2019.11.27

社会課題を解決するとともに、人々の期待に応える新しい価値をつくり続ける大日本印刷|SDGs・企業取り組み事例レポート③(前編)

国連で採択された翌年から積極的にSDGs関連の発信を続け、「SDGs先進企業」として広く認知されている大日本印刷株式会社(DNP)。どのようにして取り組みを進めていったのか。CSR・環境部の担当者に話を聞いた。

大日本印刷株式会社 CSR・環境部 川島裕子さん、中込隆さん、鈴木由香さん(左から)

──DNPさんは早くからSDGsに取り組んできたイメージがあります。会社としてSDGsへの取り組みを開始されたのはいつ頃からでしょうか?

鈴木 2016年12月の「エコプロ2016」からです。SDGsを切り口に「4つの成長戦略と事業化テーマ」の図を示したことが、SDGsを視野に入れた企業活動を進めるきっかけとなりました。

「エコプロ2016」でのDNPブース

中込 2015年9月に国連でSDGsが採択されたあと、約1年かけてまずは私たち自身がSDGsについて勉強しました。そして翌年の「エコプロ2016」で、DNPの製品やサービスが、SDGsが掲げる社会課題の解決に寄与できるという展示を行いました。


CSR・環境部 中込隆部長

──当時はまだ、SDGsの認知度が低く、環境をテーマとした展示会である「エコプロ2016」でもSDGsにフォーカスした企業は少なかったそうですが、あえてSDGsにこだわった理由は何でしょうか?

鈴木 DNPは社会課題を視野に入れて製品・サービスの開発に取り組んできましたが、その製品やサービスが、世界で深刻化している気候変動や人権などの課題にどう役立っているか、そして、これから先の新しい社会にどう関わっていくのか、という観点では見えづらい部分がありました。そこで、SDGsという世界共通の言語を使って、自分たちのビジネスが社会をどれだけ変える可能性があるのか、ということをまずは社員に伝えたいという思いがありました。


CSR・環境部 ビジネス企画推進グループ リーダー 鈴木由香さん

川島 当時は社内でも「SDGsは未来のありたい姿を定めたもの」という漠然とした理解はありましたが、それが自分たちの企業活動とどう結びつくのかというのが、まだ理解されていない部分がありました。ですから、「SDGsはBtoBビジネスとの親和性が高い」ということも含めて積極的に発信を行いました。

──出展によって、どのような変化があったのでしょうか。

中込 エコプロでSDGsを打ち出すことで、「DNPはSDGsに取り組んでいく」という姿勢を、社内外に示すことができました。開発者は、どうしてもスペックや技術革新などの切り口でものを考えがちだったのですが、社会課題や全世界共通のゴールという大きな部分に気持ちを向けることができるようになったことは大きな変化になったと感じています。

川島 「エコプロ2016」は、SDGsがこれからのビジネスにどんなメリットがあるのかを全社員が意識するよい機会になったと思います。DNPは事業部がそれぞれ活動を積み重ねていくボトムアップの風土がありますが、「エコプロ2016」をきっかけに、それぞれの部門でSDGsをはじめとした様々な社会課題を意識した動きが出てきたことは、DNPにとって大きな変化になったと思います。

鈴木 対外的にもさまざまな反応がありました。ほかの企業からは「自社でもSDGsに取り組みたい」という声をお聞きし、国連やJICA(国際協力機構)など国際的な機関からは「企業が取り組む好事例」と言っていただきました。また、いくつかのメディアにも取り上げられ、DNPにとっても大変プラスになりました。

──SDGsを社内に浸透させるために、ほかにどのような工夫をされたのでしょうか?

鈴木 まずは「私たちCSR・環境部がSDGsの担当である」ということを社内で積極的にPRしました。年に2回、開発品などの展示説明を社員向けに行う社内展示会を行っているのですが、そこで「これからDNPはSDGsで社会課題・環境課題を解決していきます。その担当はCSR・環境部です」ということを強調しました。

川島 展示として異色だったのと、SDGsのカラーホイールがカラフルで目立つので、「何か面白いことを社内でやっているメンバーがいる」ということを伝えることができました。

CSR・環境部 ビジネス企画推進グループ 川島裕子さん

鈴木 これまでの活動との違いについても多くの問い合わせがありました。そこで、まずは「SDGsとは何か」という基本的なことを伝える活動から始め、各事業部へ個別に説明に行くなど、SDGsがどういうものか、そしてこれからのビジネスにどう必要なのかを地道に伝えていきました。

中込 今までは「自分たちができること」という観点で目標を掲げていたのですが、SDGsによって、自分たちがやってきたことを基盤に、「世界で何が求められているか」という視点で自分たちの製品やサービスを考えていくというやり方にシフトチェンジできるようになったのではないかと感じています。

川島 SDGsを浸透させるための研修や講習会なども行っています。2019年5月に行った「SDGsでビジネスを考える講演会」は、230人の会場が満席になり、会場に入れなかった社員や地方勤務の社員がテレビ会議で視聴するほどの盛況ぶりでした。

鈴木 社内報でもSDGsについての特集記事を掲載しています。また、2020年早々には、SDGsとビジネスについてまとめた冊子を社員に向けて発行する予定です。

社内報では「SDGsはこれからのビジネスチャンス」という特集記事を掲載して社員の関心を集めた

中込 最近は、社員のSDGsに関する知識が深くなってきて、「事業部として何ができるか」など、CSR・環境部へ寄せられる質問も深くなってきているので、私たちも負けないように勉強していかないといけないと思っています。

2016年12月以来、企業活動としてSDGsを視野に入れた取り組みを始めた大日本印刷。グループ全体としてのSDGs活動は今後どのような展開を考えているのか? 次回は、これからのビジョンや目標について語っていただく。

講談社が提供する各種プロモーションサービスのご利用に関するお問い合わせ・ご相談はこちら