2020.10.09

セールスフォース・ドットコム社が語る!「withコロナ時代のメールマーケティングの重要性と成功させるためのノウハウ」

新型コロナウイルスの感染拡大により、マーケティング環境は大きく変化しました。働き方も変わったことで、Eメールの開封率は現在、上昇傾向にあるといいます。世界No.1のメールマーケティングプラットフォームを提供する株式会社セールスフォース・ドットコム マーケティング本部 デジタルマーケティング部 Eメールマーケティングマネージャー 青柳 雅俊さんに、「これからのB to Bメールマーケティング」をテーマに、お話を聞きました。

株式会社セールスフォース・ドットコム マーケティング本部 デジタルマーケティング部 Eメールマーケティングマネージャー 青柳 雅俊さん

コロナによって、さらに重要視される「オンライン上のコミュニケーション」

──Eメールは昔からあるツールですが、なぜいま、重要性が高まっているのでしょうか。ビジネスにおけるメールマーケティングの役割の変化について教えてください。

青柳 新型コロナウイルスの影響で、現在、ユーザーとオンライン上でコミュニケーションする重要度は上昇しています。当社で定期的に配信しているメルマガも、全体に開封率が上昇し、クリック率やメール経由のコンバージョン率も大幅に向上しています。しかしこれは、リモートワークの増加などによる、情報取得に対するマインドシフトや行動変容がその原因だと見ています。

Eメール自体はずっとあったツールですが、MA(マーケティングオートメーション)などの登場によって、その目的は変化してきています。

ひと昔前までは、「メルマガ」というと「長い文章で読ませる」イメージもありましたが、今はデータが取れるので、開封やクリックをさせることを主眼におき、その行動をもとに適切なフォローアップにつなげることが重要と考えています。

また、メールへのエンゲージメントを高めるポイントとして、当社ではメールはよりシンプルに、よりCTA(Call To Action・行動喚起)を認識しやすいデザインにしています。よくメールの冒頭に挨拶文を入れたメールをみますが、CTRへの影響はみられないことがデータ分析によって見えてきたため、訴求したい内容を最短で認識されやすいようデザインを最適化しています。また、クリックさせるという意味でも、メール内で100%説明しきらないよう心がけています。

──確かに、コロナ過でライフスタイルもビジネスも急速にデジタルシフトが進みました。さまざまな変革も起こっていますが、「メールマーケティング」を成功させるにはどうしたらよいのでしょうか。

青柳 一般の広告が、大海に網を張りどこに魚がいるのかを追いかける「遠洋漁業」だとしたら、メールマーケティングは「養殖」です。

メールマガジンを配信するのは、自社収集のファーストパーティデータですから、顧客醸成という観点でも、さまざまなデータを把握しやすく、分析しやすいという傾向があります。そのなかで、しっかりとユーザーの興味・関心を知り、コミュニケーションし続けることが重要です。

ナーチャリング(顧客醸成)する上では、顧客のステージを見極めて、アプローチすることで、さらにステージを進めることもできますし、オンライン上で関係を構築していくことが可能です。

またメールマーケティングは、休眠顧客の掘り起こしや企業のポテンシャルを見極める「AMB(アカウントベースドマーケティング)にも使えますので、さまざまな方法を駆使してお客様との関係を深めることができるツールといえると思います。

開封しやすい入り口に変えることで、休眠顧客を掘り起こし

──「休眠顧客の掘り起こし」は重要なキーワードだと思います。メールを開いてもらうための方法があれば教えてください。

青柳 当社の場合は、一度アプローチしたリードでかつ商談化せず放置されたリードを休眠対象としています。

その理由を分析してみると、「件名」に問題があるケースも存在しています。たとえば、ビジネス訴求の「件名」の反応が悪いのなら、SDGsや社会課題に対する切り口を件名にして配信したり、プロダクトの話ではなくブログの紹介をしたりするなど、アプローチを変えることで、開封率が改善するケースもあります。

──まずは開封しやすい入口をつくってあげるということですね。メールマガジンを活用した、ナーチャリングについてはいかがですか。

青柳 顧客育成は決して簡単ではありません。悩まれている方も多いのではないでしょうか。お客様をよく知り、お客様が必要なタイミングでためになる情報を提供しないと、次のステップには進んでもらえません。

これを確実に行うためには、ビッグデータを収集して分析し、かつ実行できるツールがそろわないと難しいと思います。

当社ですと、営業支援のイベントに来てくれた方には、関連性の高いオファーをお送りするなどしています。たとえば自社製品のホワイトペーパーの案内や、次の営業プロセスにつながるイベントなどにご招待し、そこからさらにメールを出し分けて次のメールを配信することで、徐々にエンゲージメントを高めていくようなシナリオを用意しています。

──メールによるアプローチも、パーソナライズさせることで、開封率およびエンゲージメントの向上につなげるということですね。

青柳 はい。現在当社では、AIによる自動分析によって、あらかじめ登録したコンテンツを組み合わせて、適切なターゲットにメールを自動配信するというシステムを構築しています。

このシステムでは、システム側が自動的にユーザーを分析・判別し、「このユーザーにはこの製品があうんじゃないか」という製品関連のオファーを組み合わせて自動配信するところまで、自動で行ってくれる仕様になっています。メールマーケティングは、マンパワーとコストがかかりますから、そこが自動化できるのは、マーケッターの方にとっては、大きなメリット、業務効率化につながるはずです。

BotB向けメールマーケティグも、今後はパーソナライズ化が加速

──御社はカスタマーサクセス(顧客の成功体験づくり)という分野での草分け的な存在ですが、顧客のロイヤリティの向上や、サービスの継続利用の獲得において、今後メールが果たす役割はどう変わってくるとお考えですか。

青柳 コロナの影響で働き方も多様化し、オンとオフを共存させながら自分の人生の目標を達成する、というマインドに変わって来ています。

メールマーケティングという言葉自体は変わっていませんが、中身はよりパーソナライズして、さらにはよりインタラクティブなツールへと進化していくでしょうから、BtoBでありながら、toCのような個別のアプローチがさらに加速すると考えています。

一方で、現代のビジネスでは、企業(ブランド)と顧客とのタッチポイントが多様化しています。メールだけでなく、SNS、WEBサイト、広告などのさまざまなチャネルから発生する顧客との接点をつなげることで、詳細な顧客行動の把握ができると考えています。これに関しては、弊社が提供している次世代カスタマーデータプラットフォーム(顧客のデータを管理するプラットフォーム)「Customer 360」というツールが非常に有効です。

横断プラットフォーム「Salesforce Customer 360」

「Customer 360」は、マーケティング、サービス、Eコマース、セールスなどを横断するプラットフォームです。最近は、顧客がひとつの製品やサービスを購入する前に検索エンジンやSNSで企業サイトやクチコミを調べ、購入した後も配送やサービス、アフターフォローを厳しくチェックするなど、製品やサービスに興味を持ってから、購入し、利用し続けるまでの企業との接点が増えています。

そこで、製品やサービスの開発から、提供方法、提供後のフォローに至るまで、部門を超えて一気通貫したサービスの提供が行えるようにしたのが「Customer 360」です。AIの「Einstein」を組み込んで、Webサイトやコールセンター、デジタル広告など、多様なチャネルにある情報を連携させ、顧客を「全方位的」に把握することで、部門を超えてより一人ひとりに寄り添ったサービスを提供しています。

これによって、各部門が顧客情報を共有しながら協力して、顧客と長期にわたる信頼関係を築き、顧客の期待に応えるパーソナライズされたエクスペリエンスを提供することが実現可能です。またこうしたツールによって、カスタマーサクセスをより支援していくことができると考えています。

──普遍的な価値を保ち続けている「メールマガジン」ですが、今後、そのポジショニングはどうなっていくと思われますか。

青柳 メールマガジン(メールを通じたコミュニケーション)が重要であることは、今後も変わらないでしょう。

そのためには、件名、プリヘッダーテキスト(件名の下に見える、本文の冒頭)、デザイン、CTAを促すためのコピーワークなどに意識を払い、コンテンツの質をあげることが大切です。また、配信のタイミングや頻度も、顧客体験を向上させる上で、非常に重要な要素のひとつです。

こうした細かい配慮の積み重ねが、長期的な視点で見たときに、「この会社ってこういう質の高いメールを送ってくれるんだ」という企業としてのブランディングにつながります。

加えて、新型コロナの影響でメールの開封率は上がっていますが、これは同時に、競合が増えたことを意味しています。埋もれないように、差別化することも今後さらに重要になっていくでしょう。

お客様と企業(ブランド)のタッチポイントはたくさんありますが、製品の購入時だけでなく、購入前、購入後も、メールでさまざまなタッチポイントをカバーしていくことができる。それをセールスフォースは実現したいと考えています。

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