2020.11.26

「Mixalive TOKYO ライブエンターテインメントの未来」──講談社メディアカンファレンス 2.0 ライブレポート①

新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、中止や縮小を余儀なくされているエンターテイメント業界。オンライン配信など新しいスタイルが広がるなか、"イベント"の未来はどうなっていくのでしょうか。 先日オンラインで開催された「講談社メディアカンファレンス 2.0」では、人気声優の浪川大輔さんをお招きして、"ライブエンターテインメントの未来"について、講談社 ライツ・メディアビジネス局 事業開発部部長 松下卓也とセッションを行いました。その模様をお届けします。

(左)講談社 ライツ・メディアビジネス局 事業開発部部長 松下卓也、(右)声優の浪川大輔さん。代表作に『ルパン三世』シリーズの石川五ェ門役や、『機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)』のリディ・マーセナス役などがある。また舞台役者、歌手としても活躍している

松下卓也(以下、松下) 本日ライブ配信を行っているMixalive TOKYO (ミクサライブ東京)は、6つの施設から多彩なライブコンテンツを発信できるライブエンターテインメント複合施設です。

Mixalive TOKYO (ミクサライブ東京)

当初は3月19日にオープン予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で6月までの演目がすべて中止という厳しいスタートとなりました。6月10日にようやくオープンしました。現在は、ライブ配信に特に力を入れており、ソフトバンクの協力により、全館に次世代高速通信「5G」を整備するなど、利用しやすい環境を整えています。

「ミクサライブ東京」のフロア構成と事業パートーナー

浪川大輔(以下、浪川) 緊急事態宣言以降、声優・エンタメ業界でもライブやイベントがほぼ100%中止、または延期になりました。

解除後、少しずつ配信という形で無観客ライブやイベントをやらせていただけるようになり、最近は観客数を制限するなど、感染症対策に配慮した形で舞台なども再開しています。それでもまだ配信メインでファンの方たちとの交流を深めている、というのが現状です。

ライブエンターテインメントの現状について語る浪川大輔さん

松下 ミクサライブ東京にはホールが5つありますが、いちばん大きなホールで定員300名と、それほど大きくありません。配信ライブを行なった最大の発見は、この「定員」という概念がなくなるということでした。

たとえば、Office ENDLESSとの共同プロジェクトで行った配信型の演劇『ひとりしばい』は、140席の「Hall Mixa」を使用し、2000名もの観客にご視聴いただきました。

また、浪川さんが主役を務めた朗読劇『池袋ナイトアウトテールズ』の生配信チケットは4000枚以上の売上げを達成。『RAVE』『FAIRY TAIL』『EDENS ZERO』などの人気マンガを生み出した、真島ヒロ先生の全世界オンラインサイン会は、YouTubeで4000人以上が参加。中国のビリビリ動画で7万8千人が閲覧するという状況を生み出すことに成功しました。

真島ヒロ先生の全世界オンラインサイン会の様子は、『週刊少年マガジン』の公式Youtubeチャンネルで生配信され、15万回再生を超えた

浪川 僕も、ライブ配信には可能性を感じています。配信の仕方など技術的な知識は当然必要ですが、見てくださる方との空間の共有も大事です。ミクサライブ東京は、ライブ配信技術が発展していくなか、それを実践できるシステムや環境が整っていますので、こうした設備を活用した演目に挑戦していきたいと思っています。

いま、タレントや女優さんのなかにも、マンガやアニメが好きと発信するようになった方が増えましたよね。ミクサライブ東京ライブは、こうしたインフルエンサー的なパワーがある、よい意味での「オタク」が多く集まる空間だなと感じているんですが、松下さんはどう思われますか。

松下 実はそこがミクサライブ東京の強みなんです。

マンガやアニメ、ゲームといったエンターテイメントは、いま、もっとも集客力のある要素です。有名人自らファンだと公言し、共有する人たちが増えました。10年前は、日本を代表するような大手企業が広告にマンガやアニメを使うことはまずなかったのですが、いまはみなさん普通にタイアップやコラボでマンガIPを活用されていますよね。

熟成したエンターテイメント市場のなかで、コロナが落ち着いた時にコアなファンに集まっていただく場がミクサライブ東京だと思っています。コアファンは、自分が好きなものに対しては時間も労力もお金も惜しまず、かつ"発信するパワー"もあります。

彼らにとっての発信というのは、コミュニティにおける情報共有という側面と、「こんな特別な体験ができた」という自慢話のような側面があります。その二軸によって、同じものを好きなユーザーによって情報が拡散するわけです。

テレビCMで認知拡大することも大切ですが、特別な体験をした人による"生の声"は、ユーザーに深く刺さりますから、ときに想像以上に大きな広告効果や認知拡大につながるケースもあると考えています。

先ほども申しました通り、ミクサライブ東京は、何十万人、何百万人も集客できる施設ではありません。しかし、だからこそ生み出せる"プレミアム感"によって、特別な意味を持たせることができる。コアなファンを集める得難い「装置」になると確信しています。

浪川 YouTubeでCMを流す企業さんも多いと思うんですが、YouTubeで人気のコンテンツは、やっている本人が楽しんでやっているものが多い印象を受けています。

ミクサライブ東京におけるコンテンツも、作り手が楽しむことはもちろん重要ですが、一発勝負で破壊力のある"リアル"とは違う、視聴者の方一人ひとりに届けられる"極上のもの"を一個一個ていねいにつくっていくことも非常に大切だと感じています。

コンテンツを通して、面白いネタ獲得の場やコミュニケーションのひとつとして、ミクサライブ東京が「コンテンツの図書館」みたいな発見の場になっていくといいですよね。

ミクサライブ東京で配信型の朗読劇を経験するなかで、「さまざまな可能性を感じた」と話す浪川さん

松下 今の人は、演じている人が面白がっているのかどうかをしっかりと見ていますよね。「有名な人が出れば必ず拡散する」という理論は通用しなくなってきているように思います。

ミクサライブ東京は、池袋駅からわずか3分の好立地にあります。物語をつくる作家がいる講談社、音楽を作れるキングレコード、バラエティが得意なテレビ東京など、多種多様な企業が集まり、浪川さんのような演者さんもたくさんいて、ライブを作れる環境があります。

今日ご覧いただいている代理店さんや企業さんが一緒になって配信ライブを作り、そのチケットをキャンペーンのプレゼントにするというようなことも、今後できると思います。今日ご覧いただいて面白そうと感じたら、ぜひ、お気楽にお問い合わせください。まずはどのターゲットに何を伝えたいのかを教えていただけたら、こちらからご提案もできます。楽しみながら、ご一緒にいろいろなライブを作っていけたらと思っています。

「ライブ配信という選択肢によって、ミクサライブ東京に"新たな可能性"が生まれた」と語る松下

浪川 リアルと配信の違いは体感ですよね。スマホやタブレットで体感させるには没入させることが重要だと、スタッフや我々出演者は気がついています。ビジネスパートナーさんとともに、アイデアや演出でどうやって没入感を出させるかというのは今後も追求していきたいですね。

リアルの強さには「発見」もあります。配信でもこの「発見」をしていただくための工夫も欠かせないと思います。たとえば、ライブ用のチケットをアカウントに紐付けて、ライブ限定のブロマイドをコンビニなどでプリントアウトできるようにするということもできると思います。

とにかく、できることすべてに全力で尽くしていきたい。今後もハイブリッドなミクサライブ東京を活用して、世界に極上のエンタメを届けていきたいです。


●開催概要
名 称:講談社メディアカンファレンス2.0 with Mixalive TOKYO
ライブレポート:「Mixalive TOKYO ライブエンターテインメントの未来」
登壇者:声優/浪川大輔
    株式会社講談社 ライツ・メディアビジネス局 事業開発部部長/松下卓也
    MC/杉浦舞
日 時:2020年11月4日(水)13:25〜14:05
形 式:ライブ配信

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