2019.02.18

Tokyo Gets・海外統括が語る③「東南アジア各国のマーケット事情」

ひと口にアジアといっても、エリアによって国民性は多様。東南アジアだけに絞っても、文化、地理的条件、民族、宗教などは異なってくる。そんな巨大な市場へ進出するにあたり、トキオ・ゲッツはどのようなヴィジョンをもっているのか。どんな業界にとっても、今後ますます魅力的になっていくであろうマーケットについて、トキオ・ゲッツの海外事業統括・山田 奈津子さんに国ごとの分析をしてもらった。

トキオ・ゲッツ インターナショナルマーケティングディビジョン マネージャー
山田 奈津子(やまだ・なつこ)

2005年トキオ・ゲッツ入社。国内事業として映画のタイアップ企画を手掛けた後、2012年の台湾オフィス開設時より海外事業に参画。2015年よりバンコクオフィスの支店長として駐在しつつ、台湾、インドネシア、中国、フィリピン、ベトナムを飛び回り、海外事業を統括する。

――最初に自社の拠点を築いて海外へ進出したのがインドネシアと台湾ということでしたが、その理由を教えてください。

山田 インドネシアはポテンシャルがものすごく高い国です。子どもの数も圧倒的に多いですし。ただし、国民性からいうと、まだキャラクターとの距離感があるエリアではあると思っています。台湾は日本からの距離が近かったというのがあります。地理的にもそうですし、ブームの距離も近い。すぐにビジネスにつながりやすいというのが大きな理由。未来の国とすぐに事業になる国という選択でした。

――自社拠点3ヵ国目のタイは、どういったマーケットなのでしょうか。

山田 インドネシアと台湾のちょうど中間にある国ですね。地理的にも、キャラクタービジネスのやりやすさという意味でも。東南アジアの中では、ずばぬけて大きな市場でもあります。タイや台湾はキャラクターに対しての距離感がとても近いマーケットで、コンビニでキャラクターのグッズが当たるキャンペーンが普通にやられています。とくにタイはそうですが、皆さん、キャラクターのグッズがすごく好きなんですよ。大人もキティちゃんのTシャツを着ていたり、オフィスで働く女性がリラックマのマグカップを持っていたり。企業側もキャラクターを使ったセールスプロモーションで効果を上げられることがわかっています。

――パートナーシップの提携で進出しているフィリピン、ベトナム、中国の3ヵ国はいかがでしょう。

山田 フィリピンは、まだ、キャラクター=子どものもの、という認識が強いですね。そういう意味ではインドネシアに近い。お子さんのステーショナリーや洋服などでキャラクターものはあるけれども、大人向けのものはあまりありません。なので、企業側が利用する場合も、キッズ向けの商品に限られますね。フィリピンはアメリカ文化の影響が強いので、『アベンジャーズ』やディズニーはすごい人気がありますが、日本のキャラクターの認知度や人気度合は高くはないと思います。

数十年前までは、日本でもマンガ/アニメは子供向けのコンテンツとされる風潮があった。コンテンツの質と量が向上してきたこともさることながら、マンガ/アニメが大人向けのコンテンツとして成立するようになった大きな要因は、やはり、経済発展によりエンターテインメントを楽しむ余裕が出てきたことだろう。アジア各国には、まだ、かつての日本のような風潮が強いエリアもある。マンガ/アニメが大人向けコンテンツとして成立するか否かは、経済発展のひとつの試金石となっているかもしれない。

山田 チャレンジングエリアとして、ベトナムでもビジネスを展開しています。今、アジアで『ハローキティラン』というイベントを、自分たちが主催で手掛けており、バンコクの後にベトナムでもやってみました。それがきっかけです。ただ、ベトナムは、まだちょっと難しい国だなというのが、正直な感触です。経済が良くなってきたところではありますが、まだエンタメやキャラクターを楽しめるほどの余裕まではないのかもしれません。

――最大のマーケットである中国も、もちろん無視できませんよね。

山田 戦略的にはずっと狙っておりましたが、なかなか政治的な部分もあり......。とくに尖閣問題があった2年ぐらいは何もできませんでした。でも、2016年から再度チャレンジしています。尖閣問題が落ち着いてきて、向こうでも日本の映画やアニメが流れるようになってきたタイミングですね。アニメ/漫画の展示会や関連イベントなども増えていると感じており今後さらにこの市場は拡大すると確信しています。

日本国内市場同様、海外市場においても、マンガ/アニメのコラボレーションを提案するエージェンシーとして、トキオ・ゲッツは大きなシェアを獲得しようとしている。だが、なかなか苦戦しているエリアもあり、必ずしも順風満帆というわけではないようだ。そこで、新たなキラーコンテンツを打開策としようとしている。今後、コンテンツ・ビジネスはどのように変化していくのか。最終回となる次回は、そのヒントとなるような展望が明らかになる。

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