「ViVi」というとファッション、コスメの印象が強い媒体でしたが、最近はクライアントの業種も広がってきていると聞きます。今後の広告の新たな可能性についてお聞かせいただけますか?
平本 「ViVi」はもともとファッション誌なので、広告でもファッションクライアントや美容クライアントが多い傾向にありました。
ですが最近は、Z世代の関心がライフスタイル全般に広がっているので、食・スポーツ関連の企画や、「フェムケア」といわれる女性のヘルスケア企画、旅や学び企画などのウェビナーなども実施しています。今後は、"Z世代の人生全部をViViが盛り上げる"ような企画を展開していきたいと思っています。
「美容とファッションを超えて、Z世代の人生全部を盛り上げていく」と語る平本
山田 いまの若者たちは、SNSに「おしゃれ」「かわいい」「トレンド」だけでなく、情報を求めています。GoogleではなくInstagramで検索する世代に向けて、SNS投稿でもっとためになる情報もお届けできたらと思っています。
平本 現在「ViVi」のSNSは、国内の女性誌メディアのなかではNo.1のフォロワー数を抱えています。加えて最近では、中国の方とのコミュニケーションを拡大するべく、中国のSNS「Weibo(ウェイボー)」にも力を入れています。オリジナル企画も編集部発信で日本からアップしていきたいと思っています。
今回、本カンファレンスのご登録者限定のタイアップメニュー(※)をご用意いたしました。イベントサイトからダウンロードできますのでぜひご覧ください。
谷口 本日はみなさま、ありがとうございました。
※限定のタイアップメニューは、イベントサイトよりダウンロードください。
未登録の方は、こちらからご登録ください。(2023年1月31日まで)
【講談社メディアカンファレンス 2022 ミライトーク01】
ViViのSNSはなぜ進化し続けられるのか。Z世代を惹きつけるクリエイティブとは?
登壇者:
・嵐 莉菜/「ViVi」専属モデル
・平本哲也/「NET ViVi」編集長
・山田由林/「NET ViVi」エディター
・谷口 優(モデレーター)/ 株式会社宣伝会議 出版・編集 取締役 月刊『宣伝会議』編集長