先日開催された、ライブ配信と事前収録を組み合わせたオンラインイベント「講談社メディアカンファレンス 2.0」。"出版広告の再発明に繋がるプログラム"が多数配信された同イベントの中から、今回は、講談社のマンガ投稿サイト『DAYS NEO』、小説投稿サイト『NOVEL DAYS』、イラスト投稿サイト『ILLUST DAYS』で開催されたコンテスト実例をもとに、投稿サイトでコンテストを開催するメリットをご紹介します。
投稿サイト『DAYS NEO』とは?
李 佳欣(リー チャーシン・以下、李) マンガ投稿サイトの『DAYS NEO』は、とある編集者の「マンガ家の卵と出会えるマッチングアプリのようなサイトがあったらいいな」という発想から生まれました。従来、編集者とマンガ家が出会うのは、マンガ家さんが作品を持ち込んだり、編集者が地方の専門学校や同人誌即売会に出向いて見つけたりしていましたが、その出会いは"運まかせ"に近いものとなっていました。
それを解決したのが『DAYS NEO』です。2018年4月に立ち上げ、この2年で60作品の連載が決まりました。この仕組みを使って立ち上げたのが、イラスト投稿サイト『ILLUSTDAYS』と、小説投稿サイト『NOVEL DAYS』です。
プロや、プロに近いデビュー済みの方も含め、2万5千人以上のクリエイターが在籍している点が他社との圧倒的な違いです。その実績が評価され、昨年は、電子出版分野の制作・流通に関して優れた取り組みをした企業・団体などにおくられる「電流協アワード」も受賞しました。
投稿サイトでコンテストを開催するメリット
李 私たちはサイトを通じてコンテスト運営のノウハウを蓄積してきました。その経験を活かし、ブランドや製品を盛り上げたいなどのリクエストを投げていただければ、こちらからコンテストの企画立案をさせていただくことが可能です。また、出版社である我々は著作権に精通している点も強みです。投稿された作品を商業化する際の法律関係のガイドラインが整備されているため、権利関係でもお力になれます。また、審査のお手伝いや、ご指名いただければ著名人やマンガ家さん、作家さんなどを審査員にアサインすることも可能です。
さらに、受賞作品をメディアに掲載できるのも、出版社が運営しているメリットのひとつです。コンテストの主催者だけでなく、投稿者さんにも喜んでいただけると思います。
講談社主催のコンテストの強み
〜コンテスト事例紹介〜『ファンアート』コンテスト
李 ここからは実際のコンテスト実例をもとに、ご説明します。
こちらは、児童作家のはやみねかおるさんのデビュー30周年を記念した企画です。実は今年は、はやみね先生の作品が映画化される予定だったのですが、コロナ禍で撮影は延期。「30周年なのに何もサプライズがない」と担当者から相談を受けて実施したのが「はやみねかおる作家デビュー30周年記念企画」です。
このコンテストでは、イラストや手芸など「どんなものでも構わないので、はやみね先生への愛を表現してください」というお題を設け、弊社が運営している、はやみねかおる公式ツイッターで告知をしたところ、かなりの数の「いいね!」がつき、2ヵ月で400作品が集まりました。その400作品を使って、はやみねかおる先生の似顔絵をモザイクアートで作り、単行本発売のポスターを制作するなどし、ファンのみなさんも先生も、そして担当者の悩みも解決され、win-win-winの結果となりました。
(左)投稿作品を使って生まれた、はやみねかおる先生の似顔絵モザイクアート
(右)受賞作品
「エッセイマンガ」コンテスト〜連載作品を緊急募集!〜
李 タイトルに"緊急募集!!"とありますが、これは幼児雑誌の『おともだち』で掲載中の連載マンガが作者さんのご都合で急遽終了することになり、企画されたコンテストです。雑誌の発売日が迫るなか、急いで新しい描き手を探さなくてはいけないという切迫した状況でしたが、相談から1、2週間のうちに『DAYNEO』でコンテストを開始し、結果『むむちゃんといっしょ』という作品に連載が決まりました。
この作者さんは、もともとイラストレーターや絵本の実績を持っている方で、短い期間ではありましたが、所属しているクリエイターに優秀な方が多いため、良い作品が見つかったという実例です。
「グッズ企画」コンテスト〜妄想型音楽フェス〜
李 コロナ禍でフェスロスの人が多いので、ネット上で空想のフェスを開催しようというアイデアから生まれたのが、"妄想型音楽フェス『IMAGINARY ROCK FESTIVAL'20』出演アーティスト発表!"、略して「イマフェス」です。
クリエイターさんたちには企画書、ポスターのビジュアル、架空のバンドグッズを考えてもらい、約1ヵ月でさまざまなジャンル、300作品の投稿がありました。受賞者の発表は、フェスの出演アーティスト発表のような形で行い、ツイッターでも大いに盛り上がりました。こちらは最初からグッズのデザインも募集していたので、受賞作のグッズをそのまま商品化し、イマフェスのECサイトで販売中です。
「ロゴ」コンテスト〜『ギャルと恐竜』〜
李 ギャルと恐竜の不思議な日常を描いたマンガ『ギャルと恐竜』が今年の4月にTVアニメ化されることになり、そのアニメと一緒に載せる手書きロゴを募集しました。このコンテストをきっかけに作品を知った方もいましたし、自分の作品をツイッターに投稿することで『ギャルと恐竜』が拡散されるなど、波及効果も大きかったと思います。
もともと『ギャルと恐竜』は『DAY NEO』に投稿された作品で、それが『週間ヤングマガジン』で連載され、そしてTVアニメになり、さらにアニメになった時にロゴを募集してと、一連の流れがすべてこのサイトで実現できたという事例です。
「コンテンツコラボ」コンテスト〜AbemaTV〜
李 次に、他社コンテンツとのコラボ実例をご紹介します。
高校生の男女が週末だけ旅をして恋をするAbemaTVの恋愛リアリティ番組『恋する❤︎週末ホームステイ』とコラボレーションをしました。
通常は番組の流れをそのまま書籍化することが多いのですが、今回は高校生がどこかを旅するという設定だけをお借りして、そのノベルとイラストを投稿してもらったところ、高校生の制服を着た、甘酸っぱい恋を描いた小説とイラストが集まりました。またこのコンテストは『NET ViVi』の編集者の目に留まり、受賞作品が『NET ViVi』でも転載されました。
この事例を通してお伝えしたいのは、クライアント様の商品をテーマにしたストーリー募集も可能ということです。リップをテーマにした恋愛小説を募集すれば投稿者は商品について研究しますし、さらに投稿した作品が他のユーザーに拡散され、PR効果も高いと思います。また、クライアント様の予算やご希望次第で書籍流通にのせることも可能です。
コンテストアイデア、ご提案します!
李 こちらは、これまでの2年間に開催したコンテストの一部です。石川県とコラボした「いしかわデイズ」、また文芸書のPOPコンテストや書店とのコラボもありました。
私どもで需要が高いと想定しているのは、ポスターに使用するイラスト募集、グッズ化したい企画案の募集、そのほかマンガやロゴの募集などです。コンテストを実施するメリットは、自社では出会えない才能と出会うことができること。そしてもうひとつは、ネット上でのフックづくりです。ほとんどの投稿者が自分の作品をネット上でシェアしますので、SNSを使ったプロモーションも可能です。これからも私たちが持っている素敵なユーザーとクリエイターを巻き込み、いろいろな形にしていきたいと思っております。
コンテスト開催までの流れ
李 最後にコンテスト開催までの流れをご説明します。
弊社の広告窓口を通じてでも構いませんので、一度お悩みベースでご相談いただければ、私たちからコンテスト内容をご提案し、費用感もお伝えします。内容はコンテスト開始の45営業日前に決定、14営業日前にテストページを提出します。コンテストの募集期間は1ヵ月ほど設けています。審査時間は約2週間程度いただいており、結果発表はクライアント様のご都合に合わせることが可能です。ぜひお問い合わせください。