2020.11.20
講談社の広告プラットフォーム『OTAKAD』の効果的な使い方とは?──「講談社メディアカンファレンス 2.0」ビジネスプログラムレポート①
2020年11月4日(水)に開催された、ライブ配信と事前収録を組み合わせたオンラインイベント「講談社メディアカンファレンス 2.0」。"出版広告の再発明に繋がるプログラム"が多数配信された同イベントの中から、今回はビジネスプログラム「デジタルマーケのPDCAすべてに効く! OTAKADの効果的な使い方お教えします」のレポートをお届けします。
講談社プレミアムメディアへの広告配信を通して、詳細なデータ分析をも可能とする「OTAKAD(オタカド)」、その効果とは?
松村吏司(以下、松村) 本プログラムでは、講談社が2019年11月にリリースした広告配信プラットフォーム「OTAKAD」について、活用事例や実際のデータをご紹介しながら、OTAKADでできることをご説明します。OTAKADは、広告を配信するサービスで、講談社のプレミアムメディアを閲覧する読者に対してターゲティング配信が可能です。
OTAKADの特長は以下の3つです。
・講談社プレミアムメディアにのみ配信されることによる「ブランドセーフティの確保」
・独自AIに解析された読者データを用いた「効果の高い広告配信」
・読者の「潜在的なニーズを発見」
講談社メディアには日々、幅広い年齢層、趣味・関心を持つ読者が多数訪問している。
OTAKADでは、その全データを取得・分析し、広告配信に活用している
そもそも広告配信プラットフォームOTAKAD(オタカド)とは?
山崎瑛記(以下、山崎) 講談社では男性系メディア6サイト、女性系メディア5サイトの計11サイトを運営しており、OTAKADではこれらの"プレミアムメディア(※)に対してのみ"広告配信が可能です。そのため、Yahoo!広告やGoogle広告とは異なり、ブログや違法サイトに広告が表示されることはありません。
松村 講談社が運営しているメディアに一気に申し込むことができ、サイトごとに申し込みの必要がないのも楽ですよね。では広告配信する際に重要となるPDCAの「Plan」の観点から、OTAKADを利用した場合の流れを教えてください。
山崎 はじめに、20の基本セグメントを活用したプランをご提案します。OTAKADではDMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)を活用して蓄積した読者データをもとに、読者を20の基本セグメントに分類しているのですが、これは「読者がどのサイトを見ているか」よりも、「どんなカテゴリーの記事を読み、どんなことに興味があるのか」を重視しているからです。クライアント様は商品や訴求内容に合わせて、配信対象となるセグメントを選ぶことが可能です。
もちろん掲載面を絞り込むことも可能です。タイミングとしては、配信チューニング時に掲載するサイトを絞り込むことをお勧めしています。
OTAKADでは、20の基本セグメントによって読者を分類している
AIを活用し精度の高いターゲティングを実現
松村 セグメントの中身はどのようなデータに基づいて作成されていますか?
山崎 講談社独自のAIで全メディアの記事データを収集しています。記事URL、タイトル、記事内容、内容に含まれるキーワードなどを収集。集まったデータを解析し、記事に属するキーワードのスコアリングまで行っています。また、3rd Party Data(外部データ)による属性情報も活用しながら、より精度の高いターゲティングを実現しています。
松村 既存セグメントでは、お客様のニーズに応えられない場合はどう対応していますか?
山崎 カスタムでのセグメント作成のサービスも行っています。多種多様な記事の中から日々キーワードの選定を行い、現在では7500以上のキーワードを管理しています。これにより、カスタムといえども基本セグメントと変わらない精度でのセグメント作成が可能です。
OTAKADでは、7500を超えるキーワードによって、読者を分類。
ニーズに合った最適なセグメントを無料設計できる
OTAKADのプランニングの流れ
松村 広告プランを立てる際に、FacebookやGoogleでは膨大な量のカテゴリが出てくるため、プランニングで迷ってしまうケースもあると思います。OTAKADでは、どのようにプランニングを行っていますか?
山崎 大手ファッションブランドさんと『with online』のタイアップ事例をご紹介します。記事制作を行うにあたり、『with online』読者でそのブランドの記事を読んだことがある、興味がある読者の記事閲覧傾向をOTAKADで分析しました。
その結果はちらのスライドです。記事のキーワードのスコアが高い順に「興味度5以上」「興味度4以上」......と分類し、4以上は顕在層、3以下は潜在層とユーザー定義をし、配信を行いました。
OTAKADでは、広告に興味を持ちそうなユーザーを「興味度」で判別し、
ペルソナに合ったユーザーにだけ、広告を配信することができる
松村 いわゆる顕在層と潜在層を"全体のターゲット"に設定。顕在層には、「広告主様が想定されているお客様が興味を持ちそうなキーワード」を設定することで、精度の高いマッチングを図っているのですね。
きめの細かいレポートで"新しい読者"を発見できる
松村 OTAKADでの運用はどのようになっていますか?
山崎 クライアント様からKPIを伺い、それに沿って運用します。たとえばCPC(クリック単価)、CPM(インプレッション単価)、CPA(アクション獲得単価)など、あるいはタイアップ記事の読了率などを指標にされているクライアント様もいらっしゃるので、そうしたご要望に合わせてチューニングしています。
松村 途中でCPCが良かったのか、CPMのほうがよかったのか、調整したくなることがありますが、そのようなリクエストにも対応するということですか?
山崎 はい。毎日レポートを更新して、日々成果をご覧いただけますので、途中結果を見ながら「ここをもう少しこうしたい」というご要望も伺っています。
松村 クライアント様からすると、「目標を伝えれば後はやってくれる」というのは非常に助かるのではないでしょうか。では次に、結果をチェックする際に、OTAKADのレポートからどのようなデータが得られるのか教えてください。
山崎 ベースとなる広告配信ログと、サイト内の読者のアクセスログをクロスで分析し、詳細な読者分析を提出しています。
OTAKADで得られる「詳細な読者分析」の概要
下記は実際のレポートですが、こうした実績のサマリをお出ししています。結果は配信翌日から表示され、管理画面から常に最新の状況がご覧になれます。サイト別に絞ったり、クリエイティブで絞ったりということも、ひとつの画面で切り替えが可能です。
松村 ここにある「ビューアビリティ」とは、どのような指標ですか?
山崎 配信された広告が実際にユーザーの目に入ったかどうかを判定しています。次ページにはサイト別、デバイス別、サイト別の数字もすべて表示されており、時間帯や曜日など、さまざまな指標で閲覧可能です。また、3rd Party Dataを利用して年収や居住地域、さらには職種や業種なども出せるので、クライアント様からもご好評をいただいています。
松村 ほかに、OTAKAD独自のものはありますか?
山崎 「記事親和指数」という、広告と弊社サイト内の記事の親和性を数値化した独自データをご用意しています。AIによるスコアリングを行なっており、「数値が高いものほど記事と広告の親和性が高かった」ということを意味しています。なお、この数値は、クリック数やコンバージョン数のデータをもとに算出しています。
記事と広告の親和性を可視化する「記事親和指数」
松村 このデータを見ると「ユニクロ」というワードが多く見られますので、そういうキャンペーンだったのではないでしょうか。一方で、"マンガ"など、まったく異なる文脈の記事もランクインしているのは、面白いですね。ファッションの訴求だけど、マンガ文脈での訴求も有効だったことがわかります。
続いて、こちらの「読者の興味関心の集合体の時系列の変動」スコアについて、教えてください。
OTAKADによって解析される「読者の興味関心の集合体の時系列の変動」の比較データ。
上が<ビジネスニュース記事全体>、下が<30代に絞った>グラフ
山崎 OTAKADでは、広告をクリックした読者のキーワードに対するスコアの変化を時系列で追うことができます。簡潔に言うと、"読者の興味関心の集合体の時系列の変動を表す"ものです。
講談社サイト全体のデータと、サイトごとのデータのスコアの変遷を一画面で比較できるほか、さらに詳細に比較したい場合、例えば"30代男性"で設定すると、比較データが切り替わり、30代の方とキャンペーン広告に接したユーザーとの比較も可能です。
松村 普通のプラットフォームでは自分の結果しか見られないので、OTAKADで配信した結果を世の中のトレンドに合わせて比較できるのは、特徴的なデータになりそうですね。
OTAKADのデータを活用したアクションプラン
松村 データの分析結果から次のアクションをどうするか考えたり、プランの練り直しが必要になったりする場合もあると思いますが、ここに対してOTAKADができることはありますか?
山崎 キャンペーンによって結果は違うので、その都度、分析結果を代理店様やクライアント様と議論しながらネクストアクションを踏むという形をとっています。
ターゲット設定の側面からは、他のプラットフォームでSNSやGoogle広告で設定しているターゲット条件を見直したり、キーワードベースの分析もお出ししたりもしているので、リスティング広告のキーワード選定にもご活用いただいています。そのほかホームページ、LPサイトなどオウンドメディアを運営されているクライアント様の場合、OTAKADのデータをもとに、記事制作の方針(ターゲット、キーワードなど)を見直されるという事例も伺っています。
また、クリエイティブ面ではタイアップなどに起用するタレントの選定、商品訴求のクリエイティブの考察などにもお役に立てるデータではないかと考えています。
松村 OTAKADは、広告配信の結果から詳細なデータが取得できるため、そもそもの商品訴求が間違っているのではないかとか、「ターゲットが違っているのかもしれない」など、さまざまな"事実"が見えてきますよね。広告を出して終わりではなく、「OTAKADには市場調査のような効果(活用法)もある」と言えそうです。
ますます進化していく今後のOTAKAD
松村 最後に、リリースから1年が経過したOTAKADの今後について教えてください。
山崎 半年から一年ほどかけてデータ精度のアップデートを進めてきましたが、今後は精度を上げたデータを、さまざまなプラットフォームと連携していくことで、効果を最大化していきたいと考えています。
SNSではFacebookやInstagram、ディスプレイ広告はDSP(広告配信プラットフォーム)を通じて講談社以外のメディアの枠にも展開。さらには世界最大級のディスカバリーネットワーク「Outbrain(アウトブレイン)」とも連携することで、より良い広告の効果を目指していきます。
OTAKADでは、広告主の課題やニーズに合わせ、複数のプラットフォームを組み合わせることで、
最適な広告配信を実現することを目指している
また現状、このような連携はクッキーでの連携になりますが、昨今の個人情報保護法の改正などの情勢を鑑み、クッキーレスでの対応も見据えた取り組みを進めています。
松村 今までは講談社のサイト内からしか誘導できなかったのが、Facebookや他サイトにも広告を出せるようになるということですね。タッチポイントを捕捉でき、広げていけるのは拡張性があっていいですね。
最後までご覧いただき、どうもありがとうございました。
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