創業から一貫してサステナブルな企業活動を行うジュリーク・ジャパン 企業のSDGs取り組み事例Vol.9(前編)

2020年04月01日

オーガニックコスメのパイオニア的存在、ジュリーク・ジャパン。当たり前すぎて強みだと思っていなかったという自社の「SDGs」への取り組みを意識したことで、大きな変化が生まれたといいます。また、『FRaU』との協業によってお客様や取引先との関係性も広がったそうです。どのような変化があったのでしょうか。詳しくお聞きしました。

ジュリーク・ジャパン 取締役 マーケティング部長・大内明香さん

SDGsは、まさにジュリークが35年間、ずっとやってきたことだった

──御社は、創業時からずっとサステナブルな取り組みを続けていらっしゃいます。「SDGs」という言葉を意識し始めたのはいつ頃からでしょうか。

大内 SDGsという言葉を、特に社内でも意識するようになったのは、ここ1~2年のことです。弊社は、創業からずっと持続可能な農園の維持に取り組み、そこで収穫した植物で化粧品をつくってきました。国連が掲げたSDGsは、まさにジュリークが35年間、ずっとやってきたことだったのですが、自分たちではそれを当たり前だと思っていた部分がありました。

──企業活動そのものがSDGsだったということですね。

大内 はい。ですから、SDGsはジュリークの理念をあらためて再認識し、「自分たちがどういうブランドなのか」という原点に立ち返る、いいきっかけになりました。

──SDGsを意識されたことで、変化はありましたか。

大内 ここ1年ほど、ジュリーク・ジャパンでは、親会社にならって、想像する「Innovation」を発揮する「Sense&Innovation(S&I)」という行動スローガンの元に活動してきました。それが、SDGsをきっかけに、社員が自発的に環境改善の行動や発言をするようになったと感じています。もともと、社会・環境課題の解決に関心が高い社員が多いというベースはありますが、SDGsを通して、さらに社内の意識統一が図れるようになったことが大きな効果ではないかと思います。

『FRaU』との協業によって生まれた「効果」

──『FRaU』との協業も、新しい「変化」のひとつでしょうか。FRaUのSDGsパートナー企業になった経緯を教えてください。

FRaUSDGs特集号第2弾「世界を変える、はじめかた。2020
のパートナー企業に授与された記念の楯

大内 『FRaU』は、2018年の12月に発売されたSDGs特集号からずっと気になっていました。書店であっという間に売り切れるのを見て、美容だけでなく社会的にも関心の高い女性がたくさんいるんだな、というのを感じ、ジュリークも発信力を強化すれば、もっとたくさんのお客様に自然環境維持について関心を持っていただくきっかけを提供できるのではないかと考えるようになりました。

そんななか、『FRaU』編集長の関さんが、昨年の『ジュリークローズ コレクション』新商品発表会に来てくださったことから、ご縁をいただいてSDGsパートナー企業に仲間入りさせていただくことになりました。

20198月に発売された「ジュリーズローズ コレクション」。
オーストラリアにある、オーガニック認証自社農園でしか育てられない新種のローズ「ジュリーク」を配合

──『FRaU』との協業を開始されたことで、どんな反響がありましたか。

大内 社内の意識はさらに高まりましたが、それ以上に社外で大きな反響があったことが驚きでした。まず、弊社の姿勢に共感してくださるお客様が増えました。最近はオーガニックを謳う化粧品ブランドも増えましたが、オーガニック認証の広大な自社農園を有し、栽培・品質管理・製造を一貫して手がけているブランドはとても稀です。こうした弊社の取り組みを知ってくださるお客様が増えたというのは、弊社にとって大変喜ばしいことでした。

また、お取引先様からは、エシカルをテーマにした取材や音楽イベントなど、化粧品以外の企画などへのお誘いがグンと増えました。ほかにも「SDGsへの取り組みを教えてほしい」というようなご依頼も増え、お取引先様に社員が出向いて、SDGsの取り組みについて話をする機会などもいただくようになりました。『FRaU』を教材に使わせていただき、すごく重宝しています。

──「化粧品業界」のつながりだけでなく、「SDGs」という枠でのつながりに広がったというイメージでしょうか。

大内 そうですね。化粧品業界という限られたセグメントではなく、SDGs、エシカル、地球環境への取り組みという観点から一緒に取り組める企業、というつながりにシフトしてきたように思います。

SDGsへの取り組みは、"あなたの"担当ではなく、"みんなの"担当

──こうしたSDGsへの取り組みは、専任の部署が行っているのですか。

大内 弊社では、特にSDGsの担当というのは設けていません。というよりも、社員全員がSDGsの提案者で担当者という立場です。SDGsには「誰一人取り残さない」という理念がありますが、弊社でも「"あなたの"担当ではなく、"みんなの"担当。だから、みんなの力でよくしていこう」という考え方が根付いています。ですから、「自分には関係ない」という社員は一人もおりません。

FRaU』に掲載されたジュリークのページを説明する大内さん

──「誰一人取り残さない」ために、大事にしていることを教えてください。

大内 SDGsは、強制されたり、義務感でやったりするものではありません。一人ひとりが自発的に取り組めるきっかけや環境をつくっていくことが大事だと思います。ジュリークでは「共存」ということを大事にしているのですが、「みんなで一緒に」は、SDGsを達成するためのキーワードでもあります。自然や動物、地球との共存はもちろん、家族や仕事をするメンバー、まわりの人と手を取り合い、誰一人取り残すことなくゴールを目指すことで、世界を変える大きな力になれたらいいなと思っています。


SDGsを通して、社内の意識統一を図り、社外にも企業理念を広めたジュリーク・ジャパン。次回はジュリークが創業から変わらずにやってきたというサステナブルな取り組みと、『FRaU』を通して生まれた新しい展開について、お聞きします。

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企業のSDGs取り組み事例