2019.02.14

出版社が考える「本当に支持される動画広告コンテンツ」の創り方

出版社の中で、業界の先がけとしてデジタル化を進めてきた講談社が、先日、出版社の広告をあらためて考える『コンテンツメディアが提供するクオリティーとバリューについての企画説明会』を行いました。その中で実施されたトークセッション「『本当に支持される動画広告コンテンツ』の創り方」をレポートします。

トークセッション参加者
モデレーター:本田哲也氏(ブルーカレント・ジャパン代表取締役)
岡田幸美(『NET ViVi』編集長)
栗原資英(『FORZA STYLE』エグゼクティブプロデューサー)


海外に見る最新動画コンテンツの傾向

本田哲也氏(以下「本田」) 今日は岡田さん、栗原さんがそれぞれ手がけている講談社の動画コンテンツについてお話しいただきますが、その前に最近の海外動画コンテンツの傾向について話させてください。


本田哲也氏(ブルーカレント・ジャパン代表取締役)

まずは、今年のカンヌライオンズ2018で、Film部門はもとより、複数部門でグランプリやゴールドを受賞した受賞したTideという洗剤ブランドの『Its a Tide Ad』という作品をご紹介します。

Tide - "Its a Tide Ad" Case Study

これは、TideがTideのCMを作るという作品です。
最初は車のCMかな、ビールのCMかなって思うんだけど、途中からTideにハイジャックされるような感じで「流れているCMは全部TideのCM。だってみんなのお洋服が白くて清潔でしょ」ってオチちゃう動画を、Tideが作って、スーパーボウルのCMで流したんです。
スーパーボウルってアメリカではすごい高視聴率なので、視聴者が「目にするCM、全部これもTideじゃないか」って疑い始めたんですよね。「あれ? 車のCMと見せかけてるけど、これもオチでTide出てくるんじゃないの?」みたいな。それがTwitterとかSNSでどんどん流れて、カンバセーションが起こってくると、例えば自動車メーカーとかビールメーカーは、「いやいや違うよ、これは本当にわれわれのCMだよ」みたいなことになり、そういうのも話題になって、ますます盛り上がりました。

Tideが作った動画は、このようにドッキリも兼ねたようなものでしたが、重要なことはその動画自体がバイラルしたことよりも、トリッキーな動画で、他の企業や一般の消費者を巻き込んで話題になったことなんです。
このTideの新しい洗剤は30%ぐらいの売上増を達成したそうで、こういうちょっと面白いキャンペーンは、非常に今どきかなと思います。

あともう一つ。こちらもカンヌライオンズ2018の入賞作品ですが、Audiの『SKI THE WORLD』という世界中でバイラルした作品をご紹介します。

PUB AUDI QUATTRO?CANDIDE THOVEX?SKI OF THE WORLD !

Audiのクワトロという四駆商品のキャンペーン動画で、フランスの著名なプロフィールドスキーヤーが、雪じゃないところをめっちゃスキーで滑るシーンが延々と続くんですが、CGじゃなくリアルにやっているのがすごいと全世界中でシェアされて、再生回数が上がっていきました。
万里の長城とか砂漠を滑ったりして海まで行き、最後の最後にAudiって出てくるんです。
Audiの車の性能とかをばんばん動画でシェアするよりも、まずは視聴意欲を引き付けてシェアさせて、それから「Audiは四駆でいろんなフィールド、いろんな状況のところを走って行ける」というふうにうまく言葉をつなげている作品です。

こんなふうに、海外で最近使われる手法って、動画コンテンツ自体がすごく主張される工夫がされているんですよね。あるいは、動画コンテンツが何かのきっかけになって、さっきのTideみたいな話題を起こしていくっていう。こういう使われ方っていうのは割と最近の手法かなと思います。

栗原さんと岡田さんが手がけている動画コンテンツも絶好調と伺っていますが、おふたりは同期でライバルなんですよね。

栗原資英(以下「栗原」) ライバルなんですよ。

岡田幸美(以下「岡田」) 初めて知りました(笑)。

本田 そんなおふたりですけども(笑)、まずは『NET ViVi』の岡田さんから、面白いことにいろいろ取り組んでいる動画広告について伺いたいと思います。

岡田 『ViVi』は早い段階からSNSでコンテンツを届けることに取り組んできました。今の若い世代は、SNSでコンテンツを消費するのが日常なので「自分たちが作ったものをどこで見られてもいい」と、届けることに注力して動画およびコンテンツを作ってきました。そういうことをやってきた副産物として、何をどこで見せるかとか、ここで見せるならどうしたらいいかという知見がたまり、それらが今実を結んで花開いているのかな、と思っています。


『NET ViVi』編集長・岡田幸美氏

本田 栗原さんも、めちゃめちゃ好調で、ウハウハが止まらないらしいですね。

栗原 おかげさまで売れて売れて困るっていうか(笑)。皆さんにご協力いただいて作った動画広告が、すごく反響があって。本当に皆さまのおかげで、『FORZA STYLE』はとても忙しくさせていただいています。ありがとうございます。

『FORZA STYLE』は、この『最後の晩餐』を意識して撮った写真の真ん中にいるイエスキリストみたいな干場義雅さんを外部の編集長として、一番左端の"アニキ"と呼ばれている片野英児さんのような『FORZA STYLE』発のスターを動画に出演させて、それをユーザーに届けるやり方で大きな反響を呼びました。
『昭和なアニキのアニ散歩』という動画は、YouTubeを始め、いろいろなところでご評価いただいております。

2017年11月24日に公開された『集団気絶! フォルツァーの腕にはG-SHOCKが欠かせないワケ』で話題を集めたトップ画像


『NET ViVi』の成功事例とポイント

本田 岡田さんが手がけた『NET ViVi』のなかで、成功した動画広告の狙いや背景について具体的に教えてください。

岡田 はい。まずは、メイベリンさんと取り組んだ動画をご紹介します。ちょっと短いバージョンとフルサイズのツーバージョンがあるんですが、そもそもは『ViVi』の読者層がSNSで見られる動画を作るというのが目的でした。
『ViVi』の読者は、常にブランドリフトを検討中という子たちがほとんどなんですけど、「これを知りたい!」まで決まっていない子達が、ぼんやり見ている中で「何か気になる」という動画をどう作るかに担当編集が取り組みました。
海外のトレンドなども盛り込みながら、オリジナル動画を藤田ニコルさんで作ったんですが、藤田ニコルさん自身がSNS上でハブになる子だったというのもあってバズり、この動画をクライアントがSNSでさらにブーストする際にも、普段の何倍もの効果が出たという結果をいただいて、すごく実を結んだ動画かなと思ってます。

本田 ある意味ハウツー動画というジャンルに入るんでしょうけど、ただのハウツー動画じゃないところがポイントなのかなと思うんですけど。
発想としてはハウツー動画を作ることからスタートしたんですか。

岡田 いいえ。スタートは、ターゲットがドンズバでかぶっているメイベリンさんと、SNSを使って見られる商品訴求の動画を作るというところです。

本田 ありそうでなかったアプローチですね。他にも動画成功事例はありますか。

岡田 はい。こちらは、ルミネエストさんと、ごく最近取り組んだ事例です。
週1回で月4回、芸人さんと人気モデルが、ルミネ新宿のお店の中でインスタライブをしながら、有名なショップ店員を迎えて、いろいろお洋服の話をしたり、着替えたり、レビューをしたりということを30分番組で展開しました。

このときはルミネエストさんのアカウントでやりました。普通はインスタライブって10%ぐらいしか見られないんですね。それが20%ぐらいの人が見てくれたんです。

本当はECサイトへの誘導を試す取り組みだったんですが、そちらはさほど結果が出ず、でもその代わりに、翌日以降の店頭への誘導がすごく効いたと結果をいただきました。
私たちも初めての取り組みなので、何をしたらどんな結果が出てくるかというのは見ていかないと分からない部分がありますが、継続して続けていくことでさらに気付きも出てくるんじゃないかと思います。

本田 なるほどね。

岡田 紙の『ViVi』は20歳ぐらいの子が読者なんですけど、サイトのほうは『ViVi』の紙の卒業者もかなり見ていて、25歳から34歳が一番のボリュームゾーンなんです。
「ルミネエストに行くのは恥ずかしいと思っていたけど、(インスタライブを)見てみたら結構行けそう」というようなコメントが編集部に来ましたし、実際にお店に行った紙の『ViVi』卒業世代のお客さまもいたという話をお聞きして、そういう効果もあるんだなっていうことも発見でした。

『ViVi』の読者って、デパートのコスメのカウンターに行くのが怖いと思う人も多いんですけど、そういったところでも活用できるのかなとか、いろんな副産物を考えてこれからチャレンジできると思いました。

本田 そうですね。ある種、実験的な部分もあったかもしれませんけど、eコマースを意識したら、逆に店頭に流れたというのは、やってみないと分からない部分でしたよね。今は、購買行動もすごく多様化しているので、お客様がどういう流れで来店したり買ったりするのかという把握が非常に難しい中、何がどこに効くかのを実証できたいい例だなって思います。ありがとうございます。

次は栗原さんの『FORZA STYLE』の『昭和なアニキのアニ散歩』をダイジェストで見ていただきましょう。


『FORZA STYLE』の成功事例とポイント


栗原 はい。今や、ファッション業界で知らない人はもぐりと言われている"アニキ"こと片野英児さんによる『アニ散歩』は『FORZA STYLE』の人気企画です。

こちらは、RED WINGという靴のブランドとコラボして作った動画で、フィレンツェの大聖堂やイタリアのペルージャでも撮影しました。
ベックマンを英児がエイジングするってことで、半年間履き続けて。
これ、実は30万再生ぐらいいってて。ファッション動画では異例っていうか、ここまでバズったのは多分日本一だと思います。くさいんですよ、とにかく。

本田 なんか昭和感が。

栗原 この昭和モダンが、今、平成生まれの人たちにすごくウケているんです。
冒頭で本田さんにご紹介いただいた動画は、めちゃくちゃ面白かったんですが、普通ブランドさんが作っている動画って、きちんとしたものが多いんですよね。なので、出版社みたいな面白いことを考え続けていく人たちにとって、そこはもうブルーオーシャンでしかない。
みんなが扱ったことのない人材を、やったことのない演出で使うと、ウェブの動画ってすごくリンクするので、あえてきれいに作り過ぎず、毒というかノイズというか、そういうものを入れると非常に面白いものができると思って作っています。
実は私、ファッション業界というか、このメディアに来て、まだ3年なんですけど、それまでずっと『FRIDAY』にいて、いろんな芸能人とかを......。

本田 すごい時代になりましたね。写真週刊誌出身の方が『FORZA STYLE』に(笑)。

栗原 そうなんですよ。もう、人事がどうかしてると思うんですけど(笑)。
ただ、そういう清濁併せるっていうか。そういったものが、出版社の持っている社風というか、きれいになり過ぎず、面白いものができるベースだと思っています。きれいを心掛けて作ってはいますけど。



『FORZA STYLE』エグゼクティブプロデューサー・栗原資英氏

本田 この動画は8分ありますよね。テレビCMでも15秒、30秒という尺が昔に比べると、全てじゃなくなってきていますが、WEBのよさって、8分や10分などの長尺がいけるところじゃないですか。そういうことも考えての、あえての長尺なんですか?

栗原 はい、あえてです。
今、皆さん、クライアントさまに提案する時とかに、PVや視聴再生回数をアピールされているかもしれませんが、私たちは、PVや再生回数をクライアントにアピールすると逆効果になる気がしていて、「最後まで見られています」とか、「こんなに見られてるんですよ」ぐらいまでに抑えています。

今後、広いバズの広告っていう言葉自体が存在しづらくなってると思うので、あえてターゲットを絞って、長く愛してもらえるものを作るっていう、一つの挑戦なんですよね。

本田 確かに挑戦ですね。冒頭にもカンヌとか見ていただきましたけど、アニキのエイジングも、クオリティーの実証になるという意図で作られたということですよね。
出版社が作る動画コンテンツの強みとか、ポイントを、もうちょっとお二人の話から深めていければいいと思うんですが。岡田さんはどうお考えになってますか。


雑誌と動画コンテンツの違い


岡田 簡単にいうと、読者インサイトに基づく動画が作れるっていうのが、編集者が作る動画の強みなのかなというふうに思っています。

今までは割と勘というか、自分に残ってる知見だけでやってきた部分なんですけど、デジタルを使うと、それをちゃんと効果検証もできたり、あとでチェックもできたりするんです。編集者の勘だけではなく、数字などで根拠を出せるので、より説得力を持って、インサイトを踏まえた動画を作れていますし、提案できると思っています。

動画って多分、面白く作るとか、分かりやすく説明するとか、さまざまな要素があると思うんですけど。私たちが本当にインサイトを忠実に踏まえて、それを実体化させるみたいな動画の種類を手掛けていくのが一番確実なのかなと思って、それを深めているところです。

本田 もともと、雑誌の編集長とか編集者の方って、当たり前ですけど、誰よりも読者のことを理解してるじゃないですか。それも、属性って意味だけじゃなく、「あの子たちはこう思ってるのよ」とか深いところで。

紙の雑誌の時代はそこをつかめなかったらもうおしまいで、雑誌が売れなくなるという部分もありましたが、今のお話だと、それをベースにしながら、検証もできるようになったということですね。
あと、対話的としてはどうなんですか。読者の方とフォーカスグループみたいにやったりされてるんでしたっけ?

岡田 そうですね。ここのところ、結構な頻度でやっているんですが、漠然と呼ばなくてよくなったので、すごく精度が上がっています。

最近はデータ上で、どういう『NET ViVi』読者を深掘りすればいいか考えられるので、例えば、数字上は読者層に年齢が25から34の子が多いというのは分かっていたんですけど「じゃあ一体どんな人なのか」というのは、はっきりつかめていなかったんです。その人たちを抽出して会うことで、「『ViVi』の紙を昔は読んでいた。大人になってもトレンドは理解したいけど、わざわざ紙は買わない」というような人たちが読んでくれているというのがかなりの率で分かってきたので、「じゃあメッセージはそのままで、ウェブにだけ年齢をあげたものも作れるね」とか、そういうこともみえてきました。

あと、「インスタグラムを今、どう見てるの」とか。若い子たちを相手にしているので、今、3カ月単位ぐらいでみんな変わっていっちゃうので「もうそんなとこまでいってるんだ」みたいなこととかを、日々踏まえながら何かを作るという苦労が、最近はうまく組み立てられているんじゃないかな、というふうに思ってます。

本田 なるほど。あと、2つ目のポイント、インフルエンサーって出てきてますね。もともと雑誌って、読者にインフルエンスしてきたわけですけど。
今は雑誌もそうですけど、個人的にメディアの動きでインスタグラマーの方とか、何十万フォロワーっていう方いらっしゃいますが、この辺はどうですか。

岡田 「個人もメディアになる時代」というのは、本当にそのとおりと思っていて。昔は、ただ読者モデルとか、そういう子を抱えてスターにして、皆さんフォローアップしたりという文化を作ってきてたんですけど、インフルエンサーはその一番新しいバージョンなんだろうなと思っていて。
個人が影響力を持つのはすごく正しいと思う一方で、フォロワーの内訳などもあって、リーチってすごくもろ刃の剣だなと思います。

本田 水増ししたりしてますからね。

岡田 リーチ上、拡大すればするほどいいアイテムと、拡大すればするほどブランドを毀損するアイテムと両方あると思うので、「中身」をきちんと把握したフォロワーを持っている『ViVi』が一緒に歩むことで、ブランド毀損を防げたりするなど、いわゆるマーケティングができるんじゃないかなと思っています。

本田 KPI管理はどう行っていますか。

岡田 最終的には、売り上げを何個上げるとか、何%上げるかってことだとは思うんですけど、デジタルだともっと細かく、打ち手と効果がありますよね。途中のいろんなKPIをちゃんと出してくださるクライアントさんもいれば、すごいざっくりしてるクライアントさんもいたりして、私たちも自分たちの技術や精度を上げれば上げていく上で、どのKPIに向かうかというのをきちんと決めないと、結果が分散しちゃって高い結果が出せないということも分かってきたので、そこのすり合わせをちゃんと考えるというのが、すごく大事なんじゃないかと思っています。


出版社が手がける動画コンテンツの強みとは


本田 今日いらっしゃってる皆さんもお悩みでしょうけど、取り上げる数字が多くなった反面、取りたくない数字まで取れるという時代ですからね。
でもそれって、必ずしもPVとかじゃないんじゃないかっていうこともありますよね。
栗原さん、ライバルの岡田さんがいろいろ考えられてますけども、「俺も考えてるぞ」っていうのをお願いします(笑)。

栗原 出版社の強みというか、講談社の強みって、110年の歴史だと思います。
僕ら編集者は、毎日毎日、面白いこととか、新しいこととか、世に文化を作っていくためには何をしたらいいんだろうというのを、110年間ずっと考え続けてきたと思うんです。
今、社員が1000人いますけど、110年×1000ですよね。この、ちょっと異能集団が作っているクリエイティブな高さが、講談社が誇る強みだと思います。

創業社長の野間清治は、「面白くてためになる」というチャレンジをしていて。これって多分、「Just do it」と同じぐらい、すごいむちゃぶりだなと思うんですよ、僕は。

手前みそではありますが、「面白くてためになる」を突き詰めていくと、僕らみたいな編集者が生まれたりしてるわけで、これって多分、世界にないんじゃないかなと思っていて。
制作スタッフが、とても熱意のある優秀な人たちが集まってるので、動画は私たちも初めてのチャレンジなんですけど、どういうふうに依頼したらいいんだろうとか、製作費ってどうなのとか、いろいろ分からないことがあると思うんですけど、講談社は幸い動画の制作チームが立ち上がりまして。
写真部のカメラマンが撮影しているので、とてもクオリティーのものが撮れると。そういうスタッフが日夜、ひざを突き合わせてやっていると、世界一のコンテンツができるのではないかと思っています。

本田 なるほどね。ありがとうございます。『FORZA STYLE』でいうと、干場さんがそもそもインフルエンサーじゃないか、みたいな構造はあるんですけど、その辺はどうなんですかね。

栗原 『LEON』や『OCEANS』をヒットさせた編集長の干場義雅さんは、もちろんインフルエンサーなんですが、「インフルエンサーの時代って、いつまで続くんだろう」と考えると、時代の波に乗れるのは、アニキとか、赤峰幸生さんというファッション業界のディレクターの人だと思うんです。そういう個性を集められるのが、編集部なんですよ。
インフルエンサーって「個、個、個」じゃないですか。「線」にはならないというか。それを束ねているのが編集部なんじゃないかと思います。

本田 なるほどね。KPIについて、私からの質問になってしまいますが、さっきのエイジングの『RED WING』の作品でいうと、KPIっていうのは最初から決まっていたんですか。これを目指そうみたいな。

栗原 お店でロケしているので、来店者を増やしたいっていうのはありました。正確な数字はなかったんですけれど、来店者は確実に増えました。


満席の会場で行われたトークセッション

本田 WEB上のプラットフォームとは違うKPIとか。あと、売上。ダイジェスト動画でも出てきましたけど、実際、スーツが売れたりとかしてるじゃないですか。『LEON』とかすごいなと思ったんですけど、その辺どうなんですか。

栗原 例えば、某有名紳士服のクライアントさまと組んで動画を作って、干場さんが監修したスーツを作るっていうのだと、それが3000、5000売れないといけないというのがありますので、そこはもう、刺し違える覚悟で毎回やってます(笑)。

本田 クライアントも、目的があるからメディアで広告出稿したりして認知を広げていますよね。それをブーストするためにプロモーションもやって、来店客を増やして、というのが今でもあるわけですけど。影響力のある干場さんが監修した動画効果で、ネットで完売したんですよね、1回。

栗原 完売も重ねてます、おかげさまで。

本田 ですよね。だから、すごく現代的な売れ方かなって。全部が全部そういうふうにはならないですけど。

栗原 ただ、クライアントの要求がどんどん高くなっていくんで、それに合わせていかないといけないというのは認識しています。広告を出して終わりではなく、コンサルタントもやるし、営業もやるし。

本田 どこまで要求してくんねん、っていうのは、会場中にいる皆さまのほうが困ってること多いかもしれない(笑)。

岡田 でも、そういうふうに、コンサルタントも営業もやったりすることで、本格的に長く取り組むクライアントさんが増えることは、すごくいいんじゃないかなと思っています。
失敗事例なども分析していくと、「そもそもターゲットは合ってるけど、出し方違ったね」みたいなことがありますし。そういう長いやりとりをやっていけるような関係っていうのが、新しい取り組みの形にもなるのかなっていう。


動画コンテンツに期待すること


本田 そうでしょうね。もちろんお金はかりますけど、動画も相対的にコストが下がっていますし、WEBの場合、途中で違うものにスイッチしたりもできるわけで。
まあ、炎上して下げてるような事例も中にはありますけど、ラーニングが積み重なることのほうが大事で。1年間続けちゃって、「そこに何本投下してるんだ」みたいな話よりは、今みたいな話のほうがすごくいいなと思います。

最後に、お二人の野望といいますか、今後のお話を、ぜひ、聞かせていただきたいんですけれども。

岡田 『ViVi』は、今後「アジアの女の子の情報網を制する」というのがポイントになってくると思っています。『ViVi』という冠のもとにいろんなチャンネルを作っていけるのが『ViVi』のゴールなんじゃないかと思っていて。

そのために今、届け方のリサーチと見られ方の検証をやっています。インスタグラムは、今はすごく力を持ってるんですけど、その中で写真と動画がどう違うかみたいなところを検証したりとか。
実際に読者に聞くことで、実は誰もフィードとか見ていなくて、でも、おすすめを検索する時にみんなGoogleではなくてまずインスタを開くということも分かりました。「検索する」イコール、もうインスタなんだなとか。あとは、インスタの中のフォルダの中をどういうふうに分けているかとか。

本田 それ、めっちゃ興味ありますよね。

岡田 みんな、おすすめを見るので、おすすめにどう出るかっていうロジックを考えていかなきゃいけなくて。いろんな細かいことを読者に会って調べて、かつ、このあと数字を持ってきて調べるみたいなことを、今細かくやり始めていて、『ViVi』のターゲットに限った中で言えば、自分たちなりのロジックができてきているんじゃないかと思っています。

今後どういう動画を作っていくかというところでは、『ViVi』に可能性があるジャンルは、リアリティーショーと、ドキュメンタリーと、MVなんじゃないかなっていうふうに思っていて。
テラスハウスとかみんなすごい好きですけど、ああいうリアリティーショーって実はすごく雑誌的なコンテンツだと思うので、紙上では不可能だったそういったことにもトライしていくとか。

あとは、『ViVi』モデルのファンってすごく多いので、そういった子たちのドキュメンタリーや裏側を真面目に作っていくというのも面白い取り組みだと思います。

最後のMVに関しては、結構、広告的な観点で考えていて。栗原も申しましたが、クライアントさんが「長く見られてブランド価値を上げていく」みたいなところってすごく大事だと思っています。
今、どんどんYouTubeで再生を重ねていけるので、いいものを一緒に作っていく中で、そのアーティスト自体も『ViVi』でプッシュしていくという形を取れると、3者でいろんなタイアップができたりするんじゃないかと思います。

本田 すごく立体的になってるイメージがしますね。

岡田 そうですね。そういったところの動画を注力して、ゆくゆくはスター発掘ができたり、Netflixとか、Amazonプライムとかに入れれるような動画を作れるようになって、そこからグッズや課金というところまで考えていけたらいいと思っています。壮大すぎますけど。

本田 楽しみですね。ありがとうございます。
では、栗原さん。栗原さんの野望は、やっぱり、干場さんを超えることですか。

栗原 めっそうもないです(笑)。
『FORZA STYLE』の裏テーマは「面白くて金になる」なんですが、将来的には、動画を軸に多角経営を行う総合メディアをめざしています。例えば商品プロデュースとか、有料サロンとか、大好評だったアニキのイベントでオリジナルグッズを販売しりとか。

あとは海外がすごく今、興味があるので『アニ散歩』の英語バージョンをアメリカ用に進めています。その英訳がね、結構、シュールで面白いんですよ。
そういった多角経営を目指して、皆さんと一緒に面白くて金になることができたらいいなと思っております。

本田 ありがとうございます。もっともっと個人的にも伺いたいなと思った次第なんですけど、時間軸も含めて、クライアントと、代理店さんと、エージェンシーと、あとメディアの方々が、割と同じような問題意識を持ち始めてるから、もうワンチームでフレキシブルにやっていく時代なので、きょうのお話は皆さんにも有益な情報だったと思います。ありがとうございました。

栗原・岡田 ありがとうございました。

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