2019.05.09

広がる動画マーケティングとその可能性 <後編>動画マーケティングを成功させるコンテンツ制作

前回は動画マーケティングへの基本的な考え方とプランニングの勘どころについて解説しました。続いて今回は、実際の動画制作にあたってどのようなポイントを押さえればいいのか、実例として講談社のWEBメディア「FORZA STYLE」の取り組みも紹介しながら解説します。


いよいよコンテンツ制作! まずは仕上がりをイメージしよう

実際に動画の制作に入るには、人材をはじめとしたリソースを確保し、制作環境の準備を行わなければなりません。そのためにまずしておきたいのが、「どのような企画を、どのくらいの品質感を想定して制作するか」をあらかじめイメージしておくことです。「よく練りあげたシナリオで、映像も高品質なものを」と「完成度よりもリアルさや手作り感があるものを」では、準備のしかたも変わってくるからです。

通常ひとつの動画を仕上げるためには、全体を統括するディレクター、脚本、編集、音響、照明、撮影、グラフィックやアニメーションなどの素材制作、演者といったさまざまな役割を担うスタッフが関わることとなります。しかし「手作り感があって、親しみやすい動画を作りたい」のならば、上のようなフルスタッフまでは必要ないかもしれません。

まずは動画の仕上がり感をイメージし、さらに前回解説したKGIやKPIの意識を機能させましょう。「プロジェクト全体としてかけられる手間とコストは?」「求められる仕上がりを満たすためには社内の人材で足りるのか、それとも外部スタッフの起用が必要か?」などを考えることによって、どのような準備をすればいいのかが見えてくるでしょう。

社内だけではリソースが足りないと判断した場合は、動画制作をサポートするツールを利用したり、クラウドソーシングなどで補うことを考えます。

「制作内容のレベルを考えると、すべてを外注したほうがいい」と結論づけることもあるでしょう。その場合は、これはと感じた制作会社2〜3社をピックアップし、見積もりと提案を受けましょう。このときプランニング段階で明確にした内容をしっかりと伝えておくことをお忘れなく。あまりに多くの会社に声をかけすぎると、収拾がつかなくなりますのでおすすめしません。

制作に必要な準備と予算

社内で制作を進める場合、撮影機材やスタジオ、ロケ場所などの準備をしなければなりませんが、必ずしも大げさに考える必要はありません。最も簡単な方法としては、スマートフォンや民生用のビデオカメラを用い、社内の会議室などのスペースを利用するなどが考えられます。「アイデアや手作り感で勝負し、低予算で進めたい」「リスクを最小限にするため小規模で実践してみたい」という場合には、このような手法もよいでしょう。

また小規模制作の場合は、動画制作をサポートするアプリの活用も検討しましょう。撮影効果、あるいは音響効果を加えるなど多種多様なアプリがあり、これらを活用すると想像以上に充実したコンテンツに仕上げられるケースもあります。大きなコストがかかって当然、というイメージがあって動画制作を遠ざけているのならば、ぜひこのようなサービスを体感してみてください。

よりクオリティを求めるならば、ビデオカメラと三脚、対応する編集ソフトは最低限用意しましょう。いきなりプロ用の機材を求める必要はありませんが、高品質な機材による仕上がりはやはりひと味もふた味も違います。一方、編集ソフトは無料のものから1、2万円程度のもので十分使えます。

その他、必要に応じてマイクや照明、音声・画像素材集、アクセサリー類をそろえていけば、動画をシリーズ展開させたり、新たな動画マーケティングを企画したりする際にも活用できます。予算の範囲内で検討してみてください。

撮影場所として社内にスペースが確保できない場合やスタジオを借りる場合、ロケを行う場合などでは、その場所の使用料金や移動交通費、スタッフの軽飲食代なども必要経費としてかかってきます。撮影場所が公共性のあるところならば、問い合わせて事前に許可をとるといった手続きも忘れてはなりません。人件費や機材経費などと合わせ、かかる費用と作業をもれなく計画に含めておきましょう。

外注する場合には、これらの段取りはすべて制作会社が行ってくれますが、決して"丸投げ"にしてはいけません。十分なコミュニケーションを取り、希望通りの準備が進められているかを確認していくことが大切になります。


FORZA STYLE スタッフに聞く、動画制作のポイント

実際の動画制作の手法は作りたい動画によって千差万別ですが、今回は講談社で動画制作に積極的に取り組んでいるWEBメディア「FORZA STYLE」のスタッフに動画制作のポイントを聞いてみました。

――まず、動画制作の際の考え方や体制について教えてください

FORZA STYLEでは、動画制作を行ううえで「自分たちでなければ出せない面白さ」を生むことを重視しています。この動画では「面白さ」のポイントをどこに置くのか、そのためにどのような表現をしていくか、すべてのスタッフが案を出し合います。そうすることでお互いが気づけない点を補い合い、質の高い面白さをもつコンテンツを完成させていくいことができます。メンバーは約10名で、出演者以外の役割はディレクター、カメラマン、インタビュアー、編集などです。

――動画制作の代表的なプロセスは、どのようなものでしょうか

では、インタビュー動画を制作する際のプロセスを紹介します。
企画書にもとづいて事前に打ち合わせを行いますが、そこでタイトルを決め、コンテを描き、おおよその再生時間を決めておきます。そして実際のインタビュー前には、カメラマンに対して事前に撮って欲しいシーンや、アングルなどを共有します。
撮影当日は基本的にこれらの書面に沿って制作していきますが、すべて書面通りに進めるよりも現場を重視したほうがいいこともあります。現場の雰囲気を感じ取りながら、時には臨機応変に撮影していきます。もちろんその際にも、常に頭の中で編集を意識しています。

――FORZA STYLEが考える、動画の制作で一番重要なことは何でしょうか

動画を制作する上でいちばん心がけていることは、「冒頭の10秒の大切にする」ことです。多くの視聴者は10秒程度動画を視聴し、面白いか面白くないかを判断しています。この10秒間で、面白さや商品への興味を感じてもらうことが重要です。
ですので、企画会議ではいつもさわりの部分をどうするかで議論が白熱します。ありきたりな商品紹介では視聴者が逃げてしまいますので、他にはない強烈な印象を与えることを考えています。例えば「とてつもなく辛いラーメンである」とか「支持率ダントツNO1の商品である」など、惹きがある特徴を冒頭でぶつけます。こういった特徴が出せない場合には、視聴者の興味が薄くなり、視聴数も増えていく可能性は低いです。

――動画マーケティングを成功させるために、制作後にすべきはありますか

動画マーケティングは配信を開始して終わりではなく、むしろそこからが勝負ともいえます。FORZA STYLEは面白さを狙っていますが、一発面白いところを見せておしまい、ではもちろんありません。配信後は効果測定を重ね、編集で調整していくなどの改善を図っています。

効果測定と改善こそが成功のカギ

FORZA STYLE動画スタッフによる制作のポイント解説、いかがでしたでしょうか。最後に、スタッフからも言及のあった「効果測定と改善」について解説します。

動画の効果は測定しにくいともいわれてきましたが、今日ではさまざまな評価指標が見出されています。それをもとにしっかりと検証を行いましょう。

動画コンテンツの指標としては、何回クリック・再生されたかを示す「再生回数」、画面表示回数の「インプレッション」、何人の人が視聴したかを表す「ユニーク再生数」、また「再生1回あたりの平均視聴時間」や「1人あたりの平均視聴時間」、再生数をPV数で割った「視聴率」、再生時間を動画全体の時間で割った「再生率」、「再生完了率」、「瞬間視聴率」、「瞬間離脱率」、「参照キーワード」、動画経由のCV数をサイト全体のCV数で割った「コンバージョン貢献数(率)」などたくさんあり、どこを見ればよいか迷うかもしれません。そんな時は、改善のための指標であることを考え、「どの指標が予想したより思わしくなく感じられるか」という視点でまず見るとよいでしょう。
また目標の達成度をみるには、売上げ額や会員登録数、問い合わせ数などが指標となるでしょう。

動画コンテンツに関する評価指標は、Googleアナリティクスをはじめとする無料の解析ツールでチェックできます。またYouTubeならばYouTubeアナリティクスといったように、各プラットフォームの提供するツールからもデータを取得することができるようになっています。

動画配信プラットフォームを使った場合は高度な分析機能が付くことが多いですし、さらには有償でAdobeアナリティクスといったツールもあります。ただ経験が浅い場合は、まずは基本的なツールで試してみるのがよいと思います。
どんなによく練られた計画でも、実際には予想と異なる反応や結果が生まれているはずです。それを的確にとらえ、確実にTEFCASやPDCAのサイクルを回し続けることこそ、動画マーケティング最大のポイントといえるでしょう。

»広がる動画マーケティングとその可能性 <前編>動画マーケティング・成功のためのプランニングとは

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