2022.04.20

"SNSウケ"する動画を制作するコツ|SNS動画時代を生き抜こう<第1回>

ブランディングやキャンペーン、ファンマーケティングなどを目的に、SNSでの動画活用を検討しているマーケターも多いでしょう。しかし、SNSに動画を投稿していても思ったようにバズらなかったり、フォロワーを増やすことができなかったりと、いまひとつ効果を実感できていないことはありませんか。

この連載では、SNSでの動画活用がますます一般的になるなかで、利用者が特に多いTwitterやInstagramで支持される動画を制作、投稿するために押さえておくべき基礎知識をお届けします。第1回は、SNSで動画活用が進む背景と、SNSで支持される動画をつくる際のポイントについて解説します。

圧倒的な情報量でSNSに浸透した動画投稿

なぜ、SNSでの動画投稿が増え続けているのか、まずはSNSで投稿されるテキスト・画像・動画それぞれの特徴をみてみましょう。

■テキスト
色やデザインなどにおける表現手法は限られていますが、もっとも手軽に制作できます。Twitterなど投稿文字数が制限される場合があります。

■画像
テキストに比べると多くの情報を伝えることができます。画像内でできるだけ情報量を増やすためには、編集や加工が必要になります。Instagramのカルーセル投稿など、1枚の画像投稿で完結させず、複数枚を投稿してより多くの情報を届ける手法もあります。

■動画
テキストや画像に比べ制作工数・コストはかかるものの、もっとも多くの情報量を伝えられます。動きとともにテロップやナレーション、BGMなどで情報を補うことによって、エモーショナルなアプローチが可能です。

動画はテキストや画像に比べて圧倒的な量の情報を伝えることができるため、SNSで採用する動きはますます活発化しています。また最近ではスマホでも高画質・高品質の撮影や編集が可能になり、低コストで動画を量産できるようになったことも影響しています。
SNSによっては、投稿に対する滞在時間の長さを評価し、表示機会が増えるアルゴリズムが働いていることも、動画投稿が増えている要因のひとつでしょう。

SNSで支持される動画の3つの特徴

SNSのタイムラインに表示される動画には、何十万〜何百万回も再生もされている動画もあれば、数百にとどまっている動画もあります。フォロワー数によって再生数が左右されることはありますが、シェアやリツイート、ハッシュタグなどでフォロワー以外のユーザーに動画をリーチさせることも可能ですから、フォロワー数と再生数は必ずしも比例しません。

SNSの特徴を理解し、"SNSウケ"する動画を投稿しないと、動画本来の特徴を発揮しきれず、情報をより多くの人に届けることができない結果に終わってしまうでしょう。
では、"SNSウケ"する動画を作るにはにはどうすればよいのでしょうか。大切なポイントを3つご紹介しましょう。

サムネイルで惹きつける

SNSで投稿される動画は、そのほとんどがタイムラインで表示されます。多くの投稿が並ぶタイムラインから、一つの投稿に注目するかどうかを判断するのは、わずか1秒だとも言われています。

1秒でこの動画を視聴したいと思わせるためには、「サムネイル」が非常に重要です。この動画で「何を伝えたいのか」「何をアピールしたいのか」「視聴したらどんなメリットがあるのか」などを考えてサムネイルをデザインしましょう。具体的には、下記のようなチェックポイントで検討していくとよいでしょう。

■サムネイル内のタイトル・コピー
・サービスや製品の魅力(メリット、新奇性、意外性など)を、長くなりすぎず端的に表現できているか
・ターゲットに親近感を持ってもらえるような言葉遣いになっているか(Z世代向け、主婦向け、男性向けなど)
・「〇選」「〇つの秘密」など、数字を入れた場合に効果がありそうか
・その他にも効果のありそうな表現はないか
 例:"伏せ字"を使って興味を惹く(実は〇〇だった! など)

■文字のデザイン
・サービスや製品のイメージやターゲットの世界観にマッチしたフォント(書体)を使っているか
・視認性が高い色、大きさになっているか
・文章が長い場合、強弱も考えられているか

■写真・画像
どのような写真や画像を使うかは、アピールポイントに応じてケースバイケースですが、以下のような視点で検討できます。
・サムネイル用の画像を制作するか、印象的なワンシーンを切り出した画像を使うか
(サムネイル用の画像で人物写真を使う場合は、動画から切り出すよりも、サムネイル用にポージングして撮影した画像を使ったほうがよい)
・メイン画像に何らかの加工処理を加えたほうがより伝達効果が高まるか
(マンガの集中線などの効果線やフィルター、モザイクなど)

バズっている動画のサムネイルを参考にして作るのもひとつの手です。自分が思わずタップした動画のサムネイルについて、なぜこのサムネイルをタップしたのか、その要素を分析してみるのです。

動画内では「結論」を先に伝える

サムネイルでうまくタップさせることができても、動画の内容が面白くなければ最後まで視聴してもらえません。特にSNSでは、とにかく最初の数秒が肝だと言われています。
つまり、起承転結で情報を伝えるのではなく、はじめに「結論」を伝えることが重要となります。
たとえば、新しく発売されたダイエット食品の魅力を動画で伝えたい場合、

〇月〇日に発売された新製品です→この食品には〇〇の魅力があって大人気→購入者の感想→ぜひ買ってね

よりも

この食品には〇〇の魅力があります→〇月日に発売されました→人気の理由はこれ→購入者の感想→ぜひ買ってね

のように最初に結論で惹きつけ、その結論を導く背景や理由を後から伝える動画の方が、よりリテンション率(視聴維持率)を高めることができます。

納得と共感を生み出す

サムネイルで惹きつけ、結論から伝える動画構成で作っても、再生数が伸びる動画と伸びない動画があります。その違いは「ターゲットが納得し、共感を生む内容であるかどうか」によって大きく左右されます。

ターゲットが「自分ごととしてとらえられるか」「自分(もしくは周囲の人)の課題を解決できると感じるか」「共感や感動をおぼえるか」を、できるだけ客観的な視点で検討して動画制作する必要があります。具体的には、下記のような視点で撮影・編集していくとよいでしょう。

  • ターゲットの興味関心の高いテーマ設定やアプローチ設定になっているか
  • ターゲットが抱える身近な課題を解決する内容になっているか
  • 話やテロップの言葉づかいがターゲットに合っているか、ターゲットが理解できる内容か
  • 演者や撮影場所、演出、小道具などがターゲットが親近感を感じるものになっているか
  • ターゲットの視聴スタイルに合う内容になっているか(通勤の合間の視聴、家事の合間の視聴 などに合わせているか)

SNSでは、必ずしもクオリティが高くて美しい動画が多く再生されるわけではありません。プロが撮影・編集した動画よりも、スマホで素人が撮影して作った動画の方が圧倒的に再生されることも珍しくありません。これは、よりユーザーやターゲットに近い目線の動画によって共感を生み出せているからだと考えられます。

SNSで支持される動画を作るには、とにかくPDCAを回すこと

SNSで効果的な動画展開を続けるためには、PDCAを回すことが欠かせません。各SNSのアナリティクスやインサイトを定期的に分析し、必要な対応を行うことが大事です。
特に動画制作という観点で分析するなら、下のような数値が大切になります。

  • サムネイルの評価=動画のクリック率 ※リーチ数(再生数)÷インプレッション数でも計算可
  • 動画視聴数の評価=再生数
  • 動画構成の評価=リテンション率

これらの数値をチェックしながら、動画のサムネイル、構成、尺、テロップ、BGMなどさまざまなパターンをつくって投稿を繰り返し、バズりやすい動画の傾向をみつけるとよいでしょう。
また、動画とあわせて投稿するテキストや、投稿するタイミングによっても再生数や評価が左右されます。動画とテキストの組み合わせ、投稿時間についてもさまざまなパターンを検証することをおすすめします。もちろん、投稿に対するエンゲージメント数(いいね、保存、シェア、コメント、RTなど)といった数値分析も必要ですが、こちらはまた次回以降で解説します。

動画はSNSごとに投稿できる尺が決まっているため、その制限の中で伝えたいメッセージを表現しなければならない難しさもあります。
ただ、PDCAを回す中で自分のアカウントにおける鉄板パターンが見つかると、一気に拡散されてフォロワーが急増し、アカウントグロースにつながることがあるのがSNS動画の特徴です。目標に向けてコツコツとPDCAを繰り返し、より効果の高い動画を作っていきましょう。

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