2021.06.08

【読者限定 無料視聴パス進呈!】メディアビジネスの革新とデジタルトランスフォーメーション:2──「ADVERTISING WEEK ASIA 2021」セッションレポート①

5月27日(木)、業界を超えたオープンイノベーションの場「Advertising Week Asia 2021」がオンラインで開催(※)。
昨今、変革するマーケティングモデルのなかで、テレビ広告(メディアビジネス)を取り巻く環境も変化し始めています。 メディア投資のコンサルティングを手掛ける、アクセンチュアインタラクティブの沢目宗明さんと、テレビCM枠の新たな顧客体験、価値創出を進める日本テレビの巽 直啓さんが、日本のメディアビジネスのDXについて語り合ったセッションをレポートします。 
630日(水)までオンデマンド配信中

左から、本セッションのモデレーターを務めた、株式会社講談社 ライツ・メディアビジネス局次長 長崎亘宏、スピーカーのアクセンチュア株式会社 プリンシパル・ディレクター 沢目宗明さん、日本テレビ放送網株式会社 営業局左から、本セッションのモデレーターを務めた、株式会社講談社 ライツ・メディアビジネス局次長 長崎亘宏(AWAアドバイザリーカウンシル)、スピーカーのアクセンチュア株式会社 プリンシパル・ディレクター 沢目宗明さん、日本テレビ放送網株式会社 営業局 営業推進部 主任 巽 直啓さん

※【限定100枚】記事の最後に、本イベントのアーカイブ視聴ができる
C-station読者限定無料パス」を配付しています。

マーケティングモデルの変革

講談社 ライツ・メディアビジネス局次長 長崎亘宏(以下、長崎) 本セッションでは、コンサルティングファームの立場からアクセンチュアの沢目宗明さんに、メディアの立場から日本テレビ放送網の巽 直啓さんにお話しをうかがいます。よろしくお願いいたします。

まずは沢目さんにお尋ねします。「XXX as a Service」(※)という概念はメディアに受け入れられると思われますか?

※ as a Serviceは、必要なモノ・機能を必要なだけ利用できるクラウドサービスのこと。XXXの部分には、さまざまなモノや機能が入り、現在多種多様な「as a Service」が提供されている。なお、Netflixなどのコンテンツ配信サービス(サブスクリプションサービス)も「XXX as a Service」に該当する。

質問1:「XXX as a Service」という概念は、メディアに受け入れられるのか?

アクセンチュア株式会社 プリンシパル・ディレクター 沢目宗明さん(以下、沢目) 「as a Service」の本質は「変革」です。

自動車業界では、MaaS(Mobility as a Service)と呼ばれる「100年に1度」の大きな変革が起きています。値付け方法がこれまでの「車を売る」という「モノ」消費の手法から、「移動や利用に応じて課金する」といった「コト」消費の手法に変化していますが、広告・マーケティング業界でも、枠に対しての値付けから、広告効果への値付けへと変化しています。

アクセンチュアが提唱するMaaS(Marketing as a Service)は、大きく分けると三層構造になっています。

MaaS(Marketing as a Service)の三層構造を説明する沢目さん

1番上の層は、クライアントの事業戦略に準じたマーケティング戦略策定です。広告部署だけではなく、複数部署にまたがって改革を進めていくのが特徴のひとつです。

真ん中の層は、いわゆる広告販促、オウンドメディア、セールスチャネル、そして最近では、新しい機能を持ったアプリ開発やテンポ体験設計などの新規サービスなど、マーケティング戦略から実行までの支援を表しています。

1番下の層は、いわゆるデータドリブンマーケティングや、パーソナライゼーション、アナリティクスなど、いろいろなデータが集約できるようになってきたのにあわせて、マーケティングオートメーションツールや、顧客管理基盤、アナリティクス基盤などをフル活用したパフォーマンス・マネジメント・プラットフォームです。

このサービスは企業のマーケティングをデジタル時代に対応するための変革を促すものですが、最終的に、私たちが目指しているのは、「成果報酬型」と呼ばれるものです。

「これだけ売りたい」という目標が達成されたら、もしくは達成がゴールを上回ったらそれに応じた報酬をもらう。それこそが「Marketing as a Service」がもたらす、本質的な変化だと考えています。

長崎 新しいビジネスモデルが浸透していくためには、メディア、クライアント、広告会社の「三方良し」ができるかどうか。または三位一体で取り組めるかどうかということが、重要な課題になるのではないかと思いました。

では次に巽さん、SAS(Smart Ad Sales)について教えてください。

テレビ広告ビジネスの現状と変化


質問2:日本のテレビ広告ビジネスの民主化は進むのだろうか?

日本テレビ放送網株式会社 営業局 営業推進部 主任 巽 直啓さん(以下、巽)  SAS(Smart Ad Sales)は、タイムでもないスポットでもない、「第3の地上波広告枠セールス」です。

SAS(Smart Ad Sales)の立ち位置
スポットセールスは、時間(枠)は指定できないが、期間が自由に設定できるなどの柔軟性があり、タイムセールスは、時間(枠)を指定できるが、原則出稿期間などに縛りがある。SASは双方の間に位置し、どちらの特徴も有する

逆三角形の上から、スポットセールス、SAS、タイムセールスと並んでいますが、SASは、スポットの性格もタイムの性格も有している「第3のセールス」と位置づけています。

SASでは、あらかじめ価格や日時、CMポジションがすべて明示された状況で広告枠をお出ししておりますので、その広告枠を見ながら広告主様または広告会社様が枠を購入することが可能です。非常に透明性の高い商品で、KPI達成のための最適な枠の組み合わせを自ら抽出して購入することができます。

加えて、15秒1本単位から購入可能。データはSASの特設サイトからダウンロードすることも可能ですが、広告枠の検索・分析ができる専用システム「枠ファインダ」でもご購入いただけます。

SASでは、ターゲットCPM(想定ターゲットへのインプレッション単価)での比較も可能になっておりますので、デジタル広告のターゲットCPMと比較して、テレビのリーチ力のすごさを体感していただければと思います。

また、派生商品として、「SAS+」という直前枠セールスも行っています。こちらは5営業日後のテレビ広告枠が購入できる商品です。デジタル広告の長所として「すぐに枠が買える」ということがあると思いますが、「5営業日後のCM枠が買える」というスピード感は、デジタル広告と比べても遜色ないといえます。

長崎 いまお話しいただいた「SAS」は、「テレビ広告のeコマース」といわれるほど革新的な仕組みです。現状の満足度はいかがですか。

 当初は、爆発的に日本で普及するのではないかという楽観的な気持ちもあったのですが、さすがにそうはいきませんでしたね。ただ、参加局数は相当増えてきておりますので、いずれこの方式が主流になっていくのではないかという期待感はあります。

沢目 デジタルに比べてテレビは、我々のような新規参入組からしてみると、すごくハードルが高い業界だと思っていました。しかし、いまお聞きした「SAS」は、デジタル広告のような買い方ができるようになっていますし、参入障壁も下がることで、さまざまな効果が生まれるのではないかと、非常に期待しています。

 我々としても、テレビセールス・広告セールスをやっていくうえで、既存のスポンサー様の購入枠が減っているのであれば、お客様の数を増やすという視点が非常に重要だと考えております。

視聴率は万能なのか?


質問3:視聴率は万能なのか?


長崎
 次の質問です。これまでテレビ業界では、さまざまな指標として、「視聴率」を使ってきたわけですが、これについてはどのようにお考えですか。

沢目 感覚的に言うと、テレビ業界では視聴率第一主義というか、すべてが視聴率で判断され、番組の視聴率が高ければいいというような形で動いていると思います。しかしマーケティングの視点から見ると、いまは「世帯」というものが意味をなさなくなっていると感じます。

現在、個人視聴率(何世帯ではなく、何人が見たか)に切り替える動きも進んでいますが、たとえば若者向けの化粧品広告の場合、テレビを見ている人の半分以上が50歳以上というような世帯では、見ている人の半分以上がターゲット外ということも考えられます。

そのため、視聴率だけで売買の基準のすべてが動いているような現状は、デジタル広告に比べると少し不自由かなという印象は持っています。

 スポンサー様のKPIが非常に多様化しているなかで、視聴率だけを指標にしていると、プランナーの皆様がスポンサー様のために最適なメディアプランを作っても、希望通りのテレビ広告枠が買えないという状況が起こります。海外ではこれを"Lost in Translation"と表現しています。

なお、海外では最近、「データドリブンリニア」(データに基づき、枠の価値を決めるアプローチ)というバイイング方式がメジャーになってきていますが、プランニング通りにバイイングができない"Lost in Translation"に対しては、我々テレビ業界が買い付けの仕方を多様化させていただくというところで対応していかなければいけないところだと思っています。

長崎 どの手法においても「指標が視聴率である」というのは、確かに私自身も疑問に思います。ある種のバイイングの価値として視聴率を見ているけれども、実際どの枠を購入するか、という点においては、ヒートマップ(枠ごとのターゲット含有率など)を見て選ぶケースもあるのでしょうか?

 そうですね。枠ごとの「ダウンロード効率」のようなものをヒートマップ化して購入しているケースもありますし、さまざまな買い付けの基準があることは、見ていて感じます。

同時に、「視聴率」という言葉の持つ意味も非常に多様化していると思いますので、まずはそうした認識合わせもしなければいけないと感じています。

長崎 業界の枠を超えて、いろんな対話を繰り返しながら、会話が成立するようにしなくてはいけないのですね。おふたりは、メディアビジネスにおける今後のDXというところに関して、ビジョンはありますか。

メディアビジネスにおける今後のDX


質問4:メディアビジネスにおける今後のDXとは?

 テレビが持っているオーディエンスデータのひとつとして「視聴ログ」があります。こちらの利活用というのは、業界としてもテレビ局単体としても考えていますし、ますますリッチ化していかなければと思っています。

また、アフターコロナの世界観ではなかなか対面して会えないということもありますので、さまざまな物事をシステマチックに、デジタル化していくことは、いまテレビ業界に求められているDXだと感じています。

沢目 デジタル時代に則し、マーケティングも変わっていかなければいけません。データ活用するのは当然のことだと思うのですが、クライアントの個々のニーズに対し、メディアも確実に成果がでるようなシステムを作っていただけたらと思います。

たとえば、GRP(延べ視聴率)よりもCPM(インプレッション単価)で売ってくれた方が効果性の高いプランニングがしやすい傾向にあります。また、ひとつの枠に対しての捉え方はクライアントによって異なりますので、売り方が多様化されればされるほど、さまざまな価値が生まれてくると思います。

しかしながら現状のテレビ業界、もしくは広告業界の動きは、デジタルの世界観からすると、売り方にしても導入にしても非常にスピードが遅いという課題があると感じています。

長崎 メディアは変わらなければ生き残れない、ということですね。最後に、メディアの立場として、我々の取引先である、広告主様や広告会社様に対してリクエストをお願いします。

 スポンサー様の多様化するニーズに合わせて、新商品「SAS」を作らせていただいたのですが、残念ながらスポットセールスのカレンシーデータ(視聴率)で評価されることが非常に多いのが現状です。新しい第3の商品を作ったのに、従来のセールス指標でジャッジされる状況は、改善していけたらと思っています。

テレビ業界のように、60年同じことをやっていると、視聴率が身に染みついている、ということもあると思います。なかなか切り替えというのは難しいかもしれませんが、ここは我々も説明を尽くしていかなければいけないところだと考えています。

沢目 60年間成功しつづけた業界だからこそ、変わるのは難しい。しかし、おそらくいま変わらないといけないフェーズにありますよね。

長崎 「いろいろなプレイヤーが息を合わせていかなければいけない」という課題が浮き彫りになったところで本セッションは終了となります。ですが、たった1回のこのセッションだけではもったいないので、ぜひまた、おふたりには第2弾をお願いできたらと思います。本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。


開催日時:2021年5月27日(木)13:30〜14:00
Channel:Innovation Factory
テーマ:メディアビジネスの革新とデジタルトランスフォーメーション: 2
登壇者:
モデレーター:株式会社講談社 ライツ・メディアビジネス局次長 長崎 亘宏
スピーカー:アクセンチュア株式会社 プリンシパル・ディレクター 沢目 宗明/日本テレビ放送網株式会社 営業局 営業推進部 主任 巽 直啓

Advertising Week Asia 2021(6月30日(水)までオンデマンド配信中)
https://asia.advertisingweek.com/

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