2022.08.16

【MCL】読者コミュニティを活用して、企業の課題解決に挑む「講談社メディア・コミュニティ・ラボ」 ── 調査・分析から発信までをトータルサポート

出版社メディアはいま、「広告掲載枠の提供」から、「マーケティングパートナー」へと変革を遂げるべく、さまざまな取り組みを進めています。そんな状況下、講談社では、メディアの読者コミュニティを活用した調査・分析・発信によって企業の課題解決を図る「講談社メディア・コミュニティ・ラボ(略称MCL)」というプロジェクトが進行中。その背景、目指す未来について、プロジェクトリーダーの講談社 伊東 剛と、同メンバーの鐘ヶ江 徹が解説します。

(左から)講談社メディア横断プロジェクト「講談社メディア・コミュニティ・ラボ」のリーダーである講談社 メディアビジネス局 局次長 伊東 剛(いとう・つよし)、同メンバー 第二事業局 コミュニケーション事業第二部 副部長 鐘ヶ江 徹(かねがえ・とおる)


企業のマーケティングパートナーを目指す出版社

──出版社のメディアビジネスはいま、「広告掲載枠の提供」から「マーケティングサービスの提供」へと変化し始めています。その背景を教えてください。

伊東 広告を出せば売れる。そんな、ひと昔前の時代であれば、ワンショットの企画に全力を注げば、プロモーション効果を発揮することができました。しかし生活者のライフスタイルが大きく変化し、タッチポイントも多様化した現代においては、その発想で広告効果を出すことは難しくなっています。

これまで出版社は、広告主が抱える課題解決に対して、戦略が決まったあとの施策段階から参画するケースがほとんどでした。しかしそれでは、クリエイティブの企画立案はお手伝いできても、根本的な課題解決のお役に立つことはできません。

広告主は広告を出したいのではなく、出稿を通じて、課題を解決したいわけです。その真のニーズに応えるために、出版社はいま、マーケティングサービスの領域を拡張しているわけです。

昨今の出版社のメディアビジネスの変化について語る、伊東

──戦略からサポートできる「マーケティングパートナー」を、出版社はいま、目指しているのですね。

伊東 はい。そこで講談社では、自社メディアを横断的に活用し、調査・分析から発信までをトータルサポートできる「講談社メディア・コミュニティ・ラボ(MCL)」を立ち上げ、戦略部分からご一緒できる価値を創出したいと考えました。

鐘ヶ江 海外ではすでに、パブリッシャーがマーケティングの上流から参画するのがトレンドになっています。日本の出版社も、このグローバルトレンドの影響を受けており、講談社も「企業のマーケティングパートナー」となるべく、さまざまな取り組みを始めています。

たとえば、講談社メディアの読者データを活用し、広告配信・分析サービスなどを提供するデジタルマーケティングサービス「OTAKAD(オタカド)」も、そのひとつです。

広告主に寄り添うために誕生した「講談社メディア・コミュニティ・ラボ」

──メディア・コミュニティ・ラボの活動により、具体的に何がどう変わるのでしょうか?

伊東 これまでのメディアビジネスは、「ViVi」という広告枠に出稿することで、「ViVi」読者にメッセージを届けるという限定的な課題解決でした。しかし講談社メディア・コミュニティ・ラボでは、課題のヒアリングから事前の調査、発信までをトータルでサポートしていきます。また事前調査も、顧客の課題に合わせて、最適な読者コミュニティを選定、場合によってはメディア横断で実施可能です。

最終的なアウトプットは商品開発やサービス、広告出稿など、さまざまな形を想定していますが、決して講談社ありきのゴールである必要はないと考えています。顧客視点で最適な形、課題解決につながるゴールであることが最重要だと考えています。

──講談社メディア・コミュニティ・ラボへの相談=講談社メディアへの出稿ではない、ということでしょうか?

伊東 はい。私たちはマーケティングパートナーとして、常にフラットな視点で、顧客にとっての"最適解"をご提案したいと考えています。最終的に、講談社メディアに出稿いただければ、広告効果の分析まで一気通貫で可能ですし、次回以降の戦略も検討しやすいというメリットはありますが、だからといって、それは"絶対条件"ではありません。

ですから、調査のみを実施するということも可能です。目指しているのは、あくまでマーケティングパートナーとして広告主に寄り添うことであり、継続的に講談社メディアをご活用いただける環境の整備です。そのためにメディア横断でさまざまなニーズに応える、このラボが立ち上がったとも言えます。

調査の強みは、熱量の高いユーザーの本音を聞けること

──出版社メディアを使わずとも、マーケティングリサーチをすることは可能です。出版社メディアを活用するメリットは、どのような点にあるのでしょうか?

伊東 出版社メディアの読者は、特定分野への関心が高い「高感度のユーザー」と言えます。加えて、特定分野に関する熱量が高く、かつメディアのファンであることから、インセンティブのないアンケートの自由記述でも、かなりの分量を回答してくださるユーザーが多くいます。

熱量の高いユーザーを対象に調査を実施できるため、通常のアンケート調査では見えない潜在ニーズの発見や、生活者の本音を知るうえでは、非常に有効であると考えています。

鐘ヶ江 講談社には、さまざまなメディアが存在します。

たとえば、Z世代のカルチャー・トレンドを牽引する「ViVi」、絶大な信頼を誇る美容メディア「VOCE」、SDGsのリーディングメディア「FRaU」、ミドルエイジの共感を集める「mi-mollet」、共働き家族に特化した情報発信を行い、支持される「共働きwith」など、どのメディアもさまざまな興味・関心でセグメントされた読者を抱えています。

年齢層も関心も幅広い講談社メディアの読者に対して行える調査は、自ずと調査範囲も広く、さまざまな課題解決に寄与できると考えています。

「講談社メディアの横断調査によって、さまざまな課題を解決したい」と話す鐘ヶ江


自主調査と、企業の抱える課題に合わせたカスタマイズ調査

──講談社メディア・コミュニティ・ラボで行える調査について、教えてください。

伊東 調査の形は、大きく2つあります。

ひとつは、講談社メディア・コミュニティ・ラボが主導し、講談社メディアの読者に対して実施する自主調査。たとえば、「働き方の多様性」という大きなテーマを、出産、育児、共働きなど、より身近で具体的なテーマに落とし込んで調査を行うことで、現代女性のインサイトを分析し、課題解決のためのヒントを探ります。これは社会課題や企業課題の解決に寄与することを目指して、逐次実施していきたいと考えています。

もうひとつが、企業の抱える課題に合わせたテーマによる調査です。

たとえば製薬会社が「更年期」をテーマにした未病対策のアプローチを考えたいという場合、これまでは商品に対して、広告出稿の相談しかできませんでした。ですが、講談社メディア・コミュニティ・ラボなら、40〜50代の女性が未病に対し困っていることは何かという深い調査からメディアと連携し、アウトプットまでサポートすることができます。

鐘ヶ江 また、調査結果をコンテンツにして、情報発信することもメディアならではの強みです。ターゲットに合わせて「共働きwith」や「mi-mollet」で連載記事として展開し、調査結果とともに商品を訴求することもできます。

伊東 これまでのタイアップ記事や広告出稿のように、メディアに掲載することがゴールではなく、メディアの読者コミュニティを調査からアウトプットまで活用することで、企業とメディアはより一体となり、新たな価値の創出、効果の最大化を実現できるのではないかと考えています。

調査の第1弾は「共働き家族」をテーマに実施

──2022年7月12日(火)、講談社メディア・コミュニティ・ラボの活動の第1弾となる「共働き家族」をテーマにした調査・分析の結果を発表したウェビナーが開催されました。

講談社メディア・コミュニティ・ラボ初となる共催セミナーは、「共働き家族」をテーマに実施された

鐘ヶ江 はい。講談社メディア「共働きwith」と、20〜30代の「働く女性」を研究し、働く女性が生きやすい"ニュートラルな社会"づくりのために活動する「博報堂キャリジョ研」による共催で、「共働き家族の考え方」をテーマに、可処分所得の多い共働き家族のインサイトを探りました。

事前にそれぞれで実施した調査をもとに、現在の「共働き家族」の実像と、調査から見えたインサイトについて意見交換しました。

※ウェビナーの内容は、近日中にC-stationでレポートを公開予定です。詳しくは、そちらをご覧ください。

伊東 今回は、ちょうど同じタイミングで同じテーマに向き合っていたという理由から、博報堂キャリジョ研との協業が実現しました。

講談社メディア・コミュニティ・ラボは、講談社単独でも、今回のようにパートナーシップを組んだ形でも展開できる、柔軟性のあるプロジェクトでありたいと考えています。そこには、他社メディアとの合同調査といったものも含まれます。


読者コミュニティを軸とした独自性を効果につなげたい

──講談社メディア・コミュニティ・ラボを通じて、発信したいことがあれば、教えてください。

鐘ヶ江 出版社のメディアを「広告掲載枠」という認識で捉えている企業さまや広告会社さまも多いと思います。講談社メディア・コミュニティ・ラボを通じて、「講談社は企業のマーケティングパートナーになり得る」ということを強く発信していきたいです。

伊東 マーケティングサービスを提供している出版社は他にもありますが、メディアの読者コミュニティを軸としたソリューションを提供しているのは「講談社メディア・コミュニティ・ラボ」だけです。その独自性を効果につなげていきたいと考えています。

当たり前ですが、講談社メディアの読者に調査を行えるのは、講談社だけです。その熱量の高いユーザー(メディアの読者)に調査を行い、多様化する現代の生活者のインサイトを正確に把握し、マーケティング課題の解決のためのアウトプットにつなげる。そのすべてをトータルサポートします。

ぜひ、講談社メディア・コミュニティ・ラボに多くの方に興味を持っていただき、ご活用いただけたらうれしいです。

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