2020.12.10

クッキーレス時代の「コンテンツ×ユーザー」の最適解を創造! ──コンテンツデータマーケティング社

デジタル戦略を進める株式会社講談社が中心となって、凸版印刷株式会社と株式会社サイバー・コミュニケーションズ(CCI)との3社合同で設立された株式会社コンテンツデータマーケティング。 「コンテンツと生活者の出会いで、世界を幸せにする」とビジョンを掲げる同社について、講談社から出向している谷口茂稔さん、凸版印刷からの山﨑貴之さん、サイバー・コミュニケーションズからの藤本浩次さんの3人に、お話を聞きました。

左からコンテンツデータマーケティング社 セールスマネージャー 山﨑貴之さん(凸版印刷)、同 ソリューションマネージャー 谷口茂稔さん(講談社)、同 セールスエキスパート 藤本浩次さん(サイバー・コミュニケーションズ)

──「コンテンツと生活者の出会いを個別最適化」するコンテンツデータマーケティング社。なぜ、今このタイミングでの設立となったのでしょうか?

藤本 2017年の個人情報保護法改正以降、個人情報の取扱いが法的にも生活者視点でも厳しくなっています。

2018年のGDPR(EU一般データ保護規制)の施行以降は、これまで個人情報とみなされていなかったIPアドレスやCookieなどの3rd Party データも個人情報と認識されるようになりました。今後、世界的に個人情報の規制は、ますます強化される方向にあります。

世界的なプライバシーに対する意識の高まりに伴い、インターネット上のデータ活用についても、各種ブラウザでのCookieの利用制限が発表されています。

Appleデバイスの標準ブラウザであるSafariではすでにCookieが使用できず、米Google社も2020年1月、ブラウザシェア首位であるGoogle Chromeにおけるサポートを2022年までに段階的に廃止すると発表しました。また、Twitter社も、位置情報やキーワードに基づいたターゲティング広告を廃止すると発表しています。こうした流れにより、今後はこれまでのような3rd Party データを活用した「ターゲティング広告」の配信はできなくなるとみられています。

そこで、私たちはあらかじめ生活者から利用許可を得た情報をIDで連携させるアプローチに注目しました。講談社には多くの人気メディアがあり、すでに使用可能な「ID」を多く所有しています。そのアセットを活かせたらと考えました。

コンテンツデータマーケティング社では、講談社メディアを中心に、利用許可を得た「ID」を活用し、コンテンツと生活者の最適なマッチングを目指す


谷口
 もともとは、講談社のなかに「IT戦略企画室」という社内のデータ基盤の構築やマーケティング支援を行う部署があり、そこでの社内プロジェクトだったのですが、昨今のプラットフォーム寡占や世界中でプライバシー規制が広がるなか、社内で取り組んでいる課題は講談社に限らずコンテンツ事業者全体で同様の課題でもあると感じました。コンテンツとユーザーのマッチングを追求するためには、講談社から本事業を分社化させることで、横連携できるパートナーを増やしていくことが重要ではないかと考えました。

こうしてコンテンツビジネスを培ってきた講談社と、データビジネスの先駆者であるサイバー・コミュニケーションズ(CCI)さらに、さまざまな業界でDXを支援している凸版印刷の3社が「それぞれの強みを活かしてコンテンツビジネスのデータ活用を推進」すべく、2020年9月30日にコンテンツデータマーケティング社が誕生しました。


──講談社「ID」を活用して、具体的にどのようなサービスを提供するのでしょうか?

山﨑 「コンテンツマーケティング事業」では、コンテンツを扱うすべての企業のマーケティング業務支援を行っていきます。生活者の個人情報を安全に管理しながら、メルマガ配信、SNSキャンペーン、アンケート調査、お客様サポートなど、生活者との接点を適切に運営。講談社のノウハウを注入した独自のAIやテクノロジーを活用し、制作したコンテンツをより多くの生活者に届けるための活動全般を支援していきます。

弊社のID基盤の導入支援では、今までデータが取れていなかったメディアからのデータの取得や、弊社所有の"ID"を共有することで、データを軸としたサービスを提供したいと考えています。また、「IDを導入したけど、どうサービス化していけばいいか分からない」というお悩みにも、導入いただいた企業様とディスカッションしながらサポートしていく予定です。

「クッキーレス時代の到来を見据え、しっかりと準備していきたい」と語る山﨑さん


──次世代高速通信「5G」によって、動画ニーズはさらに高まると言われています。今後、コンテンツニーズが変化していくなかで、収益化の方法も変わってくるのではないでしょうか?

藤本 これまでのマネタイズの流れは、まずコンテンツがあり、そこからテレビ放映化や玩具化など商品化して、それが売れたら映画化という流れでした。しかしデジタル化が進んだことにより、一方通行ではなく、放射線状の展開が可能となったことで、「新たなマネタイズモデル」が生まれています。

コンテンツ起点であることは変わらないものの、一方通行ではなく、放射線状の展開が可能となった「新たなマネタイズモデル」

これまで、コンテンツとのタッチポイントは、テレビやラジオ、本、ゲーム機が中心でした。しかし近年は、スマホを中心にデバイスが増えたことで、個人個人が好きな場所で、好きなコンテンツを消費する流れになっています。こうした背景を考慮すると、コンテンツとの最適なマッチングと同時に、どうやって良質なコンテンツを最適な形で届けるかも、今後さらに重要になってくると思っています。

デバイスが増え、個人でコンテンツ消費する機会が増えたことによって、コンテンツ消費のパーソナル化が進む

マネタイズ支援という観点では、バナー広告やアイテム課金、有料会員向けサービスなど、インターネットメディアの収益化支援についても、講談社が培ったメディア運営ノウハウと、コンテンツデータマーケティング社独自の個別最適化ソリューションをフル活用することで、強力にサポートできると考えています。


──講談社には、メディアを横断して広告配信ができる「OTAKAD」があります。OTAKADも御社と連携していますから、今後さらなるアップデートが期待できるのでしょうか?

谷口 そうですね。すでに「コスメニスト」「モフモフ中毒」「財テクマスター」といったユーザーセグメントがOTAKADには存在していますが、OTAKADは現在cookieをベースにしています。今後確定データであるIDも使用することで、ターゲティング精度、分析精度が向上することが期待されます。

──精度の高いターゲットへの配信は「コンテンツとの幸せな出会い」を生むとお考えとのことですが、これは"セレンディピティ"のようなイメージでしょうか?

山﨑 セレンディピティは「素敵な"偶然"との出会い」ですが、それをデータ解析により、より高い精度で生み出すことで、「素敵な必然」を生み出すのが、弊社の目標です。

コンテンツとユーザーの出会いをデータ解析によって「個別最適化」することで、ミスマッチが減り、コンテンツにとっても消費者にとっても"幸せな出会い"となると考えています。

ユーザーからすれば、知らなかったコンテンツに出会うことで、人生がより豊かになるというメリットが考えられます。また、これまで「何を読めばいいのかわからない」「読む時間がない」という悩みを抱えていた方も、その人に"最適なコンテンツ"を紹介してもらえることで、抵抗なく受け入れられると思います。

このように、コンテンツも読者もお互いに「Win Win」になる、つまり双方にとって幸せになるシステムをイメージしています。

藤本 たとえば、タグの付け方が細分化されて、コンテンツ同士が持っている要素の精度があがると、Cookieによる類推では結びつけられなかった人とモノ、サービスが結びつけられるようになります。

以前、講談社のプロジェクトとして電子書籍1万6000点をAIで解析したのですが、いままでセレンディピティ(素敵な偶然)だと思われていたものが、実はロジックで実現できるのではないかという可能性も見えてきています。

「データによって、"素敵な必然"を多く生み出したい」と語る藤本さん

セレンディピティは、より多くの出会いによって確率が高まります。ですから講談社1社だけでなく、さまざまな企業と連携することで、より効果は出やすくなります。

これは「共通基盤データ連携」構想ともいえるもので、今後はほかの出版社にも展開し、データ連携による共通基盤を作ることで、新しい未来のコンテンツ市場形成を目指していきたいと考えています。

共通基盤によるデータ連携によって形成される「新しい未来のコンテンツ市場」のイメージ

谷口 本の場合、中身を知らない人や見出しだけですすめられても読む気になりませんが、中身をきちんと把握した人からのレコメンドなら、耳を傾けたくなりますよね。それがAIであっても、コンテンツの中身を精度高く理解していることは共感と信用を得るためには重要だと思っております。

これまで「素敵な偶然と出会い」に頼っていた広告メディアやサービスが、コンテンツの閲覧解析や興味関心などを軸に、より精度の高い「素敵な必然」となるよう、これからも"幸せのカタチ"を追求し続けたいと思っています。

株式会社コンテンツデータマーケティング
https://www.contentdata.co.jp/

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