2019.04.25

広がる動画マーケティングとその可能性 <前編>動画マーケティング・成功のためのプランニングとは

高い広告宣伝効果を獲得するため有効な手段として、「動画マーケティング」の活用がこれまで以上に注目されています。動画マーケティングを実施し、成功に導くためのプランニングの心得は何か、そして実際の動画制作のためにどのようなポイント押さえればいいのか──前後編にわたって考えます。

なぜ動画マーケティングが重要なのか

スマートフォンを中心とする視聴デバイスが広く普及したこと、通信環境が整備されたことなど、ユーザー側の環境整備によって動画マーケティングの重要性が高まったことは疑いのないところです。
いっぽう企業や団体など広告を提供する側でも、さまざまなサービスやツールによって動画制作にかかるコストや手間が格段に抑えられるようになりました。大企業はもちろん、小さな企業や小規模事業でもためらうことなくチャレンジできるようになりました。

オンラインで動画コンテンツに触れることは、今や日常生活の一部。ネットならではのターゲティング機能やSNSの拡がりで、リーチが難しかった層にもアプローチできる環境が整い、動画マーケティングの活況は今後も続くと考えられます。

動画コンテンツの強みは、バナー広告などの静止コンテンツに比べ、はるかに多くの情報量を、より分かりやすくダイレクトに、印象深く届けられる点にあります。表現手法も多彩に考えられ、内容次第できわめて高い費用対効果を得ることができるでしょう。


動画コンテンツの品質こそ命

大きな可能性とメリットをもつ動画マーケティングは、いまや多くの企業や団体のテーマとなりました。言い換えればこれといった特徴のない施策は他の多くの中に埋もれてしまい、十分な成果を得ることができなくなりました。バズを生み、高い宣伝効果を獲得するには、綿密な計画と質の高い動画制作、そして適確な運用が不可欠です。

その中でも最も重要なのが「動画の品質」です。以前はSEO対策による検索需要の獲得が重視されましたが、SNSによる拡散が進んだ今日では、動画そのものの質がまず問われる時代となりました。
優れた動画を制作することには誰もが重点を置いているはず、という声もあがりそうです。しかし、効果指標やこちらから伝えたいことの網羅にばかりとらわれ、コンテンツそのものの質を高められないケースは少なくありません。コンテンツの質を常に意識することは、動画マーケティングを進めるうえでとても大切と言えるでしょう。

明確な目的のもと、動画マーケティングを組み立てる

しかし、質の高い動画コンテンツとは「斬新なアイデアやアート面において突出していて、目を見張るような出来ばえの動画」を指しているわけではありません。コンテンツはあくまで達成したい目的のためにあるものですから、目的に大きく寄与するのが質の高い動画コンテンツということになります。
そのためには、まずなぜ動画を見てもらいたいのか、最終的に何を目的としているのかを明確にしておくことが大切です。そのうえで、目的を達成するための方向性を見定め、プランニングを進めます。

例えば若い女性へ新しい商品をアピールし、売り上げアップを達成したいなら、彼女らの話題となるような情報を拡散して、まずその存在を認知してもらうことが必要です。そのためにターゲットの間で注目されそうな動画、バズりそうな動画を作って投下します。
そのうえで、実際の売り場へと誘導する施策を機能させます。以上のような一連の流れが有効な動画マーケティングでとるべき施策。目的やターゲット、引き出したい行動などを、できる限り明確で具体的なものとするところから、プランニングを始めましょう。

どう進めればいい? 動画プランニングのコツ

目的と方向性が定まったら、いよいよ具体的に動画マーケティングをプランニングしていきます。ここでは「TEFCAS」と呼ばれる概念が役立ちます。「TEFCAS」は目標実現のためのプロセス実行にかかる計画管理サイクルの理想型として知られる実践的思考法で、その内容は、「Trials(数多くの試行)」、「Events(実行、観察)」、「Feedback(フィードバック、反応)」、「Check(信頼性・信憑性の確認、点検)」、「Adjust(調整)」、「Success(成功)」の6つから成り、それぞれの頭文字で「TEFCAS」となっています。

動画マーケティングの実践にこの「TEFCAS」当てはめて考えてみます。
サイクル上ではまず「Success」から入り、目標の設定を行います。先述の目的と方向性に重なるところで、その動画コンテンツを視聴した人にどう感じてほしいか、どう行動してほしいか考えましょう。
次に「Trials」で小さなトライアルを重ねます。思いついたことはまず試しにやってみるスピード感が重要です。そして「Events」でTrialの結果を観察します。
さらに「Feedback」で反応を確認し、「Check」でその理由を分析。どこに問題があり、改善点が見出せるか、どうすればさらに目標に近づけるか、あらためて考えます。そして「Adjust」で必要な調整を施すことで「Success」が達成されるのです。

マーケティング成功へのアプローチとしては、PDCAサイクルも有名ですが、TEFCASはよりスピーディに動くこと、常に実践的に動きながら考えることを重視した姿勢になっています。変化の早い現代の流れに沿い、ホットなタイミングを逃さないで"バズる"動画を目指すなら、TEFCASの方がより向いているでしょう。PDCAサイクルは古典的な基礎基本として押さえ、TEFCASでプランニングを行っていくことをお勧めします。


参考のために、少し具体化した例を挙げておきますのでご覧ください。

「Success」
若い女性にコスメ製品の名称と効能を認知させ、強い関心を持たせたい
「Trials」
A案:コスメ製品の名称も効能もパッケージも見せず製品探しを進行するミステリー仕立ての動画
B案:コスメ製品の名称や効能を連呼しながら進行するコメディ仕立ての動画
など数案の動画ストーリーを作成する
「Events」「Feedback」
絵コンテを見せて「製品について知りたくなるか」「売り場に行ってみたいと思うか」などを聞く調査を実施し、回答を得る
「Check」
回答を分析し「ミステリー仕立ての動画A案が面白くて製品への興味が湧くが、何もわからないため、見たあとどう行動していいかわからない」という傾向を抽出する
「Adjust」
製品の効能だけを明らかにし、そこから製品名とパッケージを探していくストーリーに変更する


ファネルとは?

動画マーケティングのプランニングでは、流れや作成するコンテンツのタイプを見定めるため、ファネルの意識も重要なものになります。「ファネル(funnel)」とは「じょうご」を意味する言葉で、広告に接する対象が、その商品やサービスを知ってから、実際に購入や契約をするまで次第に行動が絞られていくさまをその形状にたとえ、構造的に考える手法を表しています。また消費行動におけるそれを「パーチェスファネル」と呼んでいます。

ファネルのトップ、幅広い層へのファーストコンタクトの機会として動画を展開するなら、誰もが思わず目をとめるようなインパクトのあるクリエイティブで、商品やブランドの認知をしてもらうことを目指します。とくにターゲットとしたい層の関心ポイントなどをよく研究し、分かりやすく目を引くコンテンツを、YouTubeやSNSなどを活用して広げるのが王道になります。

次のステージにある、ファーストコンタクトで興味をもった対象を潜在顧客としてとらえ、より深く引き込むならば、丁寧な説明動画やストーリー性のあるコンテンツの制作が有効です。伝えたい世界観やメッセージ、商品背景などを訴求したり、具体的なサービスの活用シーンなどを提示したりして、興味関心を高めてもらいましょう。

さらに進んだ購入検討段階の見込み顧客向けには、より詳細な情報としてデモンストレーション動画などを用意するのがお勧めです。類似商品やサービスとの比較検討も行われやすいので、有識者コメントや実際のユーザーによるリアルな利用体験コメントを動画コンテンツにするのも、説得力が増すという意味合いで有用です。

最後に、すでに購入実績のある顧客ステージでは、リピーターやファンになってもらうことが理想となります。関係を深めて維持するのに有効な情報として、たとえばさらなる便利な使い方をアドバイスしたり、メンテナンス方法を案内したりといった「ハウツー動画」や、限定のキャンペーン動画などが考えられます。SNSやサイト、メルマガなどを通じて告知し、優良顧客への育成を図ります。

KGIとKPIは区別して理解し、意識する

目標へと確実に進めるため、プランニングの時点から、検証に用いる効果指標を設定しておくことも大切な作業です。ここで大切になるのがKPIやKGIの設定とその意識です。

「KPI」とは「Key Performance Indicator」の略で、重要業績評価指標などと訳されます。これに対し「KGI」は「Key Goal Indicator」で、重要目標達成指標とされます。「売り上げアップ」など最終目標にあたるのがKGIで、それを達成するために満たしていくべき計測可能な指標がKPIです。それぞれを区別して理解し、適切に連動させて設定します。

KGIは曖昧なものではなく、「売り上げ20%アップ」や「客単価の1,000円アップ」、「リピート率の15%アップ」など、具体的かつ明確なものとして掲げるようにします。そして、いつまでに達成したいのか、3カ月後か、半年後か、それとも1年後か、時期もきちんと設定しておきます。KPIはその目標達成過程として、動画コンテンツが満たしていくべき視聴再生回数や共有数、いいねの数などで設定します。

いかがでしたでしょうか。以上が動画マーケティングを実施し、成功に導くためのプランニングの心得です。
次回後編では、実際の動画制作のために、どのようなポイント押さえればいいのか実例をふまえて解説します。

»広がる動画マーケティングとその可能性 <後編>動画マーケティングを成功させるコンテンツ制作

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