『100万回生きたねこ』『にじいろのさかな』『どこ?』── 2022年、長年にわたり愛されてきた名作絵本が続々と"アニバーサリー"出版されます。世代を超えて愛されている作品の魅力について、それぞれの担当編集が語ります。
『100万回生きたねこ』 45周年
『100万回生きたねこ[45周年記念限定版]』 作・絵:佐野 洋子
現在123刷・累計発行部数244万部という超ミリオンセラー絵本『100万回生きたねこ』。
10月で発売45周年を迎えるにあたり、お祝いをしようと2000部限定でシリアルナンバー入りの特装版を作りました。赤い箱入りの布装、金の箔押しタイトルという瀟洒なデザインで、プレゼントにもぴったり。
手がけてくださったのは、今をときめく装丁家・名久井直子さん。45周年にちなんで定価4500円(本体)、45店舗限定販売になる予定です。
「付録の"とらねこステッカー"をパソコンに貼って自慢したい!」と思っているのですが、担当編集の私でも購入できるかどうか分からないという、スペシャルな一冊です。
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『にじいろのさかな』シリーズ 30周年
『にじいろの さかなと おはなしさん』 作:マーカス・フィスター 訳:谷川 俊太郎
1992年にスイスで『にじいろの さかな』が生まれてから、今年で30年。
いまでこそSDGsという言葉が認知され、「シェア」するという概念も一般的になっていますが、当時としては、斬新なアイディアだったかもしれません。3桁の刷数を重ねる名作が少なくない絵本界においても、30年にわたって読まれ、いまなお新作が出ているシリーズというのは稀有な存在です。
11月発売の作品に込められたメッセージは、センセーショナルな話を鵜呑みにしないことの大切さや、得体の知れない不安に対処する方法。その時代その時代に寄り添うメッセージを、絵本を通じて発信している作品だからこそ、全世界で"シェア"されてきたシリーズなのだと思います。
特定の国や人だけでなく、みんながちょっとずつ幸せになりますように。
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『どこ?』シリーズ 20周年
『どこ? ほんのなかのさがしもの』 作:山形 明美
物語を読み進めながら、たくさんのさがしものを見つけていく写真絵本『どこ?』シリーズ。
第一作『どこ? つきよのばんのさがしもの』から20年を経て、この最新刊で、シリーズ10冊目となりました。
造形作家・山形明美さんが作るジオラマの製作日数は、ひとつにつき2ヵ月以上。鼻息でも吹き飛びそうな小物をミリ単位で調整して並べ、光や自然を丹念に演出しながら一日かけて撮影します。一冊ができあがるまでには約2年の歳月が!累計75万部という熱い支持を得られたのは、山形さんが創り出した「精緻で愛らしく物語感あふれる世界」の魅力に尽きます。
人の手の巧みさ、そして想像力の果てしなさをぜひごらんください。
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※弊社広報誌「News Clip」Vol.342よりの転載です。幼児図書編集チームの各編集担当がまとめました。