2022.05.20

SNSのアルゴリズムをどのように味方につけるのか|SNS動画時代を生き抜こう<第2回>

この連載では、SNSでの動画活用がますます一般的になるなかで、利用者が特に多いTwitterやInstagramで支持される動画を制作、投稿するために押さえておくべき基礎知識をお届けします。

第2回は、SNSのアルゴリズムについて解説し、そのアルゴリズムを有利に使うにはどうすればいいか、方法をご紹介します。

SNSでアカウントを開設・運用して、やみくもに動画を投稿していても、再生数増やフォロワー増にはつながりません。より多くの人に動画を届け、より多くのフォロワーを獲得するには「そのSNSがどういうアルゴリズムで動いているか」を知る必要があります。

アルゴリズムの傾向がわかれば、投稿がバズる確率を上げることができ、投稿がバズればフォロワーが増え、自社アカウントの人気が上昇します。ひいてはアカウントを通じて自社製品・サービスや企業に対する認知獲得やイメージ向上につなげることができるのです。

SNSにおけるアルゴリズムは「ユーザーの利用度を上げる」ため

アルゴリズムとは「算法」や「問題を解決するための手順」を意味する言葉です。SNSにおけるアルゴリズムは、アカウントを持つユーザーから投稿された無数のコンテンツを、ある規則や関連性に基づいて、ユーザーの設定や興味関心に合わせて最適に並べ替える方法のことを指します。
なぜ、SNSにはアルゴリズムが存在するのでしょうか。それは、各SNSが「ユーザーに適したコンテンツを届けることで利用度を上げたい」と考えているからです。

具体的には、

  • そのユーザーがどんな投稿(動画、画像、ジャンル)をしているか
  • そのユーザーがどんな投稿を見ているのか
  • そのユーザーがどんなアカウント・投稿に対してリアクション(いいね!、シェア、コメントなど)をしているか

といった要素をとらえてアルゴリズムで最適化し、ユーザーに適していると判断したコンテンツをタイムラインやフィードに並べているのです。

アルゴリズムに影響する「エンゲージメント」とは

アルゴリズムは、SNSごとに独自に設定されています。たとえば Instagram の場合、前述のような要素だけでなく、数千と呼ばれるシグナルから成り立っているとされています。
ただ、どのSNSにおいても共通して重視している要素が「エンゲージメント」です。エンゲージメントとは、投稿とユーザーとの「つながり」を評価した指標のこと。つまり投稿やライブ配信に対するユーザーの何らかの反応やアクションがエンゲージメントです。各SNSはその投稿やアカウントがユーザーにとってどんな存在なのか、ユーザーとどのようなコミュニケーションを生んでいるか、を重視しているわけです。

主要なSNSでは、下記をエンゲージメントとしてカウントしていることが多いです。

  • Twitter=リツイート、返信、いいね、投票、ハッシュタグのクリックなど
  • Instagram=いいね、保存、シェア、コメントなど
  • Facebook=いいね、シェア、コメント、クリック(リンク、写真、動画 etc.)など

現在の各SNSのアルゴリズムでは、エンゲージメント率が高い投稿・アカウントほど優先的にタイムライン(フィード)に表示される傾向にあります(時系列の場合を除く)。Twitterのタイムラインで、フォローしていないアカウントにもかかわらず投稿が表示されることがあるのは、エンゲージメント数が多く、かつ、そのユーザーの興味関心に近い投稿であるとアルゴリズムで判断されているからでしょう。

ただエンゲージメントの要素のなかでも、重要度は異なります。たとえば Instagramの場合、「保存」が重要視される傾向にあるといわれています。

またエンゲージメントとして見ることはできませんが、投稿に対する「滞在時間」もよくアルゴリズムに影響を与える要素のひとつとされます。タイムラインやフィード上で動画の投稿が目立つ理由も、滞在時間が自然と長くなるためと考えられています。滞在時間の長さ=エンゲージメントの高さと判断していると思われます。

アルゴリズムをハックするために実践すべき2つのこと

SNSアカウントを運用する際、アルゴリズムをある程度ハックすることができれば、投稿をバズらせたり、フォロワーを増やしたりすることが可能になります。では、アルゴリズムをハックするにはどんなことをすればよいのでしょうか。

1)仮説を立てて数値分析し、アルゴリズムの傾向をつかむ

各SNSのアルゴリズムはすべてが公表されているわけではありません。また、各SNSとも常に一定のアルゴリズムが働いているわけではなく、小さなアップデートを繰り返す傾向があります。そのため、アルゴリズムをハックするには、毎回の投稿の数値をウォッチして、その傾向をつかむ必要があります。

では、アルゴリズムの傾向をつかむために、どのように数値分析をすればよいのでしょうか。有効なのはABテストのように仮説を立てて、一部の条件を変えてほぼ同内容の動画を投稿し、その際に数値差がどう出るかを検証することで傾向を読み解く方法です。
Instagramでエクササイズ動画を投稿するアカウントを運用していると想定して、アルゴリズムの傾向をつかむ方法を解説してみましょう。

■パターン1 「保存数」がインプレッション・リーチ増につながると仮説を立てた場合の例

実践すること

  • 内容的にはほぼ近いものだが、若干アプローチの異なる動画でいずれも尺は60秒
    ※いずれも一定の数値が見込める、お腹の引き締めを狙ったエクササイズ動画
  • それぞれ同じ曜日の同じ時間にフィード投稿する

【結果(投稿後1週間の数値)】

  • 投稿A:インプレッション=11,000、リーチ=10,000、いいね=100、保存数=50
  • 投稿B:インプレッション=21,000、リーチ=20,000、いいね=50、保存数=100

この場合、保存数が多い投稿の方がインプレッションとリーチが伸びているため、保存数とインプレッション・リーチには相関性があると考えられます。

■パターン2 「投稿あたりの滞在時間の長さ」がインプレッション・リーチ増につながると仮説を立てた場合の例

実践すること

  • ほぼ同内容の動画で投稿Aは60秒、投稿Bは30秒にする
    ※いずれも一定の数値が見込める、お腹の引き締めを狙ったエクササイズ動画
  • それぞれ同じ曜日の同じ時間にフィード投稿する

【結果(投稿後1週間の数値)】

  • 投稿A:インプレッション=12,000、リーチ=11,000
  • 投稿B:インプレッション=10,000、リーチ=9,000

こちらの結果からは、滞在時間が自ずと長くなる長尺の動画の方がエンゲージメントが高いとアルゴリズムに判断され、フィードに出やすかったと考えることができるでしょう。

今回はInstagramのフィード投稿の例で紹介しましたが、TwitterやFacebookでも同様に検証可能です。仮説→条件設定→投稿→数値分析のサイクルを何パターンも繰り返すうちに、SNSのアルゴリズムがある程度つかめてきます。

2)アルゴリズムに関する最新情報をチェックする

SNSアカウントを運用する上で、各SNSの最新動向をチェックしていくことも欠かせません。各SNSのアルゴリズムはある程度公表されている場合もありますが、ウワサレベルのものもあります。たとえばInstagramの場合、タイムラインの表示順の変更など、大きなアップデートについては大々的にアナウンスされますが、それ以外のものは非公表となっています。

そのため、各SNSから発信される公式情報だけでなく、SNSアカウント運用を得意としている会社のブログやSNS運用ツールの公式ブログなどもチェックするのがおすすめです。また、各SNSともアメリカなど海外の方が日本よりも先行して新しい機能やアルゴリズムを試す傾向があるので、海外の専門家が発信しているブログなどにも目を通しておくと、より最新の情報を入手できます。

アルゴリズムとどう向き合っていけばいいか

前述の通り、各SNSのアルゴリズムは常に一定ではなく、予告なく随時変化します。そのため、アカウント運用する際は、アップデートに対応してその都度投稿をチューニングしていくことが肝心です。

投稿をチューニングするためには、数値を追って変化をチェックすることも必要です。たとえば、いつも安定的に数値を獲得できる投稿にもかかわらず、伸びが鈍化したとき。もちろん投稿内容に原因があるのかもしれませんが、アルゴリズムがアップデートされた可能性も否定できません。ただし、1投稿だけで判断するのではなく、同じような投稿を複数回試しても同じ傾向が見られるかどうかを確認しましょう。

最新機能が搭載されたら、まず試すこともおすすめです。各SNSはアカウントとユーザーとのエンゲージメントだけでなく、SNSとアカウントとのエンゲージメントも評価される傾向が見られます。

Instagramの場合、ストーリーズやIGTV、リールなど次々と新機能が搭載されていますが、それらすべてを網羅的に活用しておくと、アルゴリズムに対して何らかのポジティブなシグナルを得ることができるかもしれません。最新機能も海外の方が先行して搭載されることが多いので、海外の情報もチェックしておくとよいでしょう。

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