2020.08.24

Twitterの書き込みからマンガの情報拡散を分析する| マンガキャラクター 活用の極意と最新事情<第4回>

ステイホームせざるを得ない現状が続くなか、熱中症対策も大変なこのごろ。皆さんお元気でお過ごしでしょうか。
現在企画中の「キャラクターに関する最新定量調査」は調整が遅れ気味ですが、次回には発表できるよう準備を進めております。あと少しだけお待ちください。

前回は調査の結果をふまえ、
●特に男子キッズと女性全般で強いキャラクター活用効果が見込めること
●年齢上昇に応じて「メッセージの自分ごと化・共有」⇒「企業・商品の探索&ネット書き込み」⇒「注目・リマインド&企業・商品評判・好意度のアップ」と、キャラクター活用で見込める効果が変わってくること
●特に若者層で、探索・共有・書込みによるブランド価値向上が見込めるため、今どきのネットやスマホを使ったコミュニケーション活動とキャラクターの相性が良いこと
などをご紹介しました。

今回は、情報を受発信する上でのメインプラットフォームの1つであるTwitterに注目し、講談社の主な少年マンガ、青年マンガ、女子マンガを対象に、Twitterでどのぐらいの量と内容の情報が書かれているのかを集計、分析してみました。
具体的には、tori toriさん(@toritorix)が作成したWeb Tweet Crawlerを使い、8月14日から18日の間で、過去1週間分の各マンガ作品に関する書込み内容を全てダウンロードしました。そこからコメントなしRTツイート全般と、作品と関係ない個人・団体の宣伝ツイートを排除して、分析元データにしています。

収集データの性質上、分析対象期間の2020年8月上旬に他作品・企業とのコラボイベントやキャンペーン、ドラマ続編発表などの新たな動きがあった作品は書込み数が多くなっており、作品自体の人気度や注目度とは必ずしも一致しない、瞬間最大風速的な結果かもしれない点にご注意ください。また極端に収集データが少なかった幾つかの作品は今回非掲載としています。個人の手作業のため、作品によって集計開始期間が8月7日から8月11日までバラつきがある点についても、なにとぞご了承ください。

コラボキャンペーンや展示会でTwitter書込みが劇的に活性化

図表1は、少年マンガ系(計10)、青年マンガ系(計9)、女子マンガ系(計9)の計28作品についての、2020年8月上旬の1週間におよぶTwitter書込み数です。
「セーラームーン」の書込み数が1.8万近くに達して圧倒的ですが、これは劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」タイアップで、ローソンがセーラー戦士コスチュームデザインのカフェモカを発売、コメント付き引用リツイートでプレゼントが当たるキャンペーンを開始した時期とちょうど重なった影響が大きいようです(ローソンのリリースはこちら)。

図表1. 2020年8月上旬の主な講談社マンガ作品Twitter書込み数

偶然タイミングが重なったとはいえ、マンガ原作アニメやドラマの劇場版とコンビニ限定商品のコラボや、Twitterを活用したキャンペーンの開始時の爆発的効果が垣間見える、興味深い結果です。
セーラームーンは今年で25周年、他にも様々な企画が用意されており、それらももちろん書込み数アップに貢献しているものと思われます。

図表2は、「セーラームーン」書込み内容に関して、一つ一つのTwitter書込みで出現する単語「抽出語」が共通に出現する関係(共起関係)を円と線で表示した共起ネットワーク図です。このあとの共起語はすべてフリーで提供されているテキストマイニングツールKH Coderを使って作成しました。

お馴染みの決めセリフなどに交じって、ローソンでのカフェモカキャンペーンや、劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」に関する書込みが共起関係として表示されていることがわかります。

図表2. 「セーラームーン」書込み抽出語の共起ネットワーク

女子マンガでは、なかよしでクリアカード編が連載中の「カードキャプターさくら」や、BE・LOVEで連載中の「ちはやふる」が、書込み数で続いています。

少年マンガでは、最近まで週刊少年マガジンで連載していた「五等分の花嫁」が約1.2万でトップで、「五等分の花嫁」の連載終了後も、アニメ二期制作発表、東京・池袋での凱旋展示会「五等分の花嫁展 MAKEOVER」開催、公式ゲームアプリの事前登録受付開始、オリジナル単行本販売など、様々な施策が展開されていることによるものと思われます。図表3の「五等分の花嫁」共起ネットワーク図でも、花嫁展や花嫁クイズなどのキーワードが出現しています。

図表3. 「五等分の花嫁」書込み抽出語の共起ネットワーク

月刊少年シリウスで連載中の「転生したらスライムだった件」は、コロプラ「白猫プロジェクト」とのコラボ期間中で、転スラと白猫各ファンの間では盛り上がっているようです。他には、週刊少年マガジンで最近連載終了した「七つの大罪」、別冊少年マガジンで連載中&TVアニメ再編集の劇場版が公開された「進撃の巨人」、週刊少年マガジンで連載中の「ダイヤのA」も、各作品のコアファンによるTwitter書込みが多く見られます。

ちなみに「七つの大罪」は展開中のスマホゲームアプリ、「進撃の巨人」は9月3日にテレビ朝日「アメトーーク!」で進撃の巨人芸人が登場する話題について多く書かれており、図表4の「進撃の巨人」共起ネットワーク図でも、リヴァイ兵長や調査兵団などに交じって、アメトーークがキーワードとして出現しています。

図表4. 「進撃の巨人」書込み抽出語の共起ネットワーク

ドラマの源泉としての存在感を発揮する、青年マンガとオトナ女子マンガ

青年マンガは、少年マンガや女子マンガと比べてTwitter書込み数が少なめながら、複数のスピンオフ作品が連載中の「はたらく細胞」や、最近までモーニングで連載していた「コウノドリ」の書込み数が目立っています。

図表5の「はたらく細胞」共起ネットワーク図では、まとまって大きな塊はありませんが、劇場版映画の話題やポカリスエットとのコラボYouTube動画、登場する各種細胞の名前など多くの内容がキーワードとして出現しており、多様な方向から支持されている様子がうかがえます。

図表5. 「はたらく細胞」書込み抽出語の共起ネットワーク

図表6の「コウノドリ」共起ネットワーク図では、せっかくの夏期休暇期間も外出自粛が迫られる中、Amazonプライムなどでドラマ版の「コウノドリ」を見て泣く視聴者が続出し、「アンナチュラル」や主演キャストが同じ「MIU404」などに広がっていく傾向がみられます。

図表6. 「コウノドリ」書込み抽出語の共起ネットワーク

これらの傾向から、青年マンガや大人女子マンガは、女性向けの貴重な「泣けるコンテンツ」など、ドラマの源泉としての存在感を今後も発揮していくものと思われます。

続いて、各マンガ作品へのTwitter書込みを、書込みユーザー数(=書込みの広がり)と、いいね!総数(=他者書込みへの賛同・熱量)に分解して、支持構造を見てみました。

図表7は、同じく少年マンガ系(計10)、青年マンガ系(計9)、女子マンガ系(計9)の計28作品についての、2020年8月上旬の1週間におよぶTwitter書込みユーザー数(X軸)といいね!総数(Y軸)のポジションMAPです。これらのスコアが相対的に小さく、原点近くに重なってしまった作品については、下のMAPで拡大表示しています。

図表7. 2020年8月上旬の主な講談社マンガ作品Twitter書込みユーザー数といいね!総数の関係によるポジションMAP

書込みユーザー数が突出して多く、ファンの裾野が広いのが「セーラームーン」と「転生したらスライムだった件」です。また、ユーザー数に対するいいね!総数が突出し、コアファンの熱さが伝わってくるのが「五等分の花嫁」です。

図表8の「転生したらスライムだった件」共起ネットワーク図を見ると、白猫プロジェクトとのコラボの件のみが書かれていて白猫ファン以外への訴求はあまりみられませんが、白猫ファン自体が多く、課金に直結するため、これらの戦略も案外有効ではないかと見ています。

図表8. 「転生したらスライムだった件」書込み抽出語の共起ネットワーク

前述の3作品には劣りますが、上記MAPでファンの裾野が比較的広いのが「七つの大罪」「進撃の巨人」「はたらく細胞」、そしてコアファンの熱さが伝わってくるのが「東京タラレバ娘」と「進撃の巨人」です。

図表9の「東京タラレバ娘」共起ネットワーク図を見ると、最も多かったのは10月放送開始のドラマ続編に関する話題です。男性キャストたちが続投することへの喜びの声で書込みが埋め尽くされており、主役のはずの女性キャストとの期待の違いは歴然。泣けるドラマだけでなく、イケメンキャストを愛でるドラマへの需要も大きなことがわかります。

図表9. 「東京タラレバ娘」書込み抽出語の共起ネットワーク


人気作品の作者や主要キャスト自身によるTwitter発信力は絶大

図表10は、主な講談社マンガ作品へのTwitterいいね!総数が特に多かった公式アカウント一覧です。「五等分の花嫁」の作者、春場ねぎ先生による三周年記念イラストへの11.9万いいね!が堂々のトップ、公式アカウント全般へのいいね!も他作品より多くなっています。
「東京タラレバ娘」も、ドラマ主要キャストの「坂口健太郎」さんによる続編に向けての金髪ショットが6.3万いいね!、「進撃の巨人」の主役声優・梶裕貴さんの進撃の巨人芸人コメントが1.9万いいね!を獲得しており、人気作品の作者や主要キャストの発信力が絶大であることが確認できます。
一方、たとえ公式アカウントによる新情報告知でも、内容や元作品のパワー次第で、必ずしもいいね!が多数つくわけではないことがわかります。

図表10. 2020年8月上旬の講談社マンガ作品Twitterいいね!上位公式アカウント

僅か一週間でのTwitter書込み内容に関する分析だったため、今回得られた知見が永続的なものかは断言できません。実際のところ、おそらく別のタイミングであればかなりの書込み数やいいね!を集めたであろう作品も多数存在します。
ただ、制限された環境下での分析であっても、今後の参考になりそうな結果も得られたと感じています。
例えば、イベントやコラボ商品・キャンペーンの告知に有効なのはマンガ作品公式アカウントによる発信だけでないこと、作り手自身の生の声や画像が一気にファンとの距離を縮め、関係性構築のきっかけになることが検証できたのではないかと思います。

来月の第5回では最新調査結果をもとに、「マンガキャラクター活用のメリットと留意点」についてお話する予定です。どうぞお楽しみに。

<バックナンバー>
第1回:調査データにみる日本人とマンガキャラクターの関係
第2回:データでわかった、キャラクターが提供する体験と効果の実像
第3回:キャラクターが誰に、どのように効くのか可視化する

筆者プロフィール
野澤 智行(のざわ ともゆき)

栃木県宇都宮市出身。1987年千葉大学文学部卒業、(株)ビデオリサーチ入社。98年旭通信社(現ADKグループ)入社、研究開発部門、マーケティング部門で広告効果やブランディングの研究、企業のマーケティング・プロモーション支援を、キャラクター総研リーダーとしてアニメコンテンツの戦略支援、キャラクターに関する開発・活用提案を行う。2013年に日本百貨店協会主催「ご当地キャラ総選挙」実行委員として、企画立案およびキャンペーン・イベント総指揮を担当。デジタルハリウッド大学院で客員教授として、現在は法政大学経営大学院で学びながら、駒澤大学や福井工業大学で講師も務める。

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