10年目からの新たな挑戦 コーセーが掲げるSDGs 企業のSDGs取り組み事例Vol.1(後編)

2019年07月02日

「FRaU × SDGsプロジェクト」の趣旨に賛同し、パートナー企業としてSDGsに取り組むコーセー。「雪肌精」という一つのブランドを通して10年以上も続く「SAVE the BLUE」プロジェクトや、企業としてのSDGs活動は、今後どのような展開を考えているのか? 取り組む2人にこれからのビジョンや目標を聞いた。

(右)株式会社コーセー コンシューマーブランド事業部 C/B企画部 雪肌精企画課 課長 松本英樹(まつもと・ひでき)さん/(左)株式会社コーセー 経営企画部 コーポレートコミュニケーション室 サステナビリティ戦略課 主任 外丸純子(とまる・じゅんこ)さん 

「海」から「森」へ広がる活動

──SDGs活動には、専任の担当者が対応しているのですか?

松本 私の場合は、企画部門で「雪肌精」を担当しながら「SAVE the BLUE」プロジェクトに取り組んでいます。SDGsの専任担当者は設けずに、企画部門のみんなで考えながら、「自分たちに今、何ができるか」ということを考え続けています。昨年「SAVE the BLUE」プロジェクトの新たな展開として行った「植樹活動」も、そうした社内の意見から生まれたものです。購入した商品の底面積分の森が植樹されるという取り組みで、テレビCM効果もあって大きな反響をいただきました。

事業部の社員による初めての植樹の様子

──SDGsを進めるなかで、社内外でどのような変化が見られましたか?

サステナビリティ戦略課主任の外丸さん

外丸 近年はESG投資の流れや、また海洋プラスチック問題の表面化などもあり、日本国内でも、SDGs等への取り組みが重要視されるようになりました。当社でもこの春、これまでの広報室から分かれた「サステナビリティ戦略課」という全体戦略を考える専任部署ができました。その他の部門では、(誰か一人が集中的に担当するのではなく)サステナビリティについても各部門全体の課題として共有し、取り組む形になりつつあると思います。

松本 テレビCMや『FRaU』のSDGs号に掲載されたことで、新たに雪肌精に興味を持って使用いただけるお客さまもいらっしゃいましたが、それ以上に、既存のお客さまからの「自分の購入した化粧品が自然環境にも貢献することを知って、これからも使い続けたいと改めて感じた」という反応のほうが多かったですね。

外丸 『FRaU』のSDGs号では、女性誌ならではのスタイリッシュさのままに、SDGsという堅くなりがちなテーマを身近で大切なこととして纏めていただき、まさにこうした視点の広がりが必要だったと社内でも大変好評でした。次の株主総会では、当社がSDGsへの大切な取り組みとして、なぜ「SAVE the BLUE」プロジェクトを続けているのかを、株主の皆さまにもっと知っていただきたいという思いで、その抜き刷りをお配りさせていただく計画です。

「美の創造企業」としての使命と役割

──オーガニックコスメの台頭など、化粧品業界は他業界に先駆けてSDGsに取り組んでいるイメージがあります。

「雪肌精」ブランドを担当する松本さん

外丸 おっしゃる通り、世界的に、化粧品業界にはSDGsに先進的な企業が多いですね。また日本でも、粧工連(日本化粧品工業連合会)という業界団体には、数年前から「環境・サステナビリティ委員会」が設置されて、自身も参加しているのですが、洗浄料にスクラブ剤として配合されてきたマイクロプラスチックビーズの問題では、傘下企業に使用中止の要請が発信されたり、また、海洋ゴミ問題などを受けたプラスチック循環戦略なども今後の業界共通の課題として議題に上がるようになっています。

松本 一つのブランドでできることには限界もありますが、「雪肌精」でも一部商品のパッケージに環境にやさしい森林認証制度製品を採用するなどの工夫はしています。今後もSDGsへの取り組みを強化していきたいと考えています。

「雪肌精」ブランドは、パッケージも
認証紙を使うなど、環境に貢献していくとのこと

──今後、企業としてのSDGs活動はどのような展開を考えていらっしゃいますか?

外丸 化粧品は、とても身近で日常的に使うものですから、より地球環境に優しいものを選びたいというお客さまが、若い世代を中心に増えています。大切な地球の未来のためには、サンゴの保護のように特化した取り組みも必要ですし、また、原材料の調達、生産からお客さまが使い終えるまでのサプライチェーン全体で、環境負荷を下げる地道な努力も必要です。当社では、雪肌精はその象徴となるべきブランドのひとつと考えているところです。

松本 「雪肌精」ブランドの「SAVE the BLUE」活動では「あなたが美しくなると地球も美しくなる」というメッセージを打ち出しています。多くの「雪肌精」をお使いいただいているお客さまにこの活動を知っていただくことで、共感いただき、お客さまとともにこの活動を継続して参りたいと思っております。

──昨年は環境省より「国際サンゴ礁年2018」のオフィシャルサポーターに任命され、さまざまな活動をされました。

「国際サンゴ礁年2018」の
オフィシャルサポーター任命書(左)と
国連グローバル・コンパクトのCertificate

松本 「SAVE the BLUE」プロジェクトを10年間続けてきたことを評価していただき、本当に嬉しく思っています。近年は学生にSDGsの取り組みをしているブランドとしてお問い合わせをいただくこともあり、ますます力をいれていかなければと身の引き締まる思いです。

外丸 今後も、「美しい知恵 人へ、地球へ。」のメッセージとともに、化粧品を通じてより良い未来のためにできることを考え、取り組んでいきたいと思っております。

記事カテゴリー
企業のSDGs取り組み事例