2022.02.14

イオンファンタジーが語る、教育×エンタメ「エデュテインメント」の可能性

子どもが楽しみながら学び、親にも刺さる「エデュテインメント」。その有用性とは、どのようなものなのでしょうか。日本を含む世界8ヵ国で842店舗(2021年末時点)のファミリー向けアミューズメント施設を運営する、株式会社イオンファンタジーの戦略本部本部長 浅田靖浩さんに、お話を聞きました。

株式会社イオンファンタジー 取締役 戦略本部本部長 浅田靖浩さん


あそびとまなびを一体化した「エデュテインメント」

──「Education(学び)」と「Entertainment(楽しさ)」を組み合わせた「エデュテインメント(Edutainment)」市場は昨今、世界的に拡大傾向にあると言われています。まずは、御社がエデュテインメントに注目している理由を教えてください。

浅田靖浩さん(以下、浅田) イオンファンタジーでは、2019年から「エデュテインメント」を重要なキーワードとして掲げています。

当社は長年、全国各地の商業施設でアミューズメント施設を運営してきました。しかし、少子化の流れが止まらないなか、今後も持続可能なアミューズメントを提供していくには、付加価値を高めていく必要があると考えました。そこで、"あそび"を進化させるべく、教育の要素を加えた「エデュテインメント」に着目しました。

同社では2020年7月より、エデュテイメントに特化したウェブサイト「あそび!? まなび!?」も運営している

──御社が提供する「エデュテインメント」の定義と、エデュテインメントも含む、日本の教育マーケットの現状について、教えてください。

浅田 当社におけるエデュテインメントとは、従来の"あそび"のなかに"まなび"を組み合わせたコンテンツを指します。

塾などの一般的な習い事の場合、お子さんも「勉強している」「学んでいる」という意識を持つため、気分が乗らない、モチベーションが続かないなどの課題に直面しがちですよね。しかし当社が提供するエデュテインメントでは、「あそんでいるだけで学びや気づきにつながる」という部分を大事にすることで、"楽しく学ぶ"を実現しています。

いま日本の教育市場は5兆円といわれ、今後も高い需要が見込めます。当社が長年培ってきた"あそび"のノウハウを、子どもたちの成長や能力開発につなげる「エデュテインメント」として拡張していくことで、新たなマーケットニーズに応え、成長していきたいと考えています。

リアルでもオンラインでも活きる、「エデュテインメント」のチカラ

──学びとエンターテインメントを組み合わせることは、決して容易ではないと思います。御社では、具体的にどのような取り組みをされているのですか?

浅田 最初に取り組んだのが、鹿児島で実験店舗としてオープンした「キッズアスレチッククラブ ビヨヨンド」です。

"あそび"感覚で運動しながら生きる力が育つ「キッズアスレチッククラブ ビヨヨンド」

この教室では、楽しく運動するなかで、子どもたちの生きる力を育むプログラムを実践しています。

幼児期に基礎運動のスキルをしっかり身につけることで、体の発達はもちろん、「できなかったことができるようになる」という心の成長や、集中力や考える力を養う頭のトレーニングにもつながると、保護者の方から大変ご好評をいただいています。

コロナが生んだ、オンライン×エデュテインメント

──コロナ禍に対応すべく、オンライン形式の「エデュテインメント」事例も生まれたそうですね。

浅田 はい。2021年2月に開校したオンラインスクール「ゲームカレッジLv.99(レベルキュウキュウ)」は、ゲームを通じて"考えるチカラ"を養うものです。ゲームには、探究心や創造性などを養うチカラがあります。スクールでは、子どもたちが仲間とともにゲームをプレイすることで、コミュニケーション能力も高めながら、これからの時代に必要となる資質を育成することを目指しています。

「ゲーム」を題材にしたことで、リアルコミュニケーションではなかなか自分らしさを出せなかったお子さまがリーダーシップを発揮するなど、多くのお子さまの新たな能力開発や資質発見にもつながっています。

ゲームを通じて"考えるチカラ"を養う「ゲームカレッジLv.99」


「本物」にこだわることで、良質なコンテンツが生まれる

──エデュテインメントを事業展開する際の注意点を教えてください。

浅田 エデュテインメント市場では、しっかりと知見やノウハウを持った専門家に監修いただくなど、「本物」にこだわることが重要です。

当社の場合、たとえばゲームカレッジのレッスンでは、東京大学の藤本徹准教授や、世界の優れた教師を選出する「Global Teacher Prize 2019 Top10」にも選ばれた、正頭英和先生を中心とする「クロスエデュケーションラボ」監修のもとにレッスン内容を設計し、子どもたちの自発的な気持ちを大事にしながら成長できるようなプログラムを構築しています。

また2021年の夏休み企画として行ったエデュテイメントキャンペーン「お魚のあそび!?まなび!?夏のギョギョッと大作戦!」では、さかなクンに「お魚のあそび!?まなび!?大使」に就任いただいて各取り組みを監修してもらいました。

このキャンペーンでは、多くのお子さまにクレーンゲームや魚釣り遊びなどを通じて、海洋資源の大切さやお魚の生態について興味をもっていただけたと感じています。

お魚釣りあそびをしながら海のごみ問題を学べるゲーム「海をまもろう!ギョギョッとレスキュー」で楽しむ子どもたち(プレイグラウンド「スキッズガーデン」にて)

AR(拡張現実)×エデュテインメント事例

また、株式会社ソニー・ミュージックソリューションズとのコラボで開催した『キッズーナ AR どうぶつえん』(キッズーナ大宮店)では、"楽しい"を生み出すために、現実世界に仮想世界を重ね合わせて表現する「AR(拡張現実)」を採用しました。普段会うことのできないクジラなどの生き物の真横に立って実際の大きさを体験できるなど、楽しみながら動物への興味関心が引き出せるコンテンツは人気を博しました。

店舗内でタブレットをかざすと実物大の大きさの動物がAR上で表示される『キッズーナARどうぶつえん』

ほかにも、AR技術はお店屋さんごっこができる「なりきりタウン」(キッズーナ内)でも採用し、AR上で巨大なアイスやお寿司を作ることができるなど、普段とは違った驚き体験の提供に寄与しました。

──「遊びと学び」の両立には、テクノロジーの活用も有効なのですね。今後、さらにエデュテインメント市場は拡大していくと思います。そのなかで、求められるのはどのようなコンテンツやサービスだとお考えでしょうか?

浅田 大前提として、お子さまから見て「楽しそう」「やってみたい」と思えるコンテンツやサービスであること。同時に、保護者の方から見ると、そこにお子さまの成長につながるような要素があることが大切だと思います。

そのためには、もっと幅広い選択肢を用意したいと考えています。今後は、アプリでお子さまの成長を可視化できるサービスの開発や、パートナー企業さまとのコラボによる新しいコンテンツなどにも、挑戦していきたいですね。

講談社が提供する各種プロモーションサービスのご利用に関するお問い合わせ・ご相談はこちら