2021.07.09

共感を生むための動画マーケティングのターゲットや配信設計、KPIの考え方は|動画マーケティング 効果最大化のための知識と手法<第7回>

今回は、自社の取り組みに対して、理解や共感を生み出すための動画活用や動画マーケティングについて解説します。
例としたのは、昨今マーケターからも大きな注目を集める「SDGs(持続可能な開発目標)」に関する取り組みです。大企業を中心に、SDGsへの取り組みに力を入れている企業の名前をたびたび聞くようになりました。
しかしその一方で、その取り組みをどのように発信して伝えていくべきか、悩んでいる企業が多いのではないでしょうか。そんな時は、ぜひ動画の活用を考えてみてください。

SDGsの取り組みへの共感を得るために、動画を活用する企業が増えている

SDGsの概念を表す構造モデルとして「SDGsウエディングケーキ」があります。SDGsの「目標17」を頂点とし、残りの16個の目標を「経済圏」「社会圏」「生物圏」の3階層にわけたものです。

SDGsウエディングケーキ出典:Stockholm Resilience Center

上図を見て分かるとおり「生物圏」、つまり自然環境に関する目標が土台となっています。生物圏があったうえで、社会があり、経済活動が成り立つと考えられているわけです。SDGsに取り組む企業のなかでも、特に自然環境にインパクトをもたらす内容を発信する企業が多くなっています。
例えば、Apple もその一社です。言わずとしれた時価総額世界一の企業で、世界中で何十億人という人が Appleのデバイスを使用しています。Apple は、自然環境に対して徹底的にコミットし、2030年までに Apple 製品をすべてカーボンニュートラルにすると宣言しているのです。Appleの公式サイトには、この宣言をわかりやすくまとめた動画も掲載されています。

SDGsと聞いたときに、自分には関係ないと思っている人がまだまだ多いのが現状でしょう。海外よりも日本のほうがよりその傾向が強いように思います。企業のSDGsへの取り組みに共感してもらうためには、生活者に向けて、まずSDGsとは何かから伝え、理解してもらったうえで共感を得るという流れを動画によって作っていくことが必要になるでしょう。
テキストや画像よりもより多くの情報を伝えられる動画を活用して、能動的に自社のSDGsへの取り組みやスタンスを打ち出していくことは、企業のポジティブなイメージを醸成することにつながります。メッセージの打ち出し方次第で、企業イメージは大きく変わります。SDGsへの取り組みに限らず、企業のCSRに関する活動は積極的に動画で発信していくべきでしょう。

動画を制作する前に、まずは「ターゲット」を決めよう

とはいえ、何も決めずにいきなり動画制作を進めることは得策ではありません。制作を進める前に、まずは「誰にそのコンテンツを届けるのか」ターゲットを決めることが重要です。そして、そのターゲットが「どうのような状況でその動画を視聴するのか」という、ターゲットを理解することから始めなければなりません。

ターゲットを設定して理解することは、商品やサービスの販促を狙った動画であれば当然考えることですが、SDGsなどの企業活動に関する動画制作でも同じです。
具体的な方法としては、ターゲットについて調査をしたり、ターゲットに属する人たちを集めてヒアリングしたりして、彼らのニーズや彼らが日常的に動画を視聴しているデバイスやプラットフォームなどを把握するのです。
また、SDGsについて訴求する動画を制作する場合には、そもそもターゲットがSDGsについて知っているのかどうか、知っているならどの程度理解しているのかも把握しておく必要もあります。

共感を生み出す動画クリエイティブづくりに「HHH戦略」を活用

ターゲットが決まったら、次は共感を生み出すための動画のクリエイティブを考えていきます。その際、前回の記事でご紹介した「HHH(スリーエイチ)戦略」と「マーケティングファネル」を関連づけて検討するとよいでしょう。

マーケティングファネルとHHHの関係

出典:ブライトコーブHPより抜粋

企業のSDGsの取り組みについて動画を作る際も、HHH戦略とマーケティングファネルを紐づけて考えると良いでしょう。
上図のように、まずは Hero動画を使って認知や理解を促します。その上で、Hub動画で自分ごと化させて共感につなげ、Help動画で具体的なアクションに導くのです。

動画の「尺」もHero動画、Hub動画、Help動画の制作において検討すべきポイントです。
認知や理解を促す Hero動画の場合には、SDGsに対する関心が薄い段階ですから、30分の動画を流したところで見てもらえません。短い尺で、かつ有名人の起用やインフォグラフィックを活用するなど、キャッチーでわかりやすい動画のほうが伝わるでしょう。
共感を生み出すHub動画、アクションにつなげるHelp動画であれば、SDGsへの興味や理解が深まっている段階ですから、ある程度長尺で内容を詰め込んだクリエイティブでも最後まで視聴してくれる可能性が高くなります。

Hero動画、Hub動画、Help動画それぞれに適した配信設計を考える

Hero動画、Hub動画、Help動画にはそれぞれ適したプラットフォームやチャネルがあります。
Hero動画の場合は、サイネージやテレビCM、またはTikTokのような短尺動画が設置されているプラットフォームがよいでしょう。
Hub動画ならYouTubeなどで長尺の動画を流すのもいいかもしれません。共感が生まれ、具体的なアクションにつなげたいHelp動画なら、企業のウェブサイトに訪れる可能性が高いので、サイト上に内容的にもリッチな長尺動画を設置するといいでしょう。

そして、前述の通り、どんなターゲットにその動画を見せたいかによって、プラットフォームや配信チャネルを変える必要があります。
30代のビジネスマンにHero動画を見せる場合と、60代の経営者にHub動画を見せる場合では、プラットフォームやチャネルは異なるからです。ターゲットと動画の内容をふまえて、最適なプラットフォームやチャネルを選びましょう。

動画のKPIはどう設定すればよいか

SDGsへの取り組みに関する動画に限らず、企業活動を動画配信する際に、KPIをどう設定すればいいか迷うマーケターも少なくないでしょう。
動画の場合、一般的に再生数や再生率、インプレッション数や再生時間などをKPIとすることもあります。ただ、動画は数字には表れない効果や影響をもたらすこともあるため、KPI設定には難しさが伴います。

動画のKPIを考えるにあたっては、動画はあくまでも伝達手段のひとつであり、戦術のひとつであるということを念頭におきましょう。つまり、SDGsへの取り組み自体が大きな戦略であり、その戦略の中の戦術のひとつが動画という伝達手段ということです。
言い換えると、動画はSDGsへの取り組みを伝えるひとつの手段にすぎないので、動画の KPI だけを見たところで全体戦略が成功したかどうかを判断できないのです。

また企業のSDGsの戦略において、どのフェーズで動画を活用するかによってもKPIは変わるでしょう。Hero動画であれば再生回数を重要視するべきかもしれませんし、Help動画なら再生時間を重要視するべきかもしれません。フェーズごと、配信する動画の訴求内容ごとに、KPIを変えていくことを検討すべきです。

「その動画を見たターゲットに、どんなアクションをしてほしいのか」を基準にKPIを設定するのもひとつの手です。例えば、「いいね」ボタンを押してほしいのか、それともウェブサイトに訪れてほしいのか。つまり、CTA(コール・トゥ・アクション)から逆算して KPI を設計することもが大事なのです。
まずはターゲットを理解し、自社の戦略における動画の役割をふまえ、フェーズや動画の訴求内容、ターゲットに求めるアクションを含めて、KPIを設計していくことが重要となるのです。

筆者プロフィール
ブライトコーブ株式会社 代表取締役社長 川延 浩彰(かわのべ ひろあき) 

合計で15年以上のビジネス経験を有し、そのうち約10年にわたり動画配信プラットフォーム事業に携わる。
ブライトコーブでは、マーケティング兼アカウントマネージャーとして入社し、ブライトコーブ株式会社第一号のアカウントマネージャーとして、日本のブランド並びにメディア企業の動画配信プロジェクトに従事。その後、2016年には、アカウントマネジメント統括としてブライトコーブ株式会社の既存ビジネスの総責任者に着任。2018年よりVice Presidentとして韓国事業並びに日本市場におけるセールスを統括。2019年9月より現職。
下関市立大学経済学部卒業。カナダビクトリア大学 Peter B. Gustavason School 経営学修(Entreneurship専攻)。

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