2019.07.16

SNSマーケティングの巻き返しに、基本をもう一度 <中編>今日から始めるInstagram(インスタグラム)運用・その1

前回はスマートフォンを中心としたライフスタイルのなかで、日常的なSNS利用とそこで過ごす時間は増え続けていること、また企業においても、ユーザーと親密なコミュニケーションを実現するSNSマーケティングの位置づけがいっそう重くなっていることなどをお伝えしました。

そんなSNSマーケティングのなかでも、注目されているのがInstagramの活用です。なぜInstagramマーケティングに熱い視線が注がれているのか、TwitterやFacebookなど、他の主要SNS媒体とはどのような違いがあり、どのように運用すれば成功を引き寄せることができるのか、知っておきたいポイントと運用の基本ノウハウを解説します。

■Instagram(インスタグラム)がマーケティングプラットフォームとして注目される理由

Instagramはビジュアルに特化したSNSで、写真や動画によるコミュニケーションがその大半を占めます。公式情報の発信などビジネス的なスタイルと親和性が高いFacebook、匿名による不特定多数へのリーチで"つぶやき"テキストの面白さや話題性、意外性などが鍵になりやすいTwitterに比べ、直感的な画像で伝わるおしゃれさや楽しさが特徴です。したがって、アカウントとしての世界観や雰囲気を統一することが重要で、トータルなセンスが固定ファンを獲得するカギにもなっています。

画像メインのSNSですので、アピールしたい商品のイメージをより分かりやすく定着させやすいメリットもあります。テキストよりはるかに豊かに、ダイレクトにブランドイメージを訴求しやすく、世界観をそのまま伝えられます。
ビジュアルメインであることは、言語面のハードルが低いことにもつながりますので、世界中にファンを広げられる可能性を持つ魅力もあります。

通常SNSでは、広告色の強いコンテンツはマイナスイメージの形成につながるリスクがありますが、その点でもInstagramは有利です。タイムラインで流れる画像・動画のひとつとして、広告的な要素を自然に表示できる強みがあります。自然に、高い好感度のもと、ターゲットと接触できやすいしくみを備えています。

さらにもう1点注目されているのが、Instagramを活用するユーザー層の特性です。アクティブユーザーの年齢層は10~30代が7割以上。他のSNSより若年層が占める割合が高く、他のチャネルではつかまえにくい感度の高い若者にリーチできます。男女別比率では、FacebookやTwitterに比べて女性ユーザーが多く、利用者の男女比はおよそ4対6となっています。女性を主なターゲットとする商品やブランドには、見逃せないプラットフォームです。

サービス開始当初から、感度の高いおしゃれな雑誌写真のような画像が支持される傾向にあり、そうした空気感が共有されているため、趣味嗜好や興味として、最新のファッションや流行に関心の高いユーザーが多いことも特色です。このような層にアプローチできることが、Instagramの大きなメリットであるとしている企業も多いでしょう。

「インスタ映え」という流行語が生まれるほどの社会現象となり、その後も機能追加によってさらなる成長をみせているInstagram。これまで利用していなかった層への広がりもみられ、Instagramマーケティングの重要性はこれまで以上に高まってきそうです。

■Instagramマーケティングの目標をどのように設定するか

SNSマーケティングに着手する場合、その目標設定と効果測定に関する指標を明確にしておくことは重要です。SNS運用では従来の手法に比べ効果測定がしづらく、「とりあえず開設したものの、運用の方向性があいまい」「改善点が見出せないまま、なんとなく続けられている」などのケースが多く見受けられます。そこで、まずInstagramマーケティングにおける目標設定はどのようにすればいいか、そして効果測定は具体的にどうすればいいかを見ていきましょう。

ご存じの方も多いと思いますが、マーケティングにはKPI(重要業績評価指標)とKGI(重要目標達成指標)という目標と評価の概念があります。Instagramマーケティングにおいても、この指標があてはまります。
KGIはさまざまな活動に対するビジネス面での最終目標であるのに対し、KPIはそれに向かって着実に歩を進めるための達成すべき小目標、マイルストーンとなる個々の指標です。

KGIの例では「売上高を前年比で20%アップさせる」「顧客リピート率を15%上げる」「会員登録者数を50%アップする」などが考えられます。数値なども含め、具体的に設定しておくことが必要で、「売り上げアップ」「認知向上」といった漠然とした目標にならないようにします。
そしてInstagramにおけるKPIの例としては、フォロワー数やその増加率、いいね!の数とフォロワーに対する割合、コメント数、クリック数、関連ハッシュタグの投稿数、自社サイトやキャンペーンページなどへの流入数といったものが代表的なものです。

KPIは分析ツールや公式のインサイトデータで、数値として確認しやすく、さまざまな軸をとることができますが、あくまでKGIにつながるものでなくてはなりません。新規顧客の開拓による売上高アップを目指しているなら、ファンとみられるフォロワー数の増加が重要ですし、リピーター増による顧客満足度の向上、個人単価アップが狙いなら、コメントやいいね!などのエンゲージメントをより重視したKPI設定が必要です。KGIと関係づけながら、KPIの具体的な数値目標を適切に設定することが大切です。

KGIは、早ければ3ヶ月から、最低でも年に1度は達成度を検証する必要があります。社内データやアンケート調査などを用いて確認し、その結果に応じて次の戦略立案や、運用方法の改善に役立てます。そして時にはKPIの見直しを行うことも考えるべきでしょう。


■成功に近づくためのInstagram運用のポイントとは

さて、次はいよいよ最も重要な、成功する投稿手法、投稿コンテンツの作り方などの運用ノウハウについてです。素晴らしい戦略計画があっても、コンテンツに落とし込めていなければ効果を発揮させることはできません。まずInstagramならではのポイントを押さえ、成功例に学びながら効果的な投稿を目指しましょう。

●何より大切なのは統一された世界観

Instagramで評価されるための大きなポイントは「世界観をどのように規定し、表現を統一していくか」です。どんな目的で、何をどのように発信しているのか、雰囲気・テイストが一目で分かり、ターゲットにとって魅力的と見えるようにすることが重要なのです。ひとつひとつの投稿コンテンツにおけるクオリティは十分に高くても、ジャンルがバラバラであったり、ポップな表現とシンプル・ナチュラル系の表現が混在していたりすると、魅力も半減してしまいます。

画像はデザインや背景のトーンや色味を統一します。加工する場合は同じフィルターを共通して使うなど気を遣いましょう。コンテンツは単独で検証せず、少なくとも10前後の最新投稿分をひとつの作品としてまとめてチェックし、余白バランスは適切か、同じ並びの画像が単調に連続しすぎていないかなどを確認し、全体として楽しめてしかも世界観を充分に感じ取れるかどうかに気を配りましょう。

パリ発のライフスタイルトレンドをサプライズボックスに詰め込んで届けるサービスのMy Little Boxが展開するアカウントは、パリジェンヌのナチュラルでおしゃれな暮らしに憧れる女子を主要ターゲットとしています。そのためこのような層が好みやすいイメージカラーの白を投稿コンテンツの基調とし、撮影の雰囲気も明るい陽が差し込んでいるようなイメージでそろえています。さらにさりげなく"パリ"を象徴するアイテムを含むなどして、投稿を重ねています。このようなテイストが好きな人であれば、間違いなく見ていて心地よい印象を受け、いいね!やフォローを呼び込む仕上がりとなっています。

トヨタ自動車は、日本各地の美しい風景と溶け込む自社の車を撮影した写真を中心に、車のある暮らし、おしゃれなドライブ旅をイメージしやすいコンセプト投稿を行っています。風景と車という組み合わせを基本ジャンルにすることで統一感を生み、ストーリー性やブランド力の高さをセンス良く発揮することに成功しています。複数の投稿画像をプロフィール画面で見ても、美しいカタログアルバムのように楽しむことができます。加えて露骨に広告色を出すことなく、幅広いユーザーにアピールできている点もポイントです。

Instagramは他のSNS媒体より、広告色が薄い点がユーザーに評価されてきたメディアという歴史があります。おしゃれな画像にこだわり、表現への感度が高いユーザー層から拡がってきたものであるため、広告らしさを出し過ぎない工夫が重要です。


●異なるInstagramアカウントで運用することも考える

アカウントにおける統一感を明確にするために、運営する公式アカウントをひとつに限定せず、コンセプトやキャンペーン、ターゲットによって切り分け、複数運用する方法も有用です。Instagramで運用するアカウントが一企業・一団体にひとつでなければならない決まりはありません。アピールしたい商品やサービスが複数ある場合や、これまでと異なるテイストで新規顧客を開拓したい場合、通常の落ち着いたテイストとは違うポップな表現を前面に出したい場合などは、アカウントを分けてみるのも手です。

スポーツブランドのNIKEは、この切り分け運用を非常に上手く行っています。「nikerunning」、「nikefootball」、「nikewomen」、「nikesportswear」など、スポーツ種目や世界観・コンセプト、ブランドラインなどで、それぞれのアカウントを設け、画像のテイストや情報内容をそこに合わせたものにしています。これによって必然的に統一感が生まれ、それぞれの世界観が伝わるようになっています。受け手のユーザーも興味のあるジャンル、好きなテイストの情報だけを得られることになり、ムダな情報へのストレスを感じにくいようになっています。

●思わず参加したくなる動機をつくる

自然な運用スタイルが理想のInstagramにおいて、ユーザーを巻き込む工夫をどうやって組み込むことができるか。ここはまさにマーケターの腕が問われるところです。ターゲットの反応が期待できる話題を選び、思わず参加したくなる動機づけを行うことが重要です。

ハーゲンダッツ ジャパンは、カップアイスを開封したときに現れる"くぼみ"模様にハート型を見出し、ネット上で話題にする動きがあることに着目して、これを「ハーゲンハート」として訴求しています。動画にしたり、ユーザーからの投稿を募ったりすることで、コミュニケーションを広げる運用を行っています。
ちょっと参加してみたくなる楽しい投稿に加え、公式としてよりクオリティを高めた"インスタ映え"コンテンツの発信も並行しています。アイスに添える小物や画像の加工でも、ブランドの世界観をおしゃれに表現し、ブランディングとユーザーの支持獲得に成功しています。

大塚製薬のカロリーメイトでは、ターゲットを「卒業を控えた高校生」に絞りこんだキャンペーンを実施。ユーザー投稿を募ったり、受験生へのメッセージを名言から引いて製品に書き込んでアップしたりと、カロリーメイトのある学生生活、青春の1ページを上手く演出し、ファンを増やしています。思い切ってターゲットを絞り込んだ記録が、そのまま美しい彩りとなって、アカウント全体を盛り上げました。

●ハッシュタグは傾向を分析してたくさん付ける

運用において、画像や動画のコンテンツ作成に劣らず重要なのは、ハッシュタグの使い方です。Instagramは、共有やリツイートに類する機能がないSNSであるため、やや拡散性に欠ける側面があります。それをカバーするのがハッシュタグであり、これがつながりを作りますから、なるべく多くつけるよう意識してください。

撮影された物を示すワードだけでなく、見てほしい相手やコミュニケーションのシーン、気持ちなども表現対象になります。「Top HashTags」のランキングで、どういったタグが多く使われ、検索されやすくなっているのか、人気傾向を把握しておくのもお勧めです。

Instagramのクイーンとして絶大な人気を誇っているタレント・渡辺直美さんは、写真に関するテキストやツッコミ、会話をそのままハッシュタグ化してしまうような斬新なスタイルにもトライしています。面白さや親近感で距離を縮め、よりファンになってもらうことを目指すような運用なら、こうしたタグ使いも中・上級編として参考にしてみてください。

いかがでしたでしょうか。
ここまでは主にInstagramマーケティングの基本的な心得と、ベーシックなフィード投稿による運用のノウハウについて解説しました。
次回はオプション活用的な運用と、運用の際に気をつけなければならないポイント、そしてさまざまな業種での成功事例などをご案内したいと思います。お楽しみに!

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