マンガ・ファンマーケティング・データドリブンによって
課題解決をめざす「マーケティング情報コンシェルジュサイト」
図鑑とのコラボレーションが生んだ、新たなヒット商品のカタチ!
セガトイズが、講談社の動く図鑑『MOVE』とコラボレーションした事例です。さまざまな玩具を生み出しているセガトイズでは、"遊びながら学べる"パソコントイの企画・開発にあたり、パートナー企業を探していました。そのなかで図鑑や幼児教育の知見を持つ講談社に着目し、新たなヒット商品「恐竜図鑑パソコン」を生み出しました。
セガトイズ グローバル事業本部 グローバル企画部 シニアスペシャリスト 下川智さん
笑顔と驚きを提供するトイカンパニー「セガトイズ」。近年は、未就学児の玩具にも「知育」要素を求めるニーズが高く、学習分野で知見を持つパートナー企業を探していました。
課題解決のために、どのような経緯で講談社を知り、具体的にどのような取り組みを行ったのか、セガトイズ グローバル事業本部 グローバル企画部 シニアスペシャリスト 下川 智さんにお話を聞きました。
【課題】
・教育コンテンツの制作ノウハウがない
・競争が激しいパソコントイ市場のなかで、差別化を図りたい
・コロナ禍で店頭販促が難しい
「パソコントイの販売は、以前から行っていました。しかし人気の高いジャンルではあるものの、キャラクター人気に左右される部分もあり、どうしてもオリジナリティを出しづらい、という課題がありました」と下川さんは話します。
"キャラクターではない"玩具のモチーフとして下川さんが思いついたのは、自身が子どもの頃好きだった「恐竜」でした。毎年夏になれば、博物館などでイベントも催されるなど、恐竜は知名度も人気も抜群だからです。
「弊社では過去にも、キャラクターIPを使ったパソコントイを発売した経験があります。しかし恐竜は、キャラクターではありませんから、社内では不安視する声もありました。ですが、玩具売場や書籍を見渡してみると、"恐竜"をモチーフにしたものは非常に多く、人気の高さを再確認することができました。また、親御さんも子どもの頃好きだったという方が多く、親子で楽しめる、という点も魅力的だと感じました」
そのなかで、恐竜×パソコントイのアイデアを最大化するためには、「良質なコンテンツ」が必要だと考えました。しかしセガイトイズ単独で、教育コンテンツを作るのはハードルが高く、知見を持つパートナーを探していたそうです。
そこで社内でヒアリングすると、動く図鑑『MOVE』シリーズが子どもに人気であることがわかり、恐竜図鑑も出版している講談社に相談。こうして誕生したのが"遊び"と"学び"を両立する「マウスでバトル!! 恐竜図鑑パソコン」です。
『講談社の動く図鑑 MOVE 恐竜 新訂版』大迫力のイラストと詳しい解説で、大人も一緒に楽しめる
パートナーに講談社を選んだ背景には、講談社の持つ「ノウハウ」と「安心感」があったと言います。
「実際に子育て中の社員を中心にヒアリングを重ねたところ、講談社さんの動く図鑑『MOVE』を所有している家庭が多く、お子さん人気も非常に高いことがわかりました。総合出版社である講談社さんには、恐竜への造詣が深いプロフェッショナル(編集者)が在籍していることはもちろん、"講談社"というブランドの安心感は、メインターゲットである子育て世代の親にもプラスに作用すると考えました」
加えて、動く図鑑『MOVE』とのコラボレーションは、「商品の信頼感」にもつながったと下川さんは語ります。
「『MOVE』の編集長をはじめ、みなさん"よりよくする"ことに真摯かつ協力的だったこともあり、おかげさまで非常にクオリティの高いパソコントイができました。また、『MOVE恐竜』シリーズを監修されている北海道大学 総合博物館の小林快次教授から推薦コメントをいただけたことで、商品への信頼感も格段に上がりました」
コロナ禍の巣ごもり需要でパソコントイのニーズが増加。しかし、「ここまで質の高い商品でなければ、これほどのヒットにはつながらなかった」と下川さんは分析しています。
「パソコントイは他社でも発売していますが、恐竜をモチーフにしているのは弊社だけ。絶対的な差別化につながりました。このアイデアをカタチにできたのは、講談社さんのおかげです。コラボして本当によかったと、感謝しています」
一般のパソコンと同じような仕様でありながら、視覚・触覚的に子どもが楽しめる工夫が凝らされている
今回のコラボレーションでは、プロモーション面でも総合出版社の強みが活きました。
「講談社の児童向けヒーロー雑誌『テレビマガジン』とのタイアップで、わかりやすいタイアップページを制作いただき、認知度も人気も向上。さらに『MOVE』や『テレビマガジン』のTwitter公式アカウントでの情報発信や、『MOVE』の折込チラシなど、ターゲット層のタッチポイントを活用した施策をご提案いただけたことで、想像以上のPR効果と反響を得ることができました」
『テレビマガジン』2020年10月号のタイアップページ
『MOVE』公式アカウントのTwitter投稿。
『MOVE』10周年のイベントの目玉として「マウスでバトル!! 恐竜図鑑パソコン」を提供し、話題を集めた
下川さんが今回、いちばんこだわったのは、"図鑑"のように、楽しみながら自然と知識が身につくことでした。
「子どもたちが飽きないように、人気の高いコンプリート要素やバトル要素を入れて、長く楽しんでもらえるようなコンテンツの制作を心がけました。また、専門的な要素や学習教材を盛り込んだ全11カテゴリー138メニューを収録することができたのは、講談社さんのサポートのおかげです。学習意欲向上にも大きく貢献できたのではないかと思っています」
算数の教材は、『講談社ぱる』と連携して『講談社こども教室』で扱っている教材を活用。わかりやすくて、良質な学習内容を盛り込むことができました。
5種類のマウスから好きな「恐竜」が選べる
今回のコラボレーションの効果について、下川さんはどう捉えているのでしょうか。
「キャラクター以外のIPを活用しても、ヒット商品は生まれる。これは、弊社にとっても新たな自信につながりました。学習教材や図鑑、ヒーロー雑誌など、幅広いターゲットとコンテンツノウハウを持っている講談社さんと一緒に制作できたことで、高品質で消費者に選ばれる商品ができたと感じています。講談社の動く図鑑『MOVE』には、恐竜以外にもたくさんのシリーズがあるので、今後もさまざまな形でコラボレーションできたらうれしいですね」
講談社の動く図鑑『MOVE』恐竜とのコラボレーションによって、新たなヒット商品を生み出したセガトイズ。「マウスでバトル!! 恐竜図鑑パソコン」のヒットは、総合出版社とのコラボレーションにおける、さまざまなメリットを組み合わせて活用することで生まれた好例と言えるでしょう。