リスティング広告に興味がある。けれど、いざ始めたときに本当に成果が出るのだろうか......? こんな不安を感じている方も多いのではないでしょうか。チャレンジしようかどうか逡巡しているリスティング広告初心者の方へ向けて、リスティング広告の費用としくみについて、その基礎知識をおさらいします。
リスティング広告とは
リスティング広告とは、検索エンジンを利用する際、検索結果の上部や右カラムに表示される広告のことで、検索結果の画面にリスティング広告と検索結果が並んで表示されます。検索連動型広告、あるいはPPC(Pay Per Click)と呼ばれることもあります。ユーザーが入力した検索キーワードと連動して表示されるのが、リスティング広告の特徴です。
キーワードと関連した広告が表示されることで、ユーザーニーズに合致した商品やサービスのアピールができるということです。
リスティング広告の種類──GoogleとYahoo!をおさえよう
国内でのリスティング広告の主な掲載先としては、「Google」と「Yahoo!」が挙げられます。Googleに広告を掲載するなら「Google広告」が、Yahoo!に広告を掲載するなら「Yahoo!プロモーション広告」が、それぞれの掲載先です。ちなみに、Google検索の国内シェアは約70%、Yahoo!検索は約25%なので、この2つをおさえておけば、国内はほぼカバーできます。
どちらかといえばGoogleはBtoB商材やテクノロジー関連のキーワードに強く、Yahooは身近な商材やサービスのキーワードに強い傾向があります。初めてリスティング広告を掲載するなら、アクセス解析ツールなどを参照し、それぞれの検索エンジンからの流入や閲覧傾向がどうなっているかをおさえておきましょう。
しくみを理解しよう
リスティング広告の場合、その広告が表示された時点では、まだ料金が発生しません。表示後、ユーザーがクリックした時点ではじめて発生します。このしくみは「クリック課金制」と呼ばれています。
リスティング広告がユーザーに表示される順番は、いわゆる入札によって決められます。ユーザーが検索して結果を表示するまでの間にオークションが行われ、「高い金額を設定した広告」などのルールによって順に表示されます。競合との戦いに勝てば、より目立つ場所に表示することが可能です。
リスティング広告の効果
検索エンジンに入力するキーワードは、ユーザーのニーズが直接的に反映されやすい部分です。リスティング広告はユーザーの検索キーワードと連動して表示されるため、ターゲットへ効率よくアプローチできるという特長を持っています。キーワードをしっかりと設定し、モチベーションの高いユーザーに広告を届けられれば、ほかの広告媒体よりも高い効果が期待できます。
キーワードは「マッチタイプ」という、「こちらの設定とユーザーが検索したワードの一致度」を設定することによって、検索結果に反映されます。
詳しい解説は次回の「運用編」に譲りますが、たとえば「完全一致」に設定すると、「ユーザーが検索したキーワードが、設定とまったく同じ場合にだけ広告を表示する」ルールが適用されます。
たとえば「パソコン」というキーワードで完全一致設定をした場合、「パソコン」で検索した人だけに広告を表示し、「パソコン 格安」で検索した人は表示の対象になりません。また「パソコン 格安」の完全一致設定では、「格安 パソコン」で検索した人は表示の対象にならなくなります。
このようなキーワードのマッチタイプの設定はとても重要で、リスティング広告の費用対効果を高めるために欠かせません。
費用はどれくらい?
気になる相場 リスティング広告は月額数万円程度から始められ、ほかの広告媒体と比べて低コストで運用できるのが特徴です。クリック課金制であるため、極端な話、表示された広告のクリック数がゼロだった場合は、広告費用もゼロということになります。
そして、1クリックあたりの単価は、対象となるキーワードによって変動します。競合が多いものほど高くなり、人気の高いキーワードでは1クリックで1000円を超えてしまうケースも珍しくありません。
つまり、この広告を効率よく運用するためには、キーワードそのもの、あるいはさきほどお伝えしたマッチタイプなどを常に検証し、本当に獲得したいユーザーだけがクリックしてくれるようチューニングすることが大切、ということです。
リスティング広告のメリット
・関心の高いユーザーに見てもらえる確率が高い
ユーザー自らが検索したキーワードと連動して表示されるリスティング広告は、設定次第でより商品やサービスに関心の高いユーザーにアプローチしやすい広告です。
・低予算から開始できる
リスティング広告はクリック課金制であるため、運用開始時にまとまった金額を支払う必要がなく、低予算で広告の掲載を始められます。また、掲載の期間や時間帯、金額の上限などを設定することによって、予算をコントロールすることが可能です。
・効果がわかりやすい
リスティング広告の管理画面では、「広告がクリックされた数」「1クリックあたりの費用」「ユーザーのリアクション」など詳細な情報を確認できます。明確なデータによって広告効果がわかりやすいのがメリットです。
・短期間で始められる
リスティング広告は、アカウントを開設すれば、そのタイミングから広告掲載を始められます。また価格設定によっては、すみやかに表示される順位を上げられます。
・成果を確認しながら柔軟に運用できる
もし広告掲載後に想定していた成果が出なければ、広告タイトルや広告文を変更したり、複数のパターンを作成して比較したりしながら、成果を高めることが可能です。どうしても成果が改善されなければ、簡単な手続きですぐに広告を停止することもできます。
リスティング広告のデメリット
・幅広いユーザーに対してのアピールには不向き
リスティング広告は、ユーザーが入力する検索キーワードと連動しているため、キーワードで検索するような関心の高いユーザー以外には見つけてもらえる確率が低いといえます。「幅広いユーザーに対し、新製品の知名度を上げたい」というようなニーズには向いていません。
・出稿、運用の手間がかかる
リスティング広告で効果を出すためには、検索キーワードの選定や広告文の調整など、常に最適化をしながら競合と戦うことになります。不適切な検索キーワードを選定していた場合、その商品やサービスの情報が必要ではない人にもクリックされることになり、結果として不要な広告費がかさむことになります。
また検索キーワードには問題がなかったとしても、興味をひかない広告文ではなかなかクリックしてもらえません。そのため、ABテストといわれる比較テストを行い、こまめに広告文を検証する必要も出てきます。このようにリスティング広告は手間をかけ、ノウハウを蓄積しながら運用していく広告手法なので、社内または社外に、運用のための担当者を確保しなければなりません。
リスティング広告の始め方、運用法
まずは、リスティング広告を出稿するためのアカウントを開設しましょう。「Google」や「Yahoo!」など、掲載先ごとにアカウントが必要です。その後は、開設したアカウントにキーワードや広告文を設定し、アカウント構成を作成します。
広告を入稿したら、掲載先による審査があります。審査結果が届くのを待ちましょう。無事に審査に通ると、リスティング広告が掲載されます。
掲載後には、効果を上げるための運用を継続的に行います。リスティング広告の「入札単価」を調整して、顧客1人あたりがどれくらいの単価で目標の行動に達したのか、費用対効果を確認します。また1日の「予算制限」を設定し、広告費が予算を超えないよう調整する作業なども必要になってきます。表示順位を高めるためには、その表現でユーザーのクリックを獲得できるかどうか、広告文の見直しも随時を行なわなければなりません。
実は、リスティング広告の表示順位は入札単価だけで決まるわけではありません。掲載順位は「広告ランク」によって決められており、広告ランク=入札単価×品質スコアとされています。
その品質スコアはそれぞれのサービスによっても変わりますが、「広告のクリック率の高さ」「キーワードと広告文の関連性の高さ」「キーワードとリンク先のページの関連性の高さ」などによって決められています。なかでも「広告のクリック率の高さ」には重きが置かれていますので、広告文を見直してクリック率を高めることがとても重要になるのです。
運用代行の選び方
ここまで読み進めて、「意外と手間がかかるんだ」と感じた方もいらっしゃると思います。確かにリスティング広告は、その運用がキモなだけに、広告主にかわって、運用を代行するサービスを提供する企業はたくさんあります。では、代行サービスに依頼する場合、どのように選べばいいのでしょうか。
まずは契約内容を確認し、手数料の料金体系が明確であることを確かめることが大事です。手数料は「広告費に対して何%」というように決めているサービスが多いですが、広告費が少ない場合、大半のサービスでは最低限の手数料が定められています。
最低契約期間もほとんどのサービスで決められていますが、必要以上に長いと結果が出なかった場合の切り替えや中止がしにくくなるため、その点も忘れずに確認しておきましょう。
また料金体系が低くても、広告掲載における成果を上げられなければ意味がありません。内容や対応力が充実していて他社からの評価が高い運用代行サービスを選び、さらに直接じっくり話を聞いてから決定したいものです。
今回はこれからリスティング広告を始めたい方のために、リスティング広告のメリットやデメリット、アカウント開設から運用までの流れの基礎知識をご紹介しました。次回の「運用編」では、実際に成果を上げていくための運用ポイントを詳しくご紹介します。