課題の解決事例

コンテンツ×広告手法で、顧客の「信頼」「共感」を獲得

青山商事株式会社

シェアNo.1から支持率NO.1へ。サービスデザイン革新

[課 題]

  • チャネルの違う業態開発
  • 購買変化への対応(オムニ戦略の推進)
  • WEB上で、購買意欲を高める試み(ユーザーを含むステークホルダーとの共創・体験デザイン)

都市部に18店舗(メジャーズ、アウトレット含む)を構える「UNIVERSAL LANGUAGE」は、業界最大手の青山商事が運営するブランド。このブランドが青山商事で占めるビジネス規模は大きくない。しかし、「洋服の青山」や「THE SUIT COMPANY」などを含めた全社的なフラッグシップブランドとしての役割には、大きな期待が寄せられている。

“ビジネスパーソン支持率No.1”という経営ビジョンのもと、カジュアルウェアをセレクトショップで購入するようなファッション感度の高い層に向けた、ビジネスウェアを中心とするセレクトショップだ。生地、縫製、ディテールにこだわり、ファッショントレンドを盛り込んだ、オリジナルのアイテムも数多く取り揃えている。ショップの販売情報から、製造、企画を行い、自社の強みであるクオリティや技術力をアピールできるSPAというビジネスモデルである。小ロットの企画商品のローンチなど、実験的な試みができるのも強みだ。

2004年に第1号店を渋谷にオープンした当初からしばらくは、タイアップ企画など雑誌での広告戦略が中心だった。紙媒体で商品のクオリティを伝える手法は、アパレル業界の定石である。しかし、「10年前、20年前とは購買行動が変わってきて、最近では、スマートフォンで欲しいモノを検索してからお店に足を運ぶお客様が多いです」と、青山商事TSC事業本部の河野克彦さんが言うように、デジタルコンテンツでの訴求も迫られている。

ビジネスパーソンもオンラインショッピングが日常化し、コモディティ分野を中心に実店舗利用が減少傾向にある。実店舗の生き残りには、気分の高揚を伴う体験など、付加価値が求められるようになった。絶妙なサイジング、素材の手触り、デリケートな着心地など、消費者の五感に訴える要素が重視されるスーツは、今でも実店舗販売のメリットが大きい商材のひとつだ。ましてや、店頭での提案型コミュニケーションを重視するセレクトショップであればなおさらだが、そんな商材・業態だからこそ、EC化率の向上は重要な課題であり、デジタルメディア上でのタッチポイント作りやユーザーを含むステークホルダーとの共創など、サービスデザイン根幹にかかわる革新への努力は欠かせない。

デジタルメディアの特徴のひとつに双方向性がある。消費者の意見やニーズを汲み取るため、コミュニティ活動を通して消費者のサポートをしている企業やメーカーは少なくない。「UNIVERSAL LANGUAGE」のように小回りのきく業態であれば、リピーター率も高く、ユーザーやコミュニティ創発の共創マーケティングの大きな可能性を秘めている。その方法論としてのデジタル広告戦略も課題だ。

ファッションディレクターでもある干場義雅編集長が先頭に立ち、Webマガジン『FORZA STYLE』とのコラボレーション企画として、「最強スーツ」「超·最強スーツ」「超·最強スーツZ」を3シーズンに渡ってローンチ。通常、「UNIVERSAL LANGUAGE」のロット数は、100~200着程度だが、この企画では、それぞれ、400着、800着、1000着(セットアップ、コート込み)とロット数を上げながら展開し、いずれも発売後1週間前後で完売するという成果を得た。この取材時、コラボ企画第3弾の続編としてコートが発売されたばかりだったが、3日間で300着のうち120着を販売。単価も7万9000円というなかなかの額にもかかわらず、である。

これは共創マーケティングによる商品開発の成功事例といえるだろう。消費者参加型の開発の場合、多くの意見からなる集合知から、企業がニーズやコンセプトを抽出し、製品の仕様へと落とし込んでいく。今回は干場氏が、ユーザーと企業の利益の両立を図るキュレーターとして、そのニーズやコンセプトを抽出する役割を担っている。干場氏がリクエストを出し、「UNIVERSAL LANGUAGE」がそれに応える。そんな開発プロセスのリポートは、コンテンツとして楽しみながら、企業の技術力やこだわりに対する理解を深めてもらう構成になっている。

絞り込まれたターゲット層とコミュニケーションするという点では、有料で購入される紙の雑誌も効果的かもしれない。だが、ネットの拡散量に対し、雑誌の閲読量は遠く及ばない。

「このコラボ企画では、売り上げ上位5店舗に必ずオンラインショップが入ってきます。通常、スーツがオンラインショッピングでランクインすることはないのですが」と、青山商事・TSC事業部でプレスを担当する神尾博和さん。局地的とはいえ、EC化率の向上もデジタルコンテンツ戦略の賜物だろう。

アパレル以外でもECへの誘引が難しいケースは少なからずある。その突破口を作るヒントになりはしないだろうか。(取材・文/加藤亮介)

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