2021.04.09

電通「2020年 日本の広告費」から読み解く、ニューノーマル時代における雑誌由来のデジタルメディアの価値とは?

1990年代後半から始まった「IT革命」は、瞬く間に世界を席巻。広告業界を取り巻く環境も激変させました。あれから四半世紀が経った2019年、ついにテレビの広告費(構成比)を、初めてインターネット広告費(構成比)が上回りました。そしてさらに、2020年、新型コロナウイルスによってデジタルシフトが加速。ニューノーマル時代における、「雑誌由来のデジタルメディアの価値」はどこにあるのか。今年電通が発表した「2020年 日本の広告費」を起点に読み解きました。

2020年、総広告費は9年ぶりのマイナス成長に

2020年、突如として現れたコロナウイルスにより、私たちの生活は一変しました。リモートワークの推奨により交通機関の利用が減り、都心部など多くの人出でにぎわう場所へ出かけなくなった一方で、巣ごもり需要が高まるなど人の動きに大きな変化もありました。

今年2月、電通が発表した「2020年 日本の広告費」によれば、2020年の総広告費は通年で6兆1,594億円(前年比88.8%)となり、東日本大震災(2011年)以来9年ぶりのマイナス成長の結果に。リーマンショックの影響があった2009年(前年比88.5%)に次ぐ、大幅な下げ幅となりました。10月以降は前年並みに回復しつつあったものの、コロナウイルスの感染拡大によって春シーズンのイベント・キャンペーンの開催中止や延期が相次ぎ、4-6月期の広告費が落ち込んだことが原因とみられます。

※グラフはウェブ電通報より引用


ただし、注目したいのは「インターネット広告費」。マスコミ4媒体である「新聞広告費」「雑誌広告費」「ラジオ広告費」「テレビメディア広告費」はすべて大きく前年割れし、6年連続の減少となった一方で、「インターネット広告費」は一貫して大幅な成長を続け、マスコミ4媒体の合計値(2兆2,536億円)に匹敵する2兆2,290億円もの規模の市場となっています。

巣ごもり需要に加え、リモートワークの推奨などにより企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)が一気に加速したことも追い風となったと考えられます。

※グラフはウェブ電通報より引用


前年割れのマスコミ四媒体 一方で成長を続ける「4媒体由来のデジタル広告費」

前述の通りマスコミ4媒体の広告費は落ち込んだものの、4媒体由来のデジタル広告費は803億円(前年比112.3%)と前年に引き続き二桁成長を果たしています。企業のリモート化、外出自粛、飲食店への時短要請などの影響で、自宅でインターネットを使用する人が急増したことに伴い、インターネット広告へと予算を投下する企業が増えたことが要因と考えられます。

雑誌デジタル単体においては446億円、前年比110.1%の成長を記録しました。総広告費全体の落ち込みが顕著だった4-6月期において、出版各社主要ウェブメディアのPV数は大きく増加しており、特に電子雑誌はコミック誌を中心に大幅な伸長を見せました。

※グラフはウェブ電通報より引用

キーは「情報の信頼性」──雑誌デジタルメディアに見出す広告価値

ニューノーマル時代の現代において、人々の暮らしはどう変化したのでしょうか。講談社が実施した「コロナシフトアンケート」(講談社5メディア合同アンケート/2020年7月実施)によると、コロナ以降、情報収集の方法に大きな変化が見られます。

講談社が昨年実施した「コロナシフトアンケート」 調査概要


外出自粛により「ECをさらに積極的に利用するようになった」(56.0%)人が増加。その結果、商品の良さを見極めるため「ECサイトのレビューや口コミを重視するようになった」(35.8%)「信頼する(フォローしている)メディアや人からのおすすめ情報を頼りに思うようになった」(26.5%)「メーカーのウェブサイトやSNSを読むようになった」(25.2%)など、WEB上で情報をもとめる行動が増えています。

「お買い物をする上で変わったこと」に関するアンケート結果

加えて、オンラインで情報を求めた結果、「信頼するメディアや人からのおすすめ情報を頼る」ようになった傾向が強まっているようです。

「<年代別>お買い物をする上で変わったこと」に関するアンケート結果


情報収集のジャンルは、「スキンケア」「ファッション」「料理」「メイク」が多く、情報収集の方法はInstagramが主流。年代が上がるとともに「信頼性を重視」し、専門家や口コミ、公式からの情報を欲していることがうかがえます。店舗に訪れて直接試せない分、肌に触れるもの、口に入れるものなどはSNSだけには頼らないと考えられます。そのため、インターネット広告に予算を投下する場合でも、媒体の選定・手法は見極めが重要だといえるでしょう。

「コロナ前(2020年3月以前)と比べてWEBで見ることが増えたと思うジャンル(コロナ関連情報をのぞく)はなんですか?(複数回答)」のアンケート結果

情報収集の方法はInstagramが主流

年代が上がるとともに「信頼性を重視」し、専門家や口コミ、公式からの情報を欲していることがうかがえる

ユーザーやファンとの接点のひとつであるイベントにおいても、コロナ禍において大きく変化しています。大人数が集まるリアルイベントが開催できないため、YouTubeやZoom、Instagramなどで配信されるオンラインイベントが急速に普及しました。

リアルイベントを望む声も少なくない一方で、同アンケートによると「リアル・オンライン問わずイベントに参加したい」(27.0%)「オンラインイベントに参加したい」(13.5%)という結果も。オンラインイベントも一定数支持されていることが分かります。

「今後、出版社の編集部が主催するイベントに参加したいと思いますか?(単一回答)」に関するアンケート結果


オンラインイベントの中でも、特に家の中で時間に縛られずできるメイクや料理講座が幅広い世代で支持されています。また、年齢が上がるにつれ、金融や資格などの学びのセミナーを視聴したいと考える人も多いようです。

「どんなオンラインイベントに参加したいと思いますか?(複数回答)」に関するアンケート結果


雑誌由来のデジタルメディアは、ニューノーマル時代における有効な選択肢のひとつ

コロナウイルスの感染拡大によって大きな環境の変化が起きた2020年。今後もデジタルシフトは加速し、ますますオンライン上でのコミュニケーションは、マーケティングにおいて重要度を増すことになるでしょう。

そのなかで、いかに「ユーザーとの信頼関係を構築していくか」。その検討をする際には、読者に寄り添い、信頼関係を構築している雑誌由来のデジタルメディアを活用することは、ニューノーマル時代における有効な選択肢となりえるのではないでしょうか。

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