2023年に訪れる、「Cookieレス」時代。メディアと広告業界はいま、一丸となって対応を進めています。そのなかで、国内の主要メディア28社が参加する広告プラットフォーム「コンテンツメディアコンソーシアム」事業に、博報堂DYグループ2社が新たに参画。来たるべき、変革に向けた歩みは、さらに加速していきそうです。
目前に迫った「Cookieレス」時代の到来
インターネット広告費が増加の一途をたどる中で、デジタルマーケティング市場は急成長を遂げました。広告を配信するテクノロジーも進化し続け、Cookie(WEBサイトの閲覧履歴などの個人情報)を利用したターゲティング広告の需要が拡大。一方で、大手プラットフォーマーのCookieを含む個人情報の独占や、意図しないサイトでの広告掲載によるブランド棄損など、新たな課題も発生しています。
そのなかで近年、デジタル上でのプライバシー保護の観点から、Cookie利用を自主規制する動きが加速しており、2023年の後半には第三者提供の「3rd Party Cookie」については、ほぼ消滅する見通しです。
Cookieレス時代の新潮流として注目される「コンテクスト広告」
Cookieが使えない「Cookieレス」時代において、グローバルでは、大量のトラフィックからユーザーの属性を推定しターゲティング広告を配信するプラットフォーマー型ではなく、テキストコンテンツのコンテクスト(文脈)にマッチした広告配信が主流になっていくと見られています。
そこで重要になるのが、いかにユーザーのプライバシーを保護しながら、コンテクスト(ユーザー属性や趣味嗜好など)に広告をマッチさせるかです。
すでに、グローバルの主要なパブリッシャー、ドイツの「アクセル・シュプリンガー」やフランスの「ル・フィガロ」、アメリカの「FOX(フォックス)」などは、スイスに本社を置くデータプラットフォーマー「1plusX(ワンプラスエックス)」が提供するプライバシーを重視した最新テクノロジーを活用することで、その課題を解決しています。
Cookieレス時代の対応に取り組む「コンテンツメディアコンソーシアム」
日本でもインターネット関連の事業を行う「デジタルガレージ」の子会社で、コンテクスト広告を展開する「BI.Garage」が、国内の主要記事コンテンツホルダーであるメディア28社とともに「コンテンツメディアコンソーシアム」を2019年に創設。同様の課題解決に取り組んでいます。
「コンテンツメディアコンソーシアム」は、国内の主要なコンテンツメディア28社がひとつとなり、<コンテンツ価値の訴求>と<広告価値の追求>を目的に生まれました。これにより、高価値のインターネット広告を提供する「共同広告配信プラットフォーム」事業など、プレミアムコンテンツメディア群ならではの事業を展開していくことを目指しています。
昨年、同社は1plusXとの資本業務提携を通して、メディア各社の記事のコンテクストを解析・活用。そこにマッチした広告を配信することで、ユーザーの興味関心を捉える「コンテクスト広告」の仕組みを開発しています。同社によると、他媒体でのターゲティング型の広告配信と比較しても、クリック率や動画視聴完了率、態度変容効率などで上回る実績も多数出ており、次世代型の広告として注目を集めています。
博報堂DYグループ2社も参画し、事業拡大を推進
BI.Garageは先日、新たに博報堂DYグループの「博報堂DYメディアパートナーズ」、「デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム」の2社と、資本業務提携契約を締結したことを発表。すでに資本業務提携していた電通グループ、CARTA COMMUNICATIONS、ADKマーケティング・ソリューションズとともに、「コンテンツメディアコンソーシアム」事業拡大を推進していきます。
今後は、今年4月に1plusXを買収した米国のアドテクトップ企業である「TripleLift(トリプルリフト)」との連携も視野に、新たなテクノロジーを活用した次世代型広告事業を、メディアと広告業界が一丸となって、加速させていく予定です。
「Cookieレス」時代においては、デジタル広告においてもプライバシー保護の観点が重視されます。そのなかで、優良な読者を抱えるメディアと広告会社はいかに連携し、読者よし、メディアよし、社会よしの「三方よし」を実現していくのか。今後その動向に、さらに注目が集まることになりそうです。
コンテンツメディアコンソーシアム参加メディア各社 (順不同)
東洋経済新報社、朝日新聞社、読売新聞東京本社、日本経済新聞社、西日本新聞社、講談社、集英社、毎日新聞社、産経デジタル、北海道新聞社、中日新聞社、時事通信社、ダイヤモンド社、プレジデント社、リンクタイズ、インプレス、オレンジページ、光文社、文藝春秋、日本ビジネスプレス、メディアジーン、朝日放送テレビ、J-WAVE、小学館、マガジンハウス、CCCメディアハウス、フジテレビジョン、テレビ東京コミュニケーションズ
(以上に加え、電通グループ、CARTA COMMUNICATIONS、博報堂DYメディアパートナーズ、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム、ADKマーケティング・ソリューションズと資本業務提携を通じて推進)