2017.12.13

半歩先の未来を描く│トミヤマ助教に教わる女子マンガの系譜 ポイント④

ポイント④ 半歩先の未来を描く
女子マンガは一歩とか半歩先の未来


大学の授業でよく言うことですが、女子マンガは、一種の未来予想図です。とくに売れている女子マンガには、こんな社会になっていたらいいな、こんな人生が待っていたらいいな、という希望が織り込まれています。現在を活写しているように見えて、実はちょっと先の未来へとつながっている。そのため、読者の行動に影響を及ぼすのだと思います。


例えば『逃げるは恥だが役に立つ』は、結婚の未来を描写しています。実際に作品で描かれたような家庭生活を営めるかは別としても、結婚とは何かということについて、パートナーと腹を割って話せること、理性的かつ効率的に結婚生活をマネジメントしていけること。これは、少し先の未来で実現したら嬉しいことであり、新しい婚姻関係の提案なのです。

逃げるは恥だが役に立つ(1)著:海野 つなみ

昔の女子マンガは、およそ手の届きそうにない未来も描かれていました。しかし、現代の女子マンガは、「ここまでだったらいけるかも」と思わせてくれる距離感の近さというか、ちょっと先の未来につながるテーマが、上手に組み込まれていると思います。もちろん、いつの時代でも通用する物語の型というものもありますが、未来予想をよりリアルに感じることができる描き方は、女子マンガが獲得してきた"芸"だと思います。

トミヤマユキコさん ライター/早稲田大学文化構想学部助教
1979年秋田県生まれ。早稲田大学法学部、大学院文学研究科博士後期課程を経て、文化構想学部助教に。ライターとして「ESSE」や「エル・グルメ」などで執筆。大学では、少女小説、少女マンガについての研究を行う。著書に『パンケーキ・ノート』(リトルモア)、『大学1年生の歩き方』(左右社)』がある。

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