2019.06.04

SNSマーケティングの巻き返しに、基本をもう一度 <前編>プラットフォーム

個人間のコミュニケーションを想定して生まれたSNSですが、今では企業のマーケティングやプロモーションの手段として採用されることが当たり前になりました。
キャンペーン情報や新製品情報、時には雑談のようなコンテンツもまじえ、ユーザーとの日常的な繋がりを太くすることで、販促からブランディングまで大いに寄与する重要なツールとなっています。

必要なのは、各サービスの特徴やトレンド、そしてアプローチしたいターゲットの特性を踏まえた適切かつセンスある運用展開。とはいえ、なかなかうまく進まない、とお感じの方も多いでしょう。
そんなSNSマーケティング担当者や、あるいは遅まきながらSNS活用を始めたい企業の方に、現在の動向や成功事例をふまえつつ、押さえていただきたいポイントをご紹介します。


各SNSサービスの特徴と成功事例

ひとくちにSNSといっても数多くのサービスが存在しますが、アクティブユーザー数が非常に多く、主要なSNSとなっているFacebook、LINE、Instagram、Twitterの4つについて特徴を整理してみます。

●Facebook

<Facebookの特徴>

Facebookは実名登録が基本である点に最大の特徴があります。プロフィールの信頼性の高さ、発信コンテンツとしての情報信頼度の高さで、他のSNSを上回ります。リアルなつながりのある友人・知人とコミュニケーションをとっているユーザーが多い一方、情報取得目的で利用するユーザーも多くなっています。

Facebookユーザーは実名利用ですから、情報拡散する際の意識は自然と高くなります。したがって、あまりにくだけた内容や一発芸的な情報より、親切な情報、役に立つ情報、公式感のある情報などの発信に用いるのが適切です。企業やブランドの真摯な姿勢、実利性の高いアイデアや提案などを発信できれば効果を発揮するでしょう。

なお、発信した情報をユーザーフィードに流すアルゴリズムは、投稿やコメントからの「経過時間」、コメントやいいねなど「対象ユーザーとの利用親密度」、投稿へのリアクションや写真・動画などの「コンテンツの重み」を判定することで構成されているといわれます。

Facebookの事例紹介>

生命保険会社のアフラックは、健康に配慮した料理レシピや、がん患者の体験談、患者同士の支え合い活動といったコンテンツをFacebookで提供しています。動画や複数写真、スライドショーといった多彩な表現が可能なFacebookの特長を上手く活用し、分かりやすくメッセージ性の強いものとして届けることに成功しています。17万を超える「いいね!」や16万人以上のフォロワーを持つアカウントに成長させ、支持を得ています。


●LINE

<LINEの特徴>

メッセージングアプリとして成長したLINEは、友人同士や職場内など複数のグループの連絡手段に使われ、幅広い世代に対応しています。日常的な連絡手段として毎日1度は使うというユーザーが多いことから、企業にとって絶好のタッチポイントになります。
企業アカウントの「友だち追加」は、お得な情報やクーポンを得たいという理由で行っているユーザーが大半です。セールやキャンペーンの告知など、チラシを配布する感覚で用いるのが適切です。
費用面では、配信できるメッセージ数を1000通に限った無料プランから設定されています。ただメッセージ数を増やしたい、オプション機能を使いたいなどによっては、それなりにアカウント費用がかかります。
個人経営の美容院などが、無料プランで得意客とのコミュニケーションや来店促進に用い、予約数を伸ばすケースなどは上手な成功事例でしょう。

LINEの事例紹介>

行列のできるパンケーキで有名な「Eggs'n Things」は、LINEとポイントサービスの「dodo point」の連携を上手く活用し、顧客への日常的なアプローチを展開しました。
新規顧客とリピーター顧客でメッセージを出し分けるなど細かな運用と、実利的なポイント付与サービスの充実を図った結果、メッセージブロック率を約3分の1にまで低下させました。
LINEを使って幅広い顧客の獲得に成功し、さらに再来店率を2.4倍に伸ばしたという、高い成果をあげた事例です。


●Instagram

<Instagramの特徴>

画像に特化したInstagramはどうでしょうか。「インスタ映え」が流行語となり社会現象化したことからもうかがえるように、消費者行動へ与える影響が非常に大きく、アクティブ率もきわめて高いSNSです。
親和性が高いのはファッションや美容、グルメ、旅行などのカテゴリです。
おしゃれな写真とセンスあるテキスト、そしてハッシュタグの活用がInstagramにおける成功への鍵になるでしょう。

Instagramの一般アカウントではリンク挿入による遷移が設定できないため、広く集客する告知窓口としては機能させにくいものの、ECサイトに誘導できるショッピング機能の強化は進んでいます。
画像はもちろん、ストーリーズ(スライドショー形式での写真や動画の投稿)や動画コンテンツを用い、ショッピングタグでサイトに誘導することも可能となっています。
見せ方を強く意識し、ユーザーが真似たくなる雰囲気や、強い共感を覚える世界観を生み出すことができれば、大きな成果が期待できます。

Instagramの成功事例>

三重県桑名市の「なばなの里」は、国内最大級のスケールで繰り広げられるイルミネーションが人気です。その様子を、三重県観光連盟が美しい写真を使ってInstagramから発信しました。その結果投稿で2,000件近い「いいね!」、アカウントとして約17,000のフォロワーを得るまでになり、訪れる観光客を増やすことに成功しています。
写真画像そのものが魅力的に仕上げられていることはもちろんですが、ハッシュタグの活用に長けています。強調したいポイントをユーザーに効果的に伝え、投稿を見つけやすく拡散しやすい工夫が施されています。

●Twitter

Twitterの特徴>

最後にTwitterです。こちらは匿名性が高く、気軽に楽しく誰もが投稿できるSNSで、そのときどきで興味を引く話題に直感的に反応していく傾向が強くあります。トレンド意識を持ちつつ、一般ユーザーと近い目線でコミュニケートするセンスや、思わずリツイートしたくなるコンテンツ設計が重要となるでしょう。

投稿は頻度が高いほどユーザーの目に触れる確率が高まりますから、小さなつぶやきを密に行います。そして次を期待させる内容とハッシュタグで積み重ねていくことがポイントです。拡散モードに入ると一気に不特定多数のユーザーへ情報を届けることができますから、フォロー&リツイートでプレゼント応募といったキャンペーン展開にも向いています。
またオウンドメディアとの連動でTwitterアカウントの発信力を高めれば、多くのファンを獲得し、エンゲージメント向上やブランディングにもつなげられる可能性があります。

1社で1つのアカウントにこだわらず、開発部門や問い合わせサポート、PRなど部署ごとに開設して特色をつけ、フォロワーを製品や企業のファンとして集めていくのも効果的です。ベンチャー企業やIT関連企業では、企業公式アカウントより、社長個人やマスコットのアカウントなどが注目されて人気を呼ぶケースも少なくありません。

Twitterの成功事例>

「あずきバー」などで知られる井村屋のTwitterは、新商品情報やキャンペーンの発信はもちろん、自社製品とは直接関係のないコンテンツや他社のツイートなどにも敏感に反応しています。リツイートで感想を投稿したり、絵文字や画像で手作り感やゆるさ、親しみやすさを出したりと、思わず話題にしたくなる振る舞いが非常に巧みです。
こうした運用を重ねることで、井村屋の商品にあまりなじみのない層にまで興味をもってもらうことに成功し、15万近いフォロワーを獲得しています。


SNSはどう使われている? 現ユーザーのリアル


今も活況とされるSNSサービスですが、実際にどれくらいの人に、どれほど活用されているのでしょうか。2018年12月にMMD研究所から発表された資料「2018年版:スマートフォン利用者実態調査」によると、1日のスマートフォン利用時間は、「2時間以上3時間未満」が最多の24.1%、次いで「3時間以上4時間未満」の18.5%でした。

スマートフォン利用時間は若年層の方がはるかに長いのでは? と予測されましたが、実際には顕著な差がみられず、10代女性で「10時間以上」という回答が1割を超えて存在した点以外に特筆すべきことはありません。スマートフォンに関しては老若男女問わず、日常的な利用が進んでいるといえます。

インストールしているアプリの種類では、「動画」がトップで63.5%、「コミュニケーション」と「SNS」が3位、4位でそれぞれ60.5%、59.7%でランクイン。写真やゲーム、ニュースなどを上回って必須アプリとなっています。

SNS・コミュニケーションアプリの利用者では、「LINE」を92.9%が利用、「Twitter」がこれに次ぐ56.2%の利用でした。「Instagram」は38.8%、「Facebook」が35.0%です。

同時期の2018年12月にコムニコが公開したSNS利用スタイル調査の結果からは、閲覧頻度について、LINEの場合、86.1%がほぼ毎日閲覧すると回答していました。InstagramやTwitterも閲覧頻度が高い傾向にあり、「ほぼ毎日」がそれぞれ50.0%、42.8%でした。Facebookは16.2%とやや低いものの、週に数回など定期的にチェックしている人が多くなっていました。

各SNSのアクティブユーザー数としては、Facebookが国内アクティブユーザー数2,800万人、世界では22億3,000万人と推計されています。LINEは国内に7,600万人以上のアクティブユーザーを抱え、世界では2億1,700万人以上にのぼると発表しました。
Instagramは国内アクティブユーザー数が2,900万人、海外が10億人とみられています。Twitterは国内アクティブユーザーが4,500万人、世界全体では3億3,500万人とされています。

次にユーザー層の違いです。まずFacebookの場合、30代後半から50代などやや高めの年齢層で、購買意向の高い層やビジネスユーザーにアクティブユーザーが多い傾向があります。

LINEは日本国内に強く、若年層はもちろん、中高年齢層にも利用が広がってきました。ただしタイムラインの活用は若年層が中心となっています。常に滞在するユーザーが多く、毎日閲覧される抜群のアクティブ率を誇りますが、そのぶん、情報が埋もれてしまわない工夫が必要でもあります。

Instagramは20〜30代の女性ユーザーが特に多いSNSです。さらにこれ以外の層でも、グルメやファッション、インテリア、旅行などライフスタイル関連のトピックスに敏感な反応をするユーザーの活用率が高くなっています。投稿に刺激を受けてアイテムやサービスを購入した経験をもつユーザーが非常に多いのも特徴的で、ECサイトなどとの相性は良いでしょう。

Twitterは幅広い層が利用していますが、アクティブユーザーの多くを占めるのはネットやトレンドに敏感な層や若年層です。このようなユーザー対し、情報拡散をねらったアプローチが重要となるでしょう。


SNSのマーケティング活用はなぜ不可欠なのか? もおさらい

とりあえずSNSは時代の流れと考え、さまざまなアカウントを開設したという企業は少なくないでしょう。
しかし企業としてSNSを活用しビジネス面でその力を発揮させるには、取り組む意義を正しく認識しておく必要があります。

まず、常にユーザーのそばにあって行動に多大な影響を与えているスマートフォンに対し、タッチポイントとなるSNSの存在は見逃すことができません。そのうえで、SNSは顧客との親密な関係性を築いていくOne to Oneマーケティングの有効な手段となりえます。
細かな属性によるターゲットを絞り込みや、最適なタイミングでコンテンツを届けることが手軽に可能なため、潜在顧客への接触からリピーターへの再アプローチ、ファン醸成にいたるまで幅広く利活用できるのです。

さらにSNSには"拡散"によって、低コストで大きな結果を得られる可能性が秘められています。1回の発信、1度の広告がユーザーの反応によって爆発的に広がり、極めて低いコストで知名度の飛躍的向上や好感度アップといった大きな効果を生みだすことも可能です。

投稿に返信するなどの本来のコミュニケーション機能によって、企業と直接つながる体験をユーザーに提供することもできます。こうした体験には、企業に親しみを覚えてもらい、購買行動やクチコミなどにつながる効果があります。コミュニケーションの喜びは、いまユーザーの行動や意識を大きく左右するものなのです。


まとめ

新たな顧客との関係性を構築するメディアとして、きわめて有効性の高いSNS。しかし、ただアカウントを開設し、機械的な情報発信を行っているばかりではその役割を果たしません。
一方で、担当者のセンス頼みで組織として一貫性のない運用に陥ってしまうのも問題です。

同じ情報ソースでも、それぞれのSNSにおけるターゲット層や機能から効果的な表現手法を見出し、うまく出し分けていくことが大切です。もし複数のSNSプラットフォームの運用が難しい場合は、自社のターゲットに合うものを選別し、まずそれに注力するのも一案でしょう。
また大きなキャンペーンや新製品・新サービスの発表時などは、それぞれのSNSの枠を超えて連動したり、リアルイベント、ホームページ、旧来メディアなどともかけ合わせた設計で運用すると、さらに大きな効果が期待できるでしょう。

今回ご紹介したポイントを参考に、中長期的な視野をもちながら、最適なSNSマーケティングをめざしてください。
次回は、現在最も勢いのあるSNS、Instagramの運用の基本について解説していきます。お楽しみに。

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