グループ全体で「サステナブル経営」に取り組むシチズングループのSDGs 企業のSDGs取り組み事例Vol.2(後編)

2019年10月30日

「市民に愛され市民に貢献する」という企業理念を原点に、100年にわたり事業を展開してきたシチズン時計株式会社。創業101年目の節目として、グループ全体で「サステナブル経営」を推進している。同社のSDGsへの取り組みや、今後の展望などについて、担当者に聞いた。

時計の針をイメージしたソファーが置かれているシチズン時計のロビー

コンセプトは、「サステナブルファクトリー」

──会社としても全体で「サステナブル経営」を掲げていらっしゃいます。

青木 グループ中期経営ビジョン「Innovation for the next ?時を感じ、未来に感動を?」のもと、事業を通じた新たな価値創造に挑戦します。その重点施策の一つが、全グループでの「サステナブル経営」の推進です。今後も、シチズングループが世界中の人たちから必要とされ「愛される企業」となるには、社会の変化に対応した製品・サービスの創出や、それらを生み出す調達や生産プロセスへの配慮、そして、根底を支える企業姿勢も含めて社会から受け入れられる必要があると考えています。単に良い製品・サービスを提供するだけでなく、人権や地球環境などの社会課題にも配慮した経営を通じ、ステークホルダーからの信頼を獲得しながら事業を拡大し、企業価値の向上を図ること、それがシチズングループの考える「サステナブル経営」です。

経営企画部 青木真紀さん

北野 SDGs以前から時計事業ではそれぞれのブランドごとに環境に配慮した製品づくりなどは進めていたのですが、2019年の4月に、自社工場だけでなくその製造プロセスにも配慮した「サステナブルファクトリー」というコンセプトを打ちだしました。これは、取引先も含めたバリューチェーン全体を持続可能な「ファクトリー」にしていこうという取り組みです。コンプライアンスや人権、労働慣行、生産性向上、BCP(事業継続計画:大規模災害等による事業活動への影響に備え、製品やサービスの供給を継続、または早期復旧を可能とする為、必要な体制や役割、対応手順等の計画を平常時に定めること)などに総合的に配慮した持続可能な生産施設の整備を目指しています。

CSR室 北野令子さん

青木 その「サステナブルファクトリー」から生産された「サステナブルプロダクツ」を提供することで、持続可能な社会に貢献し、市民に愛される企業であり続けたいと思っています。

意欲的に社員への意識向上にも取り組む

──グループ一丸となって取り組みをはじめてから、社員の意識や製品づくりにどんな変化がありましたか?

北野 会社としてコミットメントを出したことで、社員の環境貢献への意識はさらに高まったように感じています。これまで部門ごとやブランドごとに行っていた取り組みを連携して行う姿勢も見られ、結果として会社の発信力を高めることができました。

鈴木 こうした積極的な発信はイベントなどの集客向上にもつながっています。「New TiMe, New Me」のオープニングイベントに、2日間で想定を超える1000人以上の方が足を運んでくださったことは、社員にとっても大きな自信と喜びになったのではないかと思います。

(右)営業統括本部 宣伝部 鈴木由佳さん

──勉強会や社内報にSDGs関連情報を掲載するなど、さらなる社員教育も積極的に行っているとうかがいました。

社内報のSDGsページ

青木 はい。毎月発行しているグループ報にも、「SDGsを学ぼう!」という記事を連載し、SDGsの社内浸透を図っています。継続的に掲載することで、社員のさらなる意識向上につながることを目指しています。

北野 先日は、コンサベーション・インターナショナルという国際環境NGOの方をお招きして、世界の環境問題を学ぶ勉強会を行いました。各部門から多くの社員が参加して、何か次の製品づくりにつなげられるヒントがないか、真剣に聞いていました。

国際環境NGOから講師を招いて行った世界の環境について
学ぶ勉強会には、多くの社員が自主的に参加した

IoTプラットフォームサービスで持続可能な社会に貢献

──今後の取り組みについて教えてください。

青木 今後は、従来のものづくりに留まらず、今までにない新たな価値創造に挑戦し、持続可能な未来に感動を創っていきたいと考えています。その代表例として、創業101年目の今年、ヒト・モノ・コトを繋ぐ新たなIoTプラットフォームサービス「Riiiver(リィイバー)」をローンチしました。「Riiiver」では、ユーザーは様々なデバイスの機能を自由に組み合わせ、オリジナルな時間体験(ライフスタイル)をつくり、それをシェアすることができます。このRiiiverを通じて、地域課題の解決にむけた様々な取り組みも行っています。

札幌で行われたイベントの様子 (上)アイデアソン (下)ハッカソン

青木 学生やビジネスマンなど多様な人たちがそれぞれ数名のチームとなって様々なアイデア創出を行うアイデアソンや、プログラマーやデザイナーの方々がそのアイデアを具体化させるための開発を競うハッカソンを北海道で開催しました。一連のイベントには延べ100名以上の方にご参加いただき、雪かきやクマの出没、札幌市中心地と郊外の格差などの地域特有の課題に対し、Riiiverを活用することでどのように解決できるか一緒に考えました。今後も各地域でアイデアソン、ハッカソンを開催し、地域課題の解決を目指していきます。

次世代スマートウオッチ「Eco-Drive Riiiver(エコ・ドライブ リィイバー)」

また、11月28日には、「Riiiver」に対応する次世代スマートウオッチ「Eco-Drive Riiiver(エコ・ドライブ リィイバー)」を発売します。商品発売に先立ち、クラウドファンディングサイト「GREEN FUNDING」に出品したところ、支援人数2748人、支援総額1億600万円以上を達成しました。

北野 来春にはシチズングループとしてサステナブル委員会も立ち上げる予定です。SDGsのゴール達成に向け、今後もグループ一体での取り組みを推進していきたいと思います。

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