2020.08.26
Twitterワールドトレンド1位! 編集者が語る、『SHAMAN KING(シャーマンキング)』が"不朽の名作"と呼ばれる理由
シリーズ累計3500万部、不朽の名作『SHAMAN KING(シャーマンキング)』。今年6月、同作のアニメ化が発表されると、即座にファンが反応し、Twitterでワールドトレンド1位を獲得。誕生から20年以上経った現在も、同作が深く愛される理由を、シリーズ最新作『SHAMAN KING THE SUPER STAR』の担当編集である少年マガジンエッジ編集部 吉田守芳が解説します。
自らも「『SHAMAN KING』を愛するファンのひとり」と語る、
少年マガジンエッジ編集部 吉田守芳
──誕生(1998年)から20年以上の時を経て、愛され続けるマンガ『SHAMAN KING』。その理由は何だと感じますか?
吉田 ひとつはオリジナリティ。少年マンガの主人公のイメージといえば、「明るくて人気者」や「熱血漢」などを思い浮かべる方が多いと思います。そのなかで、『SHAMAN KING』の主人公・麻倉葉は、"ゆるく"て落ち着いている 、という王道とは真逆の設定です。
まずそこに、当時の読者は大いに驚いたわけです。そして、これまで"見たこともない"新しい主人公の登場に、一瞬で心を掴まれ、『SHAMAN KING』はすぐに人気タイトルへと成長しました。
設定だけでなく、当時から絵もズバ抜けてスタイリッシュでした。その印象は現在も薄れることなく、20年経過した今も、"古さ"を感じることがありません。キャラクターが纏う衣装も、和もあれば、洋もある。自分らしく、グローバルな世界を生きるというのは、まさに現代的で、「不朽の名作」と呼ぶに相応しい作品だと思います。
ちなみに、『SHAMAN KING』というのは、武井宏之先生(作者)にとっても特別な作品で、麻倉葉には、ご自身の思想などが色濃く反映されていて、いわば"我が子"のような存在なんです。だからアニメ化がこれだけ話題になったことを、先生は心の底から驚き、そして喜んでらっしゃいました。
アニメ『SHAMAN KING』特報PV
──2018年には、「SHAMAN KING 20周年記念特設サイト」がオープン。以来、ファンの間で"何かが始まる期待感"があったことも、反響の大きさにつながったのではないでしょうか?
吉田 今回、「SHAMAN KING20周年プロジェクト」という名を冠したことで、単発ではない"連続的な何か"が始まる期待感を生み出すことができました。まず2018年6月に、「少年マガジンエッジ」にて、シリーズ最新作となる『SHAMAN KING THE SUPER STAR』の連載がスタート。そして先日発表したアニメ化は、本プロジェクトの目玉ともいえるものです。
『SHAMAN KING』には"完結(完全)版"が存在します。しかし同シリーズは真のエンディングまでアニメ化されておらず、「完結版をアニメで見たい」と願うファンの方は多いのではないかと考えたことが、今回のプロジェクトのきっかけとなりました。
現在、完結版は電子書籍で全巻配信され、コミック版も毎月17日ごろに3冊ずつ発売しているのですが、アニメ化同様、反響が大きく、"やはり武井先生をみんな待っていた"のだと、あらためて感じています。
(左)SHAMAN KING KC完結版(1)
(右)SHAMAN KING THE SUPER STAR(1)
著:武井 宏之
電子は先行して全巻。コミック版を1年かけて出していくのは、今後もさまざまな仕掛けを用意しているからです。たとえば昨年、東京で開催した、初の原画展もそのひとつです。今年8月には『SHAMAN KING』の舞台であり、武井先生の出生地である青森県でも開催。さらに今年の9月には、"東京 凱旋"の原画展も開催予定です。
SHAMAN KING展」のポスタービジュアルビジュアル
(左)昨年の東京開催 (右)今年8月の青森開催
おかげさまで、初の原画展ではグッズ販売が想定の倍を記録するなど、『SHAMAN KING』人気の高さを実感する機会となりました。また、SHAMAN KING20周年プロジェクトの最新情報をお届けするTwitterの公式アカウント「SHAMAN KING20th公式」もフォロワーが7万人を超えるなど、その注目度は増すばかりです。
「SHAMAN KING20th公式」は、
フォロワー数7万人を超える人気アカウント
──『SHAMAN KING』ファンの中心層について教えてください。
吉田 リアルタイムで『SHAMAN KING』を読んでいた世代で、現在30代〜40代の男性が中心です。経済的に余裕があり、購買意欲の高い世代ということが、グッズ販売の好調さなどに好影響を及ぼしていると考えています。
また、現在『SHAMAN KING』は商品化も含め、企業コラボのお問い合わせを多くいただいているのですが、その理由を聞いてみると、「担当者がファンだから」というケースが非常に多いのも特徴のひとつです。
ちなみに、武井先生がコラボする上でいちばん大切にしていることは、「作品を好きな人が関わっている」かどうかです。「好きな人が担当なら安心」だと先生は言います。そこにはやっぱり"作品への愛"が感じられるんですよね。「好きな人が好きなモノを広めてくれる」。そこに大きな喜びを感じているのだと思います。
事実、現在『SHAMAN KING』が再注目されているのは、好きな人を中心としたムーブメントが起こっているからです。大切なことは「好きかどうか」。それがいちばん物事の核となることを、先生はわかってらっしゃるんですよね。
──アニメ化の告知を兼ねたエール広告も、ファンを中心に、SNS上で大きな話題となりました。
吉田 パンデミックという状況下のなかで、コミックス発売とアニメ化を告知するならば、そこにもうひとつ意味を持たせたいと思い、宣伝部とともに考えました。「ふんばろう」と大きく書かれたコピーは、ファンの心に深く刺さり、「元気が出た」「勇気をもらった」などポジティブなコメントがSNS上に多く並びました。
アニメ化の告知を兼ねた『SHAMAN KING』のエール広告
さらに講談社の社屋に掲出された垂れ幕も、ネットニュースで取り上げられるなど、「ふんばろう」のメッセージはさまざまな形で多くのユーザーの元へと届けられることとなりました。
講談社の社屋に掲出された垂れ幕も、SNS上で大きな話題となった
──さまざまな形で注目され、現時点ですでに、来年4月から始めるアニメへの期待値は、非常に高まっているのではないでしょうか。
吉田 来年からスタートするアニメは現在、原作を非常に大切にしながら、製作が進められています。きっと、ファンの方はもちろん、初めて『SHAMAN KING』を見る方にとっても、ご満足いただけるものとなっていると思います。
しかしこれはまだ、通過点だと私は思っています。なぜなら、『SHAMAN KING』は国内外、そして親子2代に渡って愛される作品になれるポテンシャルを持っているからです。当然、次のアニバーサリーイヤー、30周年に向け、着々と準備を進めています。
私は、これからもずっと、『SHAMAN KING』は多くの人から愛され続けると信じています。"SHAMAN KINGの輪"は、今後も自然と広がり続けるはずです。ぜひご期待ください。
『SHAMAN KING』もラインナップする、「講談社 推しマンガ2020」の資料はこちら